暗黒伝説
ジャンル:アクション
媒体:HUCARD(2M)
発売元:ビクター音楽産業
発売日:1990年9月7日
価格:6200円
商品番号:JC63007
◆初期名作の続編となる正統派アクション
PCエンジンの初期、88年に発売されたオリジナルアクションゲームに「魔境伝説」(’88)というのがある。ターザンみたいな筋肉男が斧一丁で戦うという妙と言えば妙なアクションだったが、そのグラフィックの美しさは今見てもかなり驚かされるほどだった。難易度が少々高めでいまいち人気を得られる主人公でもなかったためか知名度はもう一つだったが、まだアクションが少なかった初期のPCエンジンにおいて「隠れた名作」として一部で知られるようになっていた。発売元は初期からPCエンジンに積極的に関わっていたビクター音楽産業で、「魔境伝説」は同社の記念すべきPCエンジン第1作でもある。
本作「暗黒伝説」はその正統な続編。前作の主人公の死後、王国が乱れて二人の王子が跡目争いをし、兄の王子は魔王と手を結んで王位を得たため世界は暗黒に包まれてしまう。弟の王子は兄を止めるべく戦いを挑んだが返り討ちに遭い、塔の上から地面に転落、一緒に落ちてきた刀一本を手に再戦を挑んでいく…とまぁこういう設定のお話だ。
こうした設定のせいもあって、前作に比べ世界観はかなりダーク。まぁタイトルからして「暗黒伝説」ですし。襲い掛かってくるザコ敵も巨大ボスも、いずれもグロテスク系で固められており、正直なところあまりお子様向けとは言いがたい。こういう雰囲気が好きって人には結構アピールするかもしれない。「悪魔城ドラキュラ」なんかとかなり似た雰囲気もある。いや、絶対意識していると思うんだけど。タイトルクレジットに後にPCエンジンでもいくつかゲームを発売した「アトラス」の名が見られるが、ここが開発元なんだろうか?
◆アイテムをとれ!パワーをためろ!
実際にマニュアルにはこういうアドバイス(?)の掛け声が載っている。この「アイテムをとれ〜」は実は前作「魔境伝説」にも使われたフレーズで、特にこのソフトで重視しなければならないことでもない。アクションゲームにせよシューティングにせよ、だいたい同じようなことになっちゃうわけだし。
「魔境伝説」と決定的に違う点は、主人公が使える武器が斧、鎖ガマ(?)、剣の三種類に増えたこと。敵を倒すと出てくるアイテムの中にこれらの武器アイテムがあり、それをとると武器変更だけでなくパワーのレベル(5段階)がアップするという仕組みになっている。レベルは上げるに越したことは無いが、武器については場面に応じて向き不向きがあるのでやたらにとればいいというものでもない。
敵を倒すと出てくるアイテムの中には「ボム」を増やすものや体力を回復するもの、または体力そのものをあげてしまうものまで存在する。特に重宝するのがこの体力アップのアイテムで、最高10レベルまでHPを上げることが可能になる。ただしこれは一回死亡するごとに一つずつ減らされていくので(5を下回ることは無いけど)、5面までやってみた限りでは、恐らくノンコンティニューで突き進まないとクリアは不可能なのではないかと思われる。ボス戦の直前にアイテムがやたら出るようになっているなど「復活」への配慮はしてくれているけどね。とにかく何度も何度もアタックしてノンコンティニュー攻略法を自分なりに見出していくほか無さそうだ。
キャラは敵味方共に前作よりかなり大きくなり、ステージ一つの規模も同様に拡大している。先述のようにグラフィックは前作に負けぬ美しさ、かつよりダークな仕上がりとなっており、Huカードのアクションの中でもトップレベルではないかと思える。敵キャラの動きの巧妙さなどは、確かに「悪魔城ドラキュラ」を連想させるところが多々ある。
◆凶悪なるボス戦を戦いぬけ!
ザコ敵でも中にはかなり凶悪なやつもいるのだが、各面のラストにいる巨大ボスの前ではやはりザコ。各面ラスボスはそれぞれに個性的(3面ボスの巨大鉄球を抱えてくる小男が面白い)かつ巨大で凶悪だ。デカさに物を言わせて襲ってくるので、うかうかしているとあっという間に倒されてしまう。攻撃するチャンスは一面のボスからしてあまり多くは無く、ちょっと攻撃しては逃げ、ちょっと攻撃しては逃げ、を繰り返すことになる。この主人公キャラ、ジャンプ力だけは異様なまでにあるので、これを駆使した戦いが要求されるところ。
ボスを倒すと花火よろしく盛大に自爆してくれるのでかなり爽快。主人公もガッツポーズで雄たけび(声は無いけど)をあげてくれる(笑)。
ザコやボス以外にもこのゲームには「敵」がいる。それは「時間」だ。各ステージごとに制限時間が設定されていて、その時間内にラスボスを倒してクリアしないと、暗黒の毒にやられたのか、主人公はあっさり死んでしまうのである。まっすぐボスのところまでたどりつければ、さして時間を気にする必要は無いが、ステージによっては少々テクニックを要求されるギミックが仕掛けられており、コツを飲み込むまでは(飲み込んでも?)かなり足止めを食らってしまう。特に2面の滝を落ちてくるレンガ(?)の上を飛びながら上に登っていく箇所、4面の時々崩れ落ちたり移動したりする床の上を飛び跳ねつつ登っていくところなど、慣れないうちは苦戦する人も多いだろう。
このゲーム、当時の雑誌採点などをみるとあまり前作ほど評価されていないのだが、やり始めると結構のめりこめる作品だ。「悪魔城もどき」と思われてしまったのが痛かったかな?
◎各誌評価
★PCエンジンFAN(ゲーム通信簿の読者投稿平均点。各項目は5点満点で総合30点満点)
キャラクター
| 音楽
| お買い得
| 操作性
| 熱中度
| オリジナリティ
| 総合
|
2.980
| 3.057
| 2.769
| 2.961
| 2.692
| 2.846
| 17.305
第618位
|
★小学館ハイパーカタログ(★★★★★で満点)
(勝)PCエンジン(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
| 採点
|
岩崎啓真
| 7
|
ウォルフ中村
| 7
|
小池泉
| 6
|
ミロはじめ
| 6
|
★ファミコン通信クロスレビュー(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
| 総合評価
|
東府屋ファミ坊
| 6
|
水野店長
| 6
|
森下万里子
| 7
|
TACO・X
| 4
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