記事タイトル:マーティンの表面板について 


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お名前 Name: せんせい   
ギブソン大仏さま

戦後のスプルースですが、ドイツは敗戦国なので、ばりばりの連合国総大将としては
戦利品としてすプルースを買い込んだというのはありそうな話ですね。
みんながみんなアディロンダックからシトカに変わったと思っていますので、
ジャーマン説はおもしろいと思います。
ジャーマンというとやはり淡くゴールデンに色ヤケしたトップを思い浮かべ、
46年以降の真っ茶色のものはジャーマンのイメージにないのですが、
私、ちょっと前回アップしていただいたJPEGを見損ねてしまいましたが、
どんな文献に戦後数年はジャーマントップを使用したと出ていたのでしょうか
お教え頂ければ幸いです。
[2005/07/27 14:52:05]

お名前 Name: ギブソン大仏   
 家具屋さんレスありがとうございます

 でもこの頃(1946〜49)のジャーマンは冬目がもの凄く太くて見た目が悪いの
です。

 いわゆる「つかまされた!」ってやつですかね?
[2005/07/14 22:59:03]

お名前 Name: 家具屋   
戦中、戦後の材の切り替えの経緯、ちょっと間抜けですね。(笑)

国定公園にしろ戦争にしろ、突然そうなった訳ではなく、その前に何らかの予兆があったでしょう?
大体、自分たちの使う材の置かれている状況や蓄積量ぐらい把握していても良さそうですよね。
「近頃、大きい原木が入らなくなった。このままいくと後○年で供給が危ない。」とか、
「あの辺りが国定公園になる動きがあるようだ。この前、政府関係の調査が入ったぞ。」とか、
現実把握が出来なかったのかなぁ?、結局、手持ちの材を使い果たし、戦後、慌てて?切り替えて、、、
「乾燥するまで5年待ってネ。」なんて、ノンビリしたもんです。
挙句の果てにドイツから材を調達ですか?向こうも戦後復興で木材は必要だったでしょう。
もしかすると敗戦国からの戦利品?代金は払ったのでしょうか?(笑)
もし、復興の為の外貨を提供する目的で相場よりも高く買い取ったのなら、天晴れ!です。

ところで、金属や石油は重要な戦略物資だったと思いますが、全て!の木材が軍需産業に押さえられたのなら、
イースタンどころかシトカも使えませんね。戦前から切り替える予定はなかったのかなぁ?
ところが、戦争が思った以上に長引いて、切り替える予定であったシトカも使えず、
在庫のイースタンも、、、後の祭りですね。(笑)
[2005/07/14 22:16:23]

お名前 Name: ギブソン大仏   
 えーついでに1945年以降の表面板の話をさせてもらいます。

 イースタンスプルース(レッドスプルース)が枯渇したのは国定公園の網にかかった
ためと戦争のおかげで木材がすべて軍需産業にとられたためです。1941年から完全に表面板の原木がストップしたので、各メーカーともストックした木材で細々とやって
いました。

 でもって最初にテンパったのはギブソンです。

 1944年に完全にイースタンスプルースが底をついてしまい、表面板をスプルース
からマホガ二ートップに変更!もしくは昔は捨てていたスプルースの小さい板を張り合
わせた4ピーストップのギターが出回ります。
(マーティンもこの頃から4ピーストップが出回ります)

 1945年にマーティンもギブソンもあわててシトカスプルースに切り替えましたが
当時は自然乾燥のため最低5年は寝かさなくてはならないので、すぐにシトカは使えま
せん。

  で、あわててヨーロッパに飛んで、シトカの自然乾燥が完了するまでの「つなぎ」
としてジャーマンが使用されます。

 1946年から1949年あたりまではマーティン、ギブソン共にほとんどジャーマ
ンスプルースで、たまにシトカスプルースです。
(40年代後半あたりから乾燥が完了したのでシトカの割合が多くなります)

 1952年から54年にかけてマーティン社にイースタンプルースが入ったようで
イースタンのトップが多く見受けられます。
(この年以外にもマーティンはイースタンが手にはいると惜しみなく使います、ギブソ
ンは出し惜しみして、有名アーティストのギターだけにイースタンを使い、ご機嫌
伺いをしております。)
[2005/07/14 16:22:09]

お名前 Name: ギブソン大仏   
>戦前、特に第一次大戦前後迄はどうだったかな?

 私もそこに興味があります。1920年にはいるまでは、マーティンはナイロン弦の
ギター(クラシックギターと呼んでいいものかわかりません!)しか作ってなかったで
すからね!

 となるとやっぱりジャーマンをありがたく使用してたのだろうか?と考えています。
1800年代のマーティンカタログも何度か手に入れるチャンスがあったんですが、そ
こまでは手がだせなかったです。私にとっては宝物でも家族にはゴミですから...
[2005/07/13 22:54:59]

お名前 Name: 家具屋   
gibson野郎様

確かに同じ木材を扱うという点では共通点も多いと思います。
ただ、やっぱり楽器用というのは欠点や木取りに関して物凄くシビアで木材の中では超厳選素材です。
ギターの表板に使われるような質のものを天然内地ヒノキに求めれば、、、ちょっと気が遠くなります。
それでもジャーマンとアディロンで一喜一憂出来るのですから、相当な贅沢と思っていいですよ。(笑)
また性能と伝統の両方からだと思いますが、扱われる樹種数が極端に少ないですね。
イギリスの方はオークを”森の王様”とか、言いますね。硬いといってもローズほどではないですし
加工は意外と楽なんですよ。柾目の虎斑もキレイですから、どんな音のギターになるか興味がありますが、
おそらくギター用材として流通していないと思いますから、先ずは材集めからスタートですね。
北海道産のミズナラでしたらとても良い柾が手元にありますよ。(笑)


ギブソン大仏様

私のは意見というような大それたものではなくただの想像です。(笑)
木材というのは絶えず輸送の問題を念頭に置かないと話しが偏ったものになってしまいます。
第一次大戦での飛行機と自動車の登場というのは輸送手段を一変させたと思うのです。
そのせいで、戦争の様子も一変して、欧州全土が焼け野原になるという悲しい結果になります。
今は様々の産地のスプルースを目の前に並べてあれこれ比較出来る幸せな時代ですが、
戦前、特に第一次大戦前後迄はどうだったかな?と、思ったりします。
それにしても西部は針葉樹の宝庫ですね。有名なジャイアントセコイアや米○○と呼ばれる
針葉樹の殆どが西部産です。反対に東部は広葉樹が多いです。ビッグリーフメイプルやアルダーは
西部産ですが、それ以外の殆どの広葉樹は東部産です。
欧米の方は広葉樹がお好きですから、欧州から新大陸に渡ってこられた方々は幸運?でした。
もし、西部だったら、、、、アメリカの生活様式が根こそぎ変わっていたかも?(笑)
[2005/07/13 22:20:35]

お名前 Name: ギブソン大仏   
家具屋さんレスありがとうございます。
西部産とはシトカのことをさしてると思いますので、それでお話しさせていただきます。

 ギブソンもマーティンも北東部の会社ですから、北東部の山にはえているレッドスプ
ルースを使い出したのは自然なことだと思います。特にマーティンはナザレスの会社の
裏山であるPOCONO山からレッドスプルースをよく調達していたので距離もトップ
材選びの基準のひとつだと思います。

 家具屋さんのお話は「西海岸の山で生えているシトカスプルースを使わなかったのは距離と値段が高価だったから」ということだと思いますが、距離はなんとか納得できま
すが、シトカが高価な材だった!というのは私の意見では「?」であります。ただ当時
の木材の価格表を持ってないのでうかつなことは申し上げられません。(もしかして
家具屋さんの言うようにブラジリアン並に高価だったりして...)

 戦前のマーティンカタログで「高価でみつけにくい材」と書かれているのはブラジリ
アンローズウッドだけです。

 (ベガというアメリカのメーカーの戦前のカタログのギターに「バックをマホガニ
ーからブラジリアンに変更する場合は30ドル追加」と45ドルのギターに書かれて
いるので、当時から高価な材だったんだな!と思います)

 で戦前のマーティンはシトカを使用してはないようですが、もしかするとギブソンは
使用してたかもしれません。

 ギブソンは戦前は
スーパー400、L5はアディロンダック
L7、SJ200、J55はイースタンスプルース
それより値段が安い機種にはスプルースの種類は書かれていないんです。あんなに書き
たがりのギブソンなのに...

で、このスプルースはなんだろな?ということなんですが、私の意見では「シトカが怪
しい!」とにらんでおります。でもソースがないんであくまで想像です。
[2005/07/13 11:19:29]

お名前 Name: gibson野郎   
家具屋さま、木材に関するお話は興味がつきませんね〜。こう考えてみると、
家具とギターでは使用する木材も重なっているし、精密な木工技術が必要と
されるという意味で共通点が多いですね。それにしても、このようにすばらしい
特性を持った木材を枯渇させないように、計画的に使用していただきたいものです。

それにつけても、家具でとても人気のオーク(わたしも好きです)ギターでは
使われませんね、重すぎて振動しないんでしょうか?
[2005/07/13 11:11:56]

お名前 Name: 家具屋   
ギブソン大仏様

お手数おかけして申し訳ありません。

北西部のワシントン州やアラスカの開発が本格化したのは20世紀に入ってからだと記憶しております。
太平洋沿岸に自生していれば船での出荷は楽ですが、パナマ運河開通以前なら南米周りで回航するか、
カリフォルニア辺りで一旦陸揚げして大陸横断鉄道を使うかどちらだと思います。
どちらにしても大型の機械のない時代なら、かなりの時間、労力、コストが要りますし、
殆ど手付かずの原生林から出材されるのですから、当然、良質の大木を選び放題になりますよね。
私、シトカの原木を見たことがありますが、直径2m、長さ5mぐらいのものもありました。
こちらで東部産のものは木が小さいというように書かれていたと思うのですが、
それでもギターの表板が採れるのですから、直径60〜80cmぐらいにはなるでしょう。
これだけ大きさが違えば、ある時期までは使われていた用途も違ってくると思います。
わざわざ遠く太平洋沿岸から直径2mもあるような大木を運んで来るのですから、
20cm幅ぐらいに挽き割って使うのは勿体無いですし、それなら東部産の小さい原木を使えば済みますよね。

もしかすると西部産は1920〜30年代ぐらいまで超高級建築造作材、若しくは重要な軍需物資とかで、
一般には入手困難かベラボウに高価だったかも?と、勝手に想像したりします。(笑)
[2005/07/13 07:37:58]

お名前 Name: ギブソン大仏   
 家具屋さんレスありがとうございます。

 戦前もシトカは使われていました。戦前のグレッチがシトカを使っていたはずです。
1939年のグレッチのカタログを所有してますのでまた調べてみます。

 戦前のカタログは他にもベガやナショョナルやら他のメーカーを含め持つております
がイングルマンだけは名前をみたことがありません。

 ただ表示sれていないだけで使っていた可能性はあるかもしれませんが...
時間があれば調べてみます。
[2005/07/13 01:03:29]

お名前 Name: 家具屋   
>ウエスタンススプルースというのは、はじめて耳にしました。
>一度調べてみます。なにかのギターに使われていたのでしょうか???

いや、そういう訳ではありません。言葉足らずで失礼致しました。
イースタンの対語でウエスタンという意味で私の造語です。(笑)
東部で産出するスプルースの総称としてイースタンスプルースという言葉を使っていたようですので、
少なくとも西部で産出するスプルースの存在は知られていたのだろう。と、想像しました。
具体的にはシトカやイングルマンの総称になると思います。
[2005/07/12 23:50:15]

お名前 Name: ギブソン大仏   
 家具屋さんはじめまして!
ウエスタンススプルースというのは、はじめて耳にしました。
 一度調べてみます。なにかのギターに使われていたのでしょうか???
[2005/07/12 23:29:53]

お名前 Name: 家具屋   
ちょっと興味が湧きましたので教えて下さい。

イースタンスプルースということは、当然、ウエスタンスプルースもあったのでしょうね。
この西部産のスプルースが全米に広く知られ一般的に使われだしたのはいつ頃でしょうか?

と、言うのも、、、

木材のような大きくて重い代物は移動が難儀ですから現地で消費されるのが基本です。
アメリカは東部から西部への開拓の歴史がありますし、マーティン社でお馴染みの1833年なんて
西部は完全な未開地で、アラスカをロシアから買い取るのは更にその30年以上後です。
あの広い国土をデカい木材が行き来するには交通網や輸送手段が整備されていないと無理ですし、
淡色な上に耐朽性が低いですから、扱い方によっては染み、カビ、腐れ等で使えなくなると思うのです。
[2005/07/12 22:53:58]

お名前 Name: ギブソン大仏   
 
二時間かかってようやくアップできそうです。
とりあえず1930年のマーティンカタログ
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12286.jpg
 そこに載っている材の説明 
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12287.jpg

1929年のシャーマンクレイ楽器のカタログ
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12289.jpg
そこにのるマーティンの材について
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12290.jpg
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12291.jpg
1932年のギブソンカタログ
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12292.jpg
L5の材について
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12293.jpg
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12294.jpg
L7の材について
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12295.jpg
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12296.jpg
1939~40年ギブソンカタログ
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12297.jpg
SJ200の材について
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12298.jpg
http://www.legal-speed.com/~matsu/kup/data/12299.jpg
[2005/07/12 22:32:08]

お名前 Name: ギブソン大仏   
 Gakuさん、おひさしぶりです。いま実家に帰り携帯で資料の写真を
とってまいりました。どこかにアップしたいのですがどうすればいいのでしょうか?
[2005/07/12 15:46:48]

お名前 Name: gaku   
ギブソン大仏さん お久しぶりです!

アディロンに関しては、現在までのところ、私個人として
まだ確定的な(平均的)イメージが掴めていません。

現在までの印象としては、「鳴るには鳴るが万能では無い」と感じています。
どこか良くも悪くも雑な所が有りそれが生きるかどうかで大きく評価が違ってくると思っています。

ギブソンは昔からいかにもギブソン的としか言い様の無いアバウト(笑)なメーカーである反面
凝り出すと他社(マーチン含む)を大きく凌駕するくらい拘る事もある変なメーカーです(笑)
そこが拘ったギブソンのアディロンアーチは、是非弾いてみたいと思います。
[2005/07/12 14:23:46]

お名前 Name: ギブソン大仏   
Gakuさん、たしかにクラッシックギターにアデロンはむいてませんね!

 アディロンの長所としては
 
 1、馬鹿鳴りする!
 1、反応が早い!(弾いてから実際の音が鳴りはじめるのが早い!)
 1、音色が軽く歪むので心地良い!(鳴りすぎて音が表面板の限界を超えるために割
れる!つまり少し歪むところが、まるでシングルコイルのエレキギターが良い真空管ア
ンプで少しクランチしたような素晴らしいブルージーな音色になる。口の悪い人だとそ
のクリップした音色が鼻のつまったように聞こえるかもしれないですけど...)

 短所としては
 
 1、音に芯がないので遠くまで音が飛ばない!(そば鳴りは凄い!)

 考えてみれば、「音に芯がない、飛ばない」「音色が歪む」等、クラッシックギター
が一番嫌う条件ばかりですもんね!
 
[2005/07/11 01:18:45]

お名前 Name: gaku   
多少言葉足らずになっていますので補いますと
初期のピアノの場合は、材の強度がきわめて重要になりますが
テヲドールが完成した現代のピアノでは、
それほど材の強度を必要としている訳では有りません。
どのみち余りにも強大な張力の前では、多少の差など問題ではなく
全ては鉄のフレームが支えています。

C氏が書かれていますがスタインウェイは、現在ではシトカで統一されています。
スタインウェイの材の方針の重要な一つに徹底的な選別が挙がられます。
現在でも大量の材を購入してその殆どを返品しているそうです。
ジャーマンから比較的早い時期にシトカに変更されていますが
良材の中で数が有る(すなわち選別の余地がより大きくなる)シトカを選んだ様です。
[2005/07/10 23:21:29]

お名前 Name: ギブソン大仏   
 PS3さん、Gakuさんおひさしぶり!(二年ぶりか?)

 もうすこし補足すると戦後、ギブソン社では良いアディロンが手にはいるとストック
しおいて、ここぞ!というときに使います。

 どういう時かと申しますと、有名ミュージシャンのために楽器を作るときです。
(あと職人が自分のためにギターをついくるときも、とっておきの材料で作るようです)

 戦後のギブソンのフラットトップ(J45)でもそんなアディロンを使った特別仕様が
たまにビンテージ界にでてまいります。

 でも表面がサンバーストだと、アディロンかどうかの見分けがつきにくいので、みん
な見過ごしております。

 その見分け方は二通り。

 ひとつはサウンドホールから覗いた板厚です。
 アディロンはよく鳴りますが、その弱点として芯のない音なので、それを補うた
めにギブソン社ではシトカの1.5倍ぐらいのものすごい厚さで作ります。
 
 これはほんとに分厚いのですぐにわかります。なのにムチャクチャに鳴ります。

 あとフィニッシュが普通のサンバーストではなくて、クレモアナフィニシュサンバー
ストなのですぐに見分けがつきます!
[2005/07/10 23:19:28]

お名前 Name: gaku   
米国にも数多くのピアノメーカーが有りましたから
かっては、世界最大のピアノ生産国でした。
とうぜんレッドスプルースを使用いていたところも有ると思います。
スタインウェイに関しては、初代が移民直後には、使っていたのかもしれません。
でもそれは問題になりません。
多少長くなりますが極めて特異なスタインウェイの歴史を書きますと
初代ハインリッヒは、次男と三男を連れて米国に移住し主に小型ピアノを作って
事業が軌道に乗り始めました。
長男テオドールは、一人ドイツに残り小さな工房でピアノを作り始めます。
テオドールの才能を見込んだ出資者が現われこちらも事業が大きく伸びました。
ところが次男と三男が相次いで急死し、米国スタインウェーは危機に瀕します。
ハインリッヒはドイツにいる長男を説得してアメリカに呼び寄せます。
テヲドールは、ドイツの事業の権利を出資者に売り渡し米国に渡ります。
この時点から本当のスタインウェイの歴史が始まります。
テヲドール・スタインウェイは、ピアノ製作の全歴史上史上最高の天才技術者でした。
無数とも言える開発・改良を行いそれまでのピアノを完全に一新して
現代の高度に完成されたピアノを一気に作り上げました。
彼の製作方針は、最高の物を少数作る事で量産性やコストは、問題外です。
コストを理由に材を変える事は有りません。
ついでながらかれが作ったドイツの事業は、「グロトリアン・スタンバーグ」として
現在でも出資者グロトリアン家によって超一流メーカーとして現存しています。
当然、彼の音はジャーマンを基礎としています。
(詳しくは知りませんが音の傾向から考えてもしアディロンを使ったというなら
チッカリングの方がまだ近いと思います)
スタインウェイは、欧州にも工場を作りますが米国と全く同じ物を製作します。
(ついでながら部品供給はかなり長い間グロトリアンが担当しています。)
アディロンを米国で使ったとしたら今度は欧州工場の方で当然問題が発生しますし
強度も実はそれほど問題では有りません。
現代のGPは、20tとも言われる張力を鉄のフレームで支えています。
特にスタインウェイは鉄のフレームをいかに鳴らすのかに心血が注がれています。
(余談ですが
スタインウェイは鉄を鳴らす
ベーゼンドルファーは箱を鳴らす
ベヒシュタインは響板を鳴らす
と言われています。)
[2005/07/10 22:41:54]

お名前 Name: C氏   
スタインウエイの仕様材ですが

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4338010223.html

こちらの本の記述です。

「ピアノの響板に最適なものは,温帯の海抜1000mから1500mまでの山岳地帯に育つ70年以上100年未満のスプルースで,さらに,あまり日の当たらない森の中心に生えたものである。」

さらにニューヨーク製、ハンブルグ製共現行品はシトカスプルースと明記されています。
[2005/07/10 22:26:09]

お名前 Name: PS3   
gaku様
いつもご教示ありがとうございます。
先日チェックしたアディロンダックのサプライヤーのサイト
  ↓
http://store1.yimg.com/I/adirondackspruce_1850_1492263

Quote>
Red spruce was preferred by wood-frame airplane builders early in the 20th century and also found extensive use for piano soundboards even earlier.
訳)レッドスプルースは20世紀初頭に航空機の構造材として好まれたが、それよりも早くピ
アノ用の音響板としても大量に使われたことが判明している。
<引用終わり

ということで、記述させていただきました。

スタインウェイは1853年設立です。200本以上のストリングスに耐えうるスプルースが音響版
として使われ、地元のアパラチア産は、欧州大陸のジャーマン産よりも当然運搬のコストを考
えると、地元の木を使ったと思われます。たとえ創立者がドイツ系の移民であったとしても、
そのように考えるのが自然と思うのですが。
ピアノについては、調べが足りませんので、またの機会に調べてみますが、念のため以上のこ
とをご情報源の方に確認下さい。尚、クラッシクギターン材料はは仰せのとおりジャーマンが
選好される思います。
[2005/07/10 21:42:58]

お名前 Name: gaku   
話は多少ずれますが
スタインウェイにアディロンは使われていません。
クラシックギターを含むクラシック系の楽器で
スプルースの基準は昔も今もジャーマンです。
有るギター製作者に伺った話ですが昨今のアディロンブームで
アディロンもチェックされたそうですが、
クラシックギター用では無いとの話でした。
[2005/07/10 21:11:30]

お名前 Name: PS3   
ギブソン大仏様、
なるほどよくわかりました。
ギブソンの戦前ものの凄さのエピソード、1度だけ凄いの(数種)弾かせていただいた経験あ
り、そのときは表板は意識しませんでした。「グランドピアノのように鳴る」そう言い表され
る個体でありました。もしや?

アディロンダック産のレッドスプルースがスタインウェイのピアノに使われたかどうか、
おそらくそうでしょう。自分は楽器職人とりわけルシアーと呼ばれる人たちが見逃さないは
ずはないと思います。同様に飛行機の設計者が、その強度を見逃すはずはありません。
飛行機に乗ることは、当時命をかけることそのものですから、最も良い材料を使用することは
納得できます。

戦前のマーチンは、広くアパラチア産のレッドスプルースを使用し、一部にはアディロンダッ
クを使用した。と言う理解が正しいでしょう。
現在はアディロンダックスプルースが50年経過して、再び材料として復活しました。間違いな
くアディロンを使用しています。
ネットの情報によれば、最高グレードは値がついていません。マーチンの45GEクラスには
450ドルの材料が使われていると推定します。
ちなみにコリングスのD1A用アディロンのオプション価格は200ドルです。
[2005/07/10 18:55:31]

お名前 Name: ギブソン大仏   
間違えた!
1945年まで、イースタンスプルース
1946年から、ジャーマンスプルースとシトカスプルースでした!
[2005/07/10 11:27:43]

お名前 Name: ギブソン大仏   
 PS3さん、はじめまして!
 よし!書くぞ!と思ったら、PS3さんのレスに答えがありました。

「アディロンはレッドスプルースと呼ぶことができるが、レッドスプルースはアディロ
ンとは呼べない、アディロンはアパラチア山脈の産のみ!」

 まさにこれが答えです。

 戦前の楽器情報を知るのに力となるのは、メーカーが発行するカタログを調べるのも
いいですが、一番詳しい情報を得るのは、当時のアメリカ各地の楽器商が独自で出版し
ているカタログが最適だと思います。

 メーカーと違って売るのが仕事ですから、カタログもその内容も豪華絢爛!あらゆる
ことが書いてあります。だから古いカタログには当時のスプルースの種類、マホガ
ニーの種類や産地まで地図つきで解説してあります。でそれを見ますと...

 1920年代の楽器商のカタログと、1930年のマーティンカタログに書かれているマーティンのスプルースの種類はイースタンスプルース(EASTERN SPUUCE)です。

 はじめは固有名詞と思い調べましたら、アメリカの東部の山地で取れるスプルースと
書いてありましたので形容詞の「イースタン(東部)」です。

 これはレッドスプルースの当時の呼び名です。

 イースタンスプルース(レッドスプルース)はいろいろな山で取れます。(アパラチ
アンやカナダ等)

 1920年代まではギブソンとマーティン社は各地の山から意識せずにレッドスプル
ースを集めていたのですが、はじめに各地の山から集められたレッドスプルースのなか
に、ある地方のレッドスプルースが強烈に音にたいする反応がいいことにギブソン社が
気づきました。それがアディロンダックスプルースです。

 なぜギブソンだけがアディロンに気づいて、マーティンが気づかなかったか?といい
ますとギブソンはアーチドトップを作ってたからです。

 フラットトップと違い10センチの板厚をくりぬいて作るアーチは板の良し悪しがわ
かりやすいためです。

 アディロンは他のレッドスプルースより、板を厚くしても反応が早く!音がでかい
ので使われだしたのですが、少量で木が小さくて数が取れないため一部のギブソンの
最高級機種でのみ使われました。

 1934〜39年のギブソンカタログには、アーチのL7、フラットトップのJ55
SJ200がイースタンスプルースと表示していますが、トップオブザラインのスーパ
ー400とL5のみ「最高級スプルースのアディロンダックスプルース使用」と書かれ
ています。

 アディロンを意識して使ったのはギブソン社だけです。アーチトップ好きのグルーン
氏が勘違いして「戦前はマーティンもギブソンもアディロンを使用!」とゴッチャなっ
たのではないでしょうか?

 もちろんマーティンもアディロンを使用していましたが、別に意識したわけではな
く、木が小さいのでドレッドに使われることは滅多になく、小さい0サイズや00サイ
ズによく使われてます。

 でもってマーチンの表面版の年代表   


1945年まで、イースタンスプルース
1946年から、ジャーマンスプルースとレッドスプルース


 ついでに言えば、マーティンがよく使っていたレッドスプルースの山はPOCONO
マウンティン産です。
 
[2005/07/10 11:19:55]

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