谷口君のハイキングレポート その1

< 尾瀬 >

2002年7月19日(金)〜22日(日)

・1日目  7月19日(金)

  22時集合のところ、プランナー谷口が少し遅れて到着する。
  受付を済ませバスを待つこと30分、22時30分過ぎにバスが
 来た。乗り込んで確認を済ませ23時少し前に新宿西口を出発する。
  23時25分ごろ運転手が「消灯」をアナウンスし車内が暗くな
 る。練馬インターに24時過ぎに入る。

・2日目 7月20日(土)
  0時30分三芳PAに休息停車。とりあえずトイレへ行き、ポカ
 リスエットペットボトルを買って車内に戻る。なかなか眠れないの
 でバスの前方を見つめる。前を走っている車の挙動が気になるが、
 バスの運転もふらついているような感じを受けてこれも気になる。
  4時00分頃尾瀬戸倉スキー場に着く、外を見ると沢山の人が
 列を作っている。バスを待っているにしては多すぎるなぁと思って
 見ているとバスの運転手からのアナウンスで「先日の台風で鳩待峠
 への道路が崩壊しマイクロバスが通れなくなっています。タクシー
 で順次輸送していますので少し待ち時間がありますが列に並んでく
 ださい」とのこと。列の最後尾に並ぶがワゴンタクシーがフル回転
 で輸送に当たっているので、待つこと30分でタクシーに乗ること
 が出来た。

  鳩待峠着5時15分。天気は快晴に近く至仏山からの眺望は期待
 できるが、暑くなることも十分予想できた。トイレに行き、飲料水
 を補給してからバスの中で配布された「まいたけ弁当」で朝食を取
 る。本間君と米永君は朝食が無いと思っていたようで出発前に買い
 込んだ弁当で朝食でした。

  5時40分頃鳩待峠出発。休息所正面の至仏山への登山口に入る。
 笠ヶ岳への分岐を7時頃に通過する。少しペースは遅めであるが
 登山者が多くなかなか先へ進めない。森林限界を超えた当たりから
 視界が開け尾瀬ヶ原の全貌を目にすることが出きる。雲もなくほぼ
 快晴のために見渡す限り視界を遮るモノはなく奥只見から谷川連峰
 までがよく見える。しかし残念なことに山名同体ができない。眼下
 にならまたダムによる堰き止め湖「ならまた湖」が黒い水面を見せ
 ている。奥只見の山々には残雪が残りここも白いアクセントを見せ
 ている。
  日差しは強いが、風が冷たくとても気持ちが良い。なぜかアカト
 ンボが群舞している。本間君が「この季節は高い山がちょうど良い
 んだよ。秋になると涼しくなるから下に降りて来るんじゃないかな」
 と的確な説明をする。お花畑には高山植物がたくさん咲いていて
 ご婦人方がいろいろと花の名前を言い合ってはカメラを向けている。
 リュウキンカやキンポウゲ、それにチングルマなど、私にもわかる
 植物もあった。ここでも黄色いニッコウキスゲが咲いている。

  小至仏のピークがどこかわからなくなり適当にあいずちを打ちな
 がら登る。しかし睡眠不足の体には蛇紋岩の岩場は足を取られそう
 になり、高度を稼ぐことが出来ない。みんな先へ行ってしまうが、
 自分のスピードで登る。午前9時30分、至仏山頂上に着く、しか
 し登山者が多すぎて休むところもない。本間君、米永君、牟田さん
 をそれぞれ山名標識の横に立たせて写真だけ撮り、すぐに下山を始
 める。

  数年まえに再開された東側登山道を下山するが、これが大変な
 誤りであったことに気が付いたときは既に遅く、蛇紋岩の滑りやす
 い山道は歩きにくく降りにくく、足への負担は大変なモノとなって
 しまった。若者2人は元気に降りてゆくが私は足の疲労がピークに
 達し、距離は伸びないが時間だけが過ぎてゆくという最悪の状態に
 陥ってしまった。
  途中、牟田さんが待っていてくれたのでなんとか二人で下山でき
 たが、本間君と米永君が山の鼻に到着してからさらに45分後、や
 っと下山することが出来た。昼食時間を長めに取り、私の体力が回
 復するまで全員待っていてくれたのでなんとか復活することができ
 た。

  午後2時、昼食を済ませ体力を回復したところで山の鼻を出発す
 る。ここからが牟田さんが楽しみにしていた尾瀬の「木道」の始ま
 りである。地図を広げてこれから歩くコースをメンバーに説明し
 尾瀬ヶ原への一歩を踏み出す。

  山の鼻の山小屋群を抜けて木道をたどり始めると、すぐに目の前
 に「高層湿原・尾瀬ヶ原」が広がる。ニッコウキスゲの花が黄色い
 絨毯のごとく広がる眺めにメンバー全員感嘆の声を上げる。牛首当
 たりのダケカンバの林からウグイスやカッコウやカラスの鳴き声が
 聞こえてくる。都会のカラスは風情がないが、尾瀬ヶ原で聞くカラ
 スの声はそんなに悪い気はしない。

  牛首の分岐に「左・東電小屋」の標識がありメンバーからルート
 の確認を受けるがそのまままっすぐに歩き続ける。まだ時間も早い
 ので、この当たりはハイカーも多く時々木道に渋滞が起きるが思っ
 たほどではなく、比較的スムーズに進むことが出来た。
  ニッコウキスゲの絨毯の中を気持ちよく歩き続ける。これだけ気
 分がよいと、至仏山下山時に消耗した体力もかなり回復してくる。

  中田代を抜け竜宮へ向かう。今回は10年前に見逃した竜宮現象
 を確認したかったので竜宮十字路へ近づくに従って周囲を注意深く
 観察する。地塘にはオゼコウホネやヒツジグサがたくさん咲いてい
 る。そんななか少し離れた場所に表示板が有るのを発見する。他の
 メンバーはずいぶん先を歩いているので早足で表示板まで木道を渡
 り、竜宮の流れ出し口を確認する。たしかにタダの水たまりみたい
 なところから水が流れ出している。反対側の流入口は少し遠かった
 ので、この標識だけ写真に撮りメンバーを追う。

  竜宮小屋まで足を延ばしトイレ休憩とする。他のメンバーは少し
 アルコールを補給する。ここで午後4時であった。
  雷鳴が聞こえてきて雲行きも怪しいので竜宮十字路へ戻りヨッピ
 の東電小屋へ向かう。ヨッピ橋までの木道は掛け替え作業中のとこ
 ろがあり、近くの湿原に機材を置いてある箇所が少しあった。とこ
 ろどころ片側通行の木道をヨッピ橋まで一気に歩く。吊り橋の上で
 記念写真を撮る。揺れる橋は米永君には不評であったが綺麗な流れ
 を見送りながら目の前の東電小屋へ最後の木道を歩く。ここで雨が
 降ってきたが、さいわい小雨だったのでそのまま歩き小屋へ到着し
 たのは午後4時30分であった。

  さっそく宿泊手続きを行い、明日のお弁当もお願いする。4人の
 グループと相部屋とのこと、8畳+2畳の広さに8人が寝ることに
 なるが、相方のグループは早朝(午前4時)出発するからとのこと
 で入り口付近に寝床を確保し、われわれは朝寝坊を決め込むために
 奥に寝ることにする。
  4人のグループの名前は聞かずじまいだったが柏−茨城の方で牟
 田さんとローカルな話で盛り上がっていた。みんなほとんど毎月
 尾瀬に来ているとのことでいろいろと興味深い話を聞くことが出来
 た。

  われわれは到着後一休みしてすぐにお風呂へ行ったが、尾瀬でお
 風呂に入ることができるとは思わなかったのでとてもハッピーな気
 分であった。
  お風呂から上がったところでみんなビールをたしなみ一眠りする。
 夕食は午後5時からと午後5時30分からの2回に分けられている。
 様子を見ると4人分が空いていたのですぐに夕食を食べた。疲れた
 からだに暖かいみそ汁はとてもおいしかった。

  夕食後外に出てビールで乾杯をする。しかしわたしはイオン飲料
 である。とりあえず写真を撮り、あとは今日の感想をしゃべった
 ひとときであった。

  午後7時、部屋に戻ると既に他の4人は寝ていたので、われわれも
 布団を敷き身繕いをして就寝する。7時40分であった。

  こうして尾瀬の1日目は暮れていった。

・3日目 7月21日(日曜日)
  山小屋の朝は早い。午前4時、相方の4人のメンバーが起き出して
 身支度を始める。牟田さんが「電気つけて良いですよ」と言ったのだ
 が、「電気つかないんですよ」との言葉。電源が切れているらしい。

  さすがにこの4人は手慣れているようで、あっというまに準備を整
 え出発していった。半分寝ぼけ眼で挨拶を返し見送ることとなったが
 静かになった室内でまたまた睡眠の泥沼に引きずり込まれて・・・・
 とはいかず、目が覚めてしまったのでしかたなく起き出す。
  午前4時30分を過ぎたあたりからだんだんと明るくなってくる。
  外を見ると朝靄が流れながら幽玄の風景を醸し出している。
  しばし移りゆく早朝の風景に一同見とれていたが、5時を過ぎて
 あたりもはっきりしてきたので、みんなで外に出て小屋の横でお湯を
 沸かしコーヒーブレイクタイムとする。

  午前6時、朝食が始まる。牟田さんが気を利かせて並んでくれたの
 で、すぐに朝食にありつくことができた。
  社交性に富む牟田さんのおかげでお隣の中年のご夫婦と話しながら
 賑やかなおいしい朝食を食べる。ご飯のおかわりも戴き、お腹いっぱ
 い食べること20分ほどで朝食終了、先日着いたときに依頼していた
 おにぎり弁当を受け取り部屋に戻る。
  身支度を済ませて6時30分には部屋を出る。小屋の前で記念撮影
 を行う。東電小屋の方が「今日は一年で一番混む日だったので相部屋
 の狭い状態でしたが、今度はシーズンを少しずらしておいでください。
 10月の体育の日を含む連休を除けば比較的楽に泊まれますから。」
 との言葉を戴く。「一部屋6〜8人程の定員なので一グループでその
 くらいの人数だったら纏めて一部屋使えます」との助言も戴き、次回
 は人数を集めて来ることにしようと誓い合う。

  6時45分東電小屋出発、「左・三条の滝」の指示板を横目に見な
 がら赤田代の三叉路を右へ向かう。昨日同様、湿原にはニッコウキス
 ゲの黄色い絨毯が広がっている。感嘆しながら歩くこと30分ほどで
 下田代十字路、通称「見晴」に到着する。最初の弥四郎小屋で休息し
 水を補給してから出発する。

  7時30分、山小屋群を抜けて樹林帯の山道に入る。山道は風が涼
 しく気持ちよいが眺望が聞かず、ただ黙々と・・・・いやいやいつで
 も誰とでも仲間になれる牟田さんは追い抜く人追い抜かれる人と話し
 ながら賑やかに歩いてゆく。

  9時過ぎに尾瀬沼へ抜ける段小屋坂の最高地点「白砂峠」を越える。
 とりあえず本間君と記念写真を撮る。

  午前9時50分、樹林帯を抜けたところにそば屋があった。立ち
 止まり、少し休息してから沼尻へ向かう。すぐに視界が開け、尾瀬
 沼が広がる。休息所でドリンクを買い水分を補給する。トイレに行き
 少し休憩する。後で徳久さんに聞いたところに寄れば此処のトイレは
 尾瀬で一番高い200円の寸志を要求するとのこと。それもそのはず
 最新式のバイオトイレであった。しばらく休み10時10分に徳久さ
 んとの待ち合わせ場所「尾瀬沼ビジターセンター」へ向け出発する。
 ここからは湖畔を巡る周遊路でちいさな湿原が交互に現れては消えて
 ゆく。
  尾瀬沼周遊コースを歩くこと小一時間で今回の行程のなかで大きな
 湿原としては最後となる「大江湿原」に出た。10年前もそうだった
 が今回もニッコウキスゲの黄色い絨毯が広がる光景に目を奪われ一同
 感嘆の声を上げる。みんなの写真を撮りながら心に残る最後の湿原を
 通り過ぎる。

  尾瀬沼ビジターセンター前に待ち合わせ時間の少し前10時50分
 に到着する。沢山のハイカーで混雑する中を見て回るがまだ着いてい
 ないらしい。

  とりあえずビジターセンター前で休息しながら待つことにする。
 牟田さんは売店を見つけ、さっそくアルコールの補給に努めている。
 飲めない私はセンター前の水場でおいしい水をペットボトルと体とに
 補給する。レジャーシートを敷いて座り込みお湯を沸かしてコーヒー
 タイムとする。午前11時20分、徳久さんが颯爽と・・・ちょっと
 疲れ気味で現れる。燧ヶ岳を往復した直後だけにお疲れのご様子であ
 る。頂上はガスの中で視界は全くなしとのこと。ボランティアのカー
 ドを付けているのでいろんな事を聞かれると少しぼやく。しかし我々
 から見るととても頼もしいのであった。

 

 

  そのままいっしょに食事を済ませ、12時30分に出発する。徳久
 さんは沼山峠へ、われわれは三平峠越えで大清水へ向かうので、ここ
 でまたの機会を臨みながら分かれる。

  20分ほどで三平下にでる。休息したかったが日差しが強く人も多
 いので休息を諦めてそのまま三平峠への樹林帯に入っていく。5分ほ
 ど歩き少し広くなっているところで休息する。最高地点の三平峠はそ
 れから10分ほどで通り過ぎる。中学生の集団が元気な挨拶をしなが
 ら行き交う中を負けじと挨拶を返しながら歩くが、結構これが疲れる。

  本間君の足下がおぼつかなくなり時々足を踏み外したり足首をひね
 ったりする。若いとはいえかなり疲れている模様である。米永君は「
 下りがきつい」と言いながらそれでも順調に足を運んでいる。元気だ
 った牟田さんもさすがに疲れてきたようで、途中で膝を痛め歩き方が
 おかしくなる。しかしここまでくれば後はもう帰るだけ。寡黙になり
 がちな帰路なのに、中学生の挨拶に返しているとそれも消え去ってし
 まう。

  14時15分、一ノ瀬休息所に出る。みんな疲れているので休息す
 る。しかし大清水口集合時間の15時10分まであと50分しか無い
 ので5分ほど休んでから出発する。先に行って乗車手続きを済ませば
 大丈夫だろうと判断し、私だけ歩調を速める。なだらかな下り坂なの
 で普通に歩くには支障がない。黙々と歩くこと40分、15時ちょう
 どに大清水バス停に到着する。バスはあるが関係者が見あたらない。
 探していると他のみんなも到着する。バスの運転手が戻ってきたので
 状況を確認すると、ここから戸倉口まではわれわれの4人とカップル
 の2人に計6人だけだという。揃ったら時間に関係なく出発しますよ」
 と言われたのでメンバーに告げてから売店でポカリスエットを購入し
 汗で失った水分を補給する。

  15時20分、我々が乗り込むとすぐに2人のカップルも乗り込ん
 できて、同時にバスも走り出した。我々の席は一番後ろの5人掛け
 だったので余裕がありとても助かった。

  戸倉口には20分ほどで到着し残りの乗客を乗せて16時前に出発
 する。沼田でドライブインらしきところに立ち寄る。トイレを済ませ
 無料配布の「ナメコ汁」を戴き満足したところでバスに戻る。

  17時ちょうどに関越自動車道に入る。渋滞の表示があるがこれは
 もう仕方ないのでバスに任せる。バスの中では30分ほど眠ってしま
 った。牟田さんが廻りの景色や隣の車線を走っている車についていろ
 いろと話すので、こちらも引き込まれて話に応じてしまう。しかし私
 の知識では太刀打ちできないので米永君に対応を任せる。

  午後8時過ぎに無事新宿へ到着する。新宿駅でみんなと別れて一人
 京王線に乗り込む。8時30分の準特急に乗車出来たので、ちょうど
 9時に帰宅することが出来た。
  全身が疲労困憊しているが久しぶりの高山と高原の空気を吸ってき
 た充実感に満足し今回の「尾瀬ハイキング」を終わることとする。

 教訓1.初めての登山道は十分下調べをおこなうべし。
   2.湿布薬はあった方が良いかも知れない。
   3.やっぱりコースタイムは十二分に余裕を持つこと。