栗ご飯をぱかっ

母とスーパー銭湯へ行く。

陥没事故のあった海岸べりで雑踏事故のあった歩道橋の近くと、縁起は良くないがお風呂は楽しい。明石海峡大橋も一望できるし。橋を見ながら食事もできるのだが、あいにく何をとっても辛い。どちらも医者から塩分を控えるように言われているので、今日はソフトクリームだけにして、食事は和食の店にしよう。

で、駐車場へ出てくると真向かいに「さと」があった。じゃあ、今日はあそこにしてみようかという話になり、車はおいたまま外に出るが、店は真向かいでも道路はぐるりと迂回しなければ向こう側にいけないようになっていた。ちっ。まあ仕方がない。ほてほて歩いて、入店し、栗ご飯つき季節の松花堂弁当を注文。

天ぷらにお刺身、茶碗蒸し、しめじの胡麻豆腐和え、エビとさつま芋の煮付け、お漬物と栗ご飯。

ところで、私も母も少食である。

私は昔は大食漢(女だから漢じゃないけど)だったのだが、体を壊して食事制限を受けるようになり、めっきり胃袋が縮んだのである。こういったメニューを頼むと、大抵ご飯は残ってしまう。だから、ファミレスなどにいくときは必ず「ぱか」を持ってくる。

「ぱか」とは「ご飯をぱかっと移して持って帰るための容器」すなわち、タッパーウェアのことだ。

昭和一桁な母はご飯を捨てるという行為が我慢ならないらしい。だが、今日は予定外だったので持ってきていない。しかし、ご飯はお腹におさまらない。しかも、普通のご飯ではなく栗ご飯である。昭和一桁な母はウェイトレスに言った。

「ラップか何かもらえませんか」

おいおい。

と思ったが、ウェイトレスは持ち帰り用の容器とポリ袋をくれた。そういう申し出をする人が他にもいるということらしい。アメリカ風に言うとドギーバッグ?

そして母は幸せに帰宅したのであった。

ところでこの辞書、松花堂弁当を一発変換しないぞ。ごく一般的な名詞だと思うのだが。


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