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「ロボコン」

2004年・東宝映画
○監督:古厩智之○製作:富山省吾○撮影 : 清久素延○美術:金勝浩一 ○音楽:パシフィック231
長澤まさみ(葉沢里美)小栗旬(相田航一)伊藤淳史(四谷部長)塚本高史(竹内和義)うじきつよし(葉沢良行)荒川良々(豪原)鈴木一真(図師隼人)ほか


 

  劇場に見に行こうかどうか迷っているうちにアッサリと公開期間が終わり、結局今ごろになってDVDで鑑賞することになった一本。一応気にはなっていたタイトルではあったのだ。
 「ロボコン」。往年を知る人には石森プロの子供向け特撮コメディのタイトルが浮かんでしまうところであろうが(「ロボコン、0点!」)、もちろんここでは「ロボットコンテスト」の略。決められたルールに従ってアイデアを絞ってロボットを自作し、それを競技で戦わせるもので、特に高専部門の大会がNHKで毎年放映され、ちょっとした「甲子園」状態で人気がジワジワ上がってきていた。僕も始まった頃から面白がって見ていて、一度だけだが両国の国技館で開かれた全国大会を生で観戦しにいったこともある。

 世間で人気のあるものはドラマ化なり映画化なりされるのはよくあることで…「ロボコン」もこうして映画にまでなってしまったんだから大したもの。しかも東宝映画が自ら製作、というのは怪獣映画を除けば最近珍しいんじゃないかと(僕が劇場で見たものでは渡哲也主演の「誘拐」ぐらいしか記憶にない)。それだけ当たると踏んで作ったんだろうけど、興行成績が良かったという話は少なくとも僕がこのDVDを借りた時点では聞いていない。というか、僕ですら迷ったぐらいだから、世の「ロボコン」ファンの大半もわざわざ遠くの劇場(公開館は絶対的に少なかったはず)に足を運んで見ようという気になる映画ではなかったのだろう。

 たとえ「ロボコン」が世間で人気があろうと、それをネタにした映画を劇場まで見に行くというのはまったく別の話。ましてや実際の「ロボコン」の面白さはスポーツ競技以上に予想不能なその展開にあるわけで、どうやっても予定調和なストーリーになってしまう映画には不向きなのでは…とファンだからこそ気付く問題もある。実際のところこの映画「ロボコン」もストーリーはあまりにも予定調和で意外性なぞカケラもないと言ってしまっていい。
 物語の舞台は実際のロボコンでも有力校である、瀬戸内海に面した徳山高等専門学校。主人公の里美は単位不足を補うために気が進まないまま「第2ロボット部」に入部、精鋭が集まる「第1ロボット部」に対してやる気の無い落ちこぼれが集まる「第2」は地方大会でも初戦敗退するが、アイデアが買われて推薦で全国大会出場が決まってしまう(実際の「ロボコン」でも勝負よりもアイデアが重視される傾向がある…が、同じ高専から2チームは選ばないんだよね、ホントは)。次第にやる気を出し、マジになって結束して行き全国大会を勝ち進む「第2ロボット部」の4人の青春ストーリー…ってな話で、正直なところ「どっかで聞いたような」お話である。特に周防正行監督の出世作「シコふんじゃった」の展開を連想させる部分が多い。
 ま、「どっかで聞いたような話」になること自体はあまり責められない。特にスポーツ映画の多くがこのパターン(ダメ人間集合→だんだんマジに)で、「クールランニング」あるいは「メジャーリーグ」など似たような例の名作は数多く挙げられる。そういうよくあるパターンをいかにうまく消化できるかが映画の出来を左右する。

 結論から先に言ってしまうと、僕はこの映画「ロボコン」、事前の予想よりは楽しんで見てしまった。一週間レンタルしたのだがなんだかんだと忙しく、気がついたら返却日前日で(汗)、翌日早朝出勤だからさっさと寝なきゃならないし…という慌しい夜に鑑賞したのだ。「つまらないと思ったら早送りか途中放棄」などと思いつつ見始めて、結局2時間超の長丁場を早送りもせずに見終えてしまったのだから大したもの(PC上で見ていたので途中ちょっとネットでよそ見したりもしていたが)。だいたいどういう展開になるかは見えてしまうものの、それをそこそこイヤミにならず、というかあまりにストレートに打ち出す物語なのでかえって見る気を起こしてしまったのかもしれない。青春映画にありがちな熱血や恋愛沙汰もほとんどなく、「鼻につく」ところがなかったのも良かったかも(その代わり全体的に倦怠感が漂うことも否めなかったが…)
 ただ明らかに無駄なエピソードも多く、もっと「ロボコン」をメインにして話を短く刈り込むべきだったとは思う。また肝心の「ロボコン」部分でも技術的な苦労話は実際に大会であったエピソードを流用しており(登場するロボットたちも全て実際に大会に出場したもの)事前に知ってる身としては少々しらける部分も多かった。ネタがネタだけに仕方ないかとも思うが、どうせやるならオリジナルの競技、ロボットを製作して臨むぐらいの手間をかけてほしかった。競技シーンで盛り上がるのもやはり映画オリジナルのアイデア(携帯電話!)を使った箇所だったのだから。

 事前の不安の一つにロボットコンテストの競技シーンをいかにリアルに「演出」できるか、があったのだが(スポーツ映画全般に言える問題だ)、これは不安を払拭するいい出来だったと思う。撮影現場は大変だったろうなぁと思うばかりだったが、展開が読めつつもついつい手に汗握って見入ってしまう準決勝、決勝の競技シーンは「ロボコン」ファンとしても大いに満足。最後にあの有名なロボットがゲスト出演してるのも、まぁ笑って許してしまおう(笑)。(2005/2/23)



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