サンフランシスコ乗り歩き
1997年8月31日
Powell ST. → Pittsburg/Bay Point → MacArthur
BART路線マップ
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1週間ほど前から、出張でアメリカに来ていて各地を飛び回っていたが、今日は予定が無く1日フリーである。この休日をどのように過ごそうか迷っていたが、サンフランシスコの地下鉄「BART」と世界的に有名な「ケーブルカー」に乗車することにした。昨夜、サンフランシスコ空港で貰ったBARTの路線案内から、所用時間を計算をすると約5時間で全線乗車が可能である。
早速、ダウンタウンの中心街に位置するホテルを抜け出し、近くの Powell Street 駅に向かう。昨夜、ホテルにチェックインしてTVをつけたら”英国のバラ”ダイアナ妃が、パリで交通事故で亡くなったことを特集していたので、町で見かける新聞はその特集記事で埋め尽くされていた。御冥福をお祈り申し上げます。
さて、いろいろな駅に乗り降りしてみたいので、一日乗車券のようなフリーきっぷがないか構内の掲示をながめるが見あたらなかった。まずは、 Pittsburg/Bay Point へ行こうとドリンクの自動販売機のような大型の券売機の前に立ち、操作説明を読むと、「お釣りは出ません」と書いている。
あいにく Pittsburg/Bay Point までの乗車券を買うだけの細かいお金は手元に無い。自動改札脇に駅職員の控え室もあるが、姿は見えない。どうしたモノかと思ったが、しばらく他の乗客の様子を観察、説明をじっくり読み、ようやくBARTの運賃計算のシステムが理解できた。
自動券売機は、乗客が投入した金額分だけのプリペイドチケットを発券。そのチケットを自動改札に投入すると、実際に乗車した分の運賃がチケットから引かれ、残高が少なくなってきたら、券売機で新たにお金をチャージしてチケットが購入できるというシステムになっていたのである。
名古屋市交通局で金額補充型SFシステムを運用していますが、当時は日本にはこのようなシステムはなかったので大変戸惑いました。
釣り銭ドロ対策かもしれませんが、コインを持ち合わせていないと不便ですね。
システムが理解できれば何も問題はなく、$20分のチケットを購入して、自動改札機に通りホームに降りる。ホームは明るくもなく、暗くもなくと言った感じで落ち着いていた。線路をのぞき込むと、第3軌条による集電システムであったが、ゲージの幅が異常に広い・・・。このようなゲージ幅は日本では見たことないし、スペインの広軌よりも広く感じる。
日本に戻った後、本で調べるとゲージ幅は1,676mm。インド国鉄と並び世界最大であるとのことであった。どおりで広く感じたわけである。
書籍によると、超広軌の軌間が採用された理由は、BARTは地上走行区間が多い上、サンフランシスコ湾に面して走行しているため、ハリケーン等が襲ったときに車両が転覆しないように重心を下げるため、軌間を広くしたそうである
ゲージの幅ひとつを見ても、いろいろと勉強になりますね(^_^)
サンフランシスコの地下鉄”BART”
BARTのプリペイドカード
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しばらく待つと、 Colma 方面行きの電車が入線してきた。プリペイドカードだし、どちら方面の電車に乗っても良いのだがまずは見送る。続いて9:18頃 Pittsuburg 行きが入線してきたので乗り混む。軌間が広いだけあって車内はゆったりとしている。座席はボックス席となっていて片側2人掛けである。地下鉄というよりもちょっとした郊外鉄道である。
車内を見渡すと、「禁煙」のマークの他に「飲食禁止」のマークも貼っているのが面白い。さすがアメリカである。警告しておかないと車内が汚くなるからね。
Embarcadero駅をすぎると海底区間になるが、車窓はただ暗闇の中を走るだけで何も変わらないが、上り下りしている様子はうかがえる。上り勾配にさしかかり、トンネルを出ると、West Oakland 駅であった。この駅の進行方向右手には大きな貨物駅が見え、遠方にはアムトラックも見える。遠方から見てもアムトラックはでかいので、実際に近づくとすごくでかいのだろう・・・・。
なお、この駅は Richmond 方面と Fremont 方面の分岐駅なのだが、駅は2面2線の対面ホームの小さな駅であった。分岐点はどこだろうと観察するとしばらく走ったトンネルに入ったところに分岐点があった。
次のOakland City CenterではFremont方面からの路線が合流するのだが、よくわからなかった。このあたりは三角線になっており複雑である。
一応、この駅がオークランドの中心になるようである。Oakland City Center−MacArthur間は2路線が重なって運行される区間であるので、複々線かな?と思っていたので、注意してみていたが、どのような配線になっているのかはよくわからなかった。MacArthur 駅は2面4線だったので、たぶん複々線だと思うのだが。
Richmond方面の線路と別れ、Pittsuburg行き電車は山の中を走行する。BARTはかなりの高速で走行しているが、併走するフリーウェイの車はすいすいと追い抜いていく。急に千葉ニュータウンのような新興住宅が出てきたなあと思ったら終点のPittsburgであった。
改札を出るとBARTの時刻表や沿線案内のパンフがあるので早速貰う。時刻表を調べると、休日は"Colma-Pittsburg/Bay Point","Fremont-Richmond","Dublin/Pleasnton-Daily City"の3路線が日中20分毎で運行されるダイヤであった。
運転間隔が思った以上に空いている。平日だと15分毎で運行され、他にも[Fremont-Daily City],[Richmond-Daily City]間の運転もあるのに、平日と休日の運転本数の差が随分と激しい。
MacArthur→Richmond→Fremont
折り返し、10:40発の Colma行きに乗車し MacArthur で下車。1分接続で隣のホームから出る Richmond行きに駆け込む。この路線は郊外住宅地の中を走行するのだが、途中ではサンフランシスコ湾を望むことができた風光明媚な路線であった。
11:36 Richmond に到着。いったん改札を出て背伸びをし、わずか2分の滞在で Fremont行きに駆け込む。これを逃すと20分電車がないため急いでいるのだが、随分と慌ただしい乗り潰しである。
Oakland City Center/12th St 駅を過ぎると分岐しサンフランシスコ市街からの路線と合流するポイントがあるはずなのだが、こちらもトンネルの中をゴトゴト走っている間に合流したようで様子がわからなかった。トンネルを出るとそこは Lake Merritt であった。以後、高架線を延々と走り、12:39 Fremont に到着した。
Fremont→Bay City→Dublin/Pleasanton
折り返しの12:56の電車で Bay Fair に引き返す。Bay Fair駅は1面2線で分岐駅の雰囲気はないが、構内のはずれに分岐点があった。なお、Bay Point−Dublin/Pleasantonは今年の5月に完成したばかりの新しい路線のようで、開業を知らせるポスターが貼っていた。途中、山を切り開いたところを走り、さらに何もない砂漠地帯を通りBay Fairから15分程でDublin/Pleasantonに到着。
自動改札を出て再入場しようとしたら、有人通路を通るように言われる。有人通路を通るということは、チケットに入場記録を記録しないことを意味するので、理解に苦しむがそれ以上議論をする会話力もないので指示に従う。
Dublin/Pleasanton→Daily city→Colma
13:43のDaily City行きに乗車。Daily City は Colma の1つ手前の駅であるが、多くの路線の電車がこの駅を始発駅としている。
約1時間の乗車でDaily Cityに到着。Daily Cityは2面3線の中間駅のような配線で、ここに車両基地もある。この駅を発着の電車が多いのもうなずける。さて、サンフランシスコのBARTの完乗も目前だ。
9分ほどの待ち時間で Colma行きが到着。乗ってしまえばわずか一駅、あっけなくColmaに到着し、BARTの全路線乗車を達成である。
ケーブルカーの1日乗車券
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BARTの感想としては、車両が大きく、座席の座り心地もよく、なかなか快適であった。郊外へ行くと駅間距離も長いのでスピードも100km/h近く出し、地下鉄と言うよりは郊外鉄道といった感じが強い。
ところで、ここで難題が残っている。
そう! Dublin/Pleasanton 駅での入場記録がないプリペイドカードである。試しに切符を投入するとドアも閉まらず、警報音も鳴らずに取り出し口に出て何事も無かったように通過できた。乗車券の金額の残額を見ると全く引かれていない。結果的にタダ乗りしたことになってしまった。この自動改札機はいったいどんな仕組みになっているのだろうか? 今なお疑問である
Colma 駅はサンフランシスコ国際空港への連絡バスが出ている乗り継ぎ駅になっており大きな荷物を抱えた日本人観光客の姿も見かけられた。現在、BARTはサンフランシスコ国際空港への延伸工事を行っており、将来的には空港と市街地を結ぶ鉄道として機能する予定である。完成すると空港からダウンタウンへのアクセスが便利になりますね。
さて、私はまた、改札を通り Embaracadero まで乗車。今回は、きちんと金額を引かれた。本来は全額消費できたはずなのだが、少し残高が残った乗車券が手元に残ってしまった。まあよい。記念に残しておこう!(^^;
ケーブルカー
サンフランシスコの風景にとけ込むケーブルカー
乗客が鈴なりです(^^;;
対向のケーブルカーとのすれ違い
どちらも、乗客が鈴なり・・・(^^;;
ケーブルカーの方向転換
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さて、Embaracaderoで下車したのは、サンフランシスコの名物であるケーブルカーに乗車するためである。ケーブルカーの路線は3線あり、それぞれの路線が走る通りの名前を採って"Califonia Line","Powell-Hyde Line","Powell-Manson Line"と呼ばれている。
まずは、Califonia Line に乗ろうと思って、Embaracadero にやって来たのである。運転間隔は、詰まっていたり空いていたりと、結構バラバラである。しばらく、ケーブルカーの運行風景を観察していたが、坂の多い町にケーブルカーはものすごく似合っていた。
Califonia Line を一気に乗り通す
混雑はさほどでもなかったので、デッキにぶら下がろうかと思ったが、まずは運転士の後ろを陣取り、運転の様子を観察することにする。なかなか腕っ節の強い運転士だなあと思ったら、実際の運転はなかなかハード。ブレーキレバーを全体重をかけて引いたり、ゆるめたりしながら操作。腕っ節が強いのも納得、なかなか体力を使う仕事である。私が運転したら1回で音をあげそうである。
走行中、車掌が車内をまわり乗車券の販売を行う。1回乗車2ドル、何回も乗り降り可能な一日券は6ドルである。もちろん、一日券を購入した。車掌の業務は乗車券の販売だけでなく、下り坂走行時にはブレーキ操作も加わる。まさに、体をはった運転であり、冷や冷やしながらの乗車である。なんとか、無事に終着駅に到着。
折り返し、路線が交差するカルフォニアまで戻る。ここで、Powellから出ている路線に乗り換えるのだが、こちらの2線はフィッシャマンズワーフやピアへの観光の足となっているので非常に混んでいる。先に、Hyde方面行きが来たので、運転士の指示に従い、空いていたデッキの柱にぶら下がり、ケーブルカーのぶら下がり乗車を体験する。
ぶら下がっての乗車は、振り落とされないよう気を使うが、なかなか気持ちがよい。ケーブルカーに乗ったからには是非体験したいですね。
観光客でごった返すフィッシャマンズワーフとピア39を巡り、Manson Line のターミナルまで歩く。ケーブルカーの乗車待ちの人で長い行列が出来ており、乗車できるまで20分ほど待たされたが、ケーブルカーの折り返し運転状況を見ることが出来、退屈せずに過ごせた。
Califonia Line のケーブルカーは両運転台だったので、運転士は前後を入れ替わればよかったが、Powell-Hyde Line と Powell-Manson Line は片運転台のためターンテーブルで車両を回転させる必要がある。ターンテーブルがあるので、ここで回転させるのであろうと思っていたが、運転士と車掌が2人で車両をターンテーブルに乗せ、人力でターンテーブルごと回転させていた。ケーブルカーの運転も大変だが、ターンテーブルまで人力で回転させるとなると、まさに肉体労働である。
今度は、後ろのデッキに乗り過ぎ去る景色を眺めて過ごす。眼下に広がる海を眺めもいいし、観光客に人気があるのもうなずける。やがて、ケーブルカーはPowellに到着。これにてサンフランシスコのケーブルカーも完乗である。
サンフランシスコには、他にも"MUNI"と呼ばれる路面電車やトロリーバス、"Cal Train"という郊外鉄道が走っている。トロリーバスは路面電車の軌道上を走行し、架線は路面電車と共有していて、随分と複雑な仕掛けなのだそうだ。今回は、路線図の入手が出来なかったのと時間の関係で断念したが、機会があれば是非乗って街を歩きたいものである。
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