司法書士と銀行窓口業務





 

 

 
  
1.はじめに司法書士として銀行および銀行員とどのように折衝したらよいか孫子の兵法のいうように、敵を知り己を知れば百戦危うからずというようにつきあう戦う相手を知らなければ、思わぬ敗戦もするや知れず、そのことをはじめに話して欲しいと頼まれました。
           

 
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銀行員だって、最初から顔で笑っていても.目は笑っていない。常に冷静な銀行員タイプの人間に最初からなるわけではない。入行して3年たつと盆栽のような人間ができあがるのです。まあ枯れたタイプともいえましょう。田中康夫長野県知事は大学卒業時に私の勤めていた興銀に内定が決まっていたのです。

しかし銀行内部をつぶさに見ているうちに枠にとらわれないタイプと自覚してるでしょうから入って来ませんでした。銀行員には自由奔放なタイプはいません。いても2年くらいのうちに辞めますね。
まず入行してたたき込まれるのは信用第一ということです。銀行員であれば私生活もチェックされる。銀行員の奥さんは質素に暮らせ。銀妻は質素にと言われる。奥さんがハデだと、旦那が悪いことをしていると勘ぐられる。未婚の女性で愛人ありと噂が入れば、現金の扱う部署である現金の扱っているところと為替がはずされます。
信用第一といえば、ここ春日部の富士銀行でお年寄りを殺害した事件がありましたがその後お年寄りの解約がつづいたということもあったそうです。

さように銀行員は信用第一とされるのです。
つぎに警戒心が強い。

なにしろ銀行というところは出世の基準が減点主義でして、貸し出し先が倒産すれば地方に左遷させられもう一生うだつがあがらない。出世のチャンスはないとなってしまうのです。ゆえにあらゆることに警戒しなければならないのです。
したがって監視体制が厳しい。支店長の役割とは、部下を監督することが第一なのです。特に悪いことのできる課長、課長代理などの悪事のできる立場の人を重点的に見ているということです。私の自宅のもよりの駅は小田急線の相模大野ですが、そこにあさひ銀行の支店があります。そこも支店長が奥にドカッと座り「おまえ達の働きぶりを見ているぞ」と言わんばかりに客ではなく行員を見ているのです。
あとは構えるということです。裁判になれば銀行員に対して裁判所は高度の善管義務を要求します。最近の判例では通帳を盗まれて、盗んだ人がハンコをハンコヤに偽造をたのんだ。頼まれたハンコヤは絶対同じものは作らずにどこかひとつ違えてつくるのです。それを銀行に持っていってお金を引き出した。銀行員が違えた1ケ所を見過ごした。それで裁判所は銀行を負けにしたのです。それくらい高度の善良なる管理者の注意義務が要求されるのです。
以上は銀行員の性格と行動パターンですが銀行にはそれぞれ人事処理のマニュアルがありそれをはずすことは滅多にあるものではないのです。マニュアルをはずすには支店長の承諾書が必要になりやっかいなのです。
そうして3年たつと顔で笑っても目は笑っていない、銀行員ができあがるのです。
私も貸し出しの人物の見極めに相手が信用できるかよく観察したものです。信用があり仕事をしてこそ金が利子をつけて戻ってくるのです。それが裏社会とつながっていたり、家族関係が乱れていたり、不審な点がないかよく観察するのです。
司法書士さんが後見人の代理として銀行に行く場合これらのことを念頭において欲しいのです。
銀行員の見る私の執筆したマニュアル「新後見制度と銀行取引QA」−銀行研修社発行を見て、形式にのっとった対応を心がけて下さい。成年後見のパンフレットと客の台帳を持参して流れのよい会話から始めて下さい。銀行員はマニュアルどおりの形式が整って体裁がよいものを喜びます。そうでないとお金の払い戻しとか残高証明ができないことになりかねません。銀行預金通帳を新たにしたく成年後見人が銀行に行ったところ、もとに銀行印が必要であり、かつ本人の署名が必要とマニュアルどおりに対応された。
そのケースでは推定相続人同士で争いがあり一刻も争う事態であったので銀行に「ストップしてくれ」と言ってもすぐには対応してくれなかった。事情を詳しくくじけずに主張しないと通帳に書き換えに応じなかった例があった。
銀行としては、後見人の権利の乱用に巻き込まれないようにすることを心配する。
500万円の定期預金を解約するなら後見監督人に同意が必要となります。後で取り消されると二重払いの危険性が出てくるからです。補助と保佐は代理権の範囲が伸縮自在であるから、どこまでの代理権か銀行も確認しなければならないのです。  

以下にレジュメを書いておきますので私の本を読んで下さい。

.銀行協会の基本姿勢
    成年後見の環境整備をしている



木内是壽先生
昭和10年香川県生れ  著書、 相続預金取扱事例集は金融機関のマニュアルとされている
 

     銀行が損害を蒙らないように、消極的にならざるを得ない体質がある。

2.窓口届出

 

   成年後見人に就任して、金融機関に赴く時に


 

・状況説明(銀行は受付カード作成・信頼関係構築)
・提出書類


 

          ・権限の変更

3預貯金等の残高証明−財産目録作成のため

 

 


 

・預貯金の残高証明発行。
・住宅ローン、保証契約等の有無確認


 

          ・投資信託、抵当証券、国債等の残高証明発行

          ・貸金庫の有無と収納物の立会後見監督人を交えて

          ・セーフティバッグの有無


預かり書類等の管理


 

      −成年後見人の実務として日常業務

          ・貸金庫使用


 

・本人用口座開設
・口座整理(ペイ・オフ、取引関係配)

5個別取引の対応



 

    −成年後見人の特殊な職務

          ・融資条件の変更


 

・居住用住宅の抵当権設定等
・資金運用(投資信託、外貨性定期預金の問題点)


 

          ・解約・払い戻しの注意点

6本人の死亡

 

     −死亡後、遺言執行者としての実務

              

 

・届出
・葬儀費用の払い戻し
・相続手続きへの移行
 



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