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宇宙のビッグバン(膨張する宇宙)


 現代の科学によって描かれる宇宙像のうち最も一般的に受け入れられているものは、ビックバン宇宙論である。
 この理論によれば、宇宙は百数十億年前に凝縮した火の玉のような状態から爆発を起こし、それ以来膨張を続けて現在に至り、現在も膨張を続けているというものである。

 1929年、エドウィン・ハッブルによって宇宙が膨張していることが発見された。
 銀河からの光のスペクトル線が赤方偏移している(ドップラー効果で光の波長が長くなること)が観測された。
 つまり、その銀河は地球から遠ざかっているということである。
 そして、観測の結果、地球の周囲のすべての銀河が地球から遠ざかっており、しかも地球からの距離に比例する速度で(遠い銀河ほど早い速度で)遠ざかっているのである。
 このことから、宇宙全体が膨張していることが確認された。

 現在の宇宙が膨張しているということは、過去の宇宙は現在より小さかったということである。
 そして、時間をずっと過去へ遡っていくと、宇宙はひとつの点に向かって収束していくことが、ホーキングによって理論的に確認された。
 小さな点であった宇宙の始まりは、百数十億年前と考えられており、その時の宇宙は、いわば火の玉のようなエネルギーのかたまりのような高温高密度の状態であり、物質は存在しなかったと考えられる。
 それがどのような状態であったかは量子物理学の観点から考察が進められている。

 火の玉状態の宇宙は膨張とともに温度が低下し、エネルギーが物質に変わっていった。
 空気中の水蒸気が温度の低下によって水や氷に変わっていくことを想像すれば理解しやすい。
 約10万年経過し、温度が4000度Kとなった時点で、自由電子が消滅し、黒体放射が自由に伝搬するようになる。「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれている。

 晴れ上がり以後では、ガス雲が誕生し、それが集団をつくっていった。
 ガス雲のなかでは星の形成が始まる。
 星の形成が始まった銀河は、白色矮星、中性子星、ブラックホールが増加し、いわば老化していく。
 現在の銀河は十分老化しきっていない。すなわち、現在の宇宙は膨張過程を続けている状態にある。

 現在膨張している宇宙が将来どうなるかには、2通りの道がある。
 宇宙の平均密度が十分大きければ、膨張は停止し収縮に向かい、元の宇宙に戻っていく。
 そうでない場合は、膨張はいつまでも続き、天体や物質は崩壊していき、原始の姿に戻る。
 現在の物理学が描く宇宙は、永遠に現在のままあり続ける宇宙ではないのである。

 現在の宇宙の境界がどうなっているかは、よくわからない。
 宇宙を有限の大きさを持つ天体のように考えるのは適当ではない。
 宇宙の大きさは不明である。
 宇宙は平坦ではないかもしれない。
 地球上にいる我々が大地が曲がっていることを認識できないように、宇宙があまりにも巨大であるために曲がっていることを認識できないのかもしれない。
 とすれば、地球上を真っ直ぐに進んでいくと、いつのまにか同じ地点に戻ってくるように、宇宙を同じ方向へ進んでいくと、いつか(膨大な時間をかけて)同じ場所に戻ってくるのかもしれない。

 現在、我々が科学的に認識できるのは100億光年内の空間であり、1000億個以上の銀河を含んでいる。 127億2000万光年先にある銀河団が発見されました。
 100億光年の距離よりも遠いところでは、クエーサーがみつかっている。
 したがって、宇宙は少なくとも100数十億年の間、膨張を続けている。
 なぜなら、ひとつの点から100数十億光年の広がりへの膨張をしたということだからである。

・・・・・「宇宙の広がり」の図を入れる予定・・・・・

 銀河の群は、巨大な「泡」構造を持っていることが、ジョン・ハクラによって発見された。
 泡と泡の境界に銀河が群をなしており、泡の内部に銀河を見つけることはほとんどできない。
 銀河や銀河集団がこのような姿で集まっている。
 さらに大きな構造が発見されている。
 多くの銀河集団が鎖のように手をつないで連なり長さ6億光年、幅3000万光年の巨大にうねる壁のように延びている「グレート・ウォール」と名付けられた構造である。
 この大構造は、少なくとも40億光年までつづいていると考えられている。
 さらに、クエーサーのある90億光年の彼方にもグレート・ウォールと似た構造があるのではないかと報告されている。


 2012年4月のニュースで、『日本の国立天文台が、「すばる望遠鏡」を用いて、現在知られている中で最も遠い"127億2000万光年"先にある原始銀河団を発見したと。』と報じられました。
 また、この記事によると、宇宙の誕生を137億年前と考えているようです。
LINK すばる望遠鏡、最遠方原始銀河団の記録を自身で塗り替えて127.2億光年に(2012年4月25日の記事)
LINK 国立天文台すばる望遠鏡が見つけた宇宙最遠方の銀河団(2012年4月24日の記事)


 2012年7月のニュースで、17種類の素粒子うち最後まで発見されていなかった「ヒッグス粒子」が発見されたと報じられた。
 およそ137億年前と考えられているビッグバンによって生み出された大量の素粒子に、ヒッグス粒子が質量を与えたと考えられており、1964年にイギリスの物理学者ピーター・ヒッグス氏がその存在を予言していた。
LINK ロイターヒッグス粒子発見か、確定にはさらなる分析必要(2012年7月4日の記事)
LINK NHKニュース【解説】ヒッグス粒子とは(2012年7月5日の記事)
LINK 素粒子 - Wikipedia




【LINK】
LINK 自然科学研究機構 国立天文台 理論研究部宇宙の歴史
LINK 自然科学研究機構 国立天文台 理論研究部2004年度研究内容紹介
LINK 宇宙の年表 - Wikipedia
LINK 宇宙論 - Wikipedia
LINK 現代宇宙論 - Wikipedia
LINK 宇宙の年齢 - Wikipedia
LINK 宇宙の終焉 - Wikipedia





参考文献
「日本大百科全書3」小学館 から「宇宙」佐藤文隆著
「ホーキング宇宙を語る」S.W.ホーキング著、林一訳、早川書房
「宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった」佐藤勝彦著、同文書院


更新 2012/8/8

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