〈其の四十七〉

巷ではキンモクセイの香りが満ちあふれ、日頃の疲れを癒してくれる。ちょっと足を伸ばすと、奥行きを増した青空と頭を垂らした黄金色の稲穂が、素敵なコントラストを演じている。

 こんな秋の穏やかな夕暮れ時が大好きで、のんびり陽が沈む様を肴に一献傾けるのは、もっともっと大好きで、そのお陽様と同じ様に盃を重ねるとだんだん顔が赤くなるぬる燗が、ずっとずっと大好きなのです。

 物静かで穏やかな秋神様も、そんな酒盛りの私の側に来て寡黙に、でもニコニコと盃を共にする。ただ飲むものだから目尻が下がり、好々爺然としている内は良いけれど、酔うと途端に下話、目の前の山々をからかっては赤く染め上げる。私もうんとうんと好きな者だから、其れまでとは打って変わって、急に賑やかに話は盛り上がって、ついでに下も盛り上がる。

 恒例の「芋煮会キャンプ」も終わり、今年も余すところ2ヶ月足らず、秋特有の物哀しさに浸っているのだけれど、それに虚しさもちょっぴり加わってはてさて、この虚しさは何処から来るのだろう?

 これも、今流行の「男の更年期」なのか・・・?!