〈其の三十九〉 |
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住宅地ではキンモクセイの香りが立ちこめ、コスモスとススキが風に揺れながらなにやら話し込んでいる。 その側で、聞き耳を立てて薄紫の小花を付けているのが萩で・・・。 物静かな秋神は、そんな風景が大のお気に入り、寝そべりながらの読書好き。側にいても、ただ「ニコッ」とするだけ。僕も飽きずに何時までも「ボーっ」としている。 八月過ぎの夏本番の冷夏に、肩すかしを食ってすっかり計画倒れ・・・っん!別に計画何かしていなかったか?! 褐色の肌にオレンジ色のTシャツ。夕焼け空に冷えたシャンパングラス。 天空は未だ青いけど少し早めにランタンに灯が点り、投げ出した素足に羽蟻が止まり、ゆったりと日が暮れていく。何時しか辺りは紫色の世界に・・・ 僕の顔も、ゆっくりと赤みを増していく。「あぁ、至福の一時」。てな、キャンプを毎年やってはいたんだが、其れも尻窄みで終わったような気がする。 待てよ?、やったんだっけ・・・記憶が曖昧だ。そろそろ焼きが回ったかな。 いつの間にかの秋本番。回ったついでに、世界を震撼させたあのテロ事件。今にも始まりそうな世界大戦。低迷を続ける不景気時代。目が回る勢いで次から次と黒い種は尽きず、こちらの身も暗くなりそう・・・。 だから、早め早めに心のランプに灯をともしましょう。待ってても誰も点けてくれはしないから。 |
(寒くなってきましたね) |