すずらん  第1回    平成11年4月5日(月)放送

昭和58年冬、一台のタクシーが農道を走っている。

                  年老いた萌と孫の遥が廃墟となった明日萌駅前に降り立つ。

 なんて読むの?   ・・あ・し・も・い・・

  ここから汽車に乗るの?  汽車は止まらないの・・・ ずっと昔から。

  ふ〜ん     遥のひいおじいちゃんはね、ずっとこの駅の駅長だったの。

この場所です・・この場所から私の人生が始まったのです

萌 お父さん・・・帰ってきましたよ・・・

  

遥 おばあちゃん、来て!遥の雪だるま!    お父さん、汽車が来ましたよ

大正12年冬

次郎 あしもーい あしもーい

            幸子 あんた!なにしてるのよ!そんな恰好して

                                 松吉 何よ、客の出迎えだべさ  

あんたがうちの仕事するときはロクなことがないんだから、い〜い?い〜い!

    11年1月9日珍しく松吉客の出迎え、札幌からカフェの女給〜

                              松っちゃん!・・松ちゃん!

幸子 あんたも判んない人だねー、さっさと帰れって言ってるのよ! 

ケイ お客にそんなこと言うなんてどうにかしてるんじゃないの?

     <いとしいケイ様、今でも貴女のつぶらな瞳が忘れられません>

   アハァ・ァ~    アハハじゃないわよ!!

横田 ハイ! 中村ご夫妻の決定的瞬間、このカメラが頂戴いたしました!

 

次郎! 次郎! ちょっと来て!

安代おばさん この手紙が襟元に入っていたんだよ

次郎 「どうかこの子を宜しくお願いいたします」・・捨て子?

          あれ!これなんだ?      三味線の調子笛よ

可愛い子ねー  どうしてこんな可愛い子捨てるのかしらね?

この子多恵さんの生まれ変わりじゃないかしら?    は、、まさか・・

駅長さん、私真面目に言ってるんだけど!

 

次郎 「も・え」ってのはどうかな?・・明日萌の萌だよ  この子の名前だよ

    常盤 萌 いい名だ  私の子供として私が育てる

町長 常盤?何言ってるんだよ!

幸子 私も手伝う 私何だかすごく嬉しいんだ


すずらん  第2回    平成11年4月6日(火)放送

昭和8年冬 北海道の旭川に近い明日萌駅

待合室のベンチに腰かけ萌が窓ガラス越しにホームを見ている

萌ちゃん、おはよう!   おばさん、おはようございます!

 

   ああやって毎日待合室で汽車見てるのねぇ

   ちがうな、あの娘は汽車見てるんじゃねえな・・母親待ってるのよ

   無意識にだなぁ、母親が汽車で迎えに来るってさ、 

                   なぁ駅長、そろそろ萌に本当のこと言ってやったらどうだ。

次郎 10年か・・長かった・・10年経ったからもう時効かな    何のことだ?

駅長になって立った一度だけ嘘の報告をした・・・あの日、萌は駅に捨てられていなかった

萌は俺と多恵の子供だ、それでいいじゃないか

 お父さん・・  どうした?  怖い夢を見た・・  こっち来なさい

        花嫁さんが出発するんだね   あぁ 明日な

 

みね 何か手掛はないの?   無いなぁー、三味線くらいかなぁー

                          三味線って言えばやっぱ芸者だべさ

岩波町長 旭川かぁ・・あそこにはいい芸者いたんだぁ、そめかちゃん、どうしてるかな〜

うハハ””” どうせブクブク豚みてえに太った女に決まってるべ

なに!それ?聞き捨てなんねえな!      花嫁さんよ!

 

次郎 今日はおめでとう、末永くお幸せに

この駅から嫁ぐ花嫁はみんな父からこの人形を貰います。

いつからか「駅長の人形は幸せになるためのお守り」

と言われるようになったのでした。

鉄夫兄さんは鉄道関係の仕事につくつもりでした

路 夫兄さんは伏せがちでこの頃は寝たり起きたりの毎日でした

明子姉さんは17才という多感な時期に私や兄にとって母親代わりの存在でした

安代 あんたに何もかもやらしてエー      萌はまだ小さいから・・

10にもなれば何だって家の中のことは出来るよ

今日こそ言ってやるわ、  実の子こき使って拾った子甘やかすなんておかしいんじゃないの?

ねぇ次郎、明子に縁談があるんだよ 沼田町のたけい商店と言えばちょっとした酒屋だよ

次郎 姉さん、その話進めてください お母さんが死んでここまでおまえは一生懸命

   やってきた これからは自分の幸せだけ考えなさい

 お父さん、お姉ちゃんがお嫁に行くときもお人形作ってあげるんでしょう?

            もちろんだ    よかった!

萌!!そんなことより遊んでばかりいないで明子の代わりをするんだよ!  はい!

幸子 3月12日松吉帰宅せず、

   3月19日松吉今日も帰宅せず、

   4月1日松吉ついに松之丞一座の松崎たまえと駆け落ち・・

      7年前だろが!7年前!竹次郎!お茶!    ハイ!

      お茶なんかいい!   ハイ!

あんたなんかいつもこんなことの繰り返しじゃぁないのさー

                もう我慢できない!出てけ〜!! 

 

旅回り一座は娯楽の少なかったあの頃、明日萌の人たちが心待ちにしていた一つです、

探検好きの千吉おじいちゃんもこういう時は必ず駆けつけて来ます。 

盲目の三味線弾きを見る萌と竹次郎 

横田 それではみなさまのその笑顔、この横田写真館のカメラが頂戴いたします

                                       撮ります!   はい!

 芝居小屋   

 三味線を見つめる目に涙があふれている萌  立ち尽くす次郎

萌、どうした?     何でだろう?・・なんで三味線の音を聞くと涙が出るんだろう?

                どうして?

松吉 駅長、なんて答えたの?

幸子 きっと萌ちゃん無意識のうちに本当の母親を探してたような気がした


すずらん  第3回    平成11年4月7日(水)放送

葛木三治・信夫・とく と常盤家 お見合いの日

次郎 長女の明子でございます、長男の鉄夫でございます、次男の路夫でございます、

次女の萌でございます。

 

竹次郎  萌、俺はまだこの饅頭を食ったことが無い。  そう?

     俺は死ぬまでにこの饅頭を食ってみたい。  そう?

     萌、今がその時だと思う。 ・・・・。   だめよ、竹ちゃん!

  あれ?変だな?おまえが生まれたのいつだ?   大正12年1月12日。

  おまえの母ちゃんおまえが生まれる1年前に死んでる、そんなのおかしいべ?

 

安代 萌はお前の隠し子でないかって。萌のせいで明子の縁談は壊れてしまうんだよ!

 お姉ちゃん、私のお母さん死んだのいつなの?私が生まれる一年前に死んでる

明子 私のお母さんに触らないで!あなたが駅なんかに来るから。

    これはあなたのお母さんなんかじゃないのよ!

 

次郎 今から10年前の1月12日、生まれたばかりの赤ん坊がこの駅に置き去りにされた

    ちょうど今おまえが座って居る場所だ。

    赤ん坊のふところには「この子を頼む」という手紙があった。

    私はその子を自分の子供として育てることにした。

明子たちのお母さんが病気で亡くなって1年、私は何だかその子が生まれ変わりのような

気がしたんだ

ん、名前は この明日萌からとって「萌」とつけた 私は萌を本当の子供だと信じて育てた

萌はすくすくと健康に育った、私はこの10年間心に言い続けてきた

この子を授けてくれたことに感謝しよう・・私は今でも思う、お前を育てて良かった、

本当にそう思う、

   今まで黙っていたことを恨むか?

 お父さん・・      ん?・・

  私のお父さんはお父さんしかいないから、明日萌の駅長さんが私のお父さんだから・・

  そうだよね・・・・そうだよね・・・・


すずらん  第4回    平成11年4月8日(木)放送

次郎 今日萌に本当のことを話した。萌が駅に捨てられていたことだ。

   萌はこの家の子どもでいたいと言った、お前たちと兄妹でいたいと言った、

   そうだな、萌。   はい

 

千吉 哀しい音だなぁ   あの向こうにテムカっていう池があるの知ってるか?

   おとといあそこにな、ツルが来てな、つがいだ。   ふ〜ん

萌、鳥は・・親鳥と一緒にいるのはヒナのうちだけだ、じきに一人で巣立って行く

人間だっておんなじだ、いずれ親から巣立つ、巣立つのが早い奴もいれば遅いのもいる

おまえはちょっと人より早かっただけだハハ・・

な〜んも 特別じゃぁない、判るな。  うん!  鳥はいい・・何処にでも飛んで行ける、

俺もそろそろ旅にでなきゃぁいかんかなぁ・・   人間は所詮根なし草よ。 

竹次郎 うわぁーーん・・萌がかわいそうだ、なんもしてやれねぇ

萌を励ましてやったらどうだ?   楽しい事ったら芝居だべ パッとやろうよ、パッとぉー

 

「今から25年前、信州は三日月村の村外れ、その地蔵の前にし捨てていった

あんたの息子でござんす」  「ぇえー!!」  「逢いたかったぜ!!おっかさん!!」

 

萌 おじさん!今日はありがとうございました、楽しかったです。

                               松吉 いい子なんだよなぁ・・

人事異動の担当課長が転勤を勧めに

増毛駅は職員30人からいる、駅長としてこれは栄転なんですよ

次郎 駅には出会いもあれば別れもある、希望に胸を膨らませて旅立つ者もいれば

    力尽きて帰ってくる者もいる。その一人一人の大切な時間に立ち会うのが

    駅の役割りではないかと私は思うんです。

    10年前に この駅に一人の赤ん坊が置き去りにされました 今その子は

    私の娘として一緒に暮らしています この駅は彼女にとって人生の出発点なんです

    私はその出発に立ち会ったものとしてこの駅を、この場所を、しっかりと彼女の

    記憶にとどめ守り続けなくてはならない。それがこの駅に働くものの義務だと

    私は思っています。

父の名誉を傷つける事件が・・

幸子 あんた!!大変だ!!

 

横田 「明日萌駅長に隠し子!10年前駅に捨てられていた子供が実は駅長の

                                  隠し子である事が判明した・・」

 

これだけ積もった雪だって必ずとける、

やがてあたり一面にすずらんが芽を出し花を咲かせる、その時人はここにこれほどの

雪があったことを忘れる・・

 

安世おばさん 萌、よく考えてごらん、あんたが家を出ることでお父さんもお姉さんも

       幸せになれるんだ、それが今日まで育てて貰った恩返しなんだよ

次郎 萌!何処にも行くな!お前はお父さんの子供だ、ずっとお父さんと一緒だぞ!

 

吹雪の夜、安代おばさんが馬車で萌を迎えに・・幸福学園へ

山岡 何をしている! 牛に謝りなさい!

生活は慎み深く、食べ物を大切に、謙虚に質素に暮らすこと・・・                  


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