今回、三泊四日の野宿旅行に行ってきました。
目的もなく、勝手気ままにさすらう旅だったけど、その顛末をご覧ください。
では、目次をどうぞ。
 
 

 
目次
旅の始まり
 
一日目
 
二日目
 
三日目
 
旅の終わり

 
 

旅の始まり

3月14日
春休み、僕はスキーに行くこともなく、本を読んだり、インターネットをしたり、
個人売買で手に入れたスーパーファミコンをやったりして日々をただ漫然と過ごしていた。
それというのも、春休みの後半は、部活の予定が入っており、ほぼ全体の半分くらいはそれでつぶれるのがわかっていたからだ。
まとまった時間が手にはいるのなら、いろいろなところへいってもいいのだが、それが途中で中断されるとなると、
とたんにやる気が失せてくる。そんなことってありませんか?
で、部活が始まるまで残すところあと四日になったとき、同級生から電話が入った。
それは単なる近況報告だったのだが、それによると、みんなこの時を生かしてバイトしたり、スキーにいったりしてるらしい。
そーか。みんないろいろやってるんだな・・・俺も何かやろうかな・・・と考え、突然ひらめいたのが、
そーだ。野宿旅行に出かけよう!ということだった。
去年の夏、北海道に野宿旅行に出かけたこともあって、僕はすっかりその気になり、出かけよう!と言うことだけその場で決めた。
当然目的地など考えていない。旅にでる一日前の出来事だった。
 
 
 
     
一日目
当日、朝からパソコンに向かい、当面の出さなければいけないメールなどに返事を打ち、昼御飯をしっかり平らげてから
最寄りのJRの駅まで私鉄を使って行った。そして、青春18切符を買った。
ここまでは考えていた。問題はその先。
どこへ行こう?
18切符を買うのは初めてなので、とりあえず、JRの普通列車などに乗り放題になるらしいということしかわかっていない。
一度降りたら、一回分使ってしまうのかな?
これは、当時の僕にとって大問題だった。
交通費は、なるべく浮かせなければならない。何しろ貧乏旅行なんだから、路銀もそんなに持っているわけではないのだ。
それに、家を出るのも遅かったため、そんなに遠くにいけそうもない。
川崎から行ける身近なところねぇ・・・
考えた結果、まず熱海に行くことにした。熱海は近いし、多分暖かいだろう。
早速ガイドと時刻表を買い、熱海に向かって東海道線に乗り込んだ。
一時間半ぐらいで熱海に到着。ついて始めに思ったことは、
 
寒い!!こりゃ夜はちょっと厳しいかもしれない。
あと、
坂が急だ!
気温はそんなに高くないのに、汗がでる。
とりあえず、寛一お宮の像をみて、写真を撮った。海岸近くには、ホテル、旅館のたぐいが所狭しと並ぶ。さすが熱海。
次に、梅園をみるために移動。坂がすごい。ひーこらひーこら言いながら(実際は言ってないけど)
坂を上り、梅園に着く。
あちこちみながら歩いていると、土産物屋の人に声をかけられ、いろんなものを試食させられた。
どれもうまいが、買う気も荷物のスペースもない。
梅そのものはイマイチ。本数は多いのだが、構成がちょっと・・・って言う感じだ。
東京の後楽園でみた梅の方がよかったような気がする。
次に行く場所を考えていると、18切符のことが頭に浮かんだ。
18切符って、はんこを押してもらった日は、降車自由なのかな?
もしそうだとしたら、少し(すごく)遠出してもいいかな・・・
そんなことを考えつつ、近くのJRの駅まで行く。すると、なにやら人がたくさんいる。
同じように、一人旅かな?と思ったが、雰囲気からしてそうではないらしい。
声をかけようかと一瞬思ったがやめた。
ここまで来て、駅員さんに18切符のことを聞いてみる。どうやら、はんこを押された日のうちは、乗り降り自由らしい。
この際、勢いに乗って伊東まで行ってしまおう。それで、電車に揺られること45分くらい。
伊東に着いた。
伊藤の町は、なんか雰囲気が良くて、住みやすそう。
それはおいといて、今夜の野宿の場所を探す。
駅で聞いたところ素泊まりできるところはビジネスホテルくらいしかなく、6000円くらいかかるとわかったので、
迷わず野宿決定。
海岸、砂浜か、テトラポットの下あたりが見つかりにくくてベストっぽい。
夜まで時間があったので、神社にお参りした。5円賽銭を上げて、柏手打つと気の力が回復した。
しめしめ。こういう使い方もあったのか。
夕食は、あじのたたきに決定。
あらかじめ目星をつけておいた海岸近くの店に行く。あじたたき定食は1500円。
ま、いいか。うまかったし。
店の人に温泉に入れるところを教えてもらった。(銭湯)
銭湯は、170円で入れた。結構安い。
石鹸のたぐいは、全然持ってきてなかったので、湯船につかりながら、誰かが残していくのをじっと待つ。
よし。手に入ったぞ。タオルも一枚しかもってなかっので、手で体を洗った。
たっぷり暖まったあと、番台のおっちゃんとひとしきり話してから、
今夜の寝場所である浜辺に向かう。
浜辺に来て、シートをひくなどして寝る準備をしていたら、中学生ぐらいの女の子が四人くらい浜辺に入ってきた。
やばい。俺は、寝袋などの一式を持ってとりあえず逃げた。しばらくその辺を歩き回ってから、11時くらいになってから戻る。
ねぐらに落ち着くのは、10時以降にした方が良さそうだ。それじゃ、おやすみ。
 
 
 
 
 
 
二日目
夜は結構冷えたがそれなりに快適に過ごせた。暖かければ、砂浜での野宿は、結構悪くない。
始発で伊勢に向かう。とりあえず、今日はいけるところまで言って、明日引き返すことにしよう。
鳥羽の海はきれいだ。ホントにきれいだ。
しかーし!それしかなーい!
みるとこがないので、おみやげを送って伊勢に行くことに。サザエを選んで、宅急便で家に送った。
店のおばちゃんが大ハマグリをつけてくれた。「大勉強」と言っていたが・・・
サンキュー!おばちゃん!
伊勢に行く途中、電車の中で考えた。今回の旅のコンセプトって何だ?
特に目標のない旅なので、これは結構難題だ。
いろいろ考えた結果、今回の旅のコンセプトは、「レイキと18切符のある旅」と言うことだと気がついた。
前に、北海道を旅したときには、まだ、レイキや、18切符を知らなかったので、今回はそれを使いこなそうと思ったのだ。
だから、無意味に長距離を移動するし、夜はレイキで体を温める。これでいいのだ。
で、話を本題に戻す。
そういえば、鳥羽にくる前に、すごくきれいな海と真珠の養殖場を見た。
伊勢に行くとき、そこに降りようと思ったが、そこは季節モノで降りられないらしい。残念。窓からしっかり写真に撮っておこう。
そのあと、伊勢で神社などを一通り見て回ったあとで、ねぐらを探す。
今夜は、神社に寝ることになりそうだ。
しかし、夜までに時間があいているな・・・どうやってつぶそうか?
とりあえず、明日の予定を立てることに。日本海側を回って帰るってのはどうだ?よし。これでいこう。
そこいら辺を歩き回って時間をつぶす。それから、「喜多屋」という有名なウナギの店に行った。
宿泊費がゼロなので、こういうところでは贅沢ができる。よかったよかった。
さっそくうな重(1500円)を食った。
うまーい!!
歯ごたえのあるウナギにちょっとから目のたれが付き、さらにサンショウもあいまって、うまさを倍増している。
吸い物がついていて、中にはウナギの肝が。
こたえられんな。
うまいもんってこういうモノなんだなぁ、と思う。
で、食い終わって、二杯目のお茶を飲んでいると、前に座っている人が、旅行ガイドを呼んでいるのに気づく。
俺のと同じだ。
こりゃ、声かけるしかないっしょー!!
「旅の途中ですか?」と声をかける。相手は、「あ、そうですが」と答えた。
そのあと、ひとしきり話し、意気投合して二人で銭湯に行くことに。
彼は音楽をならいにニューヨークに行きたいらしい。湯船につかりながら、フロイトとユングの話などで盛り上がった。
風呂から上がって、俺はベータカロチン二本と、フルーツ牛乳一本を飲んだ。ちょっとキツイ。
そのあとふたりで住所をこうかんし、いっしょに写真をとった。
それから、ふたりでひきあげた。
彼は野宿に興味があるらしく、寝るところを見に来ると言ったのだが、以外に神社まで距離があったので、やめにして、途中で分かれた。
俺は、神社の奥ではなくて、林道の脇にシュラフをしいて寝た。
あらかじめ買っておいた新聞紙を丸めてシュラフの中に入れたため、わりと快適に過ごせた。
ただ、夜の森が静かだと思ったら大間違いで、
寝ていると、動物たちの動く音があちこちで聞こえる。
こっちは、野犬でも来やしないかと気が気でない。
まぁ、そのときはそのときで何とかしようと、シュラフの中で寝ていると、
比較的近くでがさがさ音がする。起きてみてみると、
なんとそこにはタヌキが!
目をそらさないようにして、リュックからカメラを取り出して写真を撮った。
タヌキは、しばらくそこにいて、「キューン、キューン」と鳴いていたが、
俺は、「ここに来ても何もないぞ」とタヌキに向かって言って、そのまま寝た。
今日は、わりとよく眠れた。
 
 
 
三日目
朝一番で起き、駅のトイレでコンタクトレンズなどをつけたあと、北陸へ向かう。
関西や琵琶湖の近くまでくると、さすがに都会っぽくなってくるが、それまでは、ひたすら田舎。
山越え、谷越えと言う表現がぴったりはまる景色が続く。
琵琶湖近くまでくると、通勤、通学の人が多くなる。
高校生が制服を着て電車に乗っている中、俺のいでたちはひときわ目立つ。
もう世間は、春休みは終わったのか、またはまだ始まっていないのか、
さすがにこの季節には、旅をしている人は少ない。
途中で駅弁などを食べながら、福井まで来た。
ここで北陸のガイドと地図を買い、これから行くところを考える。
福井で降り、本屋を探して観光ガイドを買った。
よし。能登半島に行ってから、魚津に言って、魚食ってから海岸で寝よう。
特に、困難もなく、これからの予定が決まる。
福井から金沢に向かう。
そこから能登半島に向かうためだ。
金沢に着いたのはいいものの、乗り換えるはずの電車が来ていない。
電車は、4番ホームに来るはずだ。で、降りたのは3番ホーム。
目の前にくるはずなのに・・・
そう考えつつ、待っているが、いっこうに電車は現れない。
おかしいなと思っていると、アナウンスが。
「4番ホームから、七尾行きが発車いたしまーす。」
おーい!ちょっと待て!!電車はどこに・・・
と思って目の前のホームを見回すと、
前のホームの左端に2両編成の電車が!!
俺は、リュックを担いで、全速力で走り、何とかドアが閉まる寸前に電車の中に飛び込んだ。
ふー。危ない危ない。危ないのが俺自身か、または、タイミングかは自分で判断してくれ。
で、さっそく能登半島、七尾に向かったのだが、七尾は、見るものが何もないまま引き返す。
帰る途中、乗り合わせたおばあさんに話しかける。ひとしきり話し合ったあと、金沢で分かれる。
電車の中などで人に話しかけると時間もつぶせるし思い出もできる。是非、試してみよう。
金沢に着いて、電車を乗り換える。すると、石川県の魚津どころか、新潟県の直江津まで一気にいける電車に乗れた。
このまま突き進むと、長野県の上田と言うところまでいける。
どーしようか。上田か、魚津か。どちらかに選択を迫られる。
うーん。よーし!かくなる上は、このまま突き進んでしまおう!!
やっぱ旅はロマン&アドベンチャーだよね。(意味不明) はっはっは。
と言うわけで、夕食も風呂も、ねぐらもあてのないまま突っ走ることに決定。
どーなることやら。
直江津まではかなり時間がかかった。
途中で会社員のおじさんと知り合い、いろいろ話した。
そのあとおじさんの忠告で今日は長野に泊まることにした。
おじさん! ナイスアドバイス!!
直江津から長野までは、ほとんど記憶がない。多分寝たり起きたりを繰り返していたんだと思う。
ともかく無事に長野に到着。寝床を探す。
長野は半端じゃなく寒い。おまけに野宿できる場所がない。
待合室も12時で追い出されたし、(前に釧路でも追い出された。これはJRの規則らしい。)
変な連中はいるし、冗談じゃなく一戦交えなければならなそうで、かなり危ない。
 かくなる上は、5時まで歩き続けるか、カプセルホテルに墜ちるか、
と言うようなことを考えつつ都会、長野を歩く。
ところが、問題は、以外と簡単に解決。
地下に降りると駐車場があり、結構暖かったため、今夜は駐車場の近くの通路でシュラフを使って寝た。
 
なんだかんだ言っても、この夜が三日間の野宿の中で、一番快適だったのかもしれない。
朝起きて、写真を取り忘れたのは誠に残念!
 
 
 
 
旅の終わり
 朝早く起きて、軽井沢行きの電車に乗る。
軽井沢から群馬の方に抜けようと言う魂胆だ。
電車の中の記憶は、ほとんどない。
朝も早かったし、寝たり起きたりを繰り返して、短い睡眠時間を補っていたんだと思う。
軽井沢に着いた。軽井沢から長野までは私鉄なので、2000円くらいかかった。
時刻表によると、ここから「横川」と言うところまでバスで行けるらしい。
「横川」からは、電車一本で東京や池袋に抜けられる。
で、軽井沢について、バスに乗り換えようとして、駅員さんに聞いてみると、
10時までバスがないとのこと。ちなみに今は7時。
停留所に行ってみてみると、ホントにない。
仕方なく、春の軽井沢で3時間近く待つ羽目に。
避暑地と言うだけあって、
春の軽井沢は、ハンパじゃなく寒い。
さらに、
ものの見事に何もない。
ホント、コンビニさえない。
おまけに、朝の7時だと、どの店もしまってるし。
待合室で時間をつぶし、
時折まわりを歩き回って写真を撮るくらいしかやることがない。
売店のおばちゃんと話とするなどして、3時間たつのをひたすら待った。
10時になり、バスに乗った。
バスの中の記憶は、やっぱりない。
寝てたんだと思う。
で、「横川」に着く。ここからは、もうJR一本で新宿方面に帰れる。
普通電車に揺られて、ひたすら家を目指す。
東京の雑踏や、林立したビルが、妙に懐かしい。
見慣れた光景が近づいてくると、今まで旅をしていたのが嘘のように思えてくる。
そして、安心感。
ああ、今夜はねぐらを探さなくてもいいんだな。
とか、
今日は、帰るところがあるんだな。
などと思ったりする。
そんなことを考えつつ、家に帰ってみると、
誰もいなーい!!人が旅から帰ってくるときくらい家でじっとしてろ!!
そーいや、この前北海道に旅にでて、帰ってきたときもこうだったな。
そーだ。こういう家族だったんだ。
などと思い、妙に家にいるなーと言う実感がわいてきたり・・
そんなこんなで、考えなしに行った野宿旅行は終わったのだった。 ちゃんちゃん♪