児玉配水塔

 所在地:埼玉県児玉町
 竣 工:昭和5年
 設 計:不明

 配水量は僅か約80tですが、完成当時は近郷の農村に配水するのに充分な量だったと思われます。
 児玉陸軍飛行場跡地は工業団地として開発されたため、昭和30年に新しい水道施設が建設され、この配水塔の役目は終わりました。

 私が、この「児玉配水塔」の存在を知ったのが、そもそも丸田祥三さんの写真集「棄景−廃墟への旅」(宝島社)のおかげでした。
 朽ち果てた市電などは私の趣味と異なりますが、廃線、廃墟の類は私が求めていた物にかなり近いことが判りました。ただ、私の場合、現在でも機能している古い建造物も含むので、この写真集だけでは満足していません。
 さて、「埼玉県児玉町」としか記されていない「棄景」を持ち、児玉ロケへと出かけました。当然の事ながら、児玉配水塔はすぐには発見できませんでした。通常、古い配水塔は高台にあるものなので、児玉町の中でも少ない高台を狙って移動していましたが、やはり見つかりません。
 近くの小さな墓地で草むしりをしているおばあさんに聞くことにしました。「棄景」の児玉配水塔のページを見せ、聞いてみると「ああ、あの水の塔ですよ」と反応が速かった。かなり昔から知っているようで、丁寧に道順を教えてくれました。塔のてっぺんにサイレンがある話しなどを聞いた後に、つい過去の経験から「取り壊しになる前に撮影を…」って言ったら、おばあさんの表情はくもり「あの塔は壊されるんですか?」と、とても心配気でした(もちろんその後に、取り壊しの予定がないことを説明しました)。いかに、地域の人達に慕われているか良く判りました。

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