旧三井用水取入口

 所在地:神奈川県津久井郡津久井町三井
 竣 工:明治20年
 設 計:

 明治20年、道志川と相模川の合流点付近に日本で初めての近代水道施設が完成しました。相模川左岸から突堤を築いて抽水井に導き、蒸気機関のポンプで沈澄池に汲み上げ、隧道と導水路によって自然流下で野毛山貯水場に送水していました。
 計画給水人口が7万人だったところを10万人に対応できるように設計されていましたが、予想外の人口増加により取水口が青山に移され、この三井用水は僅か10年で廃止されました。
 昭和12年、水道創設五十周年を記念して「本邦近代水道創設之処」の石碑が建てられました。昭和40年には城山ダムが完成し、この記念すべき遺構のほとんどが水没しましたが、この取入口と石碑は今も湖岸に残り、昭和60年「近代水道百選」に選ばれました。

 とんでもないガケ下にありますが、足場が組んであるので降りれるようになっています。モラルの低い釣り客が残していったゴミの量からして人の出入りは多そうで、かろうじて残った遺構が汚されるような不安が拭いきれませんでした。
 煉瓦はなぜかフランス積みで、上の方はアーチに使うくさび形の煉瓦を互い違いに組んでありました。

2014年5月6日加筆:
 「とんでもないガケ下」に到達する前に、旧県道が落石(というか土砂崩れ的な状況)で通行困難になっているそうです。
 完成当時の写真は「このまちアーカイブス」にありました。


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撮影日:1993年4月25日


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