ヨーロッパの遺跡


イギリス ストーンヘンジ
エイヴベリー
オークニー諸島
カラニッシュ
スウェーデン ゴットランド
エーランド
フランス カルナック
ロクマリアケル
ギリシャ アテネ
コリントス
サントリーニ島
クレタ島
アイルランド ニューグレンジ
ドン・エンガス
スケリッグ・マイケル

ヨーロッパには中世の街並みを残す美しい街や城がたくさんありますが、巨石を使った素朴な遺跡も見逃せません。キリスト教以前の古代宗教の遺物もたくさん残っています。失われた時を求めてヨーロッパへ行ってみませんか。

ストーンヘンジ

ストーンヘンジ

イギリスの世界的に有名な遺跡ストーンヘンジはイギリス南西部のソールズベリー平原にあります。
現在のストーンヘンジはイングリッシュ・ヘリテッジの管理下におれていて、遺跡のまわりは柵で囲われています。外からでも全体像は十分に見ることが出来るのですが、近くで見ようと思うと入場料を払って中に入ることになります。入場者にはガイドが聞ける大きめの携帯電話のような機械を無料で借してくれます。日本語で聞けるので英語が苦手な人でも安心です。
残念なことにせっかく入場料を払っても石に触ることやサークルの中心に立つことは出来ません。柵の中にもロープが張られていて歩いてまわれる範囲が限定されているからです。遺跡保護のためなのかも知れませんが、これはちょっとがっかりです。
ヒールストーン

幸いなことに一つだけ触れる石があります。しかもかなり重要な役割を持っていると思われる石です。ヒールストーンと呼ばれる石がそれです。この石は中心にあるきれいに組まれたサークルよりも古く、建造、改造が行われた3期のうちの第1期(紀元前2800年〜2100年)の時代のもので、サークルの中心から北東の方向にあります。夏至の日にはここから日が昇るということです。この石は柵の端にあるので、中に入らずに触ることが出来ます。ストーンヘンジに行ったらぜひともその感触を実感してください。遺跡はまわりの芝生に寝そっべってのんびり過ごすにもいい所です。

ソールズベリーの町にはユースホステルやB&Bがあるのでこの町を拠点にすると便利です。観光案内所へ行くとB&Bを紹介をしてくれます。この町からストーンヘンジまではバスが出ていて30分ほどでスト−ンヘンジの駐車場に着きます。帰りのバスは5時半頃にはなくなってしまうので終バスの時間を確認しておいた方がいいでしょう。WILTS&DORSET社では夏休みの期間中などに一日乗り放題のバスチケットを出していることがあるのでこれを利用すれば安くエイヴベリーのストーンサークルに行ったりオールドセイラムにも立ち寄ることも出来ます。チケットはバスターミナルのチケット売り場で買うことが出来ます。
(1995年7月)

エイヴベリー

エイヴベリー

エイヴベリーのストーンサークルは4000年以上も昔に造られた世界最大のストーンサークルです。この遺跡のいいところは中を自由に散歩できて、石にも触れるし、入場料もとられないということです。現在は遺跡の中を道路が貫通していて、数軒の家が建っています。せっかくの遺跡がこれではだいなしだと嘆く人もいるかも知れませんが、遺跡の中心近くにレストランと小さなホテルがあるのでストーンサークルの中に泊まることが出来ます。また、この遺跡はサークルのまわりを囲う掘の外にも列石が連なっていたり、人工的に造られたシルベリーヒルという小山もあります。
こうした石の配列や盛土や掘などがレイラインと言われる風水と似た不思議なエネルギーの流れで説明されることがあります。どちらも神秘主義的なものですが、もっと気楽に楽しめるものです。要はその場に立ってみればいいのです。巨大な石が意味あり気に並んでいる場所に立ってみたり、石を触ってみたりするとなんだかすごいものであることはわかる。今、自分がこのわけのわからないずごいものの前に立っているということ。この感覚が古代遺跡の魅力なんじゃないかと思います。このエイヴベリーの遺跡も公園のような感覚で散歩できるので芝生の上でごろごろしながら遺跡の謎を考えてみるのがおすすめです。
(1995年7月)

オークニー諸島

スカラブレイ
スカラブレイ

オークニー諸島はイギリスの北の外れにある島々です。ここには先史時代の遺跡が数多く残されています。スカラブレイの古代の住居跡などは保存状態もよく、きれいな海のすぐとなりにあってロケーションもいいところです。更にここで見逃せないのはブロッガーのストーンサークルとガーネスの円塔、そしてメーズハウという古墳です。
リング・オブ・ブロッガー
リング・オブ・ブロッガー

ブロッガーのストーンサークルは緩やかに傾斜した斜面に薄い延べ板状の石が円環状に配置されています。エイヴベリーほどではありませんが規模も大きなものです。遺跡の中は自由に歩き回れます。立石は60本あったオリジナルの半分以下の27本しか残っていませんが、原型を損なうことなく残っています。訪れる人も少ないため遺跡本来の姿に出会えるところです。
ガーネスの円塔
ガーネスの円塔

ガーネスの円塔はその形がいい遺跡です。最もかっこよく見えるのは上空から見たところですが、これは絵ハガキで見るしかありません。遺跡は3重の堀に囲まれています。堀の内側には住居跡があり、その中心にかつては12メートルくらいあったといわれる重厚な円塔の一部が残っています。
ルーン文字
ルーン文字

メーズハウは一見すると小さな小山のような古墳なのですが、この中には財宝を略奪したバイキングの落書きやルーン文字が残っています。
遺跡は交通の少ない島のあちこちに分布しているため、何社かがバスのツアーを行っています。曜日や午前と午後で違うコースを組んだりしているので観光案内所に置いてあるパンフレットを参考に自分の行きたい遺跡が入っているコースを選ぶといいでしょう。オークニーのカークウォールの観光案内所は資料も充実していて便利です。夏のシーズン中にはインバネスからオークニー諸島のカークウォールまでバスと船をセットにした割安の往復チケットが発行されていました。帰りの日程も自由に出来るので便利です。バスはインバネスのバスターミナルから出ています。
(1995年8月)

カラニッシュ

神秘的な石の配列のカラニッシュ

ルイス島は島のほとんどが荒れ地ばかりの荒涼とした島です。この島にあるカラニッシュの立石群は何とも奇妙でかっこいい配列をしています。遺跡の近くにはビジターセンターがあって、周辺の遺跡についても解説してある本が売っているので買っておくと便利です。この遺跡も中に入るのは自由です。中心にあるストーンサークルはストーンヘンジのようにきれいに加工されてはいないけれど、その荒削りなところが北の島の自然の厳しさを象徴しているようです。遺跡の中心からはほぼ東西南北に石の列が並んでいて、北側の列石は2列になっています。サークルの中心には巨石が立っていてその前に小さな窪地があります。ストーンヘンジでは中心に立つことは出来ませんが、ここではそれも出来ます。こういう意味ありげに配列された石の中心に立つとどんな気分になるのか体験してみましょう。
ルイス島へはイギリス本土のアラプールからフェリーが出ています。島へ渡るフェリーの上からは海に浮かぶ巨大クラゲも見れます。フェリーの時間に合わせて遺跡見て戻ってこれるバスがあるので、これを利用すればアラプールから日帰りで行けます。ただし、この場合遺跡にいれる時間は50分くらいしかありません。普通に見学する分には問題ありませんが、遺跡でのんびり静かな時を過ごしたい人は島で宿をとった方がいいかも知れません。島には他にも石のモニュメントが散在しています。ただし、交通の便はよくありません。
(1995年8月)

ゴットランド

ブロの教会のルーンストーン

ゴットランドにはバイキングの残した遺跡がたくさんあります。ルーン文字の刻まれたルーンストーンやピクチャーストーン、舟形の環状列石などが島のあちこちに分布しています。特にルーン文字の独特のデザインは神秘的で、それぞれの文字が力を持っているといわれます。この島の遺跡を見て歩くためには地図を買っておくと便利です。TURISTKARTA GOTLANDという20万分の1の地図には自然の名所や遺跡の場所がそれぞれ100ヶ所、事細かに書かれています。ストックホルムにはゴットランド専門の案内所もあります。ストックホルムから行く人はここでフェリーのチケットも手に入れることが出来るので便利です。
島をまわるにはレンタサイクルがあるのですが、遺跡を見るてまわるのが目的ならちょっと大変です。ピクチャーストーンと舟形環状列石を見ようとヴィスビーの町から島の反対側まで行くと往復で100キロ近くあります。野外にあるピクチャーストーンは風化していて表面の模様はよくわかりませんでした。ヴィスビーの町の博物館やブロの教会にあるルーンストーンやピクチャーストーンの方が模様はくっきりしています。特にブロの教会のものは小さな部屋に隠されたように置かれていて、この部屋に入った時には宝物を見つけたような気になれるでしょう。この小さな部屋の壁にもピクチャーストーンが埋め込まれています。教会の外壁にもうっすらと模様が残っている石があるので探してみてください。ブロの教会まではバスでも行けます。
(1995年8月)

エーランド

舟形環状列石

エーランド島も遺跡の宝庫です。観光案内所では島の名所旧跡が詳しく載っている地図が売っています。この島のルーンストーンは野外にあっても保存状態がよく、文字がくっきり残っているものもいくつかあります。他にも城塞跡や舟形環状列石など、見所があちこちに分布しています。
島は南北に細長く、やはりレンタサイクルがあるのですが、平らな地形が多いため強風が吹くとさえぎるものがほとんどなく、向い風になるとなかなか進めません。この島の風は要注意です。面白いものは島の南半分に多く分布しています。島のやや南よりのところにはスコークスビーの町があります。この町には安く泊まれるユースホステルもあります。自転車が借りられるところがないため、となり町までバスで行って借りてこなければならなくて不便ですが、島を自転車で半周するには便利な場所です。小さな島だと思っても半周するだけで90キロ近く走ることになるのでそれなりの覚悟が必要です。
(1995年8月)

カルナック

カルナックの列石

ブルターニュ半島は巨石文明の跡が色濃く残ってるところです。中でもカルナックの列石はその配列の不思議なことで有名です。列石は10数列の立石が3つのグループにわかれて続いています。西側の大きな石から東に行くにしたがって小さな石へと変わり、次のグループになると再び大きな石からはじまる石の列が3キロにわたって続いています。ちょと疲れるかも知れませんが列石に沿って歩いてみるとその変化がよくわかります。現在は柵で囲まれているため中に入ることは出来ませんが、周辺のメンヒルやドルメンには自然のまま放置されているものもあるので探してみて下さい。
鉄道の通っているオーレイからカルナックまではバスが出ていますが、あまり本数はありません。カルナックの観光案内所やホテルには無料の観光用の地図が置いてあるのでそれをもらって歩くと便利です。列石やメンヒル(単一の立石)、ドルメン(巨石墓)などがどこにあるか詳しく書いてあります。カルナックの町には極端な安宿はありませんがそこそこの値段で泊まれる中級ホテルが何軒かあります。夏ならばキャンプ場も利用出来ます。
(1995年9月)

ロクマリアケル

妖精の石

ここには知る人ぞ知る世界最大のメンヒル、妖精の石があります。残念ながら今は4つに分断されて倒れていますが、かつては天空を刺すように立っていたといわれます。おそらくその20メートル以上もある高さのせいで幾度となく雷に打たれて崩壊したのだろうと思います。ロクマリアケルには古墳やドルメンもいくつか残っています。
問題は交通の便が悪いことで、オーレイからのバスは1日に数本しかありません。カルナックからは一度乗り換えなければなりませんが、曜日によっては帰りのバスがないこともあります。
(1995年9月)

アテネ

アクロポリスの丘

ギリシャの首都アテネはアクロポリスの丘の上に建つパルテノン神殿が観光のメインになっています。毎日世界中から来た観光客がこの丘に登るので賑やかな場所になっています。ちょっと人が多すぎて静かな場所に行きたくなったらフィロパポスの丘に登りましょう。ここからならアクロポリスの丘を静かに眺めることができます。アクロポリスの丘の南西の方向にあるので逆光にもならず写真を撮るにもいいポイントです。
エーゲ海をクルーズする船はアテネ近郊のピレウスから出ています。チケットはアテネ市内の旅行代理店などで買うことが出来ます。ピレウスを出港する船はほぼ定刻どおりですが、他の島では出港、入港とも1、2時間の遅れは当たり前で、ひどい時には半日も遅れることがあるので余裕のあるスケジュールを組んでおかないとあわてることになります。
(2000年9月)

コリントス

アクロコリントス

コリントスには古代コリントスの遺跡とその後方にそびえるアクロコリントスという山の上に城塞の跡が残っています。
アクロコリントスは、ツアーより個人で訪れる人が多いので、あまり人のいないゆっくりとした時間を過ごす事ができます。城塞内は綺麗な花が咲いていたりしますが、人があまり通らない道はアザミのようなトゲトゲの葉っぱの植物も生い茂っているので、天気が良くても長ズボンを履いて行きましょう。花のところにはミツバチも多かったのですが、変に刺激しなければ大丈夫です。1時間くらいあれば、目立った建物は見学できますが、じっくり散策するなら2時間は欲しいところです。
コリントス遺跡

コリントス遺跡はアクロコリントスの麓に栄えた商業都市の遺跡です。主に残っているのは古代ギリシャからローマ時代のものですが、遺跡の中でもアポロン神殿は紀元前560年頃に建てられた現存するギリシャ神殿の中でも最古級のものと言われ、後方にそびえるアクロコリントスを背景にすると、とても印象的です。遺跡自体は、広すぎることもなく、1時間ほどで見学できます。
オープン時間はどちらも8:00〜15:00で、まだ日が高いのに早々とクローズされてしまうので注意してください。また1月1日、3月25日、イースターサンデー、5月1日、12月25日、26日は開いていません。コリントス遺跡についてはサマーシーズンは20:00まで延長される予定も案内されていたりして、変更される事が多いようなので訪問する際は確認してみてください。
http://odysseus.culture.gr/h/3/eh355.jsp?obj_id=2388
(2018年4月)
フォトギャラリーへ ←遺跡の風景はフォトギャラリーへ

サントリーニ島

acrotiri

サントリーニ島は、独特の地形と町並みが美しい島ですが、古代アトランティスがここにあったのではないかと言われている場所のひとつです。
この島の火山が爆発して滅んだミノア文明の遺跡は島の南の町アクロティリにあります。2011年9月の時点では公開されていませんでしたが、以前公開されていた遺跡も工事現場のような発掘現場であったため、考古学マニアの人でない限りはフィラの町中にある博物館で出土品を見るのがお勧めです。アクロティリで発見された美しい壁画も博物館で見る事ができます。
古代ティラ遺跡

もう一つ、島を見渡せるメサ・ヴノ山頂には古代ティラの遺跡が残っています。ここは、8世紀頃まで栄えたと言われる都市の遺跡です。
ほとんどが建物の基礎の部分しか残っていませんが、小さな劇場跡などもあり、かつてここに人々の住んだ町があったことが想像できます。眺めが良い所なので、島を高い所から眺めてみたい人にもお薦めです。防衛のためなのかも知れませんが、こんな山の上の不便な場所に町があったのかと思うと不思議な感じがします。
遺跡がOPENしている時間は短く、午後3時までなので早めに出かけましょう。遺跡周辺は海風が山に吹き付けるので風も強く、注意が必要です。
古代ティラの遺跡まで行く路線バスはありませんが、ふもとのカマリの町にあるツアー会社が送迎だけのバスツアーを1時間毎に行っています。値段は10ユーロで、最終出発は13時発、迎えに来るのは出発の2時間後になっています。

古代ティラ遺跡 古代ティラ遺跡 古代ティラ遺跡

(2011年9月)
フォトギャラリーへ ←島の風景はフォトギャラリーへ

クレタ島

クノッソス宮殿

クレタ島の迷宮クノッソス宮殿は怪物ミノタウロスの伝説で有名なところです。どんなすごい迷宮が残っているのか期待のふくらむところですが、現在のクノッソス宮殿は復元された宮殿の一部が残っているだけです。普通の人はまず迷子になるということはないでしょう。だからここでは何か探し物があると遺跡をもっと楽しめるようになります。
イルカの壁画

ここで探しがいのあるものはイルカの壁画のある女王の間です。オリジナルはイラクリオンの博物館にあるのですが、この宮殿にはかつてそこにあった姿が復元されていて博物館で見るよりいい感じです。
クノッソス宮殿まではイラクリオンの町からバスが頻繁に出ています。バスのチケットはバス停のところにあるチケット売り場で買うようになっています。遺跡周辺にはみやげ物屋も何軒かあって宮殿の地図も売っています。目的のものが見つかったら今度は地図を見ながらゆっくり宮殿内を見て歩くと遺跡が2倍楽しめます。
(2000年8月)

ニューグレンジ

アイルランドのボイン渓流地域は5000年以上昔の先史時代の古墳や中世の墓地、修道院跡など50以上の遺跡がある地域です。その中でもニューグレンジ古墳は、渦巻き模様の刻まれた巨石や、冬至の日に朝日が差し込む通路などがあり、この地域で一番の名所となっています。
古墳の見学はビジターセンターから見学の時間を割り振られてガイドの案内によって行われます。 自由に見学する事は出来ないのですが、石室の内部ではガイドの説明とともに冬至の日に朝日が差し込む様子を再現して見せてもらう事が出来ます。
渦巻き模様の刻まれた巨石は、古墳の入口のところや内部の通路の先で3つに分かれているそれぞれの石室に刻まれています。石室の内部は撮影が禁止されているので見学の時にしっかりチェックしておきましょう。
ニューグレンジへの交通はローカルの路線バスはありませんが、ダブリンから行くのであれば、バス・エーランのツアーに参加して行くと他の遺跡にも立ち寄る事が出来て効率よく見学する事が出来ます。
ただし、このツアーの場合は、5月から10月の間公開されている隣のナウス古墳までは行かないので、どうしてもナウス古墳を見たい人はレンタカーなどでビジターセンターを訪れる必要があります。
(2014年9月)

ドン・エンガス

ドン・エンガスは荒涼とした風景の続くアラン諸島の一つであるイニシュモア島にある不思議な半円形をした要塞の遺跡です。
重厚な石垣が半円形なのは、残りの半分が自然の断崖に面しているからなのですが、この断崖は海抜90mもあって崖の上から顔を出すだけでも白波の立つ海に引き込まれそうな凄い迫力です。人々がここに籠って居城とするには、崖との間に柵も何も無く、強風もまともに吹き込んでくるので、かなり危険な場所でもあります。実際にここが要塞として使われたかどうかは不明な点も多く、断崖の迫力にちょとビビりながら、いろいろ想像を巡らせて見るのが楽しいところです。
ドン・エンガスまでは、港のあるキルナロン村からミニバスのツアーが出ていますが、レンタサイクルを借りて行っても45分ほどで遺跡の入口に到着します。
遺跡までの道は、比較的フラットで走りやすい海岸沿いの道と、途中に他の遺跡が点在する上り下りのある内陸の道があるので、それぞれ行きと帰りに通ってみたいコースです。
ただし、自転車で島を廻る場合は、天候の影響を受けやすく、風が強い時は予想以上に体力も時間もかかるので時間にはゆとりを持って行きましょう。アイルランドは天気が変わりやすく、突然の通り雨に降られたりということもあるのでサイクリングをするならレインスーツは必需品です。
(2014年9月)

スケリッグ・マイケル

ヨーロッパの西の果ての大西洋の荒波の中、異様な雰囲気でそそり立つ尖った岩山のような島、それがスケリッグ・マイケルです。
俗世とは隔絶されたこの絶海の孤島に、修道士たちが暮らしていた古い修道院の遺跡があります。
島には小さな船着き場しかないため、遺跡を見るには小型のボートで波に揺られながら島へ向かいます。島に上陸するとしばらくは、なだらかな海岸沿いの道を歩いて行きますが、途中から標高200メートルほどの所にある遺跡まで石段をひたすら登って行くことになります。海上から見ると、おどろおどろしい雰囲気の漂う島ですが、この石段を登りながら見る景色はなかなか迫力があって、そそり立つ岩と穏やかな植物の緑がとても美しく見えます。
島での上陸時間は2時間ほどですが、船着き場から遺跡まで登るのに早ければ15分くらい、途中の景色を楽しみながら登れば30分くらいかかるので戻る時間も考えると遺跡の見学時間は1時間ちょっとになります。
遺跡にはドーム型の僧房や礼拝堂、墓地など当時の様子をそのままに伝えてくれるものが多く残っていて、観光客が集まると島を管理しているガイドの人が10分くらい解説をしてくれます。30分もあれば全て見学することができますが、眼下にスモール・スケリッグを見ながら修道士たちがどんな暮らしをしていたのか、思いを馳せるには少し短い滞在時間かも知れません。
スケリッグ・マイケルを訪れる拠点となる町はポートマギーという小さな町です。4月から9月末日までの間、島を訪れるライセンスを持っている数隻の船がこの町の港から出ています。ポートマギーの町自体には特に見どころはありませんが、素朴な風景が何とも良い所です。橋を渡った向かい側のバレンシア島にはスケリッグエクスペリアンスセンターがあって、スケリッグ・マイケルの歴史や島の生物についての映画や、展示物を見る事も出来ます。
ただ不便な事に、ポートマギーまで行くには公共のバスは通っていないので、十数キロ離れたカーシビーンの町からタクシーで訪れるか、レンタサイクルやレンタカーを借りて来なければなりません。カーシビーンの町からでもピックアップしてくれる船主もいるので、場合によってはこちらを拠点にしても良いかも知れません。
ボートの手配は、キラーニーの観光案内所やWebサイトなどで船主のリストを入手して、各自で連絡をとります。出航は天候に左右されやすいので出発当日の朝にも確認の電話が必要になります。
訪れるには何かと手間がかかる遺跡ですが、美しい石組みのドームと、絶海の孤島の組み合わせはとてもインパクトのある遺跡なので、是非とも訪れてみて欲しいところです。
(2014年9月)


次はどこへ行きますか?
ホームページ
マルタ
南米