どうも! 閲覧ありがとうございます、石田です。え? まだ本編読んでない? それはいけません。ここ「あとがき」 の後半は結構裏話が出てくるので、ひょっとしたら本編への興味をそぐかもしれませんから。
ToHeartに関して説明は不要でしょう。98年の冬にはTV放送、そしてプレイステーション版が発売されることになっていて「おいおい、どこまで行くんだ?」 と、かえって心配になる位です。
私もこのゲーム(Win95版・18禁)を発売とほぼ同時期に手に入れてやってみました。マルチのシナリオにいい年こいて思わず涙し、あかりのシナリオでは今までのゲームにない深い感動を覚えました。しかしそれと同時に不満が残ったのも事実でした。個々のキャラが素晴らしく、それぞれのストーリーも良いものなのにこれらのストーリーが全く絡み合わず、各ヒロインごとの一本道だったことです。特にあかりと志保の親友同士の三角関係は初め非常に期待していただけに残念でした。
普段ならこれで終わりなんですが、どうしてか「よし、こうなったら自分で補完するぞ!」 と思ったのが運の尽き。私は同人誌などでパロディーをやることにはあまり感心しない方(やるならオリジナル)だったのに、ToHeartの小説化を遂行することに決めてしまいました。
考えるに、リーフのゲームには強固な世界観と非常に心に残るシーン、そしてツボを押さえたキャラが見事に立脚しているのに何か突き抜けないものがあって、それが私も含め沢山の人にリーフ物を作らせる要因となっているのでしょう。
ホント、ここの葉っぱはヤミツキになるぜ。
また、巷ではゲームをノベライズした単行本が溢れていますが、満足するデキのものがほとんどないことも原因の一つでした。唯一良かったと言える物はエルフの「同級生」 全3巻(文 中山文十郎 ワニブックス刊)ぐらいでしょうか? と言ってもこれの場合は筆者が七転八倒してる様が文面に滲み出ていて面白かったんですが……。ですから「リーフ公認の小説が出版される前に自分で一発書き上げて、本が売り出されたらそれと比べてひとり悦に浸ろう(暗い)」 と思ったのでした。それがこんなに大変な物になろうとは……。
(この前 「ToHeart」 の小説が発売されましたね。でもマルチが主人公だったんで比べようがなかったです)
で、小説化するに当たって、まずキャラの絞り込みを行いました。とても全員を出して話をまとめる事は出来なかったです。そこであかりと志保の三角関係にスポットを当て、物語のバランスを取るために委員長と芹香さんに脇役として登場願いました。ヒロイン2人のファン以外の方には申し訳ありませんが許して下さい。(あかりと志保のファンはもっと怒っているかも……)
物語もゲームのエピソードを生かしつつ換骨奪胎してまったく新しい物に構成し直しています。だからゲームと違う設定がなされていたり、同じシーンでも意味が違っていたりしています。その辺は寛容な心で楽しんで下さい。
それにしても完成まで1年半か……。長かったな……。何度断念しようかと思ったことか……。忙しくって仕事から帰ったら寝るだけの生活が4ヶ月ほど続いたり、ハードディスクがクラッシュしてデータがすべて飛んだり、この時は奇跡的にプリントアウトした原稿(全くの気まぐれで印刷した物)が1ヶ月程して雑誌の山から発見されたんだよな……(思いだし泣き)。その他色々なことがあって、「これ書き上げたら病気なんかで早死にしちゃってもいいや」 って位、自分のすべてを叩き込んだものとなりました。真剣に「遺書代わり」 になるなって思ってます。だから今の私の感情を全部書き込んだつもりですし、ストーリーテラーとしての話の種もほとんど詰め込んでいます。(これから発表されるオリジナル小説のかなりの部分はこの小説に原型を見ることとなるでしょう)
それ故この小説がでかくて、くどくて、重苦しいのは否めません。ちなみに400字詰めの原稿用紙で約420枚。40文字15行詰めだと約280ページ。単行本一冊分はたっぷりあります。
それから浩之の独白と台詞がひどく曖昧なのはわざとやっています。これについては読んでる人を混乱させるだろうと解っているのですがどうしてもこうしたかったのでご容赦ください。
それではここから各章についての裏話なんかをしたいと思います。ネタばらしなんかがあるので、まだ読みたくない人はここから目次へジャンプして下さい。
全編の発端。実は最初、ここの第1ブロック(「そんないつもの朝の光景」 って所まで)位の長さを12個並べて完成しようとしてたのですが、第1章を書いてみて全くストーリーが動いていないことに気付き愕然としました。「この分量でこの程度だとしたら、完成まで……」 自分の計算の甘さを呪いました。案の定この先茨の道でした。
最初と言うことで、取りあえずキャッチーなものにしようと心がけました。具体的には登場人物をすべて出して、キャラを立たせるエピソードを挿入。それとゲームをした人に「なんだ?」 と思わせる伏線を張りました。読んでくれる方の水先案内人になるべく推敲を重ねたので、この章が一番校正回数が多いです。(1回クラッシュしてるのでDOCファイル覗いても分かりませんが)
学年委員長か……。私もすごいこと思いつくもんだ。
それにしてもデュエリストとか覚悟完了とか、もう風化してる言葉がありますね。年月の移ろいを感じてしまいます。
で、いい気分で第2章に進んで来たらカウンターパンチ。いきなりヘビーなシーンがお出迎え。出来には全然満足してないんですが……。この雰囲気が後に重要になって来るんでその練習も兼ねてます。内容的には第1章を一歩進めたものとなっています。弁当がもうひとつ美味そうに見えないのも反省点。
幼なじみが朝ベットまで起こしに来てくれるというシチュエーションがタクティクスが出した「ONE」(Win95版・18禁)というゲームにまんま出てくるのには驚いた。考えることはどこも同じなんですね。ちなみにこれを書いている時はまだ「ONE」 は発売されていませんでした。
「メジャーには上がれないぞ」 ……ボギャ天がまだ続いててよかった。
テスト範囲ですが高校1年の3学期に不定詞と動名詞がその範囲になるのかはまったく分かりません。適当です。現役の方教えて下さい。
大人をわざと排除したようなリーフの世界観ですが、ここでは敢えて登場させました。どうでしょう? 物語のターニングポイント、第4章を控えてここですべての伏線を無理矢理張りました。その結果、浩之達が下校するのに行ったり来たりものすごい時間が掛かってしまいました。
えらく雅史のお姉さんのことをプッシュしてますね……。「初音のないしょ!!」 が出る前だったらそれなりに意味があったでしょうが、今じゃ完全に風化していますね。
第4章にも出てきますが英語の勉強シーン、なんでこんなの書いたんだろう? 学生時代英語がちんぷんかんぷんだったのに……。このシーンを書くため10年ぶりに高校の参考書を買いました。参考書読んでる内に脳味噌が先祖返り起こしたのかな?(腓〔こむら〕返りだったりして)
そして物語中盤の山です。この章は私が書きたくて書きたくて仕方ない所でした。構想してから一年以上もくすぶっていたため、ここは一気に書き上げてしまいました。頭の中で腐ってしまう前でよかった。
この章を書き上げたことでこの物語を最後まで書き切るめどが立ちました。それにしても無茶苦茶やってるなあ、浩之はあかりのおっぱい触ってGしてるし、志保とキスしてしまうし……。しかしこの2つのエピソード無しにこの物語は成り立ちません。
あ、青少年のみなさん(女の子含む)、オナニーはいけないことではありませんので浩之みたいに罪悪感を感じる必要はありません。ガンガンやって下さい。
宴会の席で志保が歌う曲はゲームで使われた志保のテーマソングです。それで歌詞の方ですがこれはリーフが発売している「初音のないしょ!!」 に収録されているものを使用させてもらいました。
個人的にはあかりを保健室に運ぶ件(くだり)が気に入っています。
ちなみにサブタイトルを見ても分かるように第1〜4章は朝、昼、夕、夜のイメージで書かれています。原案ではここから再び朝と来て終わる予定でした。
ごめんなさい。私ファッションのことはまるっきり分かりません。
この章は第4章を承けた内容です。浩之があかりともキスをして幸せいっぱい、とはならず何かわだかまりを感じてしまい遂にあの愚行に及びます。どうして浩之はあんなことをしてしまったのでしょうか? 彼は人の愛し方を知らなかったのかもしれません。あなたはどう思いますか?
さてここからクライマックスに向けて突っ走って行きます。この章で委員長がものすごく長いセリフを言いますが、これはほとんど口述筆記です。テンション上げまくって委員長の気持ちとシンクロした瞬間に紙に書き殴ったものです。
ここで語られる委員長の過去ですがゲーム本編でもなぜか(わざと?)触れていない地震の事を書いています。関西の人間として神戸と淡路で起こったことをほんの少しでも書いておきたかったんです。
委員長の言葉ですが、今神戸に住んでいるのを利用してなるべく神戸弁になるように注意しました。関西以外の人には解らないと思いますが、同じ関西弁でも都市によって微妙に言葉が違います。私が実際に聞いたものでも大阪では市内、摂津、泉佐野。兵庫では神戸、姫路。奈良では市内、北葛城、吉野。その他京都、和歌山で言葉が違いました。(三重県になるともう関西弁じゃないですね)
いままで一つの章で完結していたのにここで初めて引きを入れました。こういう終わり方は卑怯ですか? また芹香さんのサバトのシーンも個人的に気に入っています。
フィナーレ。ここでも登場人物が長大な独白(しかし長いな、まるでドストエフスキーだ……)を言いますが、やっぱり委員長の時と同じく口述筆記です。勢い重視で文法が明らかに違うものを除きほとんどそのままです。唯志保と委員長とのセリフに重複がある(これは委員長がセリフを取ってしまった)のが練り込みが足りませんね。その内直したいと思います。
後、浩之とあかりが結ばれるシーンですがどうでしょう? 自分としてはいやらしくなく事実のみを淡々と書いたつもりなんですが……。このシーンのため当物語を18禁にせよ! と言う意見もあると思いますが、私としてはこの物語を思春期真っ只中もしくはこれから思春期を迎える人に主に読んで欲しかったため年齢制限を設けませんでした。それに人が人を愛するのに精神の交流と共に肉体の交流も不可欠だと思っているので、性愛を描かずして異性への愛は語れませんでした。愛の無いセックスではなくて、愛するがゆえにするセックスなのでまあ許して下さい。しかし二人がコンドーム無しでやってたら間違いなく18禁にしてました。
それから、二人勢いに乗って2回戦に突入してますねー。最初はまさしく初めての二人なんですが2回目は屋上のシーンで浩之が言っているように大分こなれてきた二人を想定して書いています。構想段階では1回目と2回目をきちんと分離するつもりでしたが冗長になるので(小説自体が冗長だと言う突っ込みは却下)切りつめて一つにしました。奇しくもゲームと同じになってしまいました。だから初めてであんなに盛り上がることはありません(特に女の子の方)。
でもあかりが浩之のものをいきなり咥えるのには抵抗を感じるという人もいると思いますが、惚れた男のちんちんを口で愛することなんか何でも無いことだと思います。少なくともあかりはそういう娘なんです。志保だったらダメだろうな……。
それと小説の最後の方はなんかイッちゃってますが、これ位しないと自分の中でこの物語を完結させることは出来ませんでした。一番最後に<完>の文字を入れた時に、1年半もの苦労とこれだけのものをやり遂げた充実感が心に浮かんで思わずほろっと来てしまいました。
実はこの小説、私が最後まで形に出来た最初の物語なんです。だから思いっきり表現が稚拙なのはゴメンしてね。
志保についてですが、ゲーム本編に比べてずっとおいしい所持ってっています。それは私がToHeartに出てくるキャラの中で志保を一番気に入ってるからです。キャラコンじゃなぜか最下位だったけど……(不服)。そのせいか物語の中でも志保はホント何も考えなくても動いてくれて助かった。逆にあかりは全然動いてくれなくて、やっと動いてくれたのは第4章ぐらいからかな?
ここだけの話ですが、この物語志保の視点から描いた小説と表裏合わせてひとつとなる予定でした。詳しく言うと、浩之と志保の会話シーンでも浩之の考えと志保の考えがまるで違うというギャップを両方の小説を読むことではっきりさせて、男女間の思考の相違を描こうという狙いがあったんです。だから浩之が志保やあかりのことを色々言う所で「そんな意味じゃねえだろ! 気が付けよ!」 と思うのが多々あるのはそんな裏があったからです。(ですからこの小説は一人称で書いているけど、浩之と一体になるというより彼の背後霊になって浩之を見守るといった楽しみかたの方が良いと思います)
で、その志保サイトの小説ですが、題名も決まってて「志保ちゃんハ〜イテンション!」 と言います。文量も「俺らの街角早春賦」 の4分の1から3分の1ぐらいのものです。けど1行も書いてません。と言うのも「俺らの街角早春賦」 が1年半もかかったこと、本家リーフで志保の育ての親(生みの親は高橋氏)の青紫氏が会報とかε−Loginとかで志保一人称のショートストーリーを書いていることが大きな要因です。どうあがいても本物の志保は青紫氏の中にしかいない、俺の書く志保はレプリカでしかないんだ、と思ったら少し悲しくなってしまってね……。けれど会報に出てくる志保は悪乗りしすぎててちょっち気に入らない。
でもこの企画完全には闇に葬られてはいないので、リクエストが来れば(来るか?)真剣に実行するか考えます。
最後に、この長話に付き合って下さってありがとうございます。どうも私は言いたいことを全部出し切ってしまおうとするらしく、後書きひとつでもこんなのを書いてしまいます。読む人の身にもなってみろってんだ。ダメですね。
感想等なんでもいいです、もしよろしければメールを下さい。どうもご観覧ありがとうございました!