ここでは、本格的に蒸気機関車の写真に挑戦したいと言う方へのアドバイス、撮影時の注意を紹介いたします。
もちろん、ここで紹介する内容は、一般の鉄道写真にも当てはまります。
マナーを守って、楽しい撮影を心がけましょう。
- 機材編
ここでは、撮影機材について紹介いたします。
- 撮影編
ここでは、ピント、露出から撮影場所の選び方など実際の撮影方法を紹介いたします。
- マナー編
ここでは、撮影する際の最低限のルールを紹介します。これを守って、楽しい撮影を。
缶行脚TOPに戻る
撮影にはある意味写るんですなどのレンズ付きフィルムから可能ですが、これから本格的に蒸気機関車の
撮影に挑戦したいという方を対象に撮影機材を紹介します。
- カメラ
これから本格的に蒸気機関車の撮影を始めたい方には、35mmオートフォーカス一眼レフをお薦めします。
撮影編でも紹介しますが、基本的には、ピントはマニュアルで合わせますので、オートフォーカス(以降AF)
は、それほど使いませんが、現在のカメラの入手のし易さを考えますとAF一眼になります。
次に、AF機能についてですが、最近のカメラは、ピントを合わせるフォーカスフレームが複数ある多点
タイプが主流となっています。蒸気機関車の撮影では、真ん中の1点でしかピントの合わせられないタイプ
は、ほとんど役に立ちませんので、多点タイプが必要となります。この辺りは、撮影編に詳しく紹介します
が、蒸気機関車撮影の場合は、写真のど真ん中に蒸気機関車の正面が来ることが無いためです。
次に、モータードライブ。AF一眼レフは、すべてモータードライブ内蔵となっていますが、やはり、蒸気
機関車は、動体ですので、できるだけ速いすなわち一秒間に撮れるコマ数が多いタイプの方が有利となりま
す。できれば、一秒間に3コマ以上撮影できるタイプがお薦めです。
以上の点を考慮しますと、各メーカーから発売されているAF一眼レフの中級機以上がお薦めとなります。
ニコンで言えば、F80、キヤノンでは、EOS-7、ミノルタではα-7、ペンタックスではMZ-Sがこれらの条件に
ほぼ当てはまります。もちろん、お金に余裕のある人は、さらに上位機種を狙っても良いですが、とりあえ
ずは、そのお金はレンズに回しましょう。
最近主流になりつつあるデジタルカメラ(以降デジカメ)ですが、プロ用の一眼レフタイプを除いては、
シャッターを押してから実際に写るまでのタイムラグが大きくて、本格的な撮影には、お薦めできません。
しかし、本番前に来る普通列車を撮影して列車の長さや露出の確認のためには結構役に立ちますので、光学
式3倍ズームがついて、200万画素程度のコンパクトタイプが一台あると結構便利です(シャッタースピー
ドや絞りがマニュアルで調整できるとなお可)。
- レンズ
カメラ以上にお金がかかるのが、レンズです。よく、カメラ及び標準系ズームと望遠系ズームがセットに
なって売っていますが、お薦めできません。と言うのも、それらについているズームレンズは、一般的に
F値が大きい、すなわち暗いレンズです。蒸気機関車は、動体撮影なので、できるだけシャッタースピー
ドは速く切りたいため、やはり明るいレンズが欲しくなります。
まず、焦点距離ですが、基本的には望遠系が主流となります。と言うのも、線路に近づいての撮影は、
非常に危険なため、ある程度遠く離れてからの撮影となるからです。また、望遠レンズを使用しての正面
からの撮影は、迫力があります。また、景色の良いところや駅での撮影には、広角系のレンズが役に立ち
ます。結局の所は、広角は28mm程度から望遠は200mmまでは、最低限まんべんなくそろえる必要があります。
次に、単焦点かズームレンズかと言う選択ですが、蒸気機関車の場合は、撮影場所が限られますので、
ズームレンズがお薦めです。レンズの明るさという点では、単焦点の方が有利ですが、レンズの画角に合
わせて撮影ポジションを変えるのは意外と困難なので、撮影ポジションを固定して画角を変える撮影が
主流となりますので、ズームレンズが役に立ちます。
以上の点からレンズの選択となりますと、一般的に大口径ズームレンズと言われるタイプで、標準系
ですと28-70mmF2.8、望遠系ですと80-200mmF2.8の開放F値2.8タイプがお薦めです。特に、大口径望遠
ズームは、鉄道写真の標準レンズと行っても過言ではありません。ただし、この2本をカメラメーカ純
正で揃えますと、30〜40万円とかなりの出費となります。そこで、注目されるのがシグマやトキナーな
どのレンズメーカーです。カメラメーカー純正とほぼ同じ性能ながら値段は半分程度とかなりリーズナ
ブルです。また、大口径望遠ズームに合った、1.4倍テレコンもあると約300mmの画角が得られます。
標準系ズームでは、24-85mmf3.5-4.5や28-105mmF3.5-4.5などのいわゆる標準ズームと言われるタイプ
も選択肢の一つです。大口径に比べてF値は0.5〜1.5段ほど暗くなりますが、大きさや重さは半分以下、
値段も半分以下となります。やはり、レンズのF値は、望遠側でもF4.5以下が望ましいです。
その他、単焦点レンズでは、85mmや105mmの中望遠で、F値が2以下の明るいレンズがあると、天気の
悪い日などの暗い時に役に立ちます。また、300mmを超える画角となると単焦点が主流となりますが、
撮影機会は極端に少なくなりますので、必ずしも用意する必要はありません。
- フィルム
フィルムは、大きく分けて白黒ネガ、カラーネガ、カラーポジ(リバーサルやスライド用とも言う)
の3種類に大別できます(白黒ポジもあるが一般的ではない)。撮影後、プリントして楽しむ場合は、
カラーネガがお薦めです。一般にフィルムと言ったら、このカラーネガを指します。
白黒ネガの場合は、暗室を持っていて自分で現像、引伸をする場合を除いては、お薦めできません。
カラーポジいわゆるリバーサルフィルムは、スライド鑑賞や写真集などの印刷用途に適しておりま
す。また、リバーサルの特徴は、ポジという名の通り現像後のフィルムにすでに像ができあがって
います。逆に言うと、撮影時にすでに出来上がりが決まってしまうため、露出などが難しくなります。
ネガですとある程度の露出の失敗はプリントの際補正が効きますが、リバーサルは補正が効きません。
逆に言うと、露出が難しい分写真の腕を上げるには、良いかもしれません。露出が決まったときや、
夕陽をバックになどと言った場合の美しさは、リバーサルの方が上かもしれません。
また、リバーサルからプリントを行ういわゆるダイレクトプリントは、コントラストが高かったり、
暗部が潰れたりとネガからのプリントから比べると、プリントの出来は、かなり落ちます。最近の
デジタルプリントは、かなり改善されていますが、やはりプリントが目的なら、カラーネガがお薦
めです。
次にフィルムの感度ですが、ネガカラーでしたらISO400タイプがお薦めです。四つ切り程度でしたら、
ISO100との区別が付かないほど性能は良いですし、シャッタースピードも速く切れます。とくに、
F値の暗いズームレンズを使用する場合は、ISO400は絶対条件と言っても過言ではありません。また、
最近は、ISO800のネガフィルムも性能は向上していますが、やはり、ISO800は非常用と考えた方が
良いです。
一方リバーサルフィルムは、粒状性や色を考えると、ISO100タイプとなります。最近のフジフィ
ルムのプロビア400Fやトレビ400は、性能がかなり向上しており、常用に耐えられるレベルに達して
おりますが、やはり、リバーサルは、ISO100が標準と考えた方が良いでしょう。また、リバーサル
フィルムは、感度が低い分、大口径レンズとの組み合わせが必要となります。
- その他
撮影で、その他必要になるのは、三脚です。手ぶれを防ぐ以外にも場所取りという立派な役目が
あります。そこで、三脚選びですが、よく撮影地で華奢な三脚でエレベータをいっぱいに伸ばして、
撮影する人を見かけますが、ブレ防止という意味では、役に立ちません。
蒸気機関車の撮影は、望遠レンズや大口径レンズを使用しますので、三脚もそれなりの大きさの
ものを選ぶ必要があります。一般に中型三脚以上のものがお薦めです。全高で150cm程度以上、また、
パイプ径で25mm以上、重量3kg前後のものがお薦めです。また、列車で移動する場合が多い方は、
多少値が張りますが、カーボンタイプが軽くて丈夫なのでお薦めです。
車で移動し、複数のカメラを三脚に取り付ける場合には、大型三脚がお薦めです。全高にして
180cm以上、パイプ径も30mm以上、重さも4〜5kgと持ち運びにも覚悟が必要となります。また、
このクラスですと、カーボンタイプもまだまだ少なく、値段も10万円前後となります。大型三脚の
メリットとして、有名撮影地では、すでに三脚を立てた人の後ろに立てられると言うのがあります。
この場合は、脚立も必要となります。また、三脚と合わせて、水準器を用意することをお薦めしま
す。選ぶ際は、多少値がはっても、X,Yの2軸あるタイプで、かつ縦位置でも対応できるアクセサリ
シューへの取り付け用溝が2つあるタイプを選びましょう。
次に、カメラを運ぶカメラバックですが、大きく分けてソフトバックとアルミバックに分けられ
ます。ソフトバックはその名の通り、ナイロンなどの布でできており、中にスポンジなどのクッショ
ン材で形が保たれています。最大のメリットは、アルミバックに比べ軽いことです。また、多少は
形に融通が効くので、中に入れる機材の自由度が増します。また、リュックタイプやショルダータ
イプなど形も様々で、ファッション性にも飛んでいます。
選ぶ際の基準は、やはり持っている機材の量となります。単純な大きさだけではなく、中の仕切や
ポケットの数などの使い勝手も基準となります。そして、防水性も重要になります。
一方アルミバックいわゆる銀バコという種類のものでが、特徴は、なんと言ってもその丈夫さに
あります。時には椅子や脚立代わりにもなります。デメリットとしては、やはり重いことで、小さい
ものでも3kg程度あります。また、満員電車では、はっきり言ってひんしゅくを買いますので、
銀バコは車移動が前提でしょう。また、仕切もソフトバックほどの自由度はありません。一方で、
お気に入りの機関車のプレートなどのステッカーを貼る楽しみがあります。
また、撮影現場でよく見かけるものに、単体露出計というものがあります。カメラに内蔵されて
いる露出計は、反射光式という、物に当たって跳ね返ってきた光を測光しています。物にはそれぞれ
反射率があり、平均すると18%と言われています。反射光の露出計は、この18%の反射率を測定した
際に適正になるようになっています。よって、逆光や白、黒など極端に反射率が違う場合は、露出が
狂ってきます。そこで、被写体の反射率にかかわらず、当たっている光そのものを測定するのが、
入射光式の単体露出計です。ただし、実際に列車の来る線路の上で測光するのは不可能なので、撮影
場所で測光するため測光方法に注意が必要となります。また、逆光時や曇りの日などは、露出計の
癖などにより露出の補正が必要になる場合があります。ネガカラーを使用する分には、露出への
ラチチュードがあるため、単体露出計は必要ないでしょう。
このページのTOPに戻る
ここで紹介する撮影方法は、一つの方法にしかすぎず、必ずしも正しいとは限りません。最初は、ここに記載
する方法で撮影するのも良いでしょうが、経験を重ねて自分なりの撮影スタイルを見つけることが大事です。
このページのTOPに戻る
以下に掲げるマナーは、最低限のものです。これらのマナーを守れない人は、撮影者失格ですし、
ごくわずかなマナー違反者のために、マナーを守っている人も同類に見られてしまいますし、撮影
禁止になった場所も多々あります。もし自分が逆の立場だったらと考え各自が自覚を持って行動し
て下さい。身に余る行為を目撃したら注意することも大事です。
マナーを守って、楽しい撮影を心がけましょう。
- ゴミは散らかさない
フィルムの空き箱や、飲食の際のゴミは、必ず持ち帰るようにすること。また、たばこの投げ
捨ても厳禁です。フィルムケースや空き缶を灰皿代わりにして持ち帰るように。
- 線路に近づきすぎない
線路に近づいての撮影は非常に危険です。最悪の場合は、人身事故、運行停止などにもつなが
ります。最低でも、電化の場合は架線柱の外側、非電化の場合は、犬走の外から撮影すること。
また、踏切以外での線路の横断や線路脇のすぐ脇を歩くのは非常に危険です。ましてや、歩きや
すいからと言って、枕木の上を歩くのは絶対に止めましょう。時刻表に載っていなくても、臨時
列車や貨物列車が来る場合があります。
- 民家や田畑に勝手に入らない
民家や田畑には勝手に入らないこと。ましてや農作物を踏みつけて荒らしたり、邪魔だからと
言って勝手に木を切るのは、最低です。
- 駐車の際は、邪魔にならないように
他の交通の妨げとなるような路上駐車や民家の玄関前の駐車は止めましょう。多少歩いてでも、
近くの空き地に止めるようにしましょう。やむを得ず路上駐車する際も、自分が他の車の立場と
なって、こんな所に車が止まっていたら邪魔だと思うような所や交通量の多い道での路上駐車は、
避けましょう。
よく、追っかけ組で、所かまわず車を止める人を見かけますが、はっきり言って迷惑です。
- 撮影ポジションには注意
線路に近づきすぎないのは当然の事ながら、他の撮影者の邪魔にならないように注意しま
しょう。鉄道写真は、先に三脚を立てて構えて人が優先という早い者勝ちの世界ですから、
三脚を立てる際は、後ろに目をやり撮影者がいないか確認しましょう。撮影者がいる場合は、
画面に入らないか一声かけて確認しましょう。また、すでに三脚を立てている人のすぐ脇に
三脚を立てる際は、「隣よろしいですか」と一声かけましょう。
また、挨拶は、写真の世界ばかりではなく、世間一般に大切な物ですから、すでに撮影
者がいたら「こんにちは」、撮影後は「お疲れ様」などの挨拶を心がけましょう。その場の
雰囲気が和みますし、鉄話に花が咲きます。
このページのTOPに戻る
缶行脚TOPに戻る