改造町人シュビビンマン3異界のプリンセス
ジャンル:アクション
媒体:CD−ROM
発売元:メサイヤ(NCS)
発売日:1992年2月28日
価格:6800円
商品番号:NSCD 2010


外見◆人気シリーズ、ついにCD−ROMへ!


 なぜか不思議と人気を呼んだ「改造町人シュビビンマン」(’89)はPCエンジンを代表するアクションゲーム扱いされてしまい、続編「改造町人シュビビンマン2-新たなる敵-」(’91)は前作をビジュアル面でもゲーム面でもグッとパワーアップ、難易度も相当なものになったが手ごわいアクション&シューティングの良作となった。これによりシュビビンマンはメサイヤの看板ソフトと言っていいほどに成長、その勢いを買って今度は声もアニメもついたCD−ROMだ!とばかり、前作から8ヶ月ほどというスピードで世に送り出されたのが、この「改造町人シュビビンマン3・異界のプリンセス」(’92)だ。

 1992年2月末というと、PCエンジンではSuperCD-ROMの超大作ソフト「天外魔境II卍MARU」(’92)の発売を直後に控えており、前年秋に発売されたSCDマシンの普及が始まっていた。だからこの時期は旧CD-ROM対応とSCD対応、あるいは両対応が入り乱れているのだが、「シュビビンマン3」は旧CDシステム対応ソフトとして発売されている(もちろんSCD環境でもプレイ可能)

 「シュビビンマン3」がCD−ROMで出されたのも、これからPCエンジンがSCD主流になることを見越してのことだったと思われるが、それに間に合わせるために大急ぎのやっつけ仕事で作ってしまったのでは…としか思えない、とても残念な出来というのが誰もが抱く印象だろう。人気シリーズのCD版ということで豪華有名声優陣(これが全く誇張じゃないんだよな)を投入し、オープニングや面間、エンディングに当時としてはそこそこ綺麗なアニメチックビジュアルシーンを挿入しているのだが、それらの描く話がまるっきりつまらない上に飛躍が大きすぎて理解不能、おまけに肝心のゲームの方もえらく荒削りかつ大味な造りで、CDゲームとは思えないほどのボリュームの少なさ。前作が難しかった反省からなのか今度はやたらに難度を下げてしまい、特にボス戦で拍子抜けするほど楽勝してしまう大甘ゲームとなってしまった。難易度調整ができるようになっているのだが、HARDにしてもさして変わらない印象だ。
 個々のアイデアや敵キャラクター、ステージなど面白い点もかなり見られるのだが、それがしっかり練り上げられていない。やっぱりこれは開発期間が短かったから中途半端な状態で出さざるを得なくなったということだと思う。これをもっと時間をかけてSCD大作として出していたら、あるいは傑作になったかも…と惜しく思える部分もある。

 だが当時の雑誌における評判を見ると案外評価が高いのだ。このページ下方にある各誌評価をご覧いただければわかるように、とくに「PCエンジンFAN」誌の読者投票によるゲーム通信簿の点数はシリーズ中最高で、PCエンジン全体のランキングでも上位の部類に入る(なんとあの「スト2ダッシュ」とほぼ同じ得点)。このゲーム通信簿、とくにアニメ演出のあるCD−ROMソフトの場合は「キャラクター」のポイントが高くなる傾向があるのでそのせいとも思われるが、「操作性」「熱中度」でも「2」を凌駕していることに驚いてしまう。CD−ROMユーザーは採点が甘すぎるのだろうか…とも思ったが、マル勝PCエンジンのレビュアーも採点は割れながらも本作に「2」と同等の評価を与えている。


◆豪華声優陣がビジュアルで、ゲーム中で、しゃべるしゃべる

 主人公の太助に山寺宏一、キャピ子に富永み〜な、敵キャラに島津冴子玄田哲章千葉繁大塚明夫梁田清之池田秀一…!と、小粒なゲームにしては妙に強力な声優陣がそろえられた本作、ビジュアルシーンのみならずゲーム中でもボス戦前の「口上」でしゃべりまくる。「太助」「キャピ子」はHuCARDでも声を発していたが(声の出演クレジットはされているのだが、どういう人かは分からない)、有名声優に変わったことでずいぶん雰囲気が変わってしまった。とくに太助はセリフでこそ「しがない魚屋…その正体はシュビビンマンでえい!」などと江戸っ子らしいが、山寺さんの口調のせいかかなりキザな奴になってしまった印象が強い。

 町内会の福引で南の島へのバカンスに当選、太助とキャピ子は博士を縛って置き去りにして(笑。このため博士の出番がなくなってしまったが…)リゾートビーチで平和なひとときを満喫していた。そこへ異界のお姫様が魔空艇の操作を誤ってこの世界のビーチに乱入してきてしまう。太助とキャピ子はただちにシュビビンマンに変身して戦いに乗り出す…とまぁ、そんなオープニングビジュアルがある。こうしたビジュアルシーンが面間も含めて合計5つあるのだが、絵そのものの出来は結構いいのだが(原画はAIC)、かなり理解に苦しむ急展開で、ギャグとシリアスを混在させようとしたのだろうがそれがちっとも面白くなってない。とくに前作までの「シュビビンマン」世界を支えていた博士を登場させなくしてしまったのが大失敗。

 オープニング終了後はいよいよ1面のアクションステージ。前作に比べて太助・キャピ子および敵キャラも大きくなったのはCD容量のおかげだろうが、シュビビンマンの立ち姿が気の抜けた棒立ち状態になっていることにガックリ。キャラが大きくなるということは画面の狭さに直結するわけで、これが本作のグラフィックを「2」より見劣りするように感じてしまう一因になっている。

 接近状態が多いということもあってか、通常の攻撃方法は一作目同様の剣攻撃に戻された。硬い敵はほとんどおらず、たいていのザコ敵は剣一振りで撃破できる。
 シリーズ名物のタメ撃ち「シュビビーム」の強力さは相変わらずだが、これまでのような太くまっすぐ突きぬけていくビームではなく、丸い光がふわふわと飛んで行くという、かなり力強さに欠けるものとなってしまった。なんでそうなったかといえば、今回のシュビビームは「誘導弾」という新機軸が導入されたため。発射後IIボンタンを押しながら方向キーを操作することでシュビビームの方向を変えることが可能になったのだ。その思いつき自体は悪くなかったと思うのだが、正直なところ慣れてきても使い勝手は決してよくない。ボス戦によってはこの誘導弾が多大な威力を発揮することがあるのだが、今度はボスが弱すぎてシュビビーム1、2撃でケリがついてしまうものが多く、攻略もへったくれもない状態になってしまった。

乗り物に乗って もう一つ今回の新機軸として「乗り物」要素がある。左図がその一例で、1面の最初のステージの途中で現れたロボットを倒すとそれに乗りこんでほぼ無敵状態で突進することができる。これはかなり笑えたのだが、あっという間に終わり。そのあとのステージでも前作のように宇宙船(?)に乗ってのシューティング面があったりもするのだが、乗り物としての面白さはなかった。どうも開発途中段階ではもう少し乗り物を多くする予定もあったらしいのだが、削られてしまったものらしい。

 1面は実質4〜5面分の内容を一つにつないだ長いものになっていて結構長い。町の高速道路(?)から始まり、空に浮かぶ魔空挺の広大な内部、飛行機の上をジャンプで乗り換えながら敵の攻撃を交わす空中シーン、地上に降りてなぜか雪ダルマと連続対決、鉱山の構内を思わせるトロッコが走って来るステージ、そして「魔法列車」のステージと、なかなかバラエティに富んでいる。見た目には面白いアイデア満載なのだが、それがほとんどゲーム中に生かされていないのが残念。

 ザコ敵もボスも弱いうえに、体力回復アイテムがかなりの高確率で出るようになっているため、行き詰まることはほとんどない。今回は敵を倒すと「コンティニューチップ」というユニットが出現し、これを100個集めると1回コンティニュー可能というルールが加わった。プレイしてみた限りではだいたいコンティニューは一回程度しか出来ないようだが、この難易度なら特に問題はないだろう。ゲームオーバーになってもその面の最初からのやり直しである。このゲームオーバーだが、ボス戦の場合は倒れて「しんでしまった」演出がなく、ダメージを受けたところでいきなりゲームオーバー画面に切り替わる時があるのだが、これはいったいどうしたのだろう。


◆あっという間にエンディングへ

 長い長い1面は玄田哲章演じるボスを二度倒せば終わり。戦闘前の前フリとは裏腹にホントにあっけないほど楽勝できる。すると面間ビジュアルシーンに突入し、今度は千葉繁演じるボスキャラが出撃する展開に。ところがこのボスも「華麗なる攻撃」とかなんとかのたまう割にはシュビビーム2発程度で撃破されてしまう。そのボス戦のあとの下から火炎が襲ってくる強制スクロールの中を必死に上へ上へとジャンプして逃げる(ヒントが出るが、壁を使った反射ジャンプも可能である)ステージはこのゲーム中一番のアイデア部分であった。

ビジュアルシーン この2面のラスボスは異界のお姫様その人なのだが、これも子分よりはマシというだけで、かなりの楽勝。するとまたビジュアルシーンに突入、焦った子分が封印されていた異界のパワーを放出しようとし、それをお姫様が封印してしまうのだがそれに一緒にシュビビンマンも巻き込まれて魔界へと送られてしまう…という、なんだかよく分からない展開になる。このへん、シナリオの練り込みが明らかに足りないのだが、変にシリアスにやるよりシュビビンマンが巻き込まれるギャグとしてまとめた方が良かった気がするな。

 魔界へ入るとここのボスの声は池田秀一。ちょうど同時期に「天外II」でもラスボスを演っていて、なんだかキャラも外見がかなり似ている。魔界はいかにもおどろおどろしげな、RPGの最終ステージみたいな世界になっていて、一部ザコや中ボスには「おっ」と目を引くようなデザインのものも多い。だがいずれもシュビビームさえ当ててしまえば楽勝。ラスボス戦はこれまでのボスよりは歯ごたえがあるという程度で、誘導シュビビームをあてまくっていればそれほど苦労せずに勝てる。

 このあとに真のラスボスが待ち構えているのだが、これがまさに「超兄貴」に出てきそうなキャラ(笑)。前作ですでにその気配がみられたのだが、「3」ではますます不気味系、筋肉キャラ系が目立つようになり、音楽も葉山節がそっちの方向へ強められている。こうして続けて見ていくと「超兄貴」出現の流れというのは着実にあったのだとよく分かる。
 で、この真のラスボスであるが戦闘前の「口上」中もお互いに攻撃がかけられるようになっている。確かめたところ他のボスでも一部にそうなってしまっているものがあり、セリフを言い終わらないうちにケリがついてしまうことも。これは分かっててやってるのか不明なのだが、このラスボス戦ではぼんやり相手のセリフを聞いているとダメージをくらっていて焦ってしまった。これまたシュビビームを連打していればあっさり勝ってしまうのだが…

 ラスボスを倒すとエンディングのビジュアルシーンになる。エンディングも含めて面間ビジュアルは「太助バージョン」「キャピ子バージョン」「2人同時プレイバージョン」の三種類が用意されていて、どれでプレイしたかによりちょっとずつ違ったものが見られる。いずれにしても現実世界に戻ってきたシュビビンマンが目を覚まし、夢オチか…と思わせて、異界のプリンセスの三人組が海の彼方から追いかけてくるという、いきなりドタバタ調のエンディングとなる。ドタバタなら終始ドタバタでまとめればよかったのに。短い話のくせに変にスケールアップしたりシリアスになったりするから非常にバランスが悪くなってしまった。
 エンディングのスタッフロールではグラフィック担当のスタッフが描いたと思われる戦艦やらホラータッチの不気味キャラやらのお遊びイラストが流れて楽しい。前作「2」のキャラである「ジータ」「ミュー」が「自分たちの出番はどうした!」と怒ってる絵もあり、スタッフの中でも再登場させる意見もあったことをうかがわせる。

 クリアするとCD−ROMならではのお遊びとして「おまけ」モードが現れる。富永さん演じるキャピ子がナビゲーターを務め、マル勝PCエンジン誌の読者イラストや4コマ漫画の紹介が行われていて、とくに4コマは結構笑える。
 「これからも、メサイヤとシュビビンマンをよろしくね!」とキャピ子が最後に言ってくれるのだが、この「3」の評判が悪かったせいか、「シュビビンマン」は二度とPCエンジンには復活しなかった。その後、キャラも一新した「改造町人シュビビンマン零」がスーパーファミコン向けに開発されたが結局発売中止となり、少し遅れて1997年にSFCのサテラビューで配信されている。さらにずっと後には任天堂Wiiの「バーチャコンソール」で「1」「2」が配信され再び遊ぶ人が増えたようだが、この「3」についてはとんと音沙汰なしのところを見ると、メサイヤとしても「黒歴史」と思っているのかもしれない(追記:と言っていたら、2011年4月になって「ゲームアーカイブス」で「3」が初めて配信された)

 あるいは「超兄貴」(’92)こそが「シュビビンマン」の真の続編ということなのかもしれない(笑)。シュビビームがメンズビームに変わっただけで。そういえば「超兄貴」にランダムで出てきて人気を呼んでしまった謎のキャラ「うみにん」は、実はこの「シュビビンマン3」がデビュー作で、プレイ中ひょっこり登場することがある。


◎各誌評価

★PCエンジンFAN(ゲーム通信簿の読者投稿平均点。各項目は5点満点で総合30点満点)
キャラクター
音楽
お買い得
操作性
熱中度
オリジナリティ
総合
4.457
4.135
3.847
3.932
3.813
3.644
23.830
第67位

★小学館ハイパーカタログ(★★★★★で満点)
★★★

(勝)PCエンジン(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
採点
岩崎啓真

ウォルフ中村

東千里

びいず羽岡


★ファミコン通信クロスレビュー(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
総合評価
浜村通信

アルツ鈴木

渡辺美紀

TACOX


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