一般的なフルダブル(F/Bb)では9つあるスライドを、それぞれどれくらい抜き差しすればよいかという問題がある。チューニングの前提として、楽器が正しい自然倍音を鳴らせる状態でなければならない。そのために次のことをチェックしたい。
<チェック項目>
チューニングの手順
最初にオープンのBb管で実音F(ド)のピッチをチューナーで合わせる。次にこのBb管の音を基準にF管(オープン)を合わせる。その後、各スライドを調整する(図)。一般に、12、23のフィンガリングはピッチが高くなることに注意してください。12の運指の音のピッチを直そうとして、1または2のスライドを抜くと、今度は他の運指の音のピッチが低くなってしまう…という悪循環に陥ることになる。ここは妥協するしかない。
「これで完了」と思ったら大間違い! これはスタート地点にすぎず、最終的には演奏中に周りを聴きながら音程を作っていくことになる。
もっとくわしく知りたい人は:
金管楽器奏者にとって、自然倍音の性質を知ることは、音程の問題や運指を考える上で重要です。
第7、11、13、14倍音は、音程が良くないので普通は使わない。高い音が外れやすいのは倍音どうしの幅が狭いからで、そのために短い管(Bb管またはハイF管)の低い倍音を使う。第5、7、10、11倍音は一般に音程が低くなり、第9倍音はやや高くなる。
Bb管で1番のキーを押した状態(Ab管の第5倍音)で、実音Cを吹くと低くなる。このケースではオープンのF管(第6倍音)を使うことで問題が解決できる。
Lip
trill 実音FからGのリップトリルを演奏するときは、一般的なフルダブルホルンでは、少なくとも6通りの運指が考えられる。このうちのどれを採用するかは、その曲の調性や音程、音色を考えて選ぶことになる。実際に自分の楽器で試して、一番良いものを選ぶのが良いでしょう。 理論的には、作曲当時のナチュラルホルンと同じ管の長さ、つまり、ヘンデルの「水上の音楽」ではオープンのF管、モーツァルトの変ホ長調のホルン協奏曲ではF管の1番の運指(Eb管)を使用することが考えられる。しかしナチュラルホルンとバルブホルンでは、管の巻きが違うので得られる音は同じものとはいえない。 |
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F管ホルンの信奉者であるハンス・ピツカ氏は、オープンのF管の使用をすすめている。選択肢が限定されるBbホルンの場合はどうなるだろう。デニス・ブレインはアレキサンダーのBbホルンでモーツァルトの協奏曲を演奏するとき、12のキーを押さえていた(ホルンメーリングリストでの
Walter Hecht 氏の発言=下記)。
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Last Update: 99/02/03
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