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戦前のスキャロップとは・・・
日時: 2009/09/05 15:25
名前: 甲介

皆様始めまして、50代前半のギター弾きです

メインで使用しているのは、60年代初期のスタンダード
D28と、近年物のD28ゴールデンエラになります。
当然ながら前者はノンスキャロップで後者はスキャロップです。

60年物はシンプルな音色でありながら
力強く音が前方に飛んでいきます。
対してGEは倍音が豊富で音に包まれる感じで
良く鳴っていますが前方に飛ぶイメージではありませんので
それぞれの良さがあり、また欠点も感じます。

これら相反するキャラクターの2本を並べて考えるのは
ライブを前提とするなら、音を飛ばす必要があったのは
PAの発達していない時代であったと思います。

マーチン社が、スキャロップからノンスキャロップに仕様変更した目的は
強度面への配慮が大きく、PAが発達してくる戦後に意識的に音が飛ぶ
ノンスキャロップに変更したとは思えませんし、音の変化は後から
ついてきた気がしています。

そうなると戦前のスキャロップ物は、現在のレプリカとちがい
前方に音を飛ばすことが出来たのかな?ということです

私自身がプリウォーを弾いた経験がありませんので
所有しているかたや、弾いたことのあるかたの経験や印象を
お聞きしたく書き込んでみました、ご回答お願いします
メンテ

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Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.1 )
日時: 2009/09/06 02:32
名前: 三菩提

甲介さん
まず、あなたの意見の展開で次の固定観念が見て取れます。
・ノンスキャロップは音が前方に飛んでいく(遠達性がある)
・スキャロップは倍音が豊富で音に包まれる感じだが遠達性がない
しかし、これはあくまでもあなたがお持ちの60年代D28と、D28GEのあなたの感想であってこれだけのサンプルですべてのスキャロップとノンスキャロップの音の特性を決めるのは危険だと思います。
また、前に飛ぶという感覚は弾いている本人には非常に実感しにくいと思うのですが、どこからそのような感想となったのでしょうか?
倍音成分の少ない音は比較的スッキリと聞こえるので前に飛ぶという感想もあるかなと思いますが、本当に前に飛ぶつまり遠達性があるというのを判断するには反射の少ないホールや草原などのかなり広い場所で弾いてもらいそれを遠くで聞いて判断せねば本来の遠達性はわかりません。

確かに前述のような傾向があると巷で言われる場合がありますが、私はそんなことはないと思っています。
あなたが書かれているようにノンスキャロップというものが鉄弦ギターに採用されたきっかけはヘビーゲージの流行によるギター強度の向上つまりクレーム回避のため(もちろん音の色々な要素ははこれにより犠牲になります)と、制作工程簡略化による大量生産の必要性の二つが大きな原因です。このノンスキャロップと音の遠達性はギター作成理論上なんの相関性もないと多くの制作家が述べています。
アコギマガジン最新のNo.41のソモギの研究文にも遠達性について書かれていますが、高音成分の割合とトップの振動モードによるとなっておりノンスキャロップについての言及は皆無です。(次回も同テーマが続くようですのでそれまでは言い切れませんが)

ノンスキャロップについては次の3つがよく言われます。
1. 初めは鳴らないが弾き込めばスキャロップよりよく育つ
2. 近くでは鳴っていないように聞こえるが遠達性がある
3. 通常のピッキングでは鳴らないが強くピッキングしても音がつぶれない
ここからは私の完全な推測ですが、この3つは強度と生産性向上のため仕方なしにノンスキャロップとしたが、当然鳴らなくなっているため、試奏し鳴ってないと不満に思っている客に対するメーカーや完売店員によるそれらしい言い訳がだんだんと伝播し一般的な風評になったのではと思っています。
1.は買ってから数年経たないと結論は出ませんし、2.は店や家で弾いている分には判断できませんし、3.に至っては鳴りが悪いのだからバカみたいに強くひいても潰れないのは当たり前です。
つまり店で弾いている段階で「鳴り」が実感できない言い訳事例ばかりです。

ご質問の答えに関しては、私はプリウォーを所有しており、かなりの本数試奏もしましたが、プリウォーは音質・音量とも別格であり、難しい理屈抜きで遠達性はあると言えますが、当時の鉄弦制作に関しては遠達性などの音の指向性というところまでは研究されておらず、あまり気にしていなかったのではないかというのが私の意見です。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.2 )
日時: 2009/09/06 04:04
名前: うさタンぴ

甲介さま

プリウォーなんて弾いたこともないのですが、うさタンもちょっとそのあたり疑問があります。

うさタンは生音でマンドリンやバンジョーに囲まれて弾いているのですが、それらに比べ、
ギターっていうのはもともと音量が出ない楽器なので、アンサンブルに埋もれがちな楽器というのは
多くの人に同意いただけるのではないかと思うところです。

そんな中、アンサンブルに埋もれない楽器をテーマにいろいろな楽器を試してまいりましたが、大音量に囲まれた場合、
押し並べてスキャロップドの楽器は構造的に、『アンサンブルに強い、角のたった、あくの強いえげつない音』
にならず、『聴きやすく薄い、アンサンブルに埋もれてしまう、なんとなくの音』になりがちという印象です。

たとえばコリングスD2Hなどは、スキャロップの弱点をトップの厚さ硬さで補おうとしているのだと思いますが、
たしかに音量という意味では3mmや5mmのピックでヒットさせると最大音量的には大変に音量の出る楽器ではあります。
しかし、やはり音が拡散的というか、(遠達性なんて言うのとは全然違う意味で)音がまろやかで、中がすかすかで、
むっちりとした中音域が感じられず、後になって録音で聴くと存在感がないような気がしております。

逆に、音量で言ったら最大音量的にそれほど音量の出なさそうな印象のギャラガーの楽器も、
一音一音が突き刺さるような耳触りな金属音で、『これぞブルーグラス!』という青臭さを感じますし、
なにより目立つ気がします。

でも、『ノンスキャの楽器は全部音がたつ』とか、『スキャロップは全部薄い音だ』なんてことはなくて、
あくまで傾向として、今まで触ってきた楽器から自分の好みにはノンスキャのほうがいいなあ。
という程度の認識です(笑

まあ、たぶん、当たらずとも遠からじってところでしょうけど、
ブルーグラス・ギタリストでスキャロップドをメインに使ってるギタリストって、
トニー・ライスさんぐらいしか思い当たりませんし。。。(C.W.もメインはD-18やホワイトブックでしょうし)
そういえば、ブライアン・サットンさんが高音だけスキャロップの楽器ですね。。。

昔のブルーグラスは一般に、出番が来るとソリストがマイクの前に来て弾きますので、
生音の音量がそのまま観客にとっての音量で会ったことと思われますし、
彼らが分厚いピックで腕を振って演奏されたことを考えますと、ノンスキャと音量やアンサンブルとの間に
何らかの因果関係というか、思惑があって意図的に選んだんじゃないかとか。。。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.3 )
日時: 2009/09/06 04:06
名前: うさタンぴ

三菩提さま

プリウォー所持とのこと、さらに論理的な文章、大変興味深く拝見させていただきました。

さて、
>・初めは鳴らないが弾き込めばスキャロップよりよく育つ
>・近くでは鳴っていないように聞こえるが遠達性がある
>・通常のピッキングでは鳴らないが強くピッキングしても音がつぶれない

とのですが、便宜上、1、2、3と番号を振らせていただきますと、

1はうさタンも嘘じゃねえかと思います。成長する伸びしろが多いって意味なら当たってるかもしれませんけど。
新品状態で比べた時、スキャロップドの楽器って、その時点で結構な箱鳴りをしていたりする反面、
D28なんかちょっと湿ったような音ですし。(その湿ったような音がまた魅力なんですけど!)

2は、近くで聴いても遠くで聴いてもノンスキャのほうが胃に持たれる、攻撃的な音が出る傾向があると思っております。
『何ホン出るか』という勝負なら(弾く人が弾けば)たいがいノンスキャのほうが音量は大きいでしょうけど、
それが遠くまで届くかどうかっていうのは、音量の大きさだけでは量れないでしょうしね。。。

3は、『通常のピッキングでは鳴らないが、猛烈にピッキングすると音量が出る』という楽器が存在して、
そういう楽器はノンスキャに多い。というような印象があります。(コリングスD2Hなど)
逆に、スキャロップドの楽器は軽く弾いても大音量で答えてくれる楽器が多い反面、低音のレスポンスがあいまいな、
なんとなく響く楽器が多くて、ノンスキャの硬質な鼻につくような金属音の輪郭が感じられない印象です。

きちんとダンベル振ってるようなハードピッカーが弾くと、やっぱりスキャロップの楽器は頼りないというか、
ボワンと広がっちゃったりして、シンセで言うところのパッドみたいになって主役になりきれないという感じはします。

もちろん、個体によってまちまちで、あくまでそういう傾向に感じているという、
うさタンの中に育った固定観念なのですが。。。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.4 )
日時: 2009/09/06 16:27
名前: 甲介

三菩提さま
早速のご回答を有難うございます

私のスレッドの内容があまりに簡素でしたので
2本の楽器のみで感じた感想を述べているような
ニュアンスに捕らえられてしまいましたね

補足させていただきますが
私自身のを含め、仲間の所有する結構な数の楽器を弾いてきました
お互いの楽器を交換して弾くことも日常的にしております
また屋内外にて、PAの使用の有無にかかわらず定期的な
演奏活動も行っている中で、第三者の感想も多々聞いてきました
このような経験の中で、音の指向性や遠達性の違いは明確に感じ
疑問に思っておりましたので
それではスキャロップではあっても戦前物はどうであったのかを
お尋ねしてみようと思いました

ソモギ氏のコラムにはノンスキャロップへの言及はありませんが
近年物に限って考れば、マーチンのノンスキャロップはたまたま
遠達性に必要な振動モードを生むのに有利な構造であるとは
考えられないでしょうか

>1. 初めは鳴らないが弾き込めばスキャロップよりよく育つ
>2. 近くでは鳴っていないように聞こえるが遠達性がある
>3. 通常のピッキングでは鳴らないが強くピッキングしても音がつぶれない

1、に関しては私も否定的で、鳴るものは最初から鳴ると思います
「馴染む・こなれる」ということはあると思いますが、絶対的な音量が増えたり
傍鳴りしているものが遠鳴りするようなることはないですね。
「スキャロップよりよく育つ」というのも良く解りませんね

2、これは私の経験から判断すると、やはり違いはあると思います
構造の違いは明確で、やはり指向性の違いだと思います
恐らく絶対的な音量はたいして変わらないのではないかと思います

3、骨格が弱い、強いの違いからくる感触の違いを感じます
セッティングにも寄るのでしょうけど、そこに音が乗った時に
音がつぶれないとか暴れないと感じるものはあります
もちろん音が出てない物は論外だと思いますが

三菩提さまは戦前物をお持ちとのことで、たいへん羨ましく存じます
>プリウォーは音質・音量とも別格であり
>難しい理屈抜きで遠達性はあると言えますが
非常に説得力のある貴重なご意見だと思いました
ありがとうございます
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.5 )
日時: 2009/09/06 16:28
名前: 甲介

うさタンぴさま

自分で読み直しても、文章にすると堅くなっており恐縮ですが
私の感じていることを、うさタンぴさまがうまく表現してくださって
いる気がしております

>押し並べてスキャロップドの楽器は構造的に
>『アンサンブルに強い、角のたった、あくの強いえげつない音』にならず
>『聴きやすく薄い、アンサンブルに埋もれてしまう、なんとなくの音』
>になりがちという印象です。

>やはり音が拡散的というか、(遠達性なんて言うのとは全然違う意味で)
>音がまろやかで、中がすかすかで、むっちりとした中音域が感じられず
>後になって録音で聴くと存在感がないような気がしております。
>逆に、スキャロップドの楽器は軽く弾いても大音量で答えてくれる楽器が
>多い反面、低音のレスポンスがあいまいな、なんとなく響く楽器が多くて
>ノンスキャの硬質な鼻につくような金属音の輪郭が感じられない印象です。

>ボワンと広がっちゃったりして、シンセで言うところのパッドみたいになって
>主役になりきれないという感じはします。

コリングスとギャラガーの対比は非常に解り易すいですね
私も友人所有のコリングスを聞いたり、弾かせてもらいますが
マーチンのスキャロップと比べた場合
よりタイトで、同じような構造なのに抜けてくるなぁ、と感じたものですが
同じような傾向はあるのですね、貴重なご意見ありがとうございます。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.6 )
日時: 2009/09/06 17:54
名前: CHAMP

甲介さん、はじめまして。 ジャスト50歳のCHAMPと申します。
面白いテーマのスレッドですね。参加させて下さい。

D-28ではありませんが、0-18 (1941)、000-18 (1936)、000-28 (1941) を使っています。
使用環境はこの3本でコンスタントに月に6〜8回ほど、主に4軒のライブハウスを拠点に
弾き語りをしています。
バンドの時や他の楽器と演る時はP.U.のついた他のギターなども使いますが、
ひとりの時はほとんどこの3本のどれかをマイク録り、時々は完全生音で使っています。 
ライブする箱の大きさは、大きい所で収容人数70〜80名くらい、
小さい所で30〜40名ほどの店です。

さて、ご質問です。
自分の3本に限って言えば、特に音が前方に飛ぶという印象はありません
(というか、意識したこともありませんでした)。
3本ともサイズから言えば
大音量で鳴っていますが、問われてあえて考えれば「前へ飛ぶ」と言うより
「広がる」という感覚が強いでしょうか。 
それは、甲介さんが感じておられるGEの「音に包まれる」と同じ、
もしくは似た感覚だと思います。

前述したライブハウスで生音で演奏する場合、小さい店はもちろん
何の問題もなく音は届いています。
また、大きい店でも特に聴こえ難いと言われたことはありませんので、
ステージから離れた後部席までちゃんと音は届いているようですし、
それは他の出演者のギターと比べても、むしろかなり聴きやすいという感想もいただきます。
遠達性もどのくらいを求めるかで評価は違ってくるはずです。 
私の出演しているライブハウス程度の広さでは問題なく使えていますが、
では数百人収容のホールではどうかと言われれば、当然
「そのままでは使えない」という評価になると思います。
従って三菩堤さまの言われるように、戦前物は常識的に考える
程度以上の遠達性は十分にある、が私も思うところです。
何だか取りとめもないレスになってしまい申し訳ありません。

三菩堤さま
>プリウォーは音質・音量ともに別格であり〜

まったく同感です。

うさタンぴさま
ギャラガーの話。ロックバンドの中では、マーチンよりも
J-45の方が際立つことを思い出しました。私はバンドでは
J-45か個人製作家さんのギターを使います。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.7 )
日時: 2009/09/07 00:50
名前: GT3RS

こんにちは、

フォワードシフトのD−28GEは、
確かに遠達性は、そうでない60年代初期D−28のヴィンテージに比べ落ちるように思います。 
ただ、GEがフォワードシフトでなければ、スキャロップのままでサウンドの遠達性は、あまり変わらないかもしれません。

プリオーは、流石と思う個体に遭遇する機会がありますが、よく箱が鳴って音量あることが、遠達性能が高いと感じる主な理由ではないでしょうか。
箱がよく鳴る個体のプリオーは、マーティンでもギブソンでも流石に素晴らしいサウンドです。
そばにいる人に聴いてもらえば、どちらがより聞こえるかを教えてくれます。

戦前のD−28は、経年変化で、箱がより鳴るように、なってきていますし、D18やD28オーセンティックがあと70年程経てば、戦前に、近い音が出せるように思います。 
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.8 )
日時: 2009/09/07 01:37
名前: 甲介

CHAMPさま、ご参加ありがとうございます
素晴らしいギター所有されており、また活動もかなり
本格的なようで驚いております

今回のような話題は、普段意識することもないと思います
ただ気になり始めると、とまりませんね 笑

CHAMPさまのインプレを読んで思い出したのですが
私の場合、実感として掴めたのが、GEを第三者に
弾いてもらってる時にたまたま演奏者の背後に
廻ったんですが、結構聞こえるんですね
対して60年物はそれほどでもなく、逆に正面に廻ると
全く正反対の印象でした。
それ以前からボーカルを取るときなど、GEの場合は
自分の声に被ってくるので、邪魔というか音に包まれ
ているという印象がありました

ただプリウォーをお持ちの方のお話を伺うかぎり
「音質・音量ともに別格」という言葉につきるようで
絶対的な音量が、戦後のものとはかなり違いそうで
お話からも圧倒的なパワーを感じます

CHAMPさま
話がそれて大変恐縮ですが、なかなか無い機会ですので
質問させてください
ご所有のOOO-の2本は、年代も樹種が違いますが
音の響き方や届き方の違いなど、ご自分としての印象や
お仲間の感想はいかがなものなのでしょうか?
実はマホガニーのほうがアンサンブルでは抜けてくる等々
そんな話があれば、是非お聞かせいただけますか?
非常に興味があります
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.9 )
日時: 2009/09/07 01:38
名前: 甲介

GT3RSさま、コメントありがとうございます

フォワードシフトによる違いには気がつきませんでした
確かにボディの中で低音が廻りやすい反面
ホールからストレートに抜けて来づらい傾向が
あるかもしれませんね。

オーセンティックは、D18のみ弾いたことがあるのですが
新品にしてこの音という感じで、将来的に凄いことに
なりそうな気配がありますね。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.10 )
日時: 2009/09/07 19:45
名前: よみひとしらず。

スレ主様、皆様
私は1956年のD−28と2002年のD−28GEを所有しています。GEは一本釣り、1956年は2005年に偶々Birthyearで、米国から輸入されたばかりのドライかつ明快で軽快なサウンドの印象を持ち何本かの60年代と比較試奏の上でこれだ!という確信を持って買い求めたものです。それぞれの音質の差から、優劣はつけがたい、すなわち同じD−28といえども別種の楽器であるとみなしています。プレーは主としてフィンガーピッキングです。音量を稼ぐためにサム・ピックに加えて人差し指。中指にもピックをつけたりします。

A.ソモジ氏が何を解析してもマーチンの設計様式ははかわらない、変えようがないのですが・・・。
マーチンのギターの構造上の最大の発明はXブレーシングにあります。ブレーシング自体が表板と一体になって強度を保持しながら適度に振動する役割を持たされています。
ギターの音質を左右するコントロール因子として、サンタクルーズのR.フーヴァー氏の解説がとても理解しやすいと筆者は思います。その他、どうしたらD-45の音になるかは、非常に興味のあるテーマですが、ここでは触れません。

1.Xブレーシングのクロス位置をブリッジ側にシフトした場合は表板は振動はやや減衰される方向になる。【1939年の変更、強度対策】
2.ブレーシングにスキャロップ加工すると表板は振動しやすくなり、この場合ベース側の振動が増える。
加工を施さない(テーパード)の場合はBassが少なくTreble側の音が強調される。【スキャロップドの廃止は1944年=戦後モデルへの音質変化】

1.と2.の組み合わせでBass側に振られたのがGE、Treble側に振られたのが1944年以降のモデル
遠達性を狙うかどうかはギターの構造上は胴の幅に対して深いほど(比が高い)ほど遠達性に寄与し、ドレッドーノートモデルでこれが云々されるのは、見当違い。低音や倍音成分の豊かなGEモデルの音の成分の差(音質の差)による。
戦前モデルと近時生産品のGEの音質の差はハイド・グルー(膠)を使っているか否かと、T-Barロッドであるか否かの違いが大きい。膠は乾燥すると結晶化して接着面が極めて強固になる。(加工性は著しく劣る。)
まとめ;
D-28の音質を左右する因子は1.と2.が大きい。
ひっくるめて強度対策に落とし込むには筆者は異論がある。設計および加工方法のほとんど同じオーセンティックモデルは、戦前モデルがよく言われるようなラウドという性格を持ち合わせている。経年変化によって戦前モデルと同様な楽器になるのは確実であろう。一方GEは、50年代もの(戦前の延長線上にある)の比べて”重い”という印象があり、Tーbarやハイド・グルーを使用していないから戦前モデルにはなりえないかもしれない。しかし、重低音のパワーや中高音の美しさ、バランスそれぞれを見ても最高のモデルのひとつであることにかわりはない。

メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.11 )
日時: 2009/09/07 20:00
名前: CHAMP

甲介さま

>また活動もかなり本格的なようで〜

いえいえ、ただ好きで長い間歌っているだけです。
そんなたいしたものではありません。

さて、ギターのこと・・・
ご承知だと思いますが、戦前物ならどれでも素晴らしい音を奏でてくれる訳ではありません。
手持ちの3本はどれも10年近く、あるいはそれ以上かけて探し、吟味し、手に入れたものばかりです。
欲しいモデルは決まっていましたが、どれも初めから戦前物に絞って探した訳ではなく、
その間30年代〜50年代のものをそれぞれかなり多く試奏させていただきました。
その結果、自分なりに一切の妥協なしに心の底から「これは凄い」と思えるものが戦前物だった、ということです。
戦前物の中にも、価格は立派だがまったく話にならない物もいくつかありましたよ。

もう一点。
戦前物は「音量・音質ともに別格」は本当にそう思いますが、こと音量に限れば近年のGEや
オーセンティック、あるいはメリルなどとそれほど大差はないと思います。
ただうまく言えませんが、音そのものや感じる鳴り方、そして雰囲気などは明らかに
40年代後半以降のものとは違います。私の3本に限って言えば、普段GEやメリルなどを
お使いの方が弾くと地味な印象を受けるかもしれません。GEなどの方がすっと派手な音だと思います。
私の感覚では、そうした戦前物をレプリカしたギターと本物の戦前物は、ルックスや仕様は
真似てもその音はまったく似つかないものです。経年変化を考えれば、当然のことだと思います。
戦前物の本当の凄さは音量ではなく、その音質だと思います。枯れた中に甘さ、太さ、艶っぽさ、
香ばしさ、リバーブ感、適度のサスティーンなどが絶妙に混在して、例えようのない心地よさです。
音の抜けも素晴らしいです。また、「軽く弦に触れるだけで、ボディやネックが震えるように
鳴り出す」という感覚も、この年代独特のものがあると感じています。このあたりは、
私ごときがいくら言葉を尽くしてもお伝え出来ないでしょう。実際に触っていただくしかありません。

(文字数オーバーになりますので、2レスに分けます)
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.12 )
日時: 2009/09/07 20:01
名前: CHAMP

続きです。

随分前置きが長くなりました。ご質問の件です。
000-18’36 と 000-28’41 との比較ですが、うまくお伝えできるか不安ですが書いてみます。

<000-18>
太く芯のあるしっかりした音で、凄い音量です。どこかで読んだうまい表現をお借りするなら、
低音は「ボゥ〜ン」、高音は「カーン」という感じ。古いマホガニーのイメージからすると
わずかにドライで硬質な印象も受けますが、もちろんマホガニーらしい甘さや軽快さも
持ち合わせています。リバーブ感も凄く、また、深くしなやかな箱鳴りを感じます。
私にとってこの箱鳴り感は、スタイル18の大きな魅力のひとつです。音の広がりも3本の内では
一番感じます。これは30年代のブレーシングの位置の違い(フォワード・シフテッド〜)
なのかもしれませんが、定かではありません。
アンサンブルの中で音が抜けるのは、こちらだと思います。

<000-28>
これはもう甘く、深く、香ばしく、艶っぽい太い音を奏でてくれます。材の特性か000-18より
音の重心が低く、落ち着いた音です。音量は000-18よりわずかに小さいと思いますが、
それでもドレッドノートを凌駕するような大音量です。音の出方が特にスムーズで、
軽く触れただけでも鳴り出します。ですので、ステージでも特に強くピッキングしなくても、
しっかり音が出ている安心感があります。遠達性ということであれば、こちらの方が
上なのかもしれません。
また、これも非常に抽象的な表現ですが、音や鳴り方、そしてそのルックスや纏った雰囲気から、
色気さえ感じるギターです。

3本ともライブハウスで酷使しているため悲惨な目にも遭わせていますが、しっかり応えてくれています。
古いのは実戦では使えないという意見も耳にしますが、私はそんなことはないと思います。
怖いのは盗難だけです。

ご質問の回答になっていませんね・・・。文才がなくて申し訳ありません。音の表現は難しいです。
私は愛知県在住ですが、もしお近くならいつでも弾いていただくことは出来ますよ。
よろしかったらおっしゃって下さい。

長文、失礼いたしました。

メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.13 )
日時: 2009/09/07 20:03
名前: よみひとしらず。

最新のマーチン社のモデルにCustom Artist Series: D-28 Dan Tyminskiに
TOP BRACING PATTERN: Standard ''X'' Scalloped (Golden Era Style), Rear Shifted
このリア・シフトが狙うものが、ティミンスキーのフラット・ピッキングスタイルにあるとすれば、興味深いです。
日本に入ってきたらいつか試して見たい気がしますね。
ティミンスキーのブルーグラススタイルのギターは素晴らしいの一言ですね。彼自身は1946年を弾いています。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.14 )
日時: 2009/09/07 21:40
名前: すんまへん

よみひとしらず。さん

何を言いたいのかサッパリわかりまへん
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.15 )
日時: 2009/09/07 22:19
名前: 甲介

よみひとしらず。さま、お世話になります

大変詳細な解説を有難うございます
ひょっとして、製作に携われておられるかと思えるほど
熱心に研究されているようで勉強になります

>遠達性を狙うかどうかはギターの構造上は胴の幅に対して
>深いほど(比が高い)遠達性に寄与し、ドレッドーノートモデルで
>これが云々されるのは、見当違い。
>低音や倍音成分の豊かなGEモデルの音の成分の差(音質の差)による。


こちらの部分を拝見し、なるほどそういう考え方もあるか!
と思いつつ、疑問が残りましたので
お手数をお掛けしますが、ご回答をお願いします

幅広のボディを持つDタイプは当初から遠達性を考慮に
入れないコンセプトのもとに製作されおり
妙な例えですが、Dモデルの深さを倍にすると
遠達性は向上できる、と考えて宜しいのですか?
単に、Bass側に振られたGEとTreble側に振られた
1944年以降のモデルの音の差が、そう聞こえさせており
到達する範囲は同じであると解釈して宜しいですか?
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.16 )
日時: 2009/09/07 22:20
名前: 甲介

CHAMPさま、有難うございます

ニュアンスはよく伝わっておりますのでご安心ください
なんだか非常に感動を覚えております

手元にあるものを軽んじているわけではないのですが
CHAMPさまの説明を読ませていただいて
改めて、楽器ってこういうものなんだと思いますし
私などまだまだ発展途上だな、と思わされます
また、未知の領域に足を踏み入れてしまいそうな自分が怖いです

お誘いいただき感謝いたします
私は千葉ですが、現在なかなか遠出もままならない
状況にあります、いつの日かそんな機会が出来ましたら
その節は宜しくお願いいたします
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.17 )
日時: 2009/09/10 18:59
名前: よみひとしらず。

甲助さん、こんばんは。返事が遅くなってしまいました。
ご質問を頂きました点に答える前に
戦前のスキャロップトブレーシングのドレッドノートモデルが生まれた背景は
当時マーチンで最大の音量のあった000サイズ(オーディトリアム=室内演奏)の音量不足を補うため、野外でのブルーグラスセッションのバンジョーやフィドルの音に負けないためのサイズ拡大であったことが第一で遠達性tなどはそもそも課題ではなかったと考えられます。当時まったく考えられないような’不恰好な’Dサイズが生まれたのはデザインよりも機能のみに特化したからでしょう。
現在ご盛んな議論にになっている遠達性をスキャロップトであるかテーパードで区別するのは日本人の好事家の後付の官能評価感覚あるいはえせ理論に過ぎません。事実スキャロップトの戦前モデルではそのモデルの完成度の高さから、あるいは希少性と高価な価格に惑わされてこの問題は論議されず、単に礼賛されるのみならず、時には神がかったような賛辞でこのテーマがとたんに議論されなくなることに、この問題のすり替えや怪しさを感じてしまうからです。
筆者はこの結論は、科学的に検証すれば足りるだけで、感覚的に結論を出すのは危険と考えているだけです。遠達性は、単に人間の耳による聞き取りやすさで、GEやオーセンティックを含む戦前モデルが低音波が強調され(実は物理的により遠方に届くはずの低周波は、人間の耳にはよく感応しないだけのお話と筆者は考えます。、
さて、胴の深い幅の狭いギターが遠達性に寄与していると考えるわけですが、クラシックギターはよくできたハウザー三世を使用していた私のかつての教師の演奏を実際に演奏会場で聞いてみて、またクラギの胴の深さと幅とアコギで、かなり古風なマーチンのサイズ1あるいは0モデルを実際弾いて見て、音の指向性が狭い、驚くほど聴取者の耳によく届くことに気がつき、サイズを見ると胴が深く表板の面積が狭いことに気がついたからです。

ためしにより大きくなった000モデルやOMサイズとDサイズの音の指向性を見ると前者がクラッシックギターのサイズに近く、よりプロジェクティブと考えられるという推論をしています。
マーチンではM-38などのように、000サイズの胴の深さで、上下のバウトを広げたマイナーなモデルが存在します。
このように胴を浅くしていった場合、音のプロジェクションはよりあいまいになるに違いありません。D-サイズは、これ以上胴を深くできない限界にあり、仮に2倍の深さにすると、ギター自体を抱くことができなくなります。
反対に、胴の深さをとった場合、サウンドホールから抜けけていく音の波はより明瞭かつ強くなり、遠達性に寄与すると考えるのがスピーカー設計など音響理論ではないかと考えた次第です。
この考え方は、実際に小さな1サイズのマーチン(初期のXブレーシングが生まれた原点)を弾いてみれば体感できますし、アコギではありませんが、屋外でのウクレレの柄にない音の大きさと聞き取りやすさと関係あるかも知れません。

以上はご批判覚悟の仮説です。どうぞご自由に文句をつけてくださいね。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.18 )
日時: 2009/09/10 20:01
名前: ダン

よみひとしらずさんの文章は解り易く説得力がありますね。
私もフラメンコギターの小さなボディから発せられる大音量にショックを受けた経験があります。

PAの立場から考えると、遠達性というよりも、指向性が当時のPAマンにはありがたい存在だったかもしれませんね。
シュアの58が開発されたのが60年代後半。
それまでは指向性の無い集合マイクでの音撮りが主流だったと思います。
PPMの時代でも3人+ギター2本を1本のマイクで撮ってましたもんね。
となるとスキャロップタイプよりもノンスキャの方が圧倒的にハウリングマージンを稼げたのは明確。

ヘビーゲージ弦のテンションに対抗するために生まれたノンスキャですが、副産物としてそんな側面も重宝がられたのが定番化の一因ではないでしょうか?
そしてPAの発達した今だからこそのスキャロップの復刻?

ちょっと飛躍しすぎました・・。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.19 )
日時: 2009/09/11 23:17
名前: 甲介

よみひとしらず。さま、ご回答有難うございました

ご経験に裏付けられた解説、たいへん勉強になります。
大型のものと比較した場合の、小型ギターの指向性の良さ
たいへん良く解りました。

同じ形で構造が異なる場合、絶対音量が同じであるならば
拡散傾向にあるものに比べ、指向性の高いものはエネルギー
ロスが少ないため、遠達性にも優れるのではないか?と
漠然と考えていたのですが、一概には言い切れないようですね

今回は、自身で解決できない疑問があったため
経験豊富な皆さまのご意見をいただきながら
解決の糸口を見つけられれば、と考えスレッドを立てました。

おかげさまで、当初は予想していなかった貴重なお話も
聞かせていただき、大変ありがたく存じています
どのような考え、ご意見に対しても文句をつけるつもりは
毛頭ありません、どうぞご安心ください。






ダンさま、コメント有難うございます

フラメンコギターのお話も非常に興味深いですね
最近はピッアップの数も種類も豊富で、主にマイクで拾っていた時代
に比べれば、ギターの指向性や拡散性によるハウリングの問題も
さらに問題にならなくなって来ているのでしょうね。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.20 )
日時: 2009/09/12 12:30
名前: mojo

興味深く読ませて頂いております。

胴の深さが音の遠達性に係わるというお話し、それもあるのでしょうが、
やはりトップの、材の選択や設計・構造の違いが大きいのではないかと思います。

遠達性が重要視されるクラシックギターでは、古い楽器は表面板のパワーが衰えており
大きな会場で使えないのだといった話を聞きます。
同じ楽器を使い続けての話でもあります。
しかしフォークギターではそういう話はあまり耳にしません。
そもそもフォークギター1本生音で、という状況が非常に稀ですよね。アンプラグドと言っても・・・。


それから、ずっと疑問に思っていたのですが、
ブルーグラス等での使用を考えてDサイズが作られるようになった(スキャロップだった)と聞きますが、
ブルーグラスってそもそも45年頃に確立されたんでしたよね?
もちろんその前身の音楽はあったでしょうが。
どちらかと言うとブルーグラスで使われるようになってスキャロップで無くなったのかな?
という気がします。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.21 )
日時: 2009/09/12 13:01
名前: すんまへん

よみひとしらず。様
感覚的議論は駄目と言っているのに、あなたの理屈は感覚的だね。マーチンヒストリーに書いているようなことが多く、それを除いて読むと、胴が深い方が遠達性がありその理由がクラギとマーチン0サイズの比較からと言うことだが、これは無茶苦茶だ。
ナイロン弦と鉄弦では音質が全く違うでしょ。人間には高音成分の多い音の方が指向性が高く遠達性があることは科学的に言われている。だから鉄弦の方が遠くにいる人には聞こえやすいに決まっている、胴の深さなんて関係ないよね。
また、サウンドホールから音が出ていると思っているようだけど、音のほとんどはトップの板そのものから出ているんだよ、ギターの構造を考えれば分かるよね。サウンドホールからもそりゃ音が出ているけど、低音成分が多いんだよね、だから遠達性にはあまり関係ないんだよ。
最後にXブレイシングを発明したのはC.F.Martinじゃないよ、彼は昔からあったけどあまり注目されていなかったそれを一般化しただけだ。歴史も語るのなら正確にね。
以上、ご希望の反論でしたぁ!
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.22 )
日時: 2009/09/12 13:45
名前: ばか者!

>人間には高音成分の多い音の方が指向性が高く遠達性があることは科学的に言われている。

そうだったのか、俺は低音のの方が遠達性が有ると思ってたよ。

ドームコンサートでも低音は、屋外でも響いて聞こえてたからね。
低音はパワーがいるからね、同じパワーならそうかもね。

まぁ日本人は低音に鈍感な民族らしいからそう思う人も多いかもね。

>ナイロン弦と鉄弦では音質全く違うでしょ。

基本構造はどっかの馬鹿がバイオリンと混同するよりは似ていると思うが、音質の違いなら同じ鉄弦同士でもあるしガットでも皆違うね。
無茶苦茶と言うほどでもないと思うが?

それと、同じ仲間でウクレレの小さいボディーの大音量はどう説明するかね?

是非、お伺いしたい。

独り言だが常に疑問と興味の有ることなのだが、
よく重低音だとか大音量とか爆鳴りと言った言葉を見るが
そんなに必要な物か?
どんな演奏でそれが必要なんだ?
皆バンジョーと掛け合いでもしてんのか?
たいていは、家で弾く 日曜ギタリストもどきだろ?
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.23 )
日時: 2009/09/12 14:07
名前: すんまへん

ばか者!様
あなたの事例は遠達性じゃなくて音の吸収性の差だよ。高音は反射を繰り返すと低音より小さくなるんだよ。音圧もあるけど長くなるので、勉強してね。

ウクレレはすごい質問だ!
アタックが強いのと、高音しか出ないのと、その音域にマッチしたサイズだからキンキンして大きな音にあなたは聞こえているんだよ。
ウクレレの再低音と同じ音程の単音をクラギで出したのと比べてごらん、それでもウクレレの方が大きいならすごいウクレレだわ。大切にしてね。
あなたの理屈だとボディが小さいほど音量は大きくなるってこと?
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.24 )
日時: 2009/09/12 15:24
名前: ばか者!

なるほど、ありがとうございました。

私の着眼は入力のエネルギーに対しての出音の差でした。
同じドレッドノートでエネルギーロスを少なくするにはどうなるか?
あるいは、ならしきれるエネルギーはどれほどか?
と言ったところです。

私の想像(非科学的)では、一般の人間の弾く入力(例えばアタック)に対しては
いわゆる適正のボディーの大きさが存在するのではないか?
ウクレレは大げさだし、他にも音の響きのブレンドなんてスレもあったけど
それぞれに適正が有るように思う
ドレッドノートに関しては実にバランスの悪い楽器に感じる。
もっとも伴奏楽器としては良いかも知れないが
同じ、マーチンの中だけでも遠達性が良いとは思えないのでね。

>ウクレレの再低音と同じ音程の単音をクラギで出したのと比べてごらん

逆にウクレレの音と同じ音階の高音を比べて弾いて見てください、
この小ささにしてすごくロスが少ないことを感じるでしょう?

よみひとしらず。さんの言い分も一理あると思っただけです。

ちなみに
>ボディが小さいほど音量は大きくなるってこと?

そんな単純な物でないと思っています。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.25 )
日時: 2009/09/12 21:47
名前: よみひとしらず。

甲介様、 先日はHN間違えてすみません。よいところに目をつけられました。わたしは思考実験が割りとすきなだけで、俗説の域を出ていないかもしれません。議論を通じて本質をついて考えていきましょう。

すんまへん様

>サウンドホールから音が出ていると思っているようだけど、音のほとんどはトップの板そのものから出ているんだよ、

すんませんが、お試しにサウンドホールの穴をつぶしてみてくださいな。音がどのように変わるかなあ。理論的にも感覚的にも表板も側板も裏板もネックもペグも全部同じ周波数で振動しています。スピーカーのコーンと同じく前にある表板が一番ですが「ほとんど」というのはミスリードです。
また、ラージサイズのサウンドホールもありますね。トニー・ライス氏の演奏を聴くまでもなく、確実に音響は変わっていますね。
なお、19世紀の0サイズや1サイズの28はナイロン弦でも鉄弦でも両方試せます。どうぞお試しあれ。

理論だけでなく、感覚と一致すればなおよくわかります。あなたのような先入観にとらわれると、自認されているように「さっぱりわからない」ばかり、かまるで理解できないのではありませんかねえ。

>Xブレイシングを発明したのはC.F.Martinじゃない

不勉強ですみません。ではどなたの発明でしょう。特定されていれば知りたいのでよろしくお願いします。

Xブレーシングにもいろいろな型があります。私は現在誰もがまねしているXブレーシングパターンは紛れもなくCFマーチンが確立したものなので、そう思っています。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.26 )
日時: 2009/09/12 22:53
名前: aya-yu  <aya-yu@mxc.mesh.ne.jp>
参照: http://www5a.biglobe.ne.jp/~aya-yu/index1.htm

他スレッドで「遠達性」という言葉をバーゲンセールのように多用してしまったので、ちょっとだけ書き込ませてください。
「遠達性」の定義は、広い意味では、「どこまで遠くで聞こえるか」ということですから、音量がある事も、ある意味では含まれるかと思います。
ただ、一般の方向性のない音は、距離の二乗に反比例して小さくなります。ですからホール等、観客が正面方向にいる場合、音に方向をつけてあげると効率がいいということで、これまで主にクラシックギターの音の指向性の高さ(広い意味では聴き取り易い音色も含めて)が「遠達性」の高さとして捉えられているかと思います。
例えば池に小石を投げ込むと、波が周りじゅうに広がり、波紋の高さは広がるほど小さくなりますが、コンクリートで護岸された川の鉄砲水は、その川が真っ直ぐに続く以上どこまでも波は小さくなりません。(一般の点音源のスピーカーに比べて平面スピーカーの遠達性がいいのもこの理屈と同じです。)
で、クラシックギターについても、限られた弦振動のエネルギーを、如何に効率的に客席に向けて指向性を持たせるかがポイントになります。
主にトップが垂直方向にのみ振動するよう、また、トップと平行な方向には、あまり振動エネルギーが消費されないように(トップの横向き方向にローリングするような振動をしないように)ブレイシングを配置してあげると、(プレーヤーには音が聴きにくくなったりしますが)川の鉄砲水のように方向性を持った音が客席に向かって広がっていく・・というのが、最近手に入れ解読中のソモジ氏の本等の内容の「遠達性」の私の理解です。(この部分、語弊があったらごめんなさい・多少なりと分かりやすくと思いちょっと修正させてもらいました。)
トーレスのクラシックギターの饗棒は7本であるのに対して、フラメンコギターのそれは5本であるそうです。最近はフラメンコもソロがされるようになり、状況が変わってきていますが、本来、側鳴りしてほしいフラメンコは、ある程度横揺れするように饗棒の数が減らされているということです。
音は材も含めて複合的な要素で成り立ちますから(例えばバック材の硬性が高いとよく反射しますよね)、古いマーチンの硬いトップやノンスキャロップ、ボディの大きさ等も影響あるような気がしますが、どの程度かは専門家に計測してもらわないと分からないように思います。ただ、トップ面の硬性が高まれば、振動自体伝わりやすくなり変化は起こるかと思いますし、小さなギターは、一般に巾が狭いわけですから、横揺れしにくい面も持っているような気がします。また、縦横の力木の配置がかなりの影響を与えることになるはずですから、Xブレイシングの交点の角度や短いトーンバーの配置も、多少なりと影響するかもしれませんね。
ただ、鉄弦の場合「遠達性」のあることが必ずしもメリットになるとは限らないと思いますし、ソロに使われるようになるまでは、話題にされなかったことのような気はします。マイケルヘッジスも、自分のソモジは持たずに、D28を愛用していましたよね。

「ちょっとだけ」と思ったのが長くなってしまいました。申し訳ありません。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.27 )
日時: 2009/09/12 22:57
名前: ビンゴ

甲介さん、そして幅広く興味深いレスポンスを豊かに展開なさっていらっしゃる
皆様、こんにちは。ギターのサウンドだけではないでしょうが、楽器の音については、
まだまだ未解明の事ばかりで、本当に興味深いことですね。私も「思考実験」好きです。

ところで、よみひとしらず。さん、Xブレーシングの鉄弦フラットトップギターでは
ラーソンブラザースギターのほうがマーチンよりも先に採用していたようです。
もっとも、Xブレーシングに似たアイデアは19世紀ギターにもないわけでは
ないようですから、「誰々が発明した」というのは一概には言えないと思いますが。
でも、いわゆるフォークギターではラーソンブラザースギターをXブレーシングの
嚆矢として良いのではないかと・・・。
ご参考まで!
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.28 )
日時: 2009/09/12 23:11
名前: うさタンぴ

すんまへんさま

勉強させていただいてます。


>アタックが強いのと、高音しか出ないのと、その音域にマッチしたサイズだからキンキンして大きな音にあなたは聞こえているんだよ。

本当にまじめに、今、手持ちのフラマンとアコギで音量対決してみました。一瞬だけ。
弦はグリスマンセレクションと、マーキスのブロンズ・ミディアムで、
使用ピックはウェーゲンの3.5ミリ白で、全力ピッキングです。

結果、
フラマンのE線7フレットより、アコギの1弦19フレットのほうが、
フラマンのG線解放より、アコギの4弦5フレットのほうが
最大出力は小さいように聴こえます。。。
フラマンのほうが圧倒的というか、勝負にならない感じです。。。

今、嫁と何度が確かめた結果、意見が一致しましたので、サンプルとしては2つのクオリアがそう判定したという感じです。
これは、フラマンの弦が2コースあるのも原因としてあるとおもいますけど、
ボディサイズごとに、得意とする音域(っていうんでしょうか?)があるんじゃないかとか(笑
あと、フラマンって、フルアコみたいにトップを押さえつける形で、音の出方がやっぱりバイオリン的というか、
こもった中でめちゃくちゃ反響して、それがFホールから漏れてくる感じで、キンキンなのかなあ。なんて。


>人間には高音成分の多い音の方が指向性が高く遠達性があることは科学的に言われている。

初耳ですけど、本能で納得できます。

その前に、遠達性って意味がよくわかんないうさタンです。。。

実際、野外で演奏したとき、15メートルぐらい離れた場所にいてよく聴こえるのはフラマンのほうです。
これって、遠達性ですか?

音量自体はかなり音量出ますけど、野外で演奏するとコントラバスは(アルコは別として)10メートルも離れると
全く聴こえなくなりますけど、これは遠達性がないってことですか?

どなたかお教えくださいです!
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.29 )
日時: 2009/09/12 23:29
名前: すんまへん

よみひとしらず。様
主題である「遠達性はボディの深さで変化する」についての俺の反論に対する意見は無しなの?
付け足しで言った後ろの二つにだけ食いつくってのも情けないね。

サウンドホールについて
俺が反論書いたからって以前の自分の「サウンドホールからドドーン」みたいな表現の投稿文を修正し、そのうえで俺に反論するのはどうかと思うけどね、やり方がキタナイよ。俺はキチンと読んでいるから覚えているよ。
しかもちゃんと俺は「サウンドホールからもそりゃ音が出ているけど、低音成分が多いんだよね」って書いているでしょ、遠達性についての議論なのでそれに影響する高音についてはサウンドホールからはあまり出ていないので「ほとんど」って書いたまでだ。
サウンドホールを板か何かで軽くふさいで高音を弾き、それを取って同じ高音を弾けばあまり変わらないのがわかるよ。低音はけっこう変わるよね、だから「サウンドホールからもそりゃ音が出ているけど、低音成分が多いんだよね」って書いたんだよ。したがってサウンドホールからの音は遠達性にはあまり関係しないし、ましてや胴の厚みはほとんど関係ないって言ったのよ。

>ではどなたの発明でしょう。特定されていれば知りたいのでよろしくお願いします。
ビンゴさんの書かれているとおりです。

>理論だけでなく、感覚と一致すればなおよくわかります。あなたのような先入観にとらわれると、自認されているように「さっぱりわからない」
以前に「筆者はこの結論は、科学的に検証すれば足りるだけで、感覚的に結論を出すのは危険と考えているだけです。」といった人の意見とは思えませんなあ。
俺は多くのギターを弾き、多くの制作家や専門家とも話し、多くの書籍を読んだ上で言っているのですけど、それを先入観とはねえ、あんたの理屈のほうがよっぽど先入観にとらわれた無茶苦茶な意見だと思うけどなあ、だから「さっぱりわからない」と言ったんだよ。「よくまあ、そんなことが言えるねえ」って意味だ。

>私は現在誰もがまねしているXブレーシングパターンは
>紛れもなくCFマーチンが確立したものなので、そう思っています。
こういうのを負け惜しみって言うんだよ。素直に間違っていたって認めたら?


まあ、細かいことはいい、主題である「遠達性はボディの深さで変化する」を先入観なく科学的に検証した結果で説明してね。
いくらなんでもクラギとマーチン0モデルの比較では前にも言ったように非科学的・超感覚的だよ。


うさタンピ様
複弦弾いたらそりゃダメでしょう!(笑)
音のエネルギーが2倍になるし、微妙な音程の差によるコーラス効果も出るし、そりゃマンドリンの勝ちですわ。
マンドリンの方も単弦で弾いて比較しないと比較にならんでしょう。
お手数ですがそれでもう一度比較してみてー。

バスが聞こえなくなるってのが、まさに「低音は遠達性が高音に比べてない」という事例です。
高音成分の多い音が低音に比べて指向性・遠達性があるのです。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.30 )
日時: 2009/09/13 12:35
名前: YAMAGUCHI
参照: http://www.jazz-musician.jp/yamaguchi/

面白い議論ですね。

>同じ仲間でウクレレの小さいボディーの大音量

確かにウクレレの方が生音が深くて飛ぶと感じるケースもあります。
私の説は
「耳につく音域(低音は特に低レベルになると感度が悪い)を大きく出すのに適したボディサイズである。」
ことかなと思ってます。
チェロよりバイオリンが飛ぶのも大体同じ原理かなと。

耳の等感度曲線というものがあり、
http://www.asahi-net.or.jp/~yl1h-nkmr/oto/tokusei.html

これは低音の遠達性がよくないということをよく説明すると思います。(物理的に距離による減衰がまったく同じだったとしても、耳の特性上低音は聞こえにくくなる)

ところが室内だと逆にウッドベースの遠達性にビックリすることがたびたびあります。前の方で聞くとギター(アンプ)の音がでかく、後ろのほうだとベースがでかく感じる。

壁のファクターを考えると指向性が狭い=遠達性あり

かどうか微妙だと思います。
残響の多い(反射率の高い)ホールだとむしろ志向性が広いほうがいい場合もあるかもしれません。(バイオリニストの友人がそんなことを言っていた記憶あり)
バイオリンは上に音がでると思うけどよく飛ぶのはやはり反射波を聴いてるわけですよね。
屋外やデッドな空間では断然指向性が狭い方がその方向にいる人にはよく聞こえると思いますが。

>「遠達性はボディの深さで変化する」

これもとても面白い仮説だと思います。
例えば0-18(深くて狭い) 000-18(浅くて広い) は何度も比較したけどそこには思いが至らなかった。
0は弾いてる本人にはけっこうガンガン鳴るなと思いましたが。

これもこの遠達性という観点からもう一度比較してみたいものです。
(他人に聴いてもらう必要があるので面倒だけど)

楽器じゃないけど昔、「遠鳴りするアンプ(スピーカー)」使っていたことがあります。指向性がとても狭く、遠くでも正面にいる人にはものすごく聞こえて、近くでも軸からはずれると明瞭度が落ちる。
偶然かもしれませんが、正面の面積は小さく、かなり深さのあるキャビネットでした。

はっきり言って使いにくかった。

ホントに直感だけど遠達性の高いという要素の一つに「コヒーレント(位相がそろってる)」というのがあるんじゃないかと思ってます。遠くで聴いてもバラケナイではっきり聞こえる。逆に近くでリバーブ感やコーラス感のある楽器は不利とか。
まったく検証してない。ほぼ先入観に近いものですが。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.31 )
日時: 2009/09/13 14:54
名前: よみひとしらず。

すんません様
再度ご批判ありがたく頂戴しました。

>ではどなたの発明でしょう。特定されていれば知りたいのでよろしくお願いします。

ビンゴさんの書かれているとおりです。

あらら、誤った史実に乗るとは間抜けなお方ですこと。
マーチンのXブレーシングは1860年以降1870年ころのスタンダードモデルの確立期にスタイル21以上のより高額のモデルに採用されています。それ以下は師匠であったシュタウファー由来のファンブレーシングを1837年ころから米国に渡って客の注文に応じた米国製ギターとして作製し始めたのが史実です。
ラーソンブラザースがスウェーデンから移住してギターの製作を始めたとおぼしき1890年ころには初代C.Fマーチンはとっくの昔(1873年に亡くなっています。)
それにラーソン兄弟は(後発)で特許取りに熱心だったから自ら発明したらXブレーシングで特許を取りに行ったはずですが、アイデアに新規性はなく、彼らが狙ったのがブレーシングの素材にローズウッドのラミネート材として使用するものであった、くらいしか調べても出てきません。

まったくギター製作家のどなたか存じ上げませんが権威筋からの耳学問も千回聞けば事実として信じられるのでしょうか。
私はプロから聞いたとかという権威付けに大体において疑問をもちます。まったく渡りに船といいましょうか、ここのサイトの博識家ビンゴ様のご高説(ラーソンBrosがXブレーシングの嚆矢である。)とのお助けを渡りに船で借りたりするものだから、船底に穴をあけられたら一発で沈没です。
これは直接文献に当たらず頭と手を使っていないことの証拠です。時にブレーシングの研究家、Aya-yuさんが詳しい解説・考証をされ、結論としてCFマーチンを最初と説かれています。私はこれが有力説と思います。

【続きあります】

メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.32 )
日時: 2009/09/13 15:08
名前: よみひとしらず。

【続き】
なお高校程度の物理の復習ですが、あまり聞いたことのないご説にやはり同意できません。
低音は周波数の小さい長い音波で高音の短波より遠くに届きそうなもの。短波はただ反射に強かった。よって音圧も低くてパワーのない高音1弦の12フレットあたりのキンキン音(短波)がより遠くに届くとはにわかには信じがたい。ここでのエンタツ論、それは人の耳によく聞こえる音域がどちらか、という議論に過ぎないんではありませんか。よってあなたの理論?はとうに破綻していませんか。

あなたのエンタツ理論からすれば、あなたのギターはみんな穴をふさいで平面から音波を飛ばしてのエンタツ師匠になれあそばされ。わたしは拍手座布団何枚でもあげます。

最後にお求めの解説です。私は、胴の深さと表板の面積比で(正確には音の指向性が狭くなるから音は相対的に遠くに届くはず、という仮説を立てたまでで、立証するにはいくつかのサイズのギターとデシベル計で計測すればよい、ということを言ったまでです。

私の経験に基づいた思考実験として、たとえに0、1サイズとMサイズを引き出しました。エンタツ性は計測できます。ただし、ヒトの官能評価とごっちゃにしているものだから、ポイントとして、まず定義をはっきりとして「自分」の理論を仮説でも展開してくれたらありがたい。仮説は実験によって立証するのみで証明されます。

なお、クラシックギターの演奏の場合、音響のよい専用ホールで行われる場合が多く、聴衆の耳によく届きますが、これを体育館でやられた場合は悲惨です。
このように演奏環境によって、音波の伝播は大きく作用されるので野外で使われることを想定したDサイズは単に思いっきり音量を稼ぐためのサイズ拡大、フォワードシフト&スキャロップトの組み合わせが取られた。戦中から戦後にかけてのこれら順次廃止は、表板の振動抑制に働き、鳴らなくなったマーチンはブレーシングの肉厚拡大(骨格強度のUP)と表板の薄板化(一方で音響をよくする=振動しやすくするためのバランス取り)
が行われた。46年以降のD−28モデルはエンタツ性よりも音の指向性が狭くなり、リア方向へのクロス位置シフトとブレーシングのテーパード化により、高音部が強調される結果となり、一般人の耳によく聞こえるだけであるというのがこのスレッドのスレ主様のご質問への回答です。最初に書いたことと内容はほとんど変わりません。



D−28GEですが低音が出すぎるといわれる向きには、高音部をやや強調するには、奏法はブリッジに近づけてピッキング・ストラミングすれば回避できます。それから、ギターを横に寝かせて弾く奏法また、指を表板に支え置くことも音響を阻害しますのでクラシックの先生からは邪道であるとばっさりです。たとえステファン・グロスマン氏であってもも修正されるでしょう。エンタツ性の観点からは空に向かって鳴らしても意味ないでしょう。この点トニー・ライスの奏法はまったく理にかなって、あらゆる奏者のなかでももっとも美しい澄んだ音を奏で、かつこだわった優秀な録音を残しています。

メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.33 )
日時: 2009/09/13 17:15
名前: GT3RS

40年代のノンスキャロップは、
エボニーロッドだということも、音にかなり影響していると思います。 
音の遠くに届く性能は、
46年以後のTバーロッドのD−28のほうが、あるように思います。
弾き比べればすぐわかるように思います。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.34 )
日時: 2009/09/14 01:34
名前: すんまへん

よみひとしらず。様
がんばって調べたんだね。
俺が以前書いた「彼は昔からあったけどあまり注目されていなかったそれを一般化しただけだ」をお忘れか?
俺はビンゴさんの「Xブレーシングに似たアイデアは19世紀ギターにもないわけではないようですから、「誰々が発明した」というのは一概には言えないと思いますが」について彼が書いたとおりですと言ったんだけど、同じ内容でしょ。
俺はあなたみたいに以前の書き込みを書き直して反論するなんて卑劣なことはしていないからね。あ、それについてはスルーですか?(笑)
まあ、ブレーシングについてはあなたが勉強できたんだからよかったね。

高音の遠達性については別にあなたを説得しようとは思っていないし、何を言っても無駄のようだからもういいけど、その他の人が間違った認識をするとまずいので最後に簡単に言っておくと、遠くに音を届けたいものはすべて高音だってことだ、ホイッスル、火災報知機、犬の遠吠えなどね。犬でも分かっていることなんだけどな。

結局、胴の深さうんぬんについては何ら具体的な説明事例はないわけね、まあ、ないわなあ。

最後に「権威筋からの…」とか批判するのだったら「Aya-yuさんが…」とか言うのやめた方がいいよ、書き直し反論なみに見苦しいわ。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.35 )
日時: 2009/09/14 01:49
名前: YAMAGUCHI
参照: http://www.jazz-musician.jp/yamaguchi/

>よみひとしらずさん、

>低音は周波数の小さい長い音波で高音の短波より遠くに届きそうなもの。

障害物のない場合ですと、こういうことはないと思います。低音は障害物を越えて届きやすいということはあります。防音室でも低音を止めるのは大変です。

>音圧も低くてパワーのない高音1弦の12フレットあたりのキンキン音(短波)がより遠くに届くとはにわかには信じがたい。

これは先入観が強すぎる見解だと思います。指向性は高音の方が強いというのは間違いなく、パワーの絶対量ではなく、距離による減衰率(更にいえば聴感上の減衰率)が遠達性の周波数による違いということの意味ではないでしょうか。


WIKIに以下の記述(多分まあまあ信頼性あると思います)

>音波を含めて波の物理的な性質として、
>波源である振動板の大きさと発生する波の波長との比で指向性が決まる。
>波長の数十倍程度の長さを持つ大きな振動板であれば低い周波数でも指向性が鋭くなるが、
>仮に少し高めの周波数である1,000ヘルツの音に指向性を持たせる場合でも、
>波長は34cmであるため、差し渡し数m以上の直径の振動板が必要となり、
>これだけの大きさを1,000ヘルツで歪み無く駆動することも含めれば非現実なものとなる。

とすると、もし表面板が主な振動板であるとするとむしろ表面板が大きいほうが指向性がつよくなるとおもうのですが?

>それから、ギターを横に寝かせて弾く奏法また、指を表板に支え置くことも音響を阻害しますので
>クラシックの先生からは邪道であるとばっさりです。

確かにこういうこというクラシックの先生も多いようですが...

クラシックのA.セゴビア
ジャズのF.グリーン

などは生音をもっとも響かせる巨匠だがかなり表面板を上に向けている。バイオリンは奏法上不可避だとしても表面板を上に向けているが十分な遠達性を得ているという点からそれほど説得力を感じません。
(屋外だとまた話は別ですが、クラシックの先生はそういう話ではないでしょうから)

また、小指を表面板につけるのは鳴りのデメリットもなくはないでしょうが、どちらかというと右手の自由な動きがしにくいというので避けられているような気がします。私自身はa指の自由性を考慮して殆ど小指をつけないけれど、スチール弦でa指を使わないなら、より安定して強力なタッチができる小指支点の方がトータル的にみて鳴らせる場合も否定できないのでないでしょうか。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.36 )
日時: 2009/09/14 01:56
名前: YAMAGUCHI
参照: http://www.jazz-musician.jp/yamaguchi/

>すんまへん さん

>遠くに音を届けたいものはすべて高音だってことだ、ホイッスル、火災報知機、犬の遠吠えなどね。犬でも分かっていることなんだけどな。

そうとばかりもいえませんね。
号砲、汽笛なんかは低音だけど遠くに聞かせる目的でつかわれます。低音は耳に対してはエネルギー感度がは低いけど、超巨大エネルギーを音に変換する装置は低音の方が作りやすいのでは?障害物にもつよいし。


メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.37 )
日時: 2009/09/14 02:11
名前: すんまへん

YAMAGUCHI様
超巨大エネルギーで高音を発したら、近くの人は気絶するからでは(笑)

では、「あまり大きくないエネルギーで音を遠くへ飛ばしたいものは」にしておきます。
それでも低音例ありますかね?
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.38 )
日時: 2009/09/14 11:06
名前: ばか者!

以下独り言

表板だけで音が完結するのならバンジョーや太鼓の原理はどうなるのだろう?
確かにトップにはサウンドホールは無い。
もっともサイド・バックが音量、遠達性以前に音質・音色に影響するのは必然だが。

音(エネルギー)は基本的に開かれた場では放射状に拡散し減退する
ちょうど水面に落とした意志のように放射状に。
指向性が高いと言うことは川で起こる鉄砲水のように、
心太のように押し出される。(糸電話のような物)

ここで、ラウンドバックにような構造(バックを反射材として考えた)はパラボラ的に指向性に影響しないか?
もちろんトップ材の二次的な響き倍音として増幅する考えも有る。
ボディー内で減退するロスもあるだろうがこの辺は楽器としての意味合いも有り
音色としての意味合いも無視する訳には行かないだろう。

このあたり、どうしても混同して考える訳だが
音の遠達性のみを取って議論する場合分ける必要が有るのではないか?

深胴で思いついたが
同じ擦弦楽器バイオリンと二胡、
二胡の表板を蛇皮でなく加工すれば、と考えるが
イメージ的にもあの表面積では薄い蛇皮がエネルギー伝達的にも優れているような気がする
では、バイオリンはどうか?
やはり、音のエネルギーロスという以前に弦のテンションに耐えれる構造が先ず必要な気がする。

逆に、一つの着眼だけで楽器を定義付けするのは難しいかも知れない。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.39 )
日時: 2009/09/14 11:23
名前: よみひとしらず。

すんません様 深夜までおつかれさまです。

>がんばって調べたんだね。

イタチの最後っ屁「犬でもわかる」は愛犬家としては犬に対して失礼だと思いますが、私はあなたの人を見下す態度と同じくらいにイタチの屁は嫌いです。とはいうものも屁をかけられたら正さざるを得ません。

私も英語の信頼できる文献を持っていて、以前から興味があって読んでいるのを、再確認したまで。私は「誰の発明」と聞いて意図的にトラップかけて横スレ回答者のビンゴ様に便乗したから、改めて文献を読んで確認しただけです。質問に対してはストレートに回答を読んでしまいました。読解力がなくてすみません。GoogleではラーソンBrosはリーマンBrosと並んで出るくらい埋没していたけれども、当時優秀な製作家であったというのはは初めて勉強になりました。

ここでは名もなき人々の自由で平等なペンの世界です。もともとあなたのスタイル(筆致)が人を見下すような偉そうなものだから、シニカルにあなたが知ったかぶりか本物かをあぶりだすのが私の意図です。あなたは(昔のHNとか素性はどうでもよい)半端でなくほんものですね。偉いですよ。世間では無名で私事でギターがよっぽど好きなだ遊び人と思って認め合うのが趣味人の器、ASOさんのようにお猪口の器では笑われますから。

なお、サウンドホールの機能については、潰すと弦から共鳴箱への入力も阻害するから、インプット→少=アウトプット→小となるから、エンタツ性も阻害すると思います。エンタツ性以前にも演奏性を阻害するし音が最悪に惨めですね。
そろそろ参加者に仮説を投げかけ議論したいという所期の目的を半分は達し、勉強にもなりました。

メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.40 )
日時: 2009/09/14 11:27
名前: よみひとしらず。

YAMAGUCHI様
5,4、3、2、1、0、00、000、OM、Dといったサイズ拡大の歴史探索は面白いです。
歴史書を紐解くと、初代のころのギターの部品のコストで最も高かったのはパテントペグで、おそらく弦も高価だったのでCFM1世は巻き弦機械まで購入して内作を始めていたようです。当時の職人の数は数人、生産台数は200台程度、米国に渡って楽器商として成功し、出自のドイツ人の生真面目さで論理的にギターを設計していったCFMと思います。

可変量である
胴の深さ×表板=共鳴箱の大きさ=音量に影響
スケール長も音量因子
ブレーシングのタイプによる音響振動の変わり方は入出力と同時に、強度とレスポンスのバランスに影響(アメリカの厳しい気候は輸入ギターをばらばらにしてしまったらしいのででXブレーシングが生み出されたのかも知れません。)
表板>ネック素材>側板>裏板、それらの材料による音量と音の味付け

これらを受け入れる巨大で裕福なアメリカのマーケットの中では指向性なんて当時は考えなかったでしょうが、結果としてノウハウがいっぱい詰まって行ったのでしょう。

>障害物のない場合ですと、こういうことはないと思います。低音は障害物を越えて届きやすいということはあります。防音室でも低音を止めるのは大変です。

??これは障害物があってもなくても遠くに(船の汽笛が10km先にも届くように)届くのではありませんか。防音室ではエネルギーの大きい低音は床板や窓の振動を誘発して防音室の隣に音を届けるのでしょうね。

>とすると、もし表面板が主な振動板であるとするとむしろ表面板が大きいほうが指向性がつよくなるとおもうのですが?
制約の多いギター構造から単純にはそうならないのでは?物理の専門家に回答してもらいましょう。

>確かにこういうこというクラシックの先生も多いようですが...
 あと、爪の切り方・形・弦への角度とかがうるさかったです。私は早くにやめてまったくものになりませんでしたが、基礎固めにはなりました。

>Coherent,音の干渉性
きっとありそうですね。私には難しくて物理まで教えてくださる人の助けが必要です。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.41 )
日時: 2009/09/14 11:32
名前: よみひとしらず。

甲介様、 
よいテーマのスレッドでお騒がせして申し訳ありませんでした。このたびは新たに考えさせられたことも多々ありますし、興味は尽きません。大ばか者の
嵐など入る余地なく久々にギターの話ができましたね。
マーチンの秘密はコカコーラの配合のようにマーチン社の中にあり、社外の製作家はまだまだたどり着いていない、秘伝だから見えない、その書けないノウハウを見つけられたらマーチン社は困ります。だから追っかけの探索が続いているのですね。)
ギターを弾く手が休みがちになりますが、ますます興味が尽きず、深みに嵌ってしまうのも

亦楽しからずや!ですね^^)

ではこの辺で中締めされるのもお役目かとよろしくお願いします。ありがとうございました
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.42 )
日時: 2009/09/14 14:27
名前: YAMAGUCHI
参照: http://www.jazz-musician.jp/yamaguchi/

>よみひとしらずさん

>??これは障害物があってもなくても遠くに(船の汽笛が10km先にも届くように)届くのではありませんか。

障害のない点音源であれば、
物理的な飛び方(=距離による減衰)は周波数によりません。(距離の2乗に反比例)
障害物をのりこえるのは低周波(=長波長)の方が回折が大きい(≒直進性が少ない)からでしょう。

もし、汽笛と同じエネルギーで2KHzあたりを出したら遠くでもかなりの騒音になると思います。(耳の感度のせいで)ただこれは装置的にむずかしいだろうというのが私の考えです。
オーディオのスピーカーでもエネルギーつかってるのは殆ど低音側です。

>防音室ではエネルギーの大きい低音は床板や窓の振動を誘発して防音室の隣に音を届けるのでしょうね。

エネルギーが大きいのは、元(音源)のエネルギーが大きいからで、遠達性とは関係ないと思います。
元のエネルギーが大きいのは耳の感度が低音の方が鈍いので大きなエネルギーを使わないと耳で聞こえないからです。

振動誘発は構造物の共振周波数が低いから低音で振られやすいということになります。

この辺でいかがでしょう?
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.43 )
日時: 2009/09/14 19:28
名前: よみひとしらず。

YAMAGUCHI様

>物理的な飛び方(=距離による減衰)は周波数によりません。(距離の2乗に反比例)

【単純化して】障害物がなければ、結局、周波数の高低(低音・高音)にかかわらず、物理的なエンタツ性は同じ、と読めますね。高音のほうがエンタツ性があるとの主張はは誤りで、その反対の理解も修正します。不毛の争いであったこと。低音・高音の可聴性の差をエンタツ性と混同せぬようにせないけません。その解説ありがとうございました。

>エネルギーが大きいのは、元(音源)のエネルギーが大きいからで、遠達性とは関係ないと・・・

この点は、不知、です。

この辺でオシマイです。

メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.44 )
日時: 2009/09/14 20:05
名前: YAMAGUCHI
参照: http://www.jazz-musician.jp/yamaguchi/

上の方で書いたことですが。

>耳の等感度曲線というものがあり、
http://www.asahi-net.or.jp/~yl1h-nkmr/oto/tokusei.html

無反射、無障害という(実際の演奏とはややかけはなれた)条件では、
物理的な遠達性は周波数によらず、心理的な(耳の特性による)遠達性は低域は弱いというのは、一応問題ないと思われます。

ながながとお付き合いありがとうございました。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.45 )
日時: 2009/09/14 20:13
名前: すんまへん

ええ〜〜!
ギターを弾くのも人間、ギターの音を聞いて楽しむのも人間。
ギターの遠達性の議論は「人間の耳で」が前提でするのは当たり前でしょ?
「人間の耳では、と限定すると、低音より高音の方が障害物のないところでは遠くまで良く聞こえる」と言わなきゃいけなかったのかい?

時間の無駄だったようですな…(大笑)

あ、YAMAGUCHIさんと少しかぶってもたぁ!
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.46 )
日時: 2009/09/14 21:36
名前: YAMAGUCHI
参照: http://www.jazz-musician.jp/yamaguchi/

>「人間の耳では、と限定すると、低音より高音の方が障害物のないところでは遠くまで良く聞こえる」と言わなきゃいけなかったのかい?

それはやはり前提として重要なポイントだと思います。ラウドネス曲線というものが知られていなければ、この結論は理論的には得られず、「測定された値は変わらない」ということになるでしょうから。

しかし無反射はかなり特殊な条件で、遠達性が言われるのは普通は室内だと思います。

指向性も含み、周波数による違いが出る可能性がありそうです。

繰り返しになるけど、
バイオリンとチェロを比較するとバイオリンの方が遠達性ありそうだけど、これは音源すでにでかいだけかもしれない。
逆に私の感じる「生のウッドベースは後ろの方が相対的に大きく聞こえる」という現象もハコの大きさによっては物理的な裏づけができるかもしれません。

とにかく、簡単には結論づけられない、なかなか手ごわい話題だと思うのです。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.47 )
日時: 2009/09/14 21:56
名前: すんまへん

それは違うよYAMAGUCHIさん
ハコを言い出すと一般的なギターの遠達性は議論できない
無指向性の音も高低の差も加味して反射させ、客席に極力均一に聞こえるように設計されているのがコンサートホールだ
そう言うところではどうとか、そうでないところではどうとか言い出したら純粋にギターの遠達性は議論できない。
しかし、そんなことよりも俺が言っているのは、ギターの遠達性なんだから人間の耳限定での議論が当たり前だろと言っているの。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.48 )
日時: 2009/09/14 23:03
名前: 甲介

皆様、こんばんは、多数のご意見をありがとうございます
思いのほか議論が熱を帯びて、どうなることかと
ヒヤヒヤしながら拝見させていただいてます。
どの解説を拝見しても、私自身判断に苦しむ深い話ばかりで
スレッドを立てさせて戴いた甲斐があります。
専門的な話になると、ついてゆけずさっぱり解りません 笑

ついて行けないなりに皆様の話を読みながら
考えてみましたので、ちょっと休憩のつもりで読んでください
えらく簡単に読めるはずです

D-28の構造による指向性の違いについて(特に高音域の解釈)は
よみひとしらず。さまの解釈による以下の説明がかなり説得力が
あるのではないかと思います。

>46年以降のD−28モデルはエンタツ性よりも音の指向性が狭くなり
>リア方向へのクロス位置シフトとブレーシングのテーパード化により
>高音部が強調される結果となり、一般人の耳によく聞こえるだけである


では何故、ノンスキャロップは指向性が高まり高音部が強調される
傾向になるのかを考えるならば、ブレーシングの交点がリアシフトすることで
ブリッジ周りの可動(振動)面積が減少し、さらに力木の削りを省いたことも
剛性を高める結果となった。
緩んだ太鼓と緊張した太鼓を比べれば一目瞭然ですが、剛性が高まれば
波長は短くなりますので、低音はより締まった印象なり、高域が強調される
と考えるのはいかがでしょうか
指向性が狭くなった理由を考える上で、私の中ではやはりaya-yuさまが
解説されている、ソモギ氏の理論が重要な要素として捨て切れません

>主にトップが垂直方向にのみ振動するよう、また、トップと平行な方向には
>あまり振動エネルギーが消費されないように(トップの横向き方向に
>ローリングするような振動をしないように)ブレイシングを配置してあげると
>(プレーヤーには音が聴きにくくなったりしますが)川の鉄砲水のように
>方向性を持った音が客席に向かって広がっていく

極めて感覚的なものですが
フォワードシフト&スキャロップの場合、ボディの中心軸に存在する
ブリッジ周りが振動しやすく、斜め方向に踏ん張っている力木も削っている
訳ですから、横方向のローリングもしやすいのではと思います。
対してノンスキャロップは、比較的中心軸の振動も横方向のローリングも
少なく、ソモギ氏の理論に近いような気がしています。
勿論、本当に意識して組まれたものとは違うのでしょうけど

以前、CHAMPさま所有のプリウォーの話をされた際、音の届きは悪くないと
おっしゃられてましたが、aya-yuさまの言われるとおり、小型のギターは
くびれの影響で、横のローリングが少ない要素を持っているのではないでしょうか
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.49 )
日時: 2009/09/14 23:36
名前: mojo

トップ板の中心部が低音、周辺部が高音に影響するって話ですね。

友人のオープンバックのバンジョーウクレレ、音が大きいんですね。胴の深さは・・・

ヴァイオリン、ピチカートの音は擦る時に比べるとかなり小さいですよね。

オープンバックな二胡、擦るとかなり音が出ますが、弾くとどうでしょうね。


メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.50 )
日時: 2009/09/15 00:59
名前: YAMAGUCHI
参照: http://www.jazz-musician.jp/yamaguchi/

>ハコを言い出すと一般的なギターの遠達性は議論できない

無反射だったら、「指向性の狭い発音&ラウドネス特性敵に低レベルに感度が強い周波数」が遠達性があるのはその通りだと思います。物理、心理的にそうだから。

ただ前に私が立てたスレッドとかでは、よく言われる遠達性は「ホールの後ろの方の席で聞こえるか」なんですよ。だからこれも遠達性として考慮すべきかなと思います。

屋外の遠達性と違うと思うけど、それはそれでまた実際的興味ある話題だと思うのです。

バイオリンやクラギの評価はやはりその「ホールでの遠達性」だろうし。

>、ギターの遠達性なんだから人間の耳限定での議論が当たり前だろと言っているの。

それは分かるけど、「感覚だけではだめ→だったら測定でしょ」という最初の方の議論の流れの中で、それは耳の感度というファクターを考慮して測定しようよという、前提条件の明示はあったほうがいいんじゃないかと思ったのです。

メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.51 )
日時: 2009/09/15 01:32
名前: すんまへん

無反射の場所で何本か弾いて一番良く聞こえる物は
ホールで弾いても普通一番でしょ?
もしそうでない場合は、ホールの特性によって変わっていると言うことでしょ?
と言うことは別のホールではまた変わるかも…
これではギターそのものの遠達性比較ではないでしょ?

しかも、人間の耳でとまで言わねばならない人には、あえて無反射でとまで言わねば、また訳の分からない解釈してくるでしょ?
だから、念のため「あえて」言ったのよ。
分からないかなあ…
俺が最初にこれを言った状況を確認して欲しい、
「ええ〜〜!」と言った後に呆れて言っているんだよ。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.52 )
日時: 2009/09/15 19:04
名前: うさタンぴ

すんまへんさま

マンドリンを単弦で弾いてみました。
もう、マンドリンじゃないみたいです。。。

音の密度というか、ギターのほうがむっちりした音で、
マンドリンは神経質な細い音で、音量はギターのほうが確実にでかいです。
目立つのも、ギターのほうかもしれません。

以上、単弦での比較のご報告でした。


さて、前提条件のお話ですが。。。

発振器について、各々の個体での性能差を語ろうというのなら別でしょうが、
楽器というのは、(録音を介したとしても)最終的には人間の耳にむけて発音させるもので、
適度に反射があったりなかったり、いろんな局面で利用するものですよね。。。

ですから、無反射だったらFMの超短波もAMの中波より遠くまで届くかもしれない(適当です)とか、
人間の耳に聞こえない超音波(低周波)が無反射ではものすごい遠達性があるかも(適当です)とか、
真空状態では波は伝わらないから、空気の密度によって遠達性が変わる(適当です)とか、
気圧の高いところでは(略)とか、湿気の多い霧の中では(略)だとか、水中では(略)だとか、
磁場の強いところでは弦の振動が抑制されて(略)だとか、潮風の吹く海辺では(略)だとか、
その手の話は理論的に成り立ったとしても、楽器について語る際にはちょっと的外れな感じがしますです。

人間が、暑かったり寒かったり雨だったり晴れだったり野外だったりホールだったりで弾くものだと思うので、
その中で無反射のときに強い個体もあれば反射するホールでこそ生きる個体があったりというのは、
あることかもしれませんが、1つの極限状態において出音を数量的に判断するってのは、どうだろう。。。?
とか思います。


YAMAGUCHIさまも言外に仰っておられると思いますが、
『遠達性』という言葉を用いる以上、厳密な意味はどうであれ、一般常識的には、
それらは『ホールで多用され、ことによってはソロを(PAなしで)弾いたりすることのあるクラギ』
に対しての評価基準として認知されてるものなんじゃないかなあ。。。と。

『遠達性』がどういうものかは知りませんですが、少なくともストラトやレスポールの『遠達性』が話題になることはないと思いますし。

実際、ジャグだとか弾き語りだとか、ホールにあまり縁のない音楽を野外メインでやっているうさタンは
『遠達性』なんて言葉はあまり耳にしないのです。(うさタンが無知なだけかもですが

ていうか、『遠達性』ってどういう意味なんですか。。。?

他の楽器に埋もれずに出音を主張できるという意味ではなさそうで、
うさタンの前に言った事はちょっとスレ違いだったのかも。。。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.53 )
日時: 2009/09/15 22:04
名前: ビンゴ

ありゃま!
久しぶりに覗いたら、なんだかずいぶんなこと書かれちゃってますね。
「鉄弦フラットトップギター」って書いたんだけど、よく見てないんだなあ・・・。
1800年代のマーチンのXブレーシングは、一部のモデル、全てガット弦のですよ。
そして、ガット弦のモデルにおいては、Xブレーシングは丈夫さが売りで、音の
上では・・・・それほどでもない。
Xブレーシングは鉄弦のギターで高い評価を受けるようになったわけです。
ラーソンブラザースギターが鉄弦を最初に採用し、Xブレーシングを用いたわけで、
鉄弦マーチンはもっと後ですよね?
「間違った史実」でもないでしょう?

メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.54 )
日時: 2009/09/16 01:25
名前: すんまへん

うさタンぴ様
あのう、俺の書いた文を良く読んでくれないかなあ
「あえて言ったのよ」って意味わかりませんか?
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.55 )
日時: 2009/09/16 01:58
名前: うさタンぴ

すんまへんさま

すんまへんさまに向けての発言は『以上、単弦での比較のご報告でした。』までになります。
それ以下は、うさタンの考えを述べただけです。

紛らわしくてごめんなさいです。。。




しかしながら、疑問に思うところがありますので、質問させてくださいー

そもそも、うさタンのNo.52の発言内容は、すんまへんさまのこれまでご発言の趣旨と
そう遠く外れてはいない内容であると自分では思っているのですが、すんまへんさまにとっては
絶対に相容れない個所というか、『すんまへんさまに対しての反論』と読み取れる個所がおありでしょうか?

自分ではどっちかというと、すんまへん様サイドの書き込みだと見られてしかるべきだと思いますが。。。

さらに、すんまへんさまの「あえて言った」と書かれましたその状況を深く理解することによって、
うさタンの発言のどの個所の認識をどのように再認識してほしかったのかが分かりませんです。。。

どう読んでもすんまへんさまがこれまで書かれてきた内容と、相反するような書き込みには思えないのです。

お手数ですが、よろしくお願いいたしますー
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.56 )
日時: 2009/09/16 02:15
名前: すんまへん

無反射などの極限状態で遠達性をうんぬんするのはどうかと思う。ってのがあなたの意見でしょ?
明らかに俺の書いた「あえて」の文に対する意見と取れると思うけど。
俺の被害妄想?
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.57 )
日時: 2009/09/16 02:30
名前: うさタンぴ

すんまへんさま

夜分遅くに回答ありがとうございます。

発言の趣旨は、

@響きのいい場所でしか弾かないギターなんかないので、
 構造的な差による出力の差を考えるとき『ホール限定』で考えるのも、
 『無反射』限定で考えるのも、現実的じゃないような気がする。

Aそんな中で、ホールに向く楽器もあれば、吸音材を敷き詰めたスタジオで、
 ずば抜けた成績を出す楽器もあるだろう。

Bうさタンは『遠達性』って言葉をよく知らない。
 だから、クラギの世界の言葉で、暗黙の了解として『ホールの隅まで届く』
 という語調で語られるような言葉じゃないかと推測してみた。

というようなことです。




それより。。。

>すんまへんさまの「あえて言った」と書かれましたその状況を深く理解することによって、
>うさタンの発言のどの個所の認識をどのように再認識してほしかったのかが分かりませんです。。。

よろしくお願いいたしますー
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.58 )
日時: 2009/09/16 02:53
名前: すんまへん

厳密に性能を考える時はその性能に関して阻害となる要因は極力排除して考えるものです。
ある事項に関して二つを比べる時もその事項以外の要因は極力同じにして比べないと正しく比較できません、だから、マンドリンは単弦でと言いましたし、
スピーカー特性の測定も無響室で行なわれます。普通スピーカーは反射する物が必ずある部屋で使われる物であってもです。
ですから、あえて「無反射では高音は遠くへ…とまで言わねばならなかったのかい?」と書いたのです。
そこまで書かなくても分かるでしょ?という意味で。
だからあなたの
@響きのいい場所で(中略)『ホール限定』で考えるのも、『無反射』限定で考えるのも、現実的じゃないような気がする。
と言う意見は、あえて皮肉に非現実的に言った俺の意見に対する反論かなと思った次第です。

ヤッパリ俺の被害妄想だったかな(笑)
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.59 )
日時: 2009/09/16 03:25
名前: うさタンぴ

了解しました!

うさタンとしては、とくに反論と言うつもりもなかったのですけど、
確かに、物理現象を盾に楽器としての存在意義を無視した理論はナンセンスだと思います。

その点、『高音のほうが遠くまでよく聞こえる』 & 『高音のほうが指向性が高い』
というのは一般的な理論と(多くの)人間の感性は、おおむね合致するということが、
このスレッドで証明されつつあるので、決して無意味な引用(?)とは思いません。
『物理法則的にも、こういうことが言われてるし』という、豆知識として。。。

それはともかく、
うさタンとしては意外なところから噛みつかれた感じでびっくりしました(笑
うさタンも、深夜にお騒がせして申し訳ありませんでした。。。

ご回答ありがとうございましたです。
それでは休ませていただきますー
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.60 )
日時: 2009/09/16 08:45
名前: YAMAGUCHI
参照: http://www.jazz-musician.jp/yamaguchi/

>すんまへんさん

1.無反射の遠達性能とホールでの遠達性能はたいてい一致する

2.単体評価するには無反射の状態の方がやりやすい。

ということはおっしゃるとおりと思います。しかし、この1.に関しての私の見聞したいくつかの例外(上の方に書いた、「屋外では遠達性が無い、ベースは室内だと遠鳴りする」/「指向性の広い楽器の方が遠鳴りする」)があり、よく言われる遠達性(主に広い室内のこと)に関しては、最終的にはハコのファクターも考慮にいれるべき現象なのかなと思います。
しかしそれはあくまで(例に挙げられたスピーカーと同様)無反射の部屋でいろいろ実験した後の話であろうとか思います。

「遠鳴り」ということに関しては、正直、謎なところが大きく、そもそも何のことを言っているのかもはっきりしない。
屋外/室内の違い以外にも「遠くでも大きく聞こえる」のと「遠くでも演奏内容がはっきり聞こえる」という同じようで微妙に違うことを指している場合もありそうです。
セールストークで「この名器は遠鳴りする」なんて言われたら、ちょっと眉につばつけたくなる。そばではそんなに鳴らないけど、遠鳴りする楽器というのを実際に見た(実感した)ことはないです。しかし上述ペースの例など、不思議な現象も体験しているので興味は大いにあります。

前提条件をはっきりしたほうがよいと申し上げたのは、そのほうが厳密な話をしやすいし、よりクールに(お二人の間でやや紳士的でないやりとりがあるように見られたので)やりとりができるのでないかと思った次第です。
杞憂でしたが、おかしな喧嘩のようなことになって、この興味深い話題に対する貴重なコメント(私から見るとお二人とも見識は素晴らしいと思いました)が「ノイズ増大→スレッド削除」になってはもったいないと考えたのです。(過去、削除スレから話題を拾ったもので)
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.61 )
日時: 2009/09/16 12:46
名前: ダン

参考にならないかもしれませんが・・。
2ウエイPAスピーカーで、15インチウーハー+2インチドライバーの場合。
野外でバイアンプ駆動にて、ある曲をかけたとします。
ウーハーのみ鳴らすと、近くでは大音量ですが、少し離れると低音しか聞こえません。(曲として成立しない。)
ただし閉ざされた空間の場合、反射干渉のせいか損失があまりないようです。
また、ドライバーのみ鳴らすと、離れていても曲として認識できる音成分が届きます。
当然低音部分は再生されていませんが。中程度はなんとかOKです。

これをコントラバスとバイオリンに置き換えると・・。

そういえば、ギターのように弾く楽器とバイオリンや二胡のように摺動して音を出す楽器は音特性の上で同一に語れないと思います。
単体の音波と継続して出される音波では、干渉という作用があるかないかで当然違いがでますので。
このあたりはバイオリンや二胡でピッチカートをやってみれば一目瞭然ですよね。

何を書きたいのかよくわからなくなってきたので、このへんで・・。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.62 )
日時: 2009/09/17 19:21
名前: ダン

またまた参考にならないかもしれませんが・・。

舞台演劇やオペラ等々のシーンで思ったこと。

稽古やリハ等で、近くで見ている時は大声に感じるレベルでセリフを言ったり歌ったりしている人が、本番では客席の最後部まで声が届いていない事がしばしばある。

その反面、ささやくような小さな声のセリフや、ウイスパーでの歌唱が、満席の客席最後部まではっきり届いている人もいる。

つまり、近くで大音量=遠鳴りはこのケースでは成立していないということです。

では指向性=遠鳴り かというと、またそうでもない。

なぜなら、セリフや歌声の良く通る役者や歌手は、横を向いたり、やや後ろ向きの時でさえ最後部まで聴こえる場合がありますから。

もちろん、反響板などは設置していないホールでのお話です。

本当に音ってやつは私程度の人間には解析不能です。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.63 )
日時: 2009/09/19 00:37
名前: aya-yu  <aya-yu@mxc.mesh.ne.jp>
参照: http://www5a.biglobe.ne.jp/~aya-yu/index1.htm

仕事が多忙になってしまい週に1回投稿できるかどうかという状況で、書きっぱなしになりがちで申し訳なく思っています。

誰がXブレイシングの開発者であるかについて、もう話も収束されているようで恐縮ですが、私は「Xブレイシングとは何か」といった捉え方により変わってしまうと思っています。例えば、確か19世紀ギターの製作者Dominique and Arnould Roudhloffは1840sにX型にブレイスを組んだギターを製作していますが、Xのクロス位置はホールとブリッジのちょうど中間辺りでマーチンより大きくブリッジに寄っていて、そこここにトーンバーも多く貼りめぐらされており、マーチンのXブレイシングとは大分様子が異なります。「X型にブレイシングが貼ってあれば全てXブレイシングだ」と言うのであれば、「Xブレイシングの開発者」はマーチンとは言えませんが、私の場合は、現在まで続くXブレイシングの基本的なスタイルを作り上げたのは、やはりマーチン社の説明通りマーチンなのだろうと考えることにしています。(但し、ギターの歴史は、捉え方により大きく見え方も変わる様な気がします。それを否定はできないです。)

それから「遠達性」についてですが、私の文章に語弊があったような気がしています。もともと音響学(音響物理学)や音響工学で使われることばと認識していますが、音がどれだけ遠くまで届くかという単純な意味の言葉だと思います。特に船の汽笛の届く距離や潜水艦のソナーの超音波の届く距離などの話に使われていましたよね。或いはスピーカーの音響特性にも使われていました。ゾイレ効果を使ったトーンゾイレ型のスピーカーは、音の干渉のため遠達性に優れていることから昔の体育館は皆、縦に幾つもスピーカーが並んだ箱がステージの両サイド上方にありました。フルートなど、他の楽器にも使われることがありますが、私のよく知る「楽器に使われる遠達性という言葉」はクラシックギターのものです。クラシックギターの場合、多くは大きさもサイドバックの材や構造も伝統的なものは同じですから、指向性を主としたトップの工夫が音を遠くまで届かせる工夫の基本となったのだと思います。けれど、音がより遠くまで聴こえるギターを「遠達性のあるギター」とよび、材にも形状にも制限がないならば、その手立ては、いろいろあるのだと思います。現在ソモジ氏の興味は、バックブレイスに移っているようですね。金管楽器は金属の配合により遠達性が変わるという話も聞いたことがあります。それぞれの楽器が、それぞれに音を遠くまで届かせる工夫をしているのでしょうし、その手立てはそれぞれに異なるのかもしれませんね。
聴衆が静かに聴いてくれることが前提のクラギに対し、「歌ったり踊ったり、時に聴衆が騒いだりするこれまでの鉄弦アコースティックギターが育ってきた音楽の中では、クラシックギターの遠達性は意味がなくエレキが生まれることになった」という趣旨の文章をソモジ氏も書いているようです。使われる音楽に合わせた大音量化や同じ音量でも遠くまで届かせることのできる遠達性向上の工夫は、楽器の進化・発展に必要なものだったのだと思っています。
それと高域の方が指向性は高く、低域は無指向性に近く回り込みやすいと言われることはありますね。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.64 )
日時: 2009/09/19 01:45
名前: すんまへん

aya-yu様

あなたの言っていることは正に俺が最初に言った
「Xブレイシングが発明されたのはもっと昔で、マーチンはそれを一般化した」
じゃないの?
あの人が最初に言った「発明」の意味は今まで全く無かった物を最初にゼロから考案するでしょ?
それはやはりマーチンとは言えないよ。
解釈だと言うけどXの位置の移動なんてそれは応用だろ?あなたが言っている「開発」ならゼロからではなくて今まであったものに手を加えて広めたって意味になるとは思うけど。
発明はやっぱりダメでしょ?
どう?
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.65 )
日時: 2009/09/19 07:49
名前: aya-yu  <aya-yu@mxc.mesh.ne.jp>
参照: http://www5a.biglobe.ne.jp/~aya-yu/index1.htm

すんまへんさん
おっしゃる通り、そうした捉え方もできますね。
ただ「誰が開発者か」というのは非常に難しい問題です。逆に「形の似たものが前にあるからマーチンが開発者ではない」という証明もされてはいません。マーチン1世がどこまで19世紀ギターを研究したのかも想像の域でしかないです。「マーチンは、アメリカに渡り、師と同じくブリッジピンを用いた小型ギターを多く作り、トーレスのクラシックギター完成とほぼ同時期、1850年に有名な力木構造であるXブレイシングを開発しています。(「他のクラシックギター製作家が既にXブレイシングを開発しており、マーチンはそれを参考にした」という説もあるようです。)」が私の見解です。それぞれを「説」として捉え、マーチン社自身の「開発した」という公表を有力な説として紹介しています。
余談ですが、「ギターはいつ頃できたか」というのも面白いテーマだったりします。「ギターらしき形をしたもの」と捉えるならBC.3000年頃のエジプトにまで遡ります。また、今のモダンクラシックギターとして捉えるなら19世紀後半のトーレスからとなります。15〜16世紀4コース複弦のルネサンスギターあたりからを考える歴史家も多いようですが、それらは当時、「ギター」でなく「ギターラ」と呼ばれており、「ギターラ」という名の楽器はそれ以前からあるようです。そしてそれならウクレレもギターに入ってしまいそうですね。文献によって時期も扱いも随分異なるようにも感じます。6コース目が加わった時を指すなら18世紀後半ですし、単音弦になったバロックギターからと捉えることもできるかなと思います。同じ18世紀後半、指板ができた時という考え方もあるでしょうね。BC.300年頃の「コプト人のギター」は、ギターの「直接の先祖」という人もいるようです。「ビゥエラはギターか?」という人もいるでしょう。「ギターとは何か」自体、遡ってしまうと非常に難しい認識になってしまいます。
歴史認識は、富士山の山の形が近くで見るのと遠くで見るのとで随分違うように、見る角度によって大きく異なることが多いのだと思います。だから面白くもあります。
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.66 )
日時: 2009/09/19 09:49
名前: すんまへん

aya-yu様

僕の質問に答えてよ
開発ならまだ分かる、けど「発明」はおかしくないか?
と言ってるの
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.67 )
日時: 2009/09/19 12:14
名前: CHAMP

久しぶりにスレッドを覗いたら、何だかえらく学問的な難しい議論になっていますね。
頭の悪い私にはその内容自体も、またそれが何故ギターを弾いて楽しむのに必要なのかも、
更に何故他人を見下したニュアンスが感じられる書き方をしてまで白黒はっきり
させなければならないのか皆目理解できません。

はっきり分かったことは、よみひとしらず。様も、うさタンぴ様も、
YAMAGUCHI様も、aya-yu 様も、皆さん大人だなってことです。
私にはとても真似できないですね・・・。

さて甲介様。
返信が遅くなり申し訳ありません。
下手な文章ながら、なんとかニュアンスが伝わったようで安堵しています。

>また、未知の領域に足を踏み入れてしまいそうな自分が怖いです

はい。甘い禁断の実がたくさん熟して、甲介様をお待ちしていることでしょう(笑)
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.68 )
日時: 2009/09/19 15:57
名前: うさタンぴ

Xブレーシングを用いる先人の影響をマーティンが受けてたりした場合、
その研究には先の展開がありそうですね。。。

でも仮に、一生懸命調べた結果、
 『紀元前8世紀、ポロイド・ポポスってフェニキア人の左官屋の
 手によって休日におふざけで作られた弦楽器が、現在事実として認められる
 弦楽器における最古のXブレーシング使用例だ』
なんて事実が判明したとしたら、その情報を見つけることはそんなに意味がなさそうだなあ。。。

うさタンはマーティン社がXブレーシングの商品価値を発見し、
それの開発とビジネス的成功と普及に貢献して、
現在事実上、世界中で開発されているXブレーシングの影響の原点になってる
って事実のが重要かと思いますよー

ちなみに。。。
ラーソンブラザースは青爺さんでちっこいギターを弾かせてもらったことがあります。
でも、そのとき隣に飾ってあったワッシュバーンのちっこい楽器のほうがなんというか、
ぽこぽこかわいい音が出てものすごく気に入って、本気で買おうか迷いました。
そのワッシュバーンはXブレーシングじゃないだろうなあ。。。
なんか超古かったのは覚えてます。

加筆・編集済
メンテ
Re: 戦前のスキャロップとは・・・ ( No.69 )
日時: 2009/09/20 10:06
名前: aya-yu  <aya-yu@mxc.mesh.ne.jp>
参照: http://www5a.biglobe.ne.jp/~aya-yu/index1.htm

すんまへんさん
ごめんなさい。私の文章の内容から推測頂けたらと思ったのですが、解りにくかったかもしれません。
「発明」という表現について、私自身は「間違いとは言えないけれど、語弊を招きやすいので自分では使わない」という立場をとっています。
新しいブレイシングを作ることに英語では一般的にdesignが使われています。マーチンの説明でも
“one of C. F. Martin’s major design innovations, the "X" bracing system for the guitar top”という言葉が使われています。直訳すれば「C. F.マーティンの大きなデザイン革新のうちの1つ」ということになるのですが、ここで「デザイン」というのは日本の外来語とは大きく概念が異なり、「設計」と訳されます。要は「革新的な設計」と言うわけです。(ちなみにカーシャスタイルのブレイシング作成時にもdesignという言葉が使われていました。)
ところで、広辞苑で「発明」を引き、該当する部分を選ぶと「機械・器具類、あるいは方法・技術などをはじめて考案すること」とあります。マーチン社の言う「革新的な設計」が「方法・技術などをはじめて考案すること」にあてはまるかどうかは、マーチン社の名づけた「Xブレイシングシステム」に対する評価によるとも思いますので、考え方次第かな、と思っています。だから私は「開発」という言葉をあてました。でも、「創意工夫し新しいものを作り出す」という趣旨は一緒かな、とも考えています。
ただ、私は発明について「全く無かった物を最初にゼロから考案する」ことと捉えてはいません。ほとんどの発明は、それ以前の多くの知識や前段階の道具をもとに考案され作成されるものと考えています。多分、そのあたりで行き違って語弊を生んだかもしれません。申し訳ありませんでした。

CHAMPさん
>久しぶりにスレッドを覗いたら、何だかえらく学問的な難しい議論になっていますね
私の投稿の書き方にも問題アリかもしれません。
私も難しいことを易しく、易しいことを深く書くべきと思っているのですが「言うは易く・・」です。
>何故ギターを弾いて楽しむのに必要なのか
これを考えながら投稿するのは大切なことですよね。

うさタンぴさん
「仮に・・」の部分、私の言いたかったことです。
でも、歴史的事実のこっけいさが解る事にも意味があるかも知れませんね。
メンテ

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