2000- 8-27  第 13回インターアクト年次大会



  
 
盲導犬クロードとともに

埼玉県立秩父養護学校の現職教員である 新井淑則先生の
  講演があった。「心のバリアフリーを」という題で要旨は、困ってい
る人に手を貸せないあなたのバリアを少しの勇気でとりはらおう。という
提言であった。
私も白い杖を持って道を歩いている人に手を貸したことはないので自分の差別
区別する心根のことを言っているのかと身につまされた。
私は大宮南ロータリークラブに入って間もないが、今年度はインターアクト
委員長ということで、この年次大会に参加したのであった。会場に入ってあ
たりを見回すと犬を連れた人がなにやら灰皿をさがすふうで、見ていると、
そのうち、探しあてた。
その人は端正な顔立ちと細いがしまった体つきの40才すぎの人だった。
ロータリーの会員とは少し印象が違うし、ゆうゆうと、しかし少しは落ち
着かない様子だった。
ここでやっとこの人が講演の新井先生だと気がついた。
年次大会は開会して、表彰状の授与がありいよいよ講演がはじまった。 盲導犬はその時壇上の飾り物のように動かずに、おとなしく私も見習らわ
なければというくらいじっとしていた。 


新井淑則先生 「心のバリアフリーを」

盲導犬のクロードを講演を聴いている人たちに紹介して、盲導犬についてまずは語った。
クロードは雄のラブラドルレットリバーであり、現在盲導犬になってから2年半になる。
埼玉県内には44頭が活動していて、東京都の40頭より多い。盲導犬を飼うことの国の補助は毎月1万円で、テレビで放映していて皆さんが持っている盲導犬のイメージはなんでもできるということを漠然と思っているでしょうと考えていることをズバリ言い当てられた。テレビの盲導犬ハッピーは、ドラマ仕立てであって、盲導犬の理想をドラマにしたものであって犬の能力の範囲を超えることは当然できない。訓練するから、そのとおりできるのであって、それ以上は期待できない。犬だって手をイヤ足を抜くことが大好きであってこれは人間も同じ。しかし足を抜いているとドンドン元の普通の犬に戻ってしまい盲導犬としては使えなくなってしまうこともある。
犬の能力として犬は学説どおりだと全色盲ということで白黒の映画を見ているのと同じということになる。だから信号の青、黄、赤は判断ができない。道路を横断するときは、犬が渡るように飼い主を促すのではなく、人間がまわりの音を聞いて判断して渡ることになる。さて犬の値段なんか気になりますよね。犬の値段は県の費用で支給されるので無料、ただです。盲導犬は、普通の犬に生まれて1年間は繁殖ボランティアが育てる。その中から選別して盲導犬として育てていく。盲導犬を訓練するのはアイメイト協会と言ってこのへんでは東京都練馬区にあります。盲導犬クロードのことをアイメイトと言います。そこには20代の女性6人が選別された犬を盲導犬して役に立つよう訓練に励んでいます。新井先生は人間に寄り添って生きることが犬の幸せであると思っています。普通の犬はストレスが溜まっていてノイローゼにかかっているそれだから、ほえるのです。だいいち盲導犬の方が普通の犬より長生きします。クロードの健康管理には気を使っています。汚い話になりますがいろいろな所に行くとき。ウンチをビニールで取ってにおいを嗅いで健康かどうか調べます。だからそれだけ気を使って大事にしてもらっているので犬も幸せだと思います。皆さんに言いたいこと、最低限これだけは、言っておきたいのですが盲導犬を見たら、ハーネスを背負っている時はこれは仕事中ですから「触らないで下さい」。犬は人間に撫でられると人間を喜ばそうと思って遊んでしまうからです。
これ以上盲導犬について知りたければインターネットで盲導犬のサイトがいくつかありますので是非ごらんになってください。
今度は私、新井の話をします。私の家は代々オカタイいうか、学校の教師が多いんですが祖父の遺言が「新聞に出ることはするな」でした。もちろん新聞に顔や名前がのるような悪いことはするなという意味です。視覚障害者で現在教師として活動しているのは日本で2人なのでそのことで新聞に載りましたが、これはよいと思います。私は目は近視それも零点いくつという近視でした。それでも高校、大学を出て中学校の国語の教師をしていて、サッカーが好き、子供が好き、中学生が好きな普通の学校の先生として過ごしていました。ある日、目の前で虫が飛ぶのが見えるんです。そのうち黒い膜が降りてくるようになりました。翌日とうとう医者に行ったら、即刻入院です。強度の近視による網膜剥離という診断でした。網膜のフィルムが破けてしまう。同時に酸素が行かなくなって神経細胞が死んでしまう。
そうなると10回以上手術を繰り替えしたんですが、今の視力は、右は全く。左は明るさがわかるだけ。5年前にこの今の視力になったんです。その時は養護学校の教師の3年目だった。視力を失ったときの気持ちはとても言葉ではいいつくせない。夢でよかったーという悪夢がそのまま現実。なんです。半年間家で泣いて暮らしました。私の家族は7人です。あとの6人は見えるんです。それでも家族が家から外に出してくれたんです。家にこもってばかりで家族が心配したんだと思います。だんだん人と会うのが楽しみになってきました。それから自分と同じような境遇の人たちを知るようになりました。視覚障害がありながら普通高校に通っている生徒が日本で30名いる。岩槻高校にも「みやぎみちお」君が白い杖をもって通っています。気を取り直してリハビリです。白い杖をもって歩く訓練。点字の練習。これは半年でできるようになった。パソコンは便利です。これでイーメイルをできるようになりました。そして養護学校に復職できました。
養護学校に戻って最初は、生徒にできないこと、見えていた頃を思い出して、できないことばかり教えていました。しかしそのうち教えることは、できることをふやしていきました。養護学校とは知的障害のある子が通っているのですが、どうして傷害をもった子がいるのか。私は考えました。結論として人間以外の動物目の見えない猿はおんぶできなくなった時、その時点で生きていけない。他の動物でできないこと。崇高なもの。神様のつかい。そう思っているのです。バリアフリーとは最初は建物に使われた言葉です。しかし歩道の段差を無くすと。車椅子には都合がよいが杖を使うひとは困る。傷害ごとにバリアが違うんですね。やはり人の手助けが必要、一番必要なんです。日本では旅行というと考えてしまうが、海外ヨーロッパ、アメリカ合衆国などは気軽に旅行できます。それは心が違うからなんです。見て見ぬふりをすることは、少なくとも皆さんは、これからはしないで下さい。あなたの心のバリアをフリーにして下さい。最後に私の好きな詩を読んで終わりにしたいと思います。
 
    天使の特別な子供
 Edna massimilla  大江 裕子 訳
 
会議が開かれました。
地球から遥か遠くで
「また次の赤ちゃんの誕生の時間ですよ」
天においでになる神様に向かって、天使たちはいいました。
この子は特別な赤ちゃんで、沢山の愛情が必要でしょう。
この子の成長は、とてもゆっくりに見えるかもしれません。
もしかして、一人前にならないかもしれません。
だからこの子は、下界で出会う人々に特に気をつけてもらわ
ねければならないのです。
もしかしてこの子の思うことはなかなかわかってもらえない
かもしれません。
何をやってもうまくいかないかもしれません。
ですから私たちは、この子がどこに生まれるか注意深く選ば
なければならないのです。
この子の生涯が幸せなものになるようにどうぞ神様、この子
のためにすばらしい両親をさがしてあげてください。
神様のために特別な任務を引受けてくれるような両親を。
その二人はすぐには気がつかないかもしれません。
彼ら二人が自分たちに求められている役割を。
けれども、天から授けられたこの子によってますます強い信
仰と豊な愛を抱くようになるでしょう。
やがて二人は、自分たちに与えられた特別の神の思し召し
を悟るようになるでしょう。
神からおくられたこの子を育てることによって。
柔和でおだやかなこの尊い授かりものそ天から授かった
特別なこどもなのです。
 
新井淑則 先生の教師の卒業
 
NHK の令和4年3月31日放送の「春よ来い」の番組中で、新井淑則先生の特集が組まれました。先生は秩父郡皆野町の皆野中学校の国語の先生を定年60才で3月31日退職されました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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