GALAXY刑事GAYVAN
ジャンル:アクション
媒体:Super CD-ROM
発売元:インテック
発売日:1993年10月29日
価格:7800円
商品番号:IGCD03005


商品外見◆「宇宙刑事」な横スクロールアクション!

 ヘンなタイトルだが「ギャラクシーでかガイバン」と読む。宇宙征服を狙う秘密結社「バラス」が地球を侵略、「銀河警察」から地球に派遣された刑事ガイバン(地球名「青山ヒロ)と婦警ミッチ(地球名「赤坂ミチコ」)の二人は、バラスの送り出す怪人たちと日夜戦うのであった、という、モロに「宇宙刑事」な設定のアクションゲームだ。宇宙規模の話の割に舞台は普通の街中で、主人公たちの戦闘方法は「殴る」「蹴る」といった、実に原始的なもの。そこは宇宙刑事なのでちゃんと「変身」もあってパワーアップもするのだけど、特殊な必殺技があるというだけのことで、やっぱり「殴る」「蹴る」からは一歩も出ないのである(笑)。

 スクロールしてゆく街中のステージの中で、襲ってくる敵を殴る蹴るでなぎ倒しつつ進むゲームはこのころシューティングゲームと並ぶ定番のジャンル。PCエンジンだと「ビジランテ」(’89)とか、「双截龍(ダブルドラゴン)II THE REVENGE」(’93)なんかがその手のもののゲーセンからの移植作だ。この「ガイバン」も見た目にはまったく同様のタイプのゲームで、そこに宇宙刑事ものの設定をくっつけてみた、というくらいしかオリジナリティはない。アクションゲームとして見ると、当時流行の格闘アクションの要素を取り入れて「コマンド入力による必殺技」が導入されているところに多少目新しさはあり、実際1対1の対戦が遊べる格闘モードも搭載されている。

ボス戦前デモ 世界観というか、「ノリ」は設定の割にオチャラケ系。「宇宙刑事」のくせにやたら江戸っ子気質(?)の男女二人組が主人公で、作戦を指示する署長と一緒にステージ開始前のビジュアルで脱力するようなお笑い劇場を展開している。ノリ自体は「改造町人シュビビンマン」に似てるなぁ、と思うのだが(2人同時プレイ可能なところまで良く似ている)、作り手が関西人(?)らしい「シュビビンマン」はボケっぷりが板についていたのに対し、本作の方は無理に笑いを取ろうとしてシラケムードが漂う。
 例えば大猿ボスが中華街に現れたと聞いて「中華に猿とくれば」「孫悟空にあやかろうってわけね」と怒り、それに対して署長が「お土産を忘れんように」と微笑んで見送ったりと、作り手は面白いと思ってるらしいのだが、見せられる方は「はぁ?」と首をかしげてしまうセンスが目立つのだ。その大猿ボスに対して「オリジナリティのかけらもない」というセリフにガイバンが「ちょっと耳が痛いが…」とつぶやくセリフだけはちょっと笑ったかな。前半の中途半端なおちゃらけムードが、終盤になるとこれまた中途半端にシリアスな雰囲気になってくるのもアンバランスで…


◆殴って蹴って投げ飛ばして


 このゲーム、とにかく特にオリジナリティはなく、ステージを右方向に進んでゆき、次々と現れる敵とドツきあいを繰り返せばいい。プレイヤーも敵も動けるのは1ラインだけで、敵と接近したら殴る、蹴る、投げる、防御する、ジャンプする、転がる、といったアクションを繰り出せばいい。基本的にはIIボタンを連打すれば相手に対してパンチ、キックが繰り出され、そのまま組みついてひざ蹴り連発をかませる。組んだ状態から敵を投げ飛ばすこともでき、投げた敵を他の敵にぶつけることで、まとめてダメージを与えることもできる。防御は方向キー下に押せばよく、一体一体の敵を倒すこと自体はそう難しくない。

 難しくなるのは前後に敵を抱えた時。このゲームでは一画面内に最大ザコ敵が4人登場し、集まってかかってこられると結構厄介。中でも忍者キャラは手裏剣を飛ばして来るし、とりわけ「くのいち」キャラは手裏剣に加えて足元へのスライディング、ジャンプ、投げ技と多彩な攻撃をかけてくる。また大きめのキャラたちはかなり「カタく」、かなり攻撃を加えないと倒せない連中なので、こんなのに一斉に取り囲まれるともう対応できない。
 またこのゲームをプレイしてとまどうのが、敵にダメージを与えた直後、敵は2〜3秒程度一時的に意識を失ったようになり攻撃してこないのだが(いわゆる「ピヨった」状態)、この時さらなるダメージを与えることができない、という点だ。このゲーム、明らかに当時流行の格闘ゲームの要素を導入しているのだが、この「ピヨった」状態の敵になぜか攻撃をかけられないというのは何を考えていたのか。結局相手が意識を取り戻すまで待っているしかなく、このタイミングが複数の敵を相手にする時に隙を突かれて大きくダメージを受けてしまう原因ともなる。
 多数の敵に囲まれた時のために必殺技も用意されているが、方向キーをぐるっと一回転させてIボタンという、なかなか繰り出しにくいコマンド。実際に敵に囲まれている時はそんな入力を正確にやれる余裕なんてなかったような…
 あと、どうにかなんなかったかと思うのが「画面外に出てしまう敵」。戦闘中画面の左右の端まで来るとプレイヤーキャラはそれ以上は進めないのだが、敵キャラは画面外に飛び出してしまうことがある。そうするとこちらには見えないのに突然攻撃をかけられてしまうことがしばしばあるのだ。
ゲーム画面10
 プレイ中、SELECTボタン一発で、主人公は「焼着」と呼ばれる変身を行い、宇宙刑事に姿を変える。基本操作は通常時と変わらないのだが、プレイヤーキャラにはそれぞれHPの他に「コレダーゲージ」というのが表示されていて、このコレダーゲージを消費する形で宇宙刑事ならではの必殺技を繰り出し、敵に大きなダメージを与えることができる。変身状態の解除もSELECTボタン一発でお手軽だ。
 宇宙刑事に変身しているあいだ、↑→↓+Iで電撃攻撃、↑→↓+IIで突進攻撃をかけ、複数の敵に同時にダメージを与えられる。通常攻撃でも多少パワーアップしているので、複数の敵を相手にする時は変身しておくのが良策。ただし必殺技だけでなく変身状態でいるだけで「コレダーゲージ」は消費されてゆき、これがゼロになると変身は強制解除となる。このコレダーゲージは変身もせず必殺技も出さずにいれば自然とたまっていくので、いつ変身状態をとるかが攻略の鍵となる。ただ変身状態でも複数の強敵チームに囲まれたりするとかなりダメージを喰らっちゃうんだよね。

 プレイヤーキャラには「ガイバン」(男)「ミッチ」(女)の二人が用意されていて、1人プレイの時はどちらかを選び、2人プレイの場合は二人でそれぞれを担当して遊ぶことになる。プレイした感じだと別にどちらも能力には変わりがないように思う。
 

◆おまけ格闘モードも

 メニュー画面からオプションモードを選ぶと、三段階の難度調整、キーコンフィグ、コンティニューのあるなし(ゲームオーバーになった章から始められる)、デモモード変更(Bモードだと面間デモを飛ばせる)などいろいろ変更が可能。コンティニューありにすると便利は便利なのだが、一定の得点により残り人数が増える仕組みなので、終盤の攻略のためには攻略方法をつかんだ上で最初の面からプレイした方がいいかもしれない。

 各ステージの最後には大型のボスが待ち受けていて、それぞれになかなか多彩な攻撃をかけて来る。この部分はまさしく格闘アクションゲームのノリそのままで(敵もこちらと同じ宇宙刑事、というのもある)、最初はどうやって攻めてよいやら分からないくらいなのだが、基本は防御をしっかりしつつ、敵の足元を狙うことになる。うまくやれば、意外とザコ集団より簡単に倒せたりもする。ただ、さすがに最終面のラスボスの強さは半端じゃない…(汗)。

 ゲーム本編とは別に遊べる「おまけモード」では、プレイヤーキャラおよびザコ敵たちのうち「したっぱ」「くのいち」「自爆司令官」の三人から操作するキャラを選んで格闘戦が楽しめる。作中に登場したザコ敵が操作できるというのはユニークだが、これならいっそバランス度外視でいいからボスキャラも選べるようにしたほうが良かったんじゃなかろうか。あと、思ったことだが、このゲーム、せっかく7面も用意してるんだから、もっとザコ敵のバリエーションを増やしてもよかったんじゃないかなぁ。なにせ全部で8キャラしかいないんだから。こういうところにも手抜き感が否めないんだよな。

 最後に、本作の発売元は「インテック」だが、開発は「フィル・イン・カフェ」。PCエンジン末期に自社のパソコンゲーム「あすか120%マキシマ」(’95)を移植したほか(発売元はNECアベニュー)、SCDからFXまでいくつかのゲームを開発している。「あすか〜」以外は、どれもこれも特に印象に残らないものばかりなんだけど。


◎各誌評価

★PCエンジンFAN(ゲーム通信簿の読者投稿平均点。各項目は5点満点で総合30点満点)
キャラクター
音楽
お買い得
操作性
熱中度
オリジナリティ
総合
3.6
3.2
3.2
2.8
3.6
3.2
19.6
第489位

★小学館ハイパーカタログ(★★★★★で満点)
★★★

★電撃PCエンジン(発売前テスト版による100点満点での採点)
レビュアー
採点
岩崎啓真
40
ウォルフ中村
70
パトリオット佐藤
65
メタラー佐々木
65

★ファミコン通信クロスレビュー(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
総合評価
TACO・X
ローリング内沢

野田稔

鈴木ドイツ



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