世界遺産 仁和寺

仁和寺は、京都府京都市右京区御室にある真言宗御室派総本山の寺院で、山号はを大内山、本尊は阿弥陀如来。
仁和2年(886 年)光孝天皇の勅願寺として、大内山の麓に光孝天皇の遺志を継いだ宇多天皇によって同4年に完成しました。

皇室とゆかりの深い寺で、出家後の宇多法皇が住したことから「御室御所」の別名がある。古都京都の文化財の一部として、世界遺産に登録されている。
室(むろ)とは僧の坊のことで、尊称して御室(おむろ)と呼ばれるようになったのですが、後にこの付近一帯の地名として定着しました。
御室は桜の名所としても知られ、「御室桜」と呼ばれる境内の遅咲きの桜は素晴らしい。
また、徒然草に登場する「仁和寺にある「法師」の話は著名である。

徒然草  【仁和寺にある法師】
 仁和寺に、ある法師、年寄るまで、石清水を拝まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、ただひとり、徒歩よりまうでけり。
極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。
 さて、かたへの人にあひて、
「年ごろ思ひつること、果し侍りぬ。聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、
何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」
とぞ言ひける。
 すこしのことにも、先達はあらまほしき事なり。

重厚な二王門を抜けると、左手に宸殿・白書院・黒書院などの御殿が並び、中門へと進むと金堂・御影堂・五重塔・観音堂があります。
境内にある仁和寺霊宝館には本尊木造阿弥陀如来及び両脇待像、絹本著色 “孔雀明王像”などの国宝をはじめ貴重な文化財等を所蔵しています。
境内は自然に恵まれ、春は御室桜が、秋は紅葉など、四季折々の風情が楽しめます。
又、背後にそびえる成就山は御室八十八ヶ所の遍路になっており、約 3k、2 時間あまりのコースになっている。

二王門 ( 重要文化財 )
京都の三大門の一つに数えられており、徳川家光の寄進により寛永の再興時に建造されたといわれる。
左右に金剛力士を安置することから、二王門と呼ばれています。「仁王」でないところがミソです。

 御室桜 ( 国名勝 )
中門の左手一帯に咲き誇り高さ 2m 足らずの里桜。
 『わたしゃお多福御室の桜 はなはひくても人が好く』という歌があるらしい。

金堂 ( 国宝 )

慶長18年(1613年)に建てられた御所の紫宸殿を移築し、寛永の再建時に屋根を葺く材料を檜皮から寺院風の瓦にするなどの改修を加え、
完成したものであるといわれている。
 通常、内部は公開されていないが、時期によっては特別拝観として公開されることがある。
 内陣には運節が寛永21年(1644年)に造ったといわれている本尊「阿弥陀三尊像」が安置されている。

 鐘楼 ( 重要文化財 )
 寛永の再興時に建てられたものとされているが、朱塗りの鮮やかさから、同時期に建てられたという他の建物に比べ新しいように見える。
多分、改修されてから時間が余り経過していないのであろう。

五重塔 ( 重要文化財 )
高さは約36mで、寛永21年(1644年)の造営とされている。
一般的に五重塔の屋根の大きさは上層のものほど小さくなっているが、この塔は各層の屋根の大きさに大差がなく、江戸時代の特徴を示している。