98版DOS/V版
PC−FXGAとは?
◎商品の概要
PC−FXGA(GAとは「ゲームアクセラレータ」の略称)は、FXのソフトを遊べるだけでなく、自らゲームを開発できる環境を持ったパソコン用拡張ボードである。PCーFX同様NECHEとハドソンの共同で開発された。基本性能はFX本体と同じだが、スプライト機能を強化し、本体には存在しなかったポリゴン処理も行えるIC「HuC6273」が追加されている。FX同等の高画質アニメ表示と、他のマシンに負けないポリゴン機能が加わり、考えようによっては現時点で最強のハード。ただしFX同様あくまで画像出力はAV出力のため、通常のパソコンディスプレイには表示できない。パソコンの近くにTVを持ってくるかAV出力機能を持つディスプレイを用意しなければならない。商品にはGA専用ソフト「SAMEGAME(鮫亀)」(ハドソン制作)と、アマチュア団体DOGA制作のCGアニメ作成ソフト「DOGAGINIE」やサンプルゲームを含んだCD−ROMが同梱されている。PCー98版、DOS/V版の二つがある。価格は49800円。なお、初期にはキャンペーンで「GMAKER」とセットで売られていたが、現在は別売となっている。
◎FX本体との相違
基本性能・内蔵ICは上記の通り、ほとんどPC−FX本体と変わらない。これを詳細に解説するのは「検証!PC−FX論」所収の「ハード論」とかなりの部分でだぶることになってしまうので、カットしたい。追加IC「HuC6273」については別項目で述べる。
決定的に違うのはパソコンをFX化するボードのため当然のごとくCD−ROMドライブがないこと。よって音楽CD、フォトCDの再生機能は削除されている。さらにFX本体のようにCDを自動認識してロードする仕掛けはない。またゲームデータを保存するバックアップメモリが削除されている。これはフロッピーディスク、ハードディスクで代用する。フロッピーだとアクセスは遅いが、FX外部メモリパック(4000円はする)に比べれば格安で大量にデータが保存できる。おかげで私はFX本体を所有しているにもかかわらずデータを保存するゲームはほとんどFXGAでプレイしている。
◎市販ソフトプレイ上の問題
基本的に問題はない。パソコンのCD−ROMドライブが倍速以上(最近は倍速すら見かけないが)であればほとんどの市販FXソフトがパソコン上で動く。ただし我が家のパソコンは98であり、DOS/V版では何が起こるかわからない。FX関連サイトでもGAの問題は時々話題となっていたので参照して欲しい。一応我が家の98版FXGAが市販ソフトをプレイした時にこれまで発生したトラブルを以下に挙げておこう。
「ミラークルム」で時折アニメを読み込みに行ったまま帰ってこなくなる。画面は真っ暗のまま。一度全部プレイしたときは全く起きなかったが、家族がプレイしたときに発生。何度やってもそこで止まってしまう。少し前のデータからやり直すとすんなり通過したりする謎の現象。
○他のゲームをやった後で「ニルゲンツ」をプレイすると、ゲーム画面が不完全にロードされプレイできなくなる。いったん電源を切り、少し放っておくと、プレイできるようになる。
「鬼神童子ZENKI」をクリアしたとき、最後の犬神との会話がスプライトアニメと同期せず、ずれてしまう。他のイベント場面は何ともないのに、最後のこのシーンだけが確実にずれる。
「ユナFX」のセリフがしばしば飛ぶ。アニメはほとんど異常なし。
○「PCエンジンファン」誌のCD−ROMで「ゼロイガー体験版」のアニメが異常表示される。製品版は問題なし。
◎HuC6273について
FX本体を構成する「HuC62」シリーズの最新作でFXGAのみに搭載されているIC。。FX本来の機能に、強化されたスプライト機能と3Dポリゴン表示機能を加える。ポリゴン表示能力は10万ポリゴン/秒。数字だけだとPSやN64に及んでいないが、こんなのは技術でカバーできる。「んーにゅー」を見ればその実力がある程度理解できる。Zバッファ、フラットシェーディング、疑似シャドウ、疑似スポットライト、テクスチャマッピングなど初心者にはさっぱり分からない多くの機能が加えられている。 なお、スプライト機能もFX本体に比べ格段に強化され、画面内に表示できるスプライト数は事実上制限がない。FXとの互換性がないのが玉にキズだが、初心者にも比較的分かりやすいスプライト表示ができる。自作ソフトもこのICを多用する形で作るのが楽だ。
◎同梱ソフト「SAMEGAME」
FXGAには非売品GA専用ゲームソフト「SAMEGAME」が同梱されている。もともとパソコンのフリーソフトだったが、ハドソンが商品化し「鮫亀」の愛称で売り出した。このおかげでFXGAを買ったその日からとりあえず遊べる。いわゆる落ち物パズルで、このGA版は駒がポリゴン表示になっている。ただしゲームプログラムのソースが公開されているわけではない。当然ながらFX本体では遊べない。余談だがWin95上でこのCDをドライブに入れたら音楽CD再生が実行され、何と英語で警告メッセージが出た。
◎アマチュア提供CD−ROM
同梱されたCDの一枚で、最大の売りは3DCGアニメ作成ソフト「DOGAGENIE」。CGアニメ普及を進める、あまりにも有名なアマチュア団体DoGAにより製作されたソフトで、プラモデル感覚で一級品のCGアニメが作れてしまう優れもの。作ったアニメはFXGAを使ってTV画面に上映できる。またこのCDには「CGアニメコンテスト」入賞作品がFXGA専用動画ファイルMIXファイルになって収められており、やはりFXGAで鑑賞できる(「DORAGONFLY」は必見の名作!)。FXGAイメージCGアニメなんてのもある。
また関西方面の大学のサークルによって制作された、ポリゴンシューティングゲームとポリゴン格闘ゲームがある。こちらはソースが公開されているので、ゲーム作りの参考になる。
◎まとめと評価
ここではあくまでハード「FXGA」についての紹介に絞ったので、開発環境としてのFXGAの評価は他に譲る。全体の印象としてはなかなか盛りだくさんな内容であり、私自身「買って損はなかった」と思っている。FXをすでに持っていた人はともかく、FX未所有の人には4万円でこんな製品が手に入るというのは結構お得だったと思う(FXソフトも遊べるしね)。

ただし問題点もある。最大の問題は出力がAV出力(S映像端子あり)のみである点だ。パソコンをFX化すると言いながら結局わきにTVを置かねばならない。これが開発環境っぽくてかっこいい、という向きもあろうが場所を取る上面倒なのも事実。一番良いのは98CanbeシリーズにあったTVモニターも兼ねられるディスプレイを使用する事だ。ちなみに我が家のFXGAはPC9821Ce2T2というモデルに差し込まれているが、このモデル、ディスプレイがTV画面と同居しており、ボタン一つで切り替えられ、FXGA使用時になかなか便利である。電波新聞社で販売しているゲーム画面をパソコンディスプレイに表示する機械なんかも試してみるのも一考だが、私は試したことがない。ちなみに音声もTVから出す仕掛けだが、なぜかCDドライブ内蔵モデルでは、CD音声がパソコン本体からも飛び出してくることがある(我が家もそう)。

他の不満を言えば、無理もないことだがFX本体ほどの手軽さがないことだろう。FXGAで市販ゲームソフトを遊ぶには、次のような作業が必要である。FXGAの電源をコンセントに差す>パソコンを立ち上げる(この時当然CDドライブが使えるようにCONFIG.SYS設定が必要)>MS−DOS環境を作る(Windows上ではDOS窓を開く)>FXGA.EXEを実行する>パッドのボタンを押すこうした作業を経て、ようやくFX本体と同じ「壁爆発オープニング」になって初期画面が出る(なぜかバックが赤)のである。あまりの面倒さに、結局私はFXGA専用のCONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATを入れたシステムフロッピーを作り、それを差し込んでパソコンを立ち上げるとFXGAが自動的に起動するようにしてしまった。人により色々方法があると思うが、こいつが一番手っ取り早いと思う。

またこれも言っても詮無い事かも知れないが、アマチュア作成のFXGA専用ソフトのロード時間が異様に長い。「GMAKER」スターターキットプラスにある「CDエミュレーター」を使えば解決する問題のようだが、「プラス」を所有している人が少ない事を考えるとこれは問題である。最初から標準で付けて欲しい機能であった。

色々、悪口も言ったが、かなり魅力のある商品には間違いない。不満点は各自の努力でかなり解決できる類だ。まだ所有してない人はすぐに購入しよう!(NECの手先みたいとお思いでしょうが、最近NECもFXGAに力入れてるとは見えませんからね。むしろこれは抵抗です)

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