〈其の五十〉

 慌ただしく年の瀬が過ぎ、赤ら顔の年始の神がにたり顔で高鼾を掻いている。辺りには、上げ膳据え膳の器が散らかり放題。食っちゃ寝、喰っちゃ寝でいい気なもんである。だが、お持て成しも三日目までで、それでも良い方で何処の家でも迷惑がられる。

 河原ではセキセイが、人の世の決め事など関係なく何時も通りに、ちょこちょこと忙しなく尻を振り振り餌を探している。ツゥピーツゥピーと忙しく、少ない餌を求めて枝移りをしているシジュウカラも、休日も何もなく日々のサイクルの中で生きている。・・・何が楽しくて・・・。だが、見方を変えると面白いもので、自然界には肥満の動物は居ない(もっとも生きていけない)。餌を得るのに費やすエネルギーがバランス良く保たれているのである。

 太った鳥は飛べないし、動物は素早く動けない。人間だけがブクブク太る。何らかのバランスが崩れているのである。過食なのか運動不足なのか・・・。喰っちゃ寝喰っちゃ寝で少し太ってみたいものである。ゴロゴロしたいのである。だが、天の神様は自堕落にのめり込むタイプと見ているのか、次から次と問題を起こし、ちっとも休ませてくれない。未だ一月で始まったばかりだというのに・・・。益々酷くなるのである。

 昔あったTVで、渥美清の「泣いてたまるか!」と言う番組。まさにその心境!負けないぞと思いつつ、チラッと許されるなら「フーテンの寅さん」も良いなと思う今日この頃なのです。

(明日晴れれば良いな)