虹の橋のクリスマス
(作/Terri Onorato)

クリスマスイブの真夜中が近づくと、素敵なお祝いが始まります。
耳をすませば、ほら、虹の橋に集う動物たちの歓声が聞こえるでしょう。
年に一度の大切な瞬間を待ち構えているのです。
子犬たちは高く生い茂った野原を楽々と通りぬけ、
蝶を追いかけ、笑いすぎてひっくり返るまで何度も何度も転がり回ります。
雪のように真っ白な鳩が、そよ風を撫でるように静かに羽を広げ、
猫やトラやライオンが嬉しくてたまらず喉をゴロゴロ鳴らすにつれ、
歓声がいよいよ大きく響いてきます。
虹の橋の下を勢いよく流れる小川が、こけむした土手に打ち寄せ、
水の中で暮らす大切な生き物たちも、
この一番楽しいお祭りへの期待にひれを震わせています。
虹の橋に集う動物たちの楽しい歌声の真ん中には、
一番おちびちゃんの天使たちが寄り添って、
天使の残り毛の房で飾られた荘厳なクリスマスツリーを
かしこみつつ見つめています。
凛とたたずむ天国で一番美しいそのクリスマスツリーの上には、
厳かな調べにのって、きらきら光る星たちが、
天と地の間をまるでシーソーのように優美に舞っているのです。
近くの揺り椅子には、おばあちゃん、おじいちゃん、
おかあさん、おとうさん、おばさん、おじさん、そして大切な人たち。
その腕の中で静かに眠るちっちゃな可愛い幼な子に
囁くような子守唄が流れています。

たちまち時計の針が真夜中に近づき、彼方から大歓声が聞こえてきます。
虹の橋に集う動物たちは立ち止まり、耳をすませ、
その時が近づいているのを知ると、
それぞれふわふわの雲を選んで、寝そべります。
ゴロゴロと大きな音をたてて鳴り響いていた喉は、
どうにか聞こえるくらいの小さなハミングに、
ぶくぶくと泡をたてて流れていた小川は、
催眠術をかけるかのようなさざ波に、
そして、綿毛でふかふかの翼をはばたかせていた鳥たちも、静まり返ります。
幼な子たちがクククッと喜ぶ声が穏やかに聞こえる中、
天の祝福を受けた小さき者たちが天使の膝の上にヨチヨチと上り、
時が来るのを待っています。

地上から立ちのぼる暖かなロウソクの明かりの中で、
虹の橋の番をしている神様がその腕に大空を包みこむと、
子供たちの可愛い手に、そして、動物たちの前に、聖なる贈り物が置かれます。
あふれんばかりの喜びに満ちてほどかれたリボンが、
優しい風にのって、降り注ぐ天使のきらめきの中に溶けていきます。
贈り物が入った箱の金色の蓋を開けると、
まばゆいオーラが天を満たし、地球のまさに中心に届かんばかり。
どの箱からも、なによりも素晴らしい贈り物が立ちのぼります。
それは − 永遠に変わらない、無償の、すべてを包み込む愛。
神様の祝福を受けたこの愛の贈り物は天国の大切な魂をくるみ、
その心をきらきらと輝くかがり火で暖め、
天使たちから、このうえなく素晴らしい歌声が流れ出します。
時計の鐘が真夜中を告げると、天と地の隔たりが消え・・・
クリスマスイブのこの瞬間、
神様とその子供たち、天使たち、そして虹の橋に集う動物たちからのメッセージが、
解き放たれた愛の翼にのって、地上の愛するあなたの元に届けられるのです。

さあ、心を開き、耳をすましてごらんなさい。
あの懐かしいあなたの天使の声が、
耳もとでそっとクリスマスのメッセージを囁くのが聞こえるでしょう。。。
「いつも、そして、ずっと一緒にこの気持ちを分かち合わせて。
必要な時は、すぐ側に、ここにいます。
あなたを残していったわけじゃない。いつも心の中に生き続けていますから。
虹の橋へ続く道をあかあかと照らすロウソクの灯のように、
この愛は永遠に変わることはありません。
いつか必ずまた会える、その日を辛抱強く待っています。
大好き、大好き・・・あなたを心から愛しています。」

(日本語訳/ノラのママ)






このお話の著作権は作者のTerri Onoratoさんが所有しており、
作者の書面による同意なく、転載/複写することは、
米国の著作権法により禁じられています。

虹の橋もくじ Portrait of an Angel Rainbow Row Graphics Queen's Free World poco a poco