〈其の七十九〉

 積雪の多さは山の恵みを遅らせ、雪代も大分遅くまで残った。
やはり、番狂わせの春蝉達の羽化もそうさせるのか、六月に入って一斉に、例年よりも賑やかに、そして梅雨入り前の僅かな期間に、パートナーを見つけようと盛んに鳴き始めた。・・・のも、束の間。
 本格的な梅雨入り。
重く垂れ込めた梅雨雲に、見通しの利かぬ林道。形状を忘れた山々。
あの春蝉達は何処に、動物の気配も消えた暗く静かな森。
それでも、微かに滲む日の光で、居場所が分かる太陽。
低い雲に圧迫されるのか、低空飛行の岩ツバメ。
 シトシトと鬱陶しい長雨に皆が皆、活動を抑制され、やる気も殺がれる。
何処吹く風とばかり元気なのは、田の蛙と紫陽花の蝸牛か・・・。
 梅雨前にと、物置兼ガレージとは名ばかりの堀立て小屋の雨漏りを急遽直し、去年秋からコツコツと再生していたバイクも、再び手を入れ始め今年中にはエンジンに火を入れようと、雨の日は雨の日で遊ぶ材料は事欠かない。そんな日はゴロゴロうだうだ寝ころんで、お昼寝でもすりゃあ良いのに貧乏性というのか、何かかにかやってるな。
 まぁ、動けるうちは動いて頭使って呆け防止。でも最近疲れ気味だな。
やっぱ、お昼寝でも仕様ッと・・・・・。

(シトシトのグウグウー)