◎縁甲板式 カメの背甲(背中の甲羅)の様子を表わすものです。 前準備に背甲の名前を説明します。 カメの背甲を真上から見ると、普通は、真ん中に5つ椎甲板(脊「椎」の甲板と 覚えましょう)、その左右に4対の肋甲板(「肋」骨の甲板と覚えましょう)、 さらにその外に左右12対の縁甲板(これは縁(ふち)の甲板でそのままですね)があります。 (ただし、第十二縁甲板は特別に臀甲板と呼ばれる事があります) それぞれ前から数字を付けて呼んで、第一椎甲板、第二椎甲板...などと 表現します。 図.背甲の名称(ヨツユビリクガメ) さていよいよ縁甲板式の説明ですが、今度は横から見た背甲を想像して下さい。 すると縦方向の肋甲板が一番目立ちます。これを式で表現できればある程度、 背甲が説明できそうです。 肋甲板自体は面なので、表わしにくいです。そこで、肋甲板と肋甲板の 垂直の継ぎ目に注目します。ただし、初めと終わりは肋甲板は椎甲板と接して いますから、これらとの継ぎ目になります。 ここで、肋甲板から目を下に移すと、そこには小さな縁甲板が並んでいます。 しかもほぼ等間隔(言い過ぎかも)。「おお、これはまるで目盛りのようだ」と いう訳です。 そこで、「肋甲板と肋甲板の継ぎ目がどの縁甲板の上にあるか?」を表わす、 これが縁甲板式です。 縁甲板式の例は 縁甲板式: 1> 5< 7< 9< 11< です。 最初の項目は第一椎甲板と第一肋甲板の継ぎ目が、前から何番目の縁甲板の ところにあるか数字で表わします。また、その縁甲板の前側か後ろ側かを、 それぞれ「<」「>」で表わします。 つまり、例は「1>」ですから、第一椎甲板と第一肋甲板の継ぎ目は 第一縁甲板の後ろ側にある事を表わします。 同じように順次、第一肋甲板と第二肋甲板の継ぎ目、 第二肋甲板と第三肋甲板の継ぎ目、第三肋甲板と第四肋甲板の継ぎ目、 第四肋甲板と第五椎甲板の継ぎ目を表わしています。 ◎腹甲式 腹甲は背甲とは様子が違います。普通、左右6対の甲板が真ん中で 接しています。この甲板は対毎に名前があり、前から、 喉甲板(gul)、肩甲板(hum)、胸甲板(pect)、 腹甲板(abd)、股甲板(fem)、肛甲板(an) です。()内は英語の省略形です。 図.腹甲の名称(ヨツユビリクガメ) 腹甲式はこれの正中線上の幅の広い順に並べた者です。 腹甲式の例は 腹甲式: abd > gul >< hum >< an > fem > pect です。 「>」は前の項目のほうが広い事を示し、「><」は個体差で 逆転もありうる事を示します。 なお、個体差/変異があり、縁甲板式も腹甲式も絶対的な 目安ではないので注意が必要です。