お留守番はキライ

食器棚の上で毛づくろいするまゆ猫というのは、ほぼ一日中寝ている。にもかかわらず、お留守番がキライである。飼い主が朝、出て行って、夜に帰ってくる。それは日常だ。帰ってきたとき、おかえりなさいをしてくれることもあれば、知らん顔をして寝ている場合もある。

しかし、5日間ともなれば、話が別だ。

私は旅行が好きだ。会社の不景気を反映して休暇が取りにくくなったので、しばらく出かけていなかったが、そのうちお出かけの虫が騒ぎ始めた。99年、るぅは1歳半。まゆが8ヶ月。だいじょぶかな。

お出かけ先は東北である。トイレを三つ用意し、母に一日一回、ご飯と水の補充、できたら少し遊んでやって、と頼んで私は出かけた。旅先からは毎日電話で猫の様子を尋ねた。

一日目「まゆは寄って来たけど、るぅは知らん顔してる」
二日目「家に入ったとたん、まゆがにゃーにゃー言うてひっついてきたで」
三日目「るぅもちょっと寄って来たわ」
四日目「今日は、るぅまで懐いてきたで〜(嬉しげな母の声)」
私は思わず叫んだ。「明日、朝イチで帰る!」
翌日、最終便の飛行機を始発に変更して私は帰宅した。猫たちは、思いっきり歓迎してくれた。やっぱ、猫をおいて旅行はよくないね。

何を見てるのかな?と言いつつ、00年、今度は岐阜へお出かけしてしまう悪い飼い主である。そして前回とは猫の様子がまるでちがう。
「どっちも知らん顔してるで」と、毎日母から聞かされる。まあ、もうどっちも子供やないからな。

間違いだった。どっちも子供だった。要するに拗ねていたのである。

帰宅すると、二匹とも私に背を向けて「怒ってます」ポーズをとる。まゆを抱き上げると、フン!と言って(ほんまに、フン!と言った!)そっぽを向いた。ところが、私が母に電話をしていると、まゆが寄って来てにゃーにゃー鳴き始めた。電話をかけていると、必ずやるのである。拗ねてたんとちゃうんかい(笑) これだから猫はかわいくてしかたがないわけだ。

さて、その翌年の秋、私は母を誘って長浜へ行った。寝たきりの父の介護でくたくたな母を労おうと思ったのだ。父をショートステイで施設に預ける手配をし、旅館を予約したあとで、父が特別養護老人ホームに本入所できたり、私がリストラされて12月に退職することが決まったりした。おかげで、何も気にせずに楽しむことができたぜ!まったく!

それはいいけど、今回はご飯と水を頼む人がいない。しかし一泊二日くらいならペットホテルに預けるほどのこともないだろう。私は念のため三日分ぐらいのご飯と水を用意して出かけた。

ご飯は一日分しか減っていなかった。カーテンレールがゆがんで片方が壁から外れていた。わざわざトイレの真横に排便してあった…

猫は一日寝ている動物だが、お留守番は大きらいである。


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