「悪夢の棲む家――ゴースト・ハント」
小野不由美



【内容紹介】
 渋谷サイキック・リサーチという超能力研究所の所長ナル(渋谷一也)は、超能力やオカルトなど信じないカタブツの検察の広田から紹介された阿川翠から依頼を受け、翠の家で起こっている怪奇現象を調査することを引き受けた。ナルの助手には勤労高校生の麻衣、事務屋の安原、他にアシストするものとして、拝み屋の滝川、霊能力者の真砂子などがいる。翠の家は母子家庭で、そこはようやく購入できた格安の物件なのだが、なぜだかそこに長くいついたものはいなかった。家の中に機器を設置したナルと麻衣は調査を開始する。


【上巻の感想】
 くやしいけれど面白い! キャプションとタイトルからあまり期待はしていなかったのですが、さすが小野不由美センセイ、とんでもない小説家であります。ナルの唯我独尊な性格もグッドであるし、麻衣の明るさもとても良い。(勤労高校生というキャラクター説明も笑えます)。
 以下、ネタバラぎみです。
 超能力や霊現象など、そこいらに転がっているもんじゃないんだよ、と云っていながらも、上巻の終わりではきちんと、ホンモノの怪奇現象を読者にぶちまけてくれました。はてさて、下巻はどーなってしまうのうでしょうかね。ありきたりのクソSFになるかどうか!?

【下巻の感想】
 やっぱり面白い。小野不由美の書く小説は見事ですね。どれを読んでも私には面白いので、栗本薫のそれを手に取るように安心できます。(平たく云えば、安定感があるってことでしょうか)。かといってX文庫の悪霊シリーズを読む気はないのだけれど、「魔性の子」だけは読もうと思います。<十二国記>の外伝みたいなものらしいし。
 エンターテイメント小説としての完成度は大したものですね、ホントに。ナルの、やたらと皮肉っぽいのだけれど筋の通った思考などが、良いですねえ。麻衣も良いです。どれほど辛くても、危険でも、こうした仕事を通して人間という存在を感じていたいと答えた彼女は強いです。
 ――話の筋についてはあまり語れなかったのですが、面白いものは面白いんです! と云っておきます。本書のジャンルを私はSFとしましたが、ホラーかもしれないです。ラストなんてそっち系で落涙もんでしたからね。(1997 薫)


トップを狙え!