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1999年11月1日 お台場、落下の恐怖



先日、スパチオ研究所の創立記念行事が、お台場のビーナス・フォート内のレストラ

ンで行われた。

その帰り、すぐとなりにあるパレット・タウンの大観覧車にデザイナーの仲間達と乗

った。レインボーブリッジを走りながら、建設中の頃から見ていたヤツだ。

外から見ていると、回っているのか否か解らないくらい遅く感じるが、実際は一周が

凄く早く感じられた。酔ってたせいもあるかも知れないし、仲間達と一緒で楽しかっ

たからかも知れない。そこからの夜景は最高で、遠くには、横浜のランドマーク・タ

ワーも見える。また、羽田空港へアプローチする航空機の動きも良く分かる。昼間で

あれば、離陸と着陸とが良く見えるのではないか。


スパチオ研究所の仲間と・・・

パノラマではない。二枚の写真をくっつけているから真ん中が変。

左から、原田、豊田、高林、岡田、星、川越

本当は、阿部、元吉、坂東もいたのだが、あるおじさんにさらわれてもうた。



その後、すぐとなりのアトラクションに行った。と言っても、何をするかは、明らか

であり(実は観覧車の中で、何者かが白く塗装された良からぬタワーを発見し、

「次は、あれに乗ろう!乗る人、手挙げて・・・」

と言うことで、気づいたら自分も挙げていた)。行ってみると、多少高所恐怖症の気

のある俺をあざけ笑う様に、白い物体は怪しげに俺を見下していた。


チケットを買って(ここで、川越は残金が少なくなり、俺に金を借りた事をつけ加え

ておこう)、いよいよ乗るのだが(乗ると言うよりもただ座るだけ)、四人掛けのシ

ートと90度回り込んだ位置に二人掛けがあり、気の進まない俺は足どりも重く、結

局最後に二人掛けのそれに座った。もしかしたら死ぬかもしれん・・・、まだ酔って

いるし、ついさっき腹一杯食った後だし、何かピンチだなぁ・・と内心思っていた。

隣では、高林さんが、

「靴を脱いだ方が気持ちがいいかも・・・」

なんぞと、余裕の発言をブチかまして、足をプラプラさせていた。

Uの字型を途中で60度程屈折させたような、ラバーで覆われたアームを下ろして待

っていると、係員のお兄ちゃんがやって来て、股間のあたりの強化ナイロン製のベル

トをアームに固定した。カチャっとえらく軽い音がして、アームとナイロンのベルト

はロックされたが、アームはフラフラ浮き上がるし、何とも頼りない。これなら自分

の車の四点式シートベルトの方がましじゃ!と叫びたい気持ちを押さえていると、ど

こからかヤローの声でカウントダウンが始まった。


何か、DJのノリのような、ちょっと人を馬鹿にしたような声に聞こえる。気がつく

とアームとナイロンベルトはさっきよりも、しっかりと固定されていた。頭の中では

おそらく、シートの下部にベルトを巻き締める装置が入っており・・・流石だ。と考

えていた、その時、ヤローの、

「FIRE!!」

の声が聞こえた。と同時にものすごいGが俺をおそった。思わず大声を俺は絞り出す

が、これはお決まりのパフォーマンス。余裕である。

地表が見る見るうちに遠ざかる。一瞬、このまま宇宙までブッ飛んでいけば面白いの

になぁ。なんぞという考えが頭をかすめる。Gが弱まったか?と思った途端、俺は地

獄に引きずり込まれるような、とてつもないマイナスGに襲われた。隣から高林さん

の悲鳴が聞こえるが、今度は俺には声を出す余裕なんぞ全く無い。心臓が口から飛び

出しそうになる。眉間と、こめかみに強烈なパワーを感じる。小学校の頃に、3メー

トル級の崖から飛び降りてマイナスGに酔っていたことがあるが、今回はそんなもん

じゃない。完全に尻が浮いている。以前、那須ハイランドパークのコースターで死に

そうになったマイナスG以上だ。


気づくと今度は再び上昇。停止するための、動きに変わった。後は数回の上下運動で

徐々に運動量を逃がすのだ。とは解っているものの、更に襲うマイナスGで恐怖のど

ん底に落ちた・・・・・。

引っ張られたり、押されたり、俺の脊髄はどう感じたのだろう。


どうやって、アームやベルトを外したのかは覚えていない。ほんの数秒間だが、もの

凄い力でアームにしがみついたのだろう。上半身、特に上腕筋に筋肉痛を感じた。

足下がフラフラする自分を生き残れた喜びで支えつつ、仲間達と帰路についた。

おじさんにさらわれた、3人は完全に消息を絶っていた。


青海から新橋まで、ゆりかもめに乗ったのだが、年甲斐もなく一番後ろの特等席に、

川越と座った俺は予想もしていなかった発車時のマイナスGを敏感に感じていた。

俺の席の前に、怪しげなプッシュボタンがあり、それを押したら俺のシートがボンド

カーのそれのように、上空へブッ飛んだらどうしようなどと、川越とくだらん会話を

して笑っていた。余裕であった。


かつて、実家の屋根から落下したことがあるが、そのせいか否か、どうやら俺は落下

に弱いようである。

落下に関して、面白い実話がある。

実家の屋根から落ちる前は、落下する夢を見ても、着地する瞬間に目がさめた。これ

は俺自身が落下して、地面に落ちたという経験がない為に矛盾が起こり、目がさめる

のではないかと分析する。屋根から落ちた後は、落下する夢を見てもしっかり地面に

激突するようになったことは事実である。


パレットタウンには、急上昇タイプと、強制落下タイプの2つがあり、今回我々が体

験したのは、急上昇タイプである。もし後者に乗ったら・・・

まだまだ人生の課題はあるようだ。



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