◎甲羅の名称

  甲羅は表面的には複数の甲板(scute)から構成されます。甲板の継ぎ目は
英語でseamといいます。
  
  まず背甲(背中の甲羅)の甲板の名前を説明します。

  最初は項甲板は首の上の甲板で、これが無いカメもいます。識別の重要なポイントに
なることもあります。
  英語ではnuchal,precentral,cervicalといわれます。
  なお、甲板の英語はscuteですから、正確には項甲板はnuchal scuteですが、
しばしば、scuteは省略されます。これはすべての甲板でいえます。
ちなみに、甲羅は甲板とその下の骨(これを甲骨板という)の境目が違います。
そして、甲骨板の英語はplateで、項甲板の位置の項甲骨板の英語はnuchal plate
ですが、これも単にnuchalという事が多いので注意して下さい。
  
  次に椎甲板(脊「椎」の甲板と覚えましょう)があり、普通5つあり、
前から第一椎甲板、第二椎甲板、...、第五椎甲板です。
(下図では第一椎甲板しか指してません。肋甲板、縁甲板も同じ)
  英語ではvertebral,centralといわれます。
  
  また椎甲板の左右に4対の肋甲板(「肋」骨の甲板と覚えましょう)があります。
英語ではpleural,costal,lateralといわれます。
  
  背甲の外側には左右12対の縁甲板(これは縁(ふち)の甲板でそのままですね)が
あります。
  英語ではmarginalといわれます。これは言い方1つですね。

  ただし、第十二縁甲板は特別に臀甲板と呼ばれる事があります。
臀甲板の英語ではprostcentral,caudal,supracaudalです。
  臀甲板には2つのものと1つにくっついたものがあり、項甲板のように
種の識別に役立つ事があります。
  臀甲板が1つの事を「第十二縁甲板は融合している」、
2つの事を「第十二縁甲板は分かれている」という事があります。

  この他、ワニガメには肋甲板と縁甲板の間に上縁甲板(supramarginal)が
あります。


  なお、英語では2つの甲板が隙間なく接合している場合をdevided、
2つの甲板が離れている場合をseparatedといいます。

  また喉甲板や肛甲板が左右で先が分かれてくびれた状態をnotched、
逆に真っ直ぐな時をtruncateと表現するようです。

  図.背甲の名称(ヨツユビリクガメ)



  次に腹甲(お腹の甲羅)の甲板の名称です。
  普通、左右6対の甲板が真ん中で接しています。

  この甲板は対毎に名前があり、前から、
喉甲板(gular)    2枚と1枚の場合があります
肩甲板(humeral)  正中線で付かない場合もあります。
胸甲板(pectoral)正中線で付かない場合もあります。
腹甲板(abdominal)
股甲板(femoral) 
肛甲板(anal)     2枚と1枚の場合があります
です。

  この他、
間喉甲板(intergular) 喉甲板の上か間にあり、肩甲板、胸甲板の間に
                     ヨコクビガメ科、ヘビクビガメ科などにみられる
がある場合があります。

  図.腹甲の名称(ヨツユビリクガメ)



  また、背甲と腹甲の間を(りょう,bridge)といい、ここに
下縁甲板(inframarginal)や
腋下甲板(axillary)  前足の付け根にある
鼠蹊甲板(ingunal)  後足の付け根にある
がある場合もあります。