〈其の八十三〉

 その方が居心地が良いのか、うっすらと雪を降らせた頂に、ドッカリと胡座をかいて、里を見下ろしている冬将軍が居る。思案げである。
今シーズンの出番、気温、積雪量、風力など天候のことを考えているかしらん。真剣に考えなくても良いものを・・・。
 今年は色が冴えないと云われた紅葉。銀杏並木の銀杏達も、あの輝くばかりの黄金色がいまいちで、未だ青々しているもの半分黄色の奴など足並みが揃わず・・・、そう言えばぎんなんの成りが少なく、あの臭いも例年ほど感じなかったようだ。それでも紅葉のフィナーレを終わり、すっかり枯れ葉を落とし冬支度。
名残惜しいのか、赤トンボの群も今年は遂先日まで力無く飛んでいた。
 何かおかしい?。正直、自然界は何かを感じているらしい・・・。
 「未だ心配するに足ん!」
と傲り高ぶる人間だけが気付かず、何時か手酷いしっぺ返しを食らう。

 寒さが身に染みてくると、特に年々歳々なのだが・・・、人は温かさを求めるもので、それぞれにその対象は違うようだが、平たく云って私の場合は、手っ取り早くお酒でしょう。「熱燗」美味しい季節になりました。
 ただ、どうも酒量の方は落ちてくるもので、歳の数だけ反比例し、少量で可成りの酩酊になるらしく、未だ皆さんにご迷惑をお掛けしている次第で面目ない。
 若い時分には、飲んで酔ってそれだけで楽しかった。
この歳になると、「酒」の持っている「意義」を考えるようになり、人それぞれに酒肴が違うように、スタイルも違う。楽しみ方も違う・・・。
 どれ、今宵は炬燵に当たって、チビチビとやりながらその「意義」について考えますか・・・。うーん、やっぱ、酒量は増えるな・・・。

(チビチビのクチャクチャ)