〈其の七十一〉

 空が、空気が澄み渡り、野のススキの穂が、萩の小さな花弁の輪郭も、はっきりとしかもしっかりと見え、 朝夕の冷え込みに身を震わせながら秋神様に「もう冬支度ですか?」と、問うてみる。
「まだ冬神にはゆずれぬ」と踏ん張るがそれも時間の問題。時世の目まぐるしい流れと等しく季節の流れもまた速いものである。
 勝手なもので、暑くなる日を恋いこがれては遅く感じ、寒くなる日はアッという間。とそう言う時季である。もう・・・。
そう、後二月で今年も終わり、早い物である。
そこで、ふと「やり残してることはないか?」と自分に問うてみる。ッて、構えることはないけれど、時間の有意義性を分かる歳になると自問自答をしてみたくなる物である。答えは出せなくても・・・。
 夜が長い季節は「考える」ことが楽しいのである。勿論グラスを片手に・・。お気に入りのCDでも聴きながら・・・。
で、頭の中は堂々巡り。やはり答えは出ない、回答は出来ないのである。その分、グラスを口に運ぶ回数が増え、ご機嫌の音楽で何時しか陶酔の世界。答えは出せなくても、鈍った頭と胃袋に潤滑油を廻し、忘れていた「考える」事を思い出すのも良いことだ。偶に使わないとね。
 まっ、私の様にその能力が元々欠如している人間は、お気に入りの音楽を聴きながらグラスを傾けるのが精々。
 そうそう、夜長の寒くなる季節は、食べて飲んでの高鼾。
 所詮気取ってみても無理、お気楽のんきで行きましょう。

(グビグビグビのグォウグォウグォウ)