〈其の六十七〉

 陰気で暗い、ボツボツ肌で痘痕顔の梅雨神様は、調子でも悪いのかそれとも、後発のエネルギッシュで五月蠅すぎる夏神様に、嗾けられているのか、本来のジメジメ長雨も何処へやら・・・。お陰で去年と違い、今年は常連達も鱒族の釣果も過去になく良いみたい。条件が良いとこうも違う。決して腕が上がったと思うなかれ!?
 かく言う私も、ゴールデンウィークの取り返しとばかり、一泊キャンプで釣り三昧。久しぶりの長時間、腰の痛さも忘れ。
 「えがった!えがった!」の連続。
調子に乗って釣っちゃうと、その沢の魚を全滅させてしまうので・・(ってか)程々に、「ビール!ビール!」と切り上げて、ベースキャンプへ。
 「グビグビ、ゴックン!プッハァーッ」
一息入れると、其れまで夢中で気にも留めなかった、春蝉の声が一気に耳元に雪崩れ込んで「もう夏だー!」と独りごつ。
 山間に傾き掛けた日差し、梅雨の時季を忘れた青空、眩しすぎる木々の緑、そして蝉時雨。生臭さの残る手には、ギンギンに冷えたボンベイサファイア。もう言う事はないでしょ。
 「本日は最高!!」

(やはりグビグビのゴックンでしょう)