Martin社 Dick Boak氏 インタビュー
2000年5月13日、ロッキートップで、Dick Boak氏に、D−28に関するインタビューを行いました。
ただし、この時は、Dick氏はプライベートでの訪問であり、質問に対する回答は、必ずしもマーティン社
としての正式なものではありません。ただ、Dick氏のギターおよびマーティンに対する情熱が感じられ、
是非ご紹介させていただきたいと思いました。文責は染村にあることをご了承下さい。
ディックさんの好きなD−28は、どの年代の物ですか?
1939年〜1945年のものが好きです。でも、1945年〜1955年のノンスキャロップのものもいい。
インディアン・ローズウッドと大きなブリッジ・プレートの組み合わせは、少しバランスがベース寄りです。
今のD−28もとてもいい。ただ、ベストは、ヘリンボーン、スキャロップド・ブレーシング、ハカランダの
D−28だと思います。古いD−28を弾いたときの「ブーン」という音は、まさに「マジック」です。
フォワード・シフテッドXブレーシングはどうですか?
好きです。フォワード・シフテッドXブレーシングのノンスキャロップドがベストだと言う人もいます。
D−28GEの評判がいいようですが、その理由は何だと思いますか?
Golden Eraシリーズは、特別のグループが結成され、ディスカッションを重ね、古いギターの調査を
行って製作しています。中心人物はデヴィッド・マサウェイという人です。彼はマーティンギターに関する
全てを知っています。彼の仕事は完璧です。GEシリーズは本当のオールド・ギターを現在に再現してい
ます。材料も吟味し、今では入手しにくい、1940〜1950年代と同様のものを使用しています。
HD−28LSVは、「トニー・ライス・モデル」といっても過言ではないと思うのですが、「トニー・ライス」の
名前が使えないのは、サンタ・クルーズとの関係ですか?
トニー・ライスは友人で、彼とは何度も話しました。彼はサンタ・クルーズと正式契約は締結していません。
ただ、私は「トニー・ライス」をサンタ・クルーズから奪いたいとは思いません。サンタ・クルーズには
たくさんの友人がいますし、私はサンタ・クルーズを傷つけたくありません。もしも実現したとしても、それ
は現在のHD−28LSVとは異なる物となるでしょう。多分ネックとか…いろいろと注文がつくはずです。
価格も、トニーへの支払いのため、現在よりも上がってしまうでしょう。
むしろ、今興味があるのは、クラレンス・ホワイトのD−18です。クラレンスはD−28よりもD−18を
好んで使用したようですし、レコーディングもD−18を多く使用しています。「D−18クラレンス・ホワイト
・モデル」の企画の可能性の方があります。
ただ、トニー・ライスは、HD−28LSVを持っていますよ。トニー・ライスの友人のカー・ディーラー
フレッド氏からプレゼントされた物です。