アドベンチャーアイランド
ジャンル:アクション
媒体:HUCARD(2M)/バックアップメモリ対応
発売元:ハドソン
発売日:1991年4月19日
価格:6300円
商品番号:HC91035
◆いきなり続きから始まるアクションRPG
ゲームを起動し、「はじめから」を選ぶと、プレイヤー操る勇者はいきなりダンジョンの中に放り込まれる。そしてただちにドラゴンとのボス戦に突入。このいきなりの展開に泡を食いつつ何とかドラゴンを倒すと「めでたし、めでたし」で物語がいきなり終わる…わきゃあない。倒されたドラゴンは最期の苦し紛れに勇者に呪いをかけ、彼をミニドラゴンの姿に変えてしまうのだ!身に着けていた最強の武器も防具も失い、ちっともカッコ良くないドラゴンの姿(リザードマン)に変えられて途方にくれる勇者クン…というところで「アドベンチャーアイランド」のタイトル表示。そう、これがプロローグで、プレイヤーは勇者を元の姿に戻すべく「サラマンダー・クロス」なるものを求めて大冒険を開始することになるのだ!
実は本作はウェストン製作のアーケードゲーム「ワンダーボーイ」シリーズの2作目「ワンダーボーイ2・モンスターランド」のストーリー的には続編にあたるシリーズ4作目「モンスターワールド2」 の移植(このシリーズはとにかくややこしいことこの上ないのだ)。冒頭のボス戦はその「2」のラスボス戦なのだ。ではハドソンはPCエンジンではいきなり続編から発売したのかというとそうでもない。「ワンダーボーイ2モンスターランド」の方も栄光あるPCエンジン本体同時発売ソフトとしてハドソンから発売されていた。ただしキャラをビックリマンに変えた「ビックリマンワールド」(’87)としてだったけど。現時点でそっちのほうは未プレイなのでラストがどんな風になっているかは知らないのだが、一応PCエンジンで「前作」が発売されていたわけで、本作はその続き、ということにはなる。なお、ハドソンはこの「モンスターワールド」の1作目をキャラだけ変更してファミコンで「高橋名人の冒険島」として発売した過去があり(セガと裁判沙汰になったりしたそうだが著作者のウェストン自身が移植を認め、開発もしていたためハドソンの勝訴になったらしい)、それを「高橋名人の新冒険島」(’92)としてPCエンジンにも移植、さらにシリーズ3作目「ワンダーボーイ3モンスターレア」をPCエンジンCD-ROMで「モンスターレア」(’89)として完全移植、末期にシリーズ5作目「モンスターワールド3」をまたしてもキャラを変えて「超英雄伝説ダイナスティックヒーロー」(’94)として移植するなど、このシリーズへの関わりは深く、長い。それにしても昔はゲーセンでアクションRPGなんてもんをやる人もいたのだなぁ…。
さてそんなオープニングから始まる本作、パッケージやデモ画面ではRPGでおなじみの格好をした勇者がカッコ良く剣を振り回しているが、実際にはゲームを通してまともな人間の姿をしていることは全く無い(冒頭とラストだけだ)。いきなり最初にリザードマンに姿を変えられた時点では口から火を吐くだけでまともな武器すら装備できない状態だ。こんな得体の知れない奴を追い立てるでもなく暖かく(?)相手してくれる村のお店の人たちは実に大らかなものだと思える。
◆人間に戻る道は苦難の連続!
さてそんな元勇者のリザードマンくんに村人たちは商売の相手こそしてくれるけど「○○を倒して」とか「△△を探して」などといったRPGお約束のお使い依頼は一切してくれない(当然だが)。リザードマンくんとしては武器を取り戻し人間の姿に戻るためにも自分であちこち探索しボスを倒さねばならない。しかし村の周囲にあちこち行けそうなところはあるのだが、初めのうちは障害物があったりやたら強いザコ敵がいたりで行くに行けないところが多い。しかも最初のうちは体力も少ないから(体力は基本的にダンジョン内の宝箱などで見つかるハートを入手することでしか上げられない)チョコチョコと進んではあっさりやられるパターンを連発する。さらに困ったことにRPGお約束の「回復薬」「回復魔法」がほとんど存在しないに等しい(やられた時に蘇生してくれる「復活の薬」というのがあるにはあるのだが、序盤ではめったに手に入らないし、売ってる店でもやたらに高い)。だからとにかく序盤は殺されまくってザコ敵への対処を覚えつつ、ジワジワと行動範囲を広げていくほかは無い。とにかくゲーム全体を通して「苦難の道のり」という言葉が実に似つかわしいのだ(泣)。
火を吐くことしか出来ないリザードマンだけど、一応攻撃魔法のような要素はある。ザコを倒すとたまに出現する魔法アイテムを入手しておけば、「ファイヤーボール」「ブーメラン」「サンダー」といった特殊攻撃が行えるようになる。だけど、これが完全にランダムなのでそううまくは集まらないんだよな(一箇所だけ確実にアイテムが出るところがあるけど)。
あとやはりザコを倒したり宝箱を開けるとたまに出るアイテムとして「ストーン」がある。これをためると「チャームポイント」というキャラクターの数値が上昇し、それによってショップで購入できる武具・防具が変化する仕掛けになっているのだ。まぁこれが「経験値」に近い役割を持っていると言えなくも無い。
それにしてもザコ敵は序盤から結構凶悪。一撃で倒せるものもいるけど、二、三回攻撃しないと倒せないもの、防御態勢ととっていても足元に攻撃してくるもの、果ては上空から火の玉を落としてくる手合いまでいて(この火の玉が地上を走ったりもする)、プレイヤーに気の休まる暇は無い。またステージの中にも各種の罠が存在し、溶岩など通っただけでダメージを与えられるところもあるので安全ルートを見切るまではかなり大変だ。
さんざんな苦労の末にボスの居場所にたどりついても、このボスとなる各種ドラゴンがこれまた凶悪。主人公の何倍もあるデッカさのくせにダメージが与えられる弱点は顔だけ。顔が弱点であることは最初から説明書に明記されているのだけど、これがやってみるとかなり難しいのだ。一番最初のボスですら、必勝パターンを見つけるまで僕もかなり殺されてしまった。
なお、勇者がやられてしまいコンティニューすると、入手した魔法アイテムだけパーになって最初の村に戻される。このときルーレットが回って当たりが出ると「復活の薬」が一個だけ入手できることがある。これ、かなり貴重なので当たりが出るかどうかドキドキしながらコンティニュー画面に見入ってしまうことになる。
◆変身、変身で、未知のダンジョンに突き進め!
めでたく最初のボスを倒すと、人間の姿に戻れる…のだが、極小姿(といっても画面上は2分の1サイズ)の「マウスマン」に変身する。この「マウスマン」は小さい穴を通り抜けたり特定の壁をよじのぼったり天井を歩いたりすることが出来る特殊能力があり、これまで見えてはいたけど入ることが出来なかったエリアへの侵入が可能になる。またこの「マウスマン」から武器・防具の装備が可能となり、ようやくRPGっぽくなってくる。しかしザコ敵が強いのは相変わらずである。
またしても散々の苦労の末に二体目のボスを倒すと、今度は「ピラニアマン」に変身(なんか「仮面ライダーアマゾン」に似てる)。名前と姿から察せられるように、こいつはボタンを連打することによって水中を自由に泳ぐことが出来る。 これでまた活動範囲が広がり、プレイヤーは特殊武器やハートを回収しつつ(これを回収しないと体力ゲージはいつまで経っても上がらない)次のボスを探し回る。このあたりから自由な変身を可能にする場所が登場し、そこで「マウスマン」「ピラニアマン」と時と場合に応じて変身してダンジョンを解いていくパズル的要素も入ってくる。また武器装備も変身しているものによって数値が違ってくるので良くチェックしておかねばならない。
「ピラニアマン」の次は「タイガーマン」。これの最大の特徴は「下に向かって斬りつけられる」こと。これによりこれまで行けなかった箇所への進入が可能になる。さらに次の「ホークマン」にいたっては空を自由自在に飛べるようになるので、活動範囲は一気に広がることになる。このころには最初に持っていた「伝説の剣」「伝説のよろい」も回収できているころ。ただ「伝説の盾」だけはなぜか回収できなかったんだよな、僕は。それでもクリアには問題なかったけど。
最終ステージは予想通りの難関。広大なステージの中を、これまでの変身モードをフル回転してこの難関を突破していく。このころにはライフゲージもすでに満杯になっているわけなんだけど、それでもボスまでたどりつけずに途中で息絶えてしまうこともしばしば。またこのころには「復活の薬」も余りアテにならない。この薬には実は当たり外れがあって、やられた時にライフゲージ全快まで復活させてくれないこともしばしばあるのだ。半分まで復活させてくれるのはまだいい方で、ひどいとハート一個分しか「復活」させてくれないこともある。まぁとにかくラストステージは慎重に慎重を期し、安全パターンを見出して、極力完全状態でボス戦にあたることにしたいものだ。
最終ボスでは何度か投げ出しかけたけど、まぁなんとかクリア(ラスボス戦だけ何十回やったことか…)。これのボス戦ってこちらの攻撃が有効になるタイミングに独特のものがあるので、それに慣れないうちは途方にくれるばかりだった。もっともなかなか解けなかった最終ボス戦、一ヶ月ぶりぐらいにやったら一発でクリアしてしまったりしたから不思議(笑)。それまで「ムチャクチャ難しいなぁ」と怒っていたバランスも、終わってみるとやはりゲームにのめりこませる絶妙のバランスなのだと思わされた。
とにかく、このゲームで得た教訓。「人間、あきらめてはいけません」
(追記)本作は2007年8月7日から任天堂「Wii」向けの「バーチャルコンソール」の一作として配信されている。
◎各誌評価
★PCエンジンFAN(ゲーム通信簿の読者投稿平均点。各項目は5点満点で総合30点満点)
キャラクター
| 音楽
| お買い得
| 操作性
| 熱中度
| オリジナリティ
| 総合
|
4.00
| 3.634
| 3.634
| 3.634
| 3.538
| 3.480
| 21.920
第229位
|
★小学館ハイパーカタログ(★★★★★で満点)
(勝)PCエンジン(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
| 採点
|
岩崎啓真
| 8
|
ウォルフ中村
| 7
|
TOMOYO
| 8
|
ミロはじめ
| 6
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