化学的には主成分は同じと考えてよいと思います。
いずれも、主成分は有機酸アルコールでリモネンとなります。
香りは強いシトラス臭です。
工業的にはオレンジやレモンなどの柑橘類のピールや枝葉からアルコールやエーテル
を溶媒に減圧蒸留で精製されます。ラボレベルでも簡単に抽出できるので、簡単な
学生実習や演習に使われます。クロマトグラフィーでの成分分析も比較的容易です。
精製リモネンは化学品問屋などで簡単に購入できますがドラムか18L缶です。
価格はキロあたり数百円が相場で、天然由来の油脂類では安い方です。
用途は香料原料、有機溶剤が主となります。高級アルコールの一種ですから比較的
酸化しやすい物質です。大気中での蒸気圧は比較的高く常温常圧で序々に蒸散します。
酸化すると有機酸を作りますから、マーチン社のいうように、フレットの錆びを発生
させる原因になりますが、常態で酸化されるには2−3年はかかるでしょうから、ぬりっぱなしで数年放置するようなことでもない限りあまり心配する必要はないと思います。
オレンジオイルやレモンオイルという商品は業界ではありません。おそらく楽器用に
小分けされて、種々の添加剤や溶剤をブレンドしたりした変性品となります。
ですから、リモネン100%と書いていない限り、変性品と観るべきです。
小売単価から見ると、相当なぼろ儲けですね。リモネンを仕入れて楽器屋さんに小分
け販売したら儲かるでしょうね。どう見積もっても原価ベースで1本20−30円でしょうから、20−30倍で売れますね。卸しても7割の粗利は取れそうです。
楽器用のオイルは香りも強くありませんから、何か他の溶剤で希釈されている可能性
もあります。(リモネンはもっと強い香り)
リモネン自体は有機酸アルコールですので、木部に長く浸透することは考えにくく蒸散
するものと思われますが、楽器用に商品化されたオレンジオイルやレモンオイルなど
の実態は分かりません。私はリモネンならともかく成分の分からないオイルを使用する
のは避けています。どの様な影響が出るか分からないからです。
[2005/03/24 09:18:11]