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●DMC(DeLorean Motor Company) DMC−12
"007-Version"? Artworks by T.Harada.
このイラストは2000年10月30日発売の全国誌
GM社元副社長の座にいたジョン・ザッカリー・デローリアンが当時65万ドルという 高年収の地位を捨てて、自らの夢のスポーツカーを創るべく創設したDMC社の最初で 最後の車である。DMC社は、デローリアン自身の自己投資の他、ディーラや個人投資 家、そして英国政府までも動かすことで膨大な資金を作りだし、北アイルランド、ダン マリーに70エーカーの工場を構え、75年に設立された。 社名は上記にあるのが一般だが、デローリアンのシャシー・プレートには次の様にプリ ントされている。"MANUFACTURED BY DELOREAN MOTOR CARS LTD."
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DMC−12は、デローリアンの単なる趣味で創ったスポーツカーのようにも見えるが 彼の構想は、時代をリードし、軽く、経済的で生産性に優れ、且つ安全性をも兼ね備え た、あくまでも商業ベースを前提としたものであった。 本車の構造はバックボーン・フレームを採用し、ボディにはERM(Elastic Reservoir Moulding)と呼ばれる当時の新素材強化プラスチックを多く使用している。ERMは、 その性質上表面塗装が非常に難しく、結果ボディ表面はパーツ化されたステンレス・ス チールで覆われることになり、これがDMC−12のエクステリアに於ける特徴になっ ている(豊橋にある、デロリアン専門店のオーナー辻様から教えて頂いたのだが、実際 には、成形の問題とコストダウンの為にインナーボディの殆どはFRPで創られている とのことで、ある一部分にERMを使用しているらしい)。
エクステリアの特徴といえば、一番目立つのがガルウィング・タイプのドアであるが、 これも乗り降りのし易さとユニークさの面でジョンの始めからの構想の一つである。実 際には、ガラス、電動モータ、電動ロック機構等の収まったドアの重量はかなりのもの で、一本の貧弱なガス・ストラットで支えるには力学上の無理があり相当数のトラブル があったらしい。サイドウィンドゥの開閉部は非常に小さく(プロトタイプ時は前後方 向へのスライドタイプであった)、もしこの車で海に落ちたら、まず脱出は不可能であ ろう。よって、この車で夜の埠頭あたりで彼女とデートする時は要注意である。もっと も、最近は夜間自由に入れる埠頭は関東では激減しているが。
デザインは75年3月より、ジョルジェット・ジュジャーロ(イタル・デザイン)が手 掛け、最終的な量産用のデザインは80年代のものとなる。しかしながら、このスタイ ルは、ジュジャーロの手掛けた「アウディ・カルマン・アッソ・デピッチェ」「ワーゲ ン・シロッコ」「ロータス・エスプリ」「ヒュンダイ・ポニークーペ」「マセラッティ ・ブーメラン」「1974年マセラッティ・クーペ2×2」「BMW・M1」、そして いすずの「ピアッツァ」(特にNERO)等を見れば解るように、まさにジュジャーロ の1970年代の直線的なデザインを特徴とする作品の一つである(ピアッツァは当時 卵のCFでフォルムの丸さを強調したが、今の車と比較すると直線的であると自分では 分析している)。
Prototype Car.
因みに、最近のカーデザインの丸みを帯びた傾向は単に流行や、デザイナーのポリシー だけにとどまらず、その背景にはコスト低下が伺える。丸形の面は平面の複合面より強 度があり、結果ボディ面を薄くすることが可能となる。 DMC−12の初期の頃のプロトタイプはもっとシャープなスタイルである。 サイズは、全長4267×全幅1990×全高1140mm、ホイールベース2408 mm、トレッド幅はフロント1590、リア1588mm。
Painted by T.Harada. |
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エンジンはPRV(プジョー、ルノー、ボルボの共同開発エンジン)のV6、R30。 ただし、DMC−12ではR30の88mmボアを91mmまでボアアップし、総排気 量を2664ccから2849ccに上げている。ストロークは73mm。燃料供給装 置はボッシュ製Kジェトロニック。開発当初はスポーツカーの理想的配置であるミッド マウントを考えていたが、最終的にはリアマウントとなる。 このへんも、ドアの過重量に加え、何か中途半端な車を特徴づける様に思うが、中途半 端と言うよりかは、当時のターゲット(知的独身男性)を考えると、完全なスポーツカ ーよりかは、ゴルフバッグも詰める、フル電動の豪華なスポーツカーをデローリアン氏 は創りたかったのだろう。ちょっと前の流行言葉でいうところのハイソカー(ハイ・ソ サエティ・カー)に位置するかもしれない。 出力に関しては、当時の排ガス規制に対応させた為、初期データでは本来の2.6Lの 142Hpよりも低い135HPになっている。後期のデータでは145HPという説 もあるが、一般的に紹介されている後期データでは130HP/5,500。 最大トルクは2.6Lのエンジンが22.3mkgに対し、22.9mkg/3000 rpmにアップされている。
シャシーはロータスのT型バックボーン・フレームをV型に変更し、ロータスで生産さ れた。サスペンションはフロントが、ダブルウィッシュボーン+コイル。リアがトレー リング・アーム+コイル。ブレーキは前後共にディスクと、コーリン・チャップマンの 息がかかっている。よって、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のショッピング センターの駐車場で、フロントタイヤをロックしながら、リアだけを空転させる妙技は 出来ないはずであり、おそらく、ドクがブレーキング機構にも何か手を加えたと考えら れる(笑)(実際の撮影では後方からワイヤで引っ張っていたのではないかと推測する 勿論ドアの開閉時の音もアフレコであり、あの様なエア+電気的な音は実際はしない)。 因みに、ホイール及びタイヤは、フロントが6J×14の軽合金ホイールに195/6 0HR14、リアが8J×15(同材質)に235/60HR15である。
ガルウィングについては、乗りづらいというデータが多い。しかしこの車高クラスの車 はどの車もそんなにのり易いものではなく、ガルウィングだけが原因ではないはずであ る。イギリスのロータス・ヨーロッパやエスプリは乗降時、地面に手をつきたくなる程 である。マツダのル・マンカーに乗車したことがあるが、潜り込む感じであった(まあ これは特別だが)。少なくとも、同じガルウィングをもつ(DMC−12のそれよりか は頑丈であるが)メルセデスの300SL(市販車初のガルウィング採用車)よりかは DMC−12のほうが乗降は楽であろう。下記写真を見ると解るが、以外とドアの開閉 に必要とする幅が少ない。日本のショッピングセンターの立体駐車場等は隣の車との間 隔が非常に狭く、今後の日本車に於けるドアの開閉方式についても、ガルウィング方式 を今一度見直す価値があるのではないか。或いは全く新しい方式を。決して現在主流の ドア開閉方式が「答え」であるとは思わない。 因みに、ガルウィングの語源はカモメ(Gull)の翼。カモメが翼を広げた姿に似て いることに由来する。 理屈はどうあれ、未だに未来的な感じの漂うDMC−12のガルウィングは純粋にカッ コイイ(昔あったイギリスのTV映画「謎の円盤UFO」に出てくるシャドーカーの電 動ガルウィングには幼いながら、憧れたものである)ので、自分の中では◎である。
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