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2003年 SARS(重症急性呼吸器症候群)が発生


 2003年2月10日、世界保健機関 (WHO) は、中国の広東省で集団感染が発生しているようだとのメールを受け取った。その後、中国政府へ情報提供を求めるが詳細がわからず、現地調査の承認を求めたが中国政府は当初これに応じなかった。
 そうしているうちに、感染は各国へ広がった。WHOは、2003年2月26日から3月15日までに、150例以上のSARSの報告を受けた。ベトナムのハノイからWHO職員のイタリア人医師カルロ・ウルバニによる報告に始まり、香港、シンガポール、タイ、カナダ、フィリピン、インドネシアからも報告された。
LINK 国立感染症研究所 感染症情報センターSARSWHO UPDATE重症急性呼吸器症候群(SARS)−1 (リンク切れ)
 WHOは2003年3月12日に緊急勧告を発表し、世界に向けて警告した。
 中国政府は方向転換して情報公開に踏み切るとともに、当初の対応者を更迭した。(注)
(注:LINK YouTube ≫ SARSから10年 中共の仰天治療方法とは
 2013年3月3日にアップされた上の新唐人テレビの動画によると、以下のような内容を伝えている。
・「中共が2002年末〜2003年3月までの間、SARS蔓延の真相を隠蔽していたことはもう秘密でもありません。最初に隠蔽した広東省の張徳江書記は、今や(注:2013年3月)中央の常務委員に昇進しています。」
・中国で治療を受けた生存者は、政府から十分な補償も受けられず、骨壊死症・肺繊維症・鬱病などに苦しんでいるという。
・中国の微博(ネット上の情報)によると、「過量のホルモン剤を投与されたため、北京のSARS後遺症骨壊死症の発病率は広州・香港・台湾より遥かに高い」という。 )
 その後の調査で、前年の2002年11月16日に、中国の広東省の仏山市最初の発症が起こっていることが確認された。これが、現在 (注:2004年当時)確認されているSARSの最も早い事例である。

 急速に感染が広がったSARSは、2003年6月2日の時点で、32の国と地域において、感染者8,384人、死亡者770人を超えた。
 WHOと世界各国の努力により収束へ向かい、6月15日に検知された世界で最後の可能性者が発症しなかったことから、WHOは2003年7月5日に世界全体でSARSが終息したことを宣言した。
 2003年8月7日現在で、32の国と地域において、感染者8,422人、死亡者916人、致死率11%を記録した。特に、中国、香港、台湾、カナダ、シンガポールでの感染者が多かった。

 毎日新聞のインターネット Mainiti Interactive 2003年10月4日付けによると、WHOはSARSの「疑い例」を厳密に調べてSARSが直接の死因になったケースを絞り込んだ結果、台湾での死者数が84人から37人へ、感染者数が671人から346人へ大幅に減少し、また、シンガポール、中国、香港などでも減少したという。
 最終的な感染者数等は、2003年9月26日改訂版によると、29の国と地域において、感染者8,098人、死亡者774人、致死率9.6%となった。
LINK 国立感染症研究所 感染症情報センターSARSWHO UPDATESARSの国別報告数のまとめ (リンク切れ)


 WHOによる2003年7月5日の終息宣言の後に、以下のとおり、散発的な発生が確認されているが、感染の拡大は防がれている。
・2003年9月 シンガポールのSARS研究者1人が、研究中に誤って感染した。
・2003年12月 台湾のSARS研究者1人が、研究中に誤って感染した。
・2004年1月 中国広東省の広州市4人がSARSに感染したことが確認された。4人とも隔離され、その後の感染拡大は起こっていない。
 <広州市の4人>
 32歳の男性はフリーのテレビ制作者で、感染経路は不明。この男性から検出されたコロナウイルスは、野生動物の「ハクビシン」のウイルスと遺伝的にほとんど同じであると発表された。
 20歳の女性は海鮮料理店職員で、WHOは彼女の勤めていた料理店のハクビシンのかごからSARSウイルスを見つけたと発表した。
 35歳の自営業の男性は、感染経路は不明。
 40歳の病院長は、実際に診療もしている人で、感染源は不明。
・2004年4月 中国の北京市で2人のSARS研究者とそのうち1人と接触した2人の計4人のSARS感染が確認された。そのうち1人は安徽省で発病し死亡している。1000人に近い密接な接触者が、医学的観察下におかれている。6人は北京、死亡例1例を含む2人は安徽省。
 <北京市の4人>
 北京の国立ウイルス学研究所で研究を行っていた31歳の男性。
 北京の国立ウイルス学研究所で研究を行っていた安徽省出身の26歳の大学院生の女性。
 20歳の看護師は、北京の病院で上の女性研究者の看護を行っていた。
 上の女性研究者の母親も看護を手伝っていた。この母親は、安徽省で発病し、死亡した。
 上の看護師の両親とおば、この看護師が治療中に同じ病棟にいたひとりの女性患者。
LINK asahi.com(朝日新聞)ニュース特集新型肺炎SARS (リンク切れ)
LINK 国立感染症研究所 感染症情報センターSARSWHO UPDATE中国南部におけるSARS症例の臨床検査による確定 (リンク切れ)



【SARS】
 SARSは、Severe Acute Respiratory Syndrome(重症急性呼吸器症候群)の略で、38度以上の高熱が急に出たり、せき、呼吸困難など重い肺炎と同様の症状を起こす。新型肺炎とも呼ばれている。
 新種のコロナウイルスが原因であると特定された。このウイルスの詳細については、世界中が協力して調査・研究している。
LINK WHO(World Health Organization)Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS)Images of the new coronavirus(新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真)
LINK 国立感染症研究所 感染症情報センターSARSSARSコロナウイルスに関する研究 (リンク切れ)

 中国南部で食用の野生動物を売っている市場で入手した野生動物のうちの「ハクビシン」と「タヌキ」から、「SARSコロナウイルスに遺伝的に近い幾つかのコロナウイルス」が検出された。また、「中国イタチアナグマ」が「SARSコロナウイルスに対する抗体」を持っている事が発見された。
LINK 国立感染症研究所 感染症情報センターSARSWHO UPDATE重症急性呼吸器症候群(SARS)−64  (リンク切れ)


【カルロ・ウルバニ】
 SARSがベトナムへ広がった時に、ベトナムのハノイに駐在していたWHO職員のイタリア人医師。SARSがまだ原因不明の感染症であった際に、ハノイの民間病院で始まったSARSの調査を行って、いちはやくWHOに報告した。ハノイの民間病院での対策に力をそそぎ、また、SARSの世界への拡大をくい止めるために尽力した。
 本人もSARSに感染し、死亡している。



【LINK】
LINK 重症急性呼吸器症候群 - Wikipedia SARS
LINK SARSウイルス - Wikipedia
LINK カルロ・ウルバニ - Wikipedia
LINK 公益財団法人 社会貢献支援財団受賞者紹介 : 社会貢献者表彰(故.カルロ ウルバニ)
LINK South of HeavenStrange DaysNHKスペシャル「カルロ・ウルバニ SARSと闘い死んだ医師の全記録」 〜個人のサイト。番組の文字起しだと思います。
LINK YouTube ≫ SARSから10年 中共の仰天治療方法とは 〜新唐人テレビ日本・2013年3月3日アップ
LINK YouTube ≫ SARSに打ち勝った驚くべき「秘訣」 〜新唐人テレビ日本・2013年4月8日アップ

LINK 国立感染症研究所 感染症情報センターSARSWHO UPDATE (リンク切れ)
LINK WHO(World Health Organization)Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS)
LINK 共同通信新型肺炎(SARS) (リンク切れ)
LINK asahi.com(朝日新聞)ニュース特集新型肺炎SARS (リンク切れ)





参考文献
LINK 国立感染症研究所 感染症情報センターSARS (リンク切れ)
LINK 共同通信新型肺炎(SARS) (リンク切れ)
2004年1月6日付 北海道新聞 朝刊
その他ニュース報道
TV NHK「NHK特集 新型肺炎 感染拡大を阻止せよ」2003年5月24日放送
TV NHK「NHK特集 SARSと闘った男 〜医師ウルバニ 27日間の記録〜」2004年2月18日再放送(当初2004年2月15日放送)
LINK YouTube ≫ SARSから10年 中共の仰天治療方法とは


更新 2013/4/8

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