改造町人シュビビンマン2-新たなる敵-
ジャンル:アクション
媒体:HuCARD(4M)
発売元:メサイヤ(NCS)
発売日:1991年4月26日
価格:6600円
商品番号:NSC 91001


外見◆謎のヒット作の豪華続編!


 売上本数が実際どれほどあったのかは不明だが、とにかく「改造町人シュビビンマン」(’89)はヒットした。それほど目立つ特徴のあるアクションゲームでもなかったはずなのだが、その独特のトボケたアニメ特撮的ノリととっつきやすさがウケてしまったらしい。発売元のメサイヤにとっても大いに力を入れたくなるヒットだったようで、前作から大幅にパワーアップした続編が、2年ものブランクをおいて発売された。それがこの「改造町人シュビビンマン2-新たなる敵-」(’91)である。

 主人公こそ同じだが、この「2」は前作とはまるで別物、といっていいぐらいの進化を遂げている。まずマップを任意に攻略していくのではなく普通のアクションゲーム同様に一本道となった。なおかつ剣を振りまわしていた前作からタメ撃ち「シュビビーム」をひきついだだけでなく通常攻撃も射撃スタイルに変更された(このためカプコンの「ロックマン」そっくりとの声もある)。アクションも格段に難しくなり、ステージや敵キャラのバリエーションも豊富になって、攻略にはかなりの戦略性が要求されるものとなった。そしてアクションではなく純粋にシューティングに徹したステージも交互に現れるという構成になっている。
 それでも前作で売りになっていた2人同時プレイは本作でも採用されており、二人で協力して撃つ「協力シュビビーム」も健在。ただし太助が集中型、キャピ子が拡散型という違いが出来た。協力シュビビームを撃ち損ねると片方が火の玉になって飛んで行くギャグ演出も引き継がれている。

 ストーリーの方も一応前作から続いていて、博士からようやく元の体に戻してもらえるという連絡を受けた太助とキャピ子(1人プレイの場合はどちらか)が街中を走っているところから始まる。工事現場で突然作業員たちに足をひっかけられて驚いていると、作業員たちはメカに変身、「シュビビンマン、命をいただく!」と襲いかかって来る。太助とキャピ子は「シュビビンマン」に変身(変身ポーズも初披露)、敵を一掃すると、ニュース速報で地球に新たな侵略者「ライオ帝国」がやってきたこと、そして博士が彼らに誘拐されたことを知らされる。ここでバーンと「シュビビンマン2」のタイトルがカッコよく表示され、ゲーム本編が開始されるのだ。
 ステージをクリアするごとに挿入される面間デモでストーリーが進行してゆく。前作同様のおふざけムードも博士の言動を中心に残されてはいるが、敵側シュビビンマンである「シュビビンマンシェイド」の男女二人組の登場により、特撮・アニメではお約束とも言えるシリアスなストーリーが展開される形になった。エンディングのクレジットによるとこのシナリオはキャラクターデザインのうらべ・すうさんご自身が手掛けられたようである。
  ゲーム自体もかなりシビアに変えられていて、この点でも前作と大きく雰囲気を変えている。「1」と「2」のどちらが好みかは意見真っ二つのようで、「2」についてはその手ごわさから腕自慢のゲーマーたちの支持が多い。中には「PCエンジン最高のアクション」との声まであるんだから大したもの。ネットで当たってみてもその攻略法を紹介してるサイトは「1」に比べれば格段に多い。


◆アクションとシューティングの繰り返し

 ファミコンとほとんど変わらないように見えた前作と比べると、「2」はグラフィック面で格段に進歩した。敵キャラの爆発演出ひとつとってもとてもカッコよくなったし、背景の描き込みやステージのダイナミックな仕掛け、中ボス、大ボスの豊富なバリエーション(説明書に載っているが、デザインの一般公募が行われている)など、HuCARD円熟期の作品らしい凝った仕上がりだ。ボスキャラに不気味な筋肉系の「生体メカ」系が多いあたりは、明らかに後年のメサイヤの怪作「超兄貴」(’92)の前触れと見ることができる(特に最終面では「兄貴」デザインそのまんまのキャラがいる)。実は「シュビビンマン2」の音楽も「超兄貴」で名を馳せる葉山宏治氏が担当しており、その意味でも「プレ超兄貴」なソフトなのだ。

 1面は街中が舞台。前作にはなかった上方向への移動アクションがある。また今回は攻撃が全て射撃になっていて、タメ撃ち「シュビビーム」も前作と違って上方向へ撃ったりジャンプ中に撃ったりが可能となった。また敵ボスのライフゲージも表示されるようになったので当たり判定や相手のダメージがしっかり確認できるようになったのも嬉しい。1面のボス戦はビル群が崩壊してゆく中でジャンプシュビビームを撃ちまくってケリをつける、ちょっとした練習ステージになっている。面クリアすると体力は全快するので、ギリギリでも勝てばいいところも修理費が泣き所だった前作よりありがたい点だ。また、セーブ機能がないのは前作同様だが、途中で死んでしまうとそのステージの最初からやり直しなので、しつこく繰り返して攻略するにはちょうどいい。

 2面に進むと潜水艦に乗り込んで、いきなり水中シューティングに。ザコ敵を倒しても点数が入るわけではないので、ダメージを受けないよう「よけいなことはせず、ケガしないように撃破」が基本。シューティング面でも「シュビビーム」は健在なので(前作よりタメ時間と破壊力共に少ない)、攻撃は「シュビビーム」一本に集中することになる。
 この2面のシューティングがいきなり難しい。アクション面のように要所要所で回復アイテムも出てくれないので、とにかく可能な限り体力を維持してボス戦に臨まねばならない。ボス戦は分かってしまえばシュビビーム撃ちまくりで楽勝なのだが、そこまでの途中経過がなかなか意地悪。

 3面はアクション場面に戻るが、下水道が舞台で床は汚水が流れて足を取られるというイヤなステージ。太助とキャピ子も「なんでこんなことをしなきゃいけないんだ!」とボヤいてる(笑)。このステージも慣れてくるまではかなりイヤな攻撃が続いてじわじわと体力を減らされてしまい、ボスに出会った時にはもうヘロヘロということが多く、僕もクリアにはかなり手間取った。

面間司芝居 4面は前作の溶岩を思わせる硫酸(?)の流れる秘密基地ステージ。このステージは比較的途中が楽なのだが、中ボスと大ボスの二つを突破しなければならない。中ボスを倒したところでピンチに陥ったプレイヤーを、宿敵の「シュビビンマンジェイド」である「ジータ」が駆けつけてきて「お前は俺が倒す!」とか言って救出してくれ、後のドラマチックな展開の伏線を作る。この面の大ボスは分かってしまえば楽勝だが、実はファン公募作の中で大賞を獲得したキャラである。
 なお、この面から決まった敵を撃破すると「ビット」と呼ばれるアイテムが出現する。これを持っていると、「シュビビーム」以上のタメをすることで「超必殺技」が使用できる。太助の場合は画面全体にビームが出て敵を撃滅、キャピ子の場合は自身の体力全快と全敵へのダメージが与えられる。緊急事態には重宝するものだが、当然ゲーム中そんなに出現するわけはなく、どうやら2つだけみたい。

 4面をクリアすると、何と今度はシュビビンマン自身が飛行形態に変身!「せつめいせねばなるまい」と字幕ナレーションが入るのも楽しい演出だ。しかしここのシューティングがまた難しい。途中のザコ敵は無理に撃たずにかわす方針でいけばいいのだが、この面のボスはこちらをメカの中に包囲してしまうという曲者で、一般のシューティングでもかなり攻略が難しいボスである。僕もこいつを突破するのにはずいぶん苦労させられた。


◆超高難度の後半ステージ!

 どうにか突破すると6面は再びアクションステージ。天空の要塞なのだがどういうわけか和風スタイルで、忍者(にんりゃー)がザコ敵。これが高々と飛び回るわ、手裏剣は投げてくるわで、かなりいやらしい攻撃をしてくる。さらにこのステージでは対ジータ戦(中途で終わるが)も含めてボス戦が三度もあり、途中も敵の攻撃を受けつつ飛び石やエレベーターで上方へ上がっていく部分があるなど、一気に突破するのがなかなか困難な面となっている。
 これをまたどうにか突破すると、もう一人の「シュビビンマンジェイド」であるミューのドラマがあり、博士と再会。今度はなんと博士により宇宙へ飛び出す形態に変身させられ、問答無用で打ち上げられてしまう。博士の「いってらっさーい」というセリフ(北米版を見たら「Good Luck!」と訳されてた)には前作のノリを感じて苦笑してしまうが、一方でシリアスなドラマも同時進行なんだよなぁ。

宇宙空間 かくして7面は宇宙空間に出ての、かなり本格的なシューティング。敵を撃っても点を取れるわけではないので基本的にはかわしていくことになるが、それでも邪魔なものは邪魔なのでシュビビームで撃破する。手ごわいのが複数同時に出現してビームでこちらをとおせんぼする敵メカで、シュビビーム2発と通常弾1発も使わないと撃破できない。
 これをなんとかクリアすると宇宙要塞へ飛び込む。ここで後ろから襲ってくる敵機を巧みに誘導して壁に激突させるという作戦をとることになるのだが、移動がかなり高速なので難しい。その後のボスは意外なほど楽勝なのだが。

 このあとの最終面もそうとうな難度。攻略サイトが各地にあるのも納得である。それらを見る限り、ヘタクソでヘタレの僕などにはとてもとても…(汗)。エンディングはネット上の動画で見た(爆)。やっぱり元の体には戻してもらえないのであった。
 腕に覚えのあるゲーマーには好評だったらしい本作だが、前作からのシリーズのファンからは「難しすぎる」と敬遠する声も少なくなかったと思われる。そのためか、今度はペースも速く8カ月後に発売された続編「改造町人シュビビンマン3」(’92)は大幅に難度を下げてしまい、今度はあまりにも大味なゲームと批判をくらってしまうことになる。

 最後に、この「シュビビンマン2」は実は北米版(TG16版)が発売されている。題名は「SHOCKMAN」と変えられて(ますます「ロックマン」パチモノみたいになった)「2」とは一切書かれていないが、内容は太助を「ARNOLD(アーノルド)」、キャピ子を「SONYA(ソニア)」に変え、セリフを英語にしているだけで全くそのままの内容となっているため、オープニングでこれに「前作」があることは向こうのユーザーにも分かったはず。

(追記)2007年には任天堂Wii向けの「バーチャルコンソール」の一作として前作ともども配信されている。2011年にはPS向け「ゲームアーカイブス」のPCエンジンアーカイブスとして全3作が配信された。


◎各誌評価

★PCエンジンFAN(ゲーム通信簿の読者投稿平均点。各項目は5点満点で総合30点満点)
キャラクター
音楽
お買い得
操作性
熱中度
オリジナリティ
総合
4.340
3.802
3.417
3.708
3.758
3.619
22.633
第151位

★小学館ハイパーカタログ(★★★★★で満点)
★★★★

(勝)PCエンジン(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
採点
岩崎啓真

ウォルフ中村

TOMOYO

ミロはじめ


 

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