「フランシスコ・デ・ゴヤ」は闇夜の中を快調に走行している。ふと、気が付くとガーガー音がしている。たぶん、フランス/スペイン国境で、”車輪のゲージ幅を変更している音ではないであろう”と思ったが、睡魔に勝てず、また、眠りに落ちてしまった

マドリッド・チャマルティン駅に到着した
「フランシスコ・デ・ゴヤ」
撮影:マドリット・チャマルティン駅
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7:00頃、起きると、同室のスペインのおじさんたちがいない。通路の方で声がするので、早起きして奥さんたちの部屋へ出かけているようだ。窓の外を見ると、列車は、赤茶けたスペインの大地の中を走行している。レールの幅も1658mmと広くなっているのが、はっきりとわかる。全体的にイギリスや、フランスの風景と比べると、荒涼としている。気が付くと、列車は右側を走行している。スペインの列車は、右側通行のようだ
マドリッドに近づくにつれ、支線が合流し、すれ違う列車本数が増えてきて 9:00 定刻に列車はマドリッド・チャマルティン駅に到着した。取りあえず、駅舎へ向かう。が、私の乗車した車両は一番最後部で、橋上駅舎へ向かう階段は一番前にある。列車編成が長いから大変であった
さて、これからの予定だが、素案ではマドリッド・アトチャ駅からAVEでセビーリャへ向かい、夜行列車でバルセロナに向かう予定であった。しかし、明日の夜も夜行の予定なのでマドリッドで1泊することに急遽予定を変更する
となれば、AVEの指定券入手(AVEは日本で手配するのが難しい)と宿の手配が必要だが、あいにく駅構内に両替所が見あたらない。ペセタに交換しなければ、何も始まらない。トーマスクック(日本語解説版)の駅構内案内を見ると、アトーチャ駅には両替所があるので、マドリッド・アトーチャ駅へ向かう。チャマルティン駅とアトーチャ駅の間は東京駅と上野駅のような関係で、マドリッドよりフランス国境方面やバルセロナ方面の列車はチャマルティン駅、南部のセビーリャ、やポルトガル方面は、アトーチャ駅から発車し、両駅間を頻繁に国電が結んでいる
国電ホームへ移動し早速来た電車に乗りアトーチャ駅へ向かう。車両は新型の通勤電車だが、座席はクロスシートであり、明るい雰囲気の車両である。クロスシートで通勤できるのはうらやましい
通勤時間帯を過ぎているからか、車内は空いている。チャマルティン駅を発車直後、電車は地下に入り、車掌が検札に来た。ヨーロッパは駅での改札はなく、車内改札のみで、きちんと乗車券を購入してないと、ものすごい罰金が課せられる
途中、地下の2駅に停車し約15分。トンネルを抜けるとアトーチャ駅であった。スペインの電車もドアは半自動で、ハンドルを回してあけるタイプであった
マドリッド・アトーチャ駅

マドリッド・アトーチャ駅

AVEの指定券
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アトーチャ駅の在来線は半地下構造の駅で、構内が薄暗い。トーマスクックの地図の通りにコンコースに両替所があったので日本円をペセタに交換する。1ペセタ=約1円である。次はスペインの新幹線「AVE」の指定券の購入である
アトーチャ駅の窓口は銀行とかでよく見られる整理券方式で、自分の番号が表示されるまで待つのであった。整理券発行機に向かうと、緑と赤のボタンが2つあり、何やら字が書いてあるが、意味が分からない。取りあえず、緑のボタンを押す。注意深く観察していると、赤いボタンを押した乗客はすぐ呼ばれるが、緑のボタンを押した乗客は、なかなか、呼ばれない。どうやら、当日券と前売券の違いで、当日券の乗客に優先的に販売しているようであった
15分程待って、自分の番号が窓口に表示された。英語での会話では通じない可能性があったので、あらかじめ、紙に記入していたメモとユーレイルパスを窓口に差し出す
駅員は、乗車駅、下車駅、列車名、喫煙の有無を確認しながら機械をたたき、「AVE」の指定券(往復分)を発行してくれた。ついでに、明日乗車予定の”マドリッド−セレベーレ(フランス/スペイン国境の駅)”間の「タルゴ374」列車の指定券とフランス/スイス間の国際列車である”セレベーレ−ジュネーブ”間の「376列車」の指定券の発行を依頼する
「タルゴ」の指定券は発行してもらえたが、「376列車」は、「ここは国内線のみなので、AVE専用ホームの方にある国際線窓口で購入するように」と言われた
教えられた国際線の窓口へ行き「376列車」の指定券を申し込む。「寝台と座席どちらにするか?」と聞くので、値段はどうなのか尋ねると、寝台は2110ペセタ(約2100円)、指定は600ペセタ(約600円)だと言う。この程度の、差なら寝台の方が良いので寝台の方を申し込む
「AVE」の指定券(ツーリストクラス片道)が1335ペセタ(約1300円)、「タルゴ」の指定券(1等)が600ペセタなので、寝台券の安さが際立っている。しかも、よく見ると、寝台券の表示は1等である。大変得をした気分であった
今日・明日の行程が決まったので、あとは今夜の宿である。構内のホテルインフォメーションセンターを尋ねバス付きで、アトーチャ駅から近い場所&10,000ペセタ以内のホテルでお願いする。宿はすぐに見つかり、ホテル料金7750ペセタ+税金7%で交渉成立。予約金1500ペセタと手数料250ペセタを支払う。今日と明日の行程と宿が決定した
AVE&セビーリャ
「AVE」の発車時刻は11時ちょうど。時間があるので構内の探索を行う。「AVE」の開業に合わせて駅舎を新築したようで、構内は広くゆったりとしている。コンコースはまるで植物園のようであり、駅構内に植物林が育成している。日本で例えるなら、上野駅の中央広場全体が植物園になっている感じになる
在来線のゲージ幅は1668mm、AVEのゲージ幅は1435mmなので、「AVE」は専用ホームから発着する。当然、発着する車両も「AVE」オンリーだと思っていたが、タルゴ車がAVEに混じって停車していた。タルゴ車の軌間変換装置を活用して広軌の在来線との標準軌の高速新線間を行き来するようである。こういう運行はスペインならではである。日本だと、在来線のレールの幅を変えてしまうからねぇ・・・(^_^;;
停車してる「AVE」を観察する。フランスの「TGV」から技術供与を受けているので、顔つきも「TGV」に似ていた
11:00発の「AVE」(切符の表記はAVE22号)、ツーリストクラスに乗車。車内は満席である。座席の配置は、0系や200系で採用されている集団離反型の固定座席なのだが、車端の3列ほどは逆向きに配置されて、3列目と4列目はボックス席になっている。日本の間隔から言うと、変な座席配置であるが天井を見てこのような座席配置になっている訳が理解できた
ドア上付近にモニターを設置すると車端付近の座席はモニターを見難いので、座席を逆に配置。真ん中通路上に設置されたモニターを見えるようにしているのであった。このモニターでは、車内の案内の他に映画の上映などもある。まるで、飛行機のようなサービスである

AVE(マドリッド・アトーチャ駅)

セビーリャ・サンタ・フスタ駅外観
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11:00 定刻に、マドリッド・アトーチャ駅を発車。日本の新幹線のように眼下に在来線を見下ろして静かな滑り出しである。マドリッド市街を静かに走り抜けて、約5分で、広陵地帯に出る。列車はグイグイスピードを上げ、赤茶色したスペインの大地を颯爽と走る。発車すると同時に、各車両に乗務しているスチュワーデスが、雑誌(RENFEの広報誌だが、上質の紙を使用しており、飛行機の広報誌よりお金を掛けているかもしれない)、車内広告(AVEグッツの案内のようだ)、イヤホーンを配りに来る
しばらくして、TVモニターの放映が始まった。内容はRENFE(スペイン国鉄)のCMがあって、そのあとビデオ放映になる。が、見てもわからないので、車窓を眺めることにする。スチュワーデスが車内販売にやってきた。が、何を言っているのかよくわからない!し、ワゴンの中身は見えない。結局何も購入出来なかった
コルドバを過ぎると、単線の在来線が寄り添ったり離れたりしながら平行する。在来線が単線なのに、新幹線が複線というのも日本の考え方からすると、風変わりである。定刻より5分ぐらい早い13:25、「AVE」はセビーリャ・サンタ・フスタ駅に到着。早着するとは、ダイヤによほど余裕があるのだろう・・・
セビーリャ・サンタ・フスタ駅は1992年の万博の時に建てられた新しい駅舎で、広々として気持ちがよく、ホームと駅舎は動く歩道やエスカレータで結ばれている。コンコースには日産のRV車が飾られ、簡易的な営業所が設けられていたのは、以外であった
広々とした駅前に出て、全景を眺めると、関空の旅客ターミナルに屋根の形が似ているように感じがする。誰が設計したのだろう?
帰りは16:00の「AVE33号」を抑えているので、荷物をコインロッカーに預け、市内観光に出かけるとする。コインロッカーは駅舎の1階にある。ここには、警備員が入り口にいて、預ける荷物をすべてX線で調べたあとでないと、荷物を預けることが出来ない。テロ対策であろうが、外国に来ていると実感できたが、商売になっているのかなあ?
なお、コインロッカ−は暗証番号式(ガーラ湯沢のスキーロッカーと同型)で、値段は300ペセタであった
セビーリャの見所は駅から離れたところにあるらしいが、徒歩で出かけることにする。市内の建物は、イスラム文化の影響を多分に受けており、スペインにいるという感じがしない。夏の日差しも強く、南国ムードたっぷりである。アルカーサル、大寺院、ムリーニョ広場を駆け足で巡り、駅に戻る
「AVE」の発車まで少し時間があるので、構内にあるコンビニ兼お土産やを覗き、食料、飲料水を買い込む。発車案内板に「AVE」の案内がでたので、列車に乗り込む。出迎えたスチュワーデスを見ると往きの乗車で一乗務していた人であった。帰りのAVEは、往きの混雑が嘘のように空いていた
せっかくなので、ビッフェに出かけてみる。レイアウト、雰囲気とも、JR九州の787系「つばめ」のビッフェとよく似ている。メニューがあるがさっぱりわからないので、無難なコーヒを頼んでみる。値段は170ペセタだった
コーナのウィンドウにAVEグッツが展示している。定番のTシャツや帽子、マグカップ等、基本的にはつばめグッツと同じ傾向であり、特に目を引くもの、奇抜なものはなかった
ふと外を見ると、在来線に機関車にひかれた列車が走っている。AVEはあっという間に追い越し、快走する。コルドバ、プエルトラノ、シルダレアルに停車し、往路の風景の巻き戻しで、またも定刻より5分ほど早めにマドリッドに到着した
マドリッド
ホテルに荷物をおき、市内探索へ出かける。19時近いが空はまだ充分明るい。日本の感覚で云うと15時くらいという感覚である。まず、地下鉄の「Atocha」から1号線に乗車し、「Sol」で3号線に乗り換え、「Pl. de Espana」に向かう。地上に出ると、交差点で工事が行われているらしく、車で混雑していた。スペインの車の運転は結構乱暴で怖い
スペイン広場、応急、マヨール広場を巡った。途中、セブンイレブンを見つけたので中に入ってみる。並んでいる品物はスペイン語で書かれているが品目としては日本と同じである。しばらく歩いて、ガイドブックに載っていたスペイン料理のレストランで食事を摂る。メニューの内容はサッパリわからないので、シェフおすすめのメニューを選択し久しぶりの豪華な食事にありつく
ワインもたらふく飲み、心地よい気持ちで外へ出たら、ようやく空が暮れ始めた
適当に歩いて「TIRSO de MOLINA」から1号線に乗車し、少し廻りながらホテルに帰ることにする。「SOL」で2号線に乗り換えたつもりだったのだが、酔いの影響か3号線に乗車してしまった
しかたがないので、「EMBAJADORES」で徒歩連絡になる「ACACIAS」で5号線に乗り換え、「OPERA」でやっと、2号線に乗車して「BANCO de ESPANA」で下車する。迷子になっている間に日もとっぷりと暮れていて、シベレス広場がライトアップされていた
これだけ、暗いと観光の意味もないので、「プラド通り」を歩きホテルに戻った