ヴァリスIV
ジャンル:アクション
媒体:CD-ROM
発売元:日本テレネット/レーザーソフト
発売日:1991年8月23日
価格:6780円
商品番号:TJCD1017
◆「完結」したはずのシリーズ続編!
さて、「ヴァリスIV」である。パソコンから始まってPCエンジンCD−ROM2で「ヴァリスII」(’89)の移植、さらには「ヴァリスIII」(’90)をPCエンジンオリジナルとして開発、ここでアニメ演出とアクションゲームを見事に融合させたこのシリーズは、主人公・優子が女神となって世界を救い、天空に召されて見事に感動の完結をした…はずだった。ところがその「完結」の翌年にはこの続編「IV」が出てしまったわけであるから、やはり資本主義社会においては人気シリーズとは綺麗に締めくくらせてもらえないものである。
優子は神様になってしまったので、さすがに再登板は無理ということで、本作では新主人公としてレナが登場している。物語としては「III」から続いていて、ちょっと老けた(笑)ヴァルナやチャム、そして優子もゲスト的に登場している。どうでもいいが、女神も老けるのか(笑)。
「III」の結末後、またまた世界は悪の勢力により動乱・圧制が敷かれていた(ああ、黄金のエンドレスパターンだな)。レジスタンスをしていたレナはチャムとヴァルナの指導、そして優子のお告げもあってまたまたヴァリスの剣を手に冒険を繰り広げる。前作にもあったキャラチェンジは健在で、レナの妹で身軽がウリのアム、途中から助っ人に加わる重量系のオジサン・アスファー、そしてレナの三人を場面に応じて巧みにキャラチェンジして先へと進むわけだ。
◆今回はさすがに地獄の難度
ゲームという奴はシリーズが続くにつれ開発スタッフの技術が蓄積されていくため、少なくとも見た目には後に発売された作品ほど出来がよくなっているものだ。この「IV」もこれまでの「II」「III」と比べた場合、キャラも多少大きくなり、ステージの絵も美しく、また各種の「仕掛け」も凝ってきて、またボスについてもなかなか個性的なものが多い。ビジュアルシーンも「III」で極めてしまったこともあって大きく進化したわけではないのだが、やはり高い完成度。こう並べていくといいとこづくめのように思えるのだが…
困ったことに、このゲーム、難度についてもパワーアップしてしまったのだ(笑)。それも大きく。もちろんクリア不可能というほどではないようだが、終盤に向けてかなり苦しく、クリアを断念する人も少なからずいる、と言われるほどのものなのだ。
それでも途中ステージまではその難しいステージをなんとか工夫で切り抜けていく楽しさがある。各ステージのギミックなどの面白さはシリーズ中でも白眉、とは思えるのだが、きついのは微妙なジャンプで飛び越えていかねばならない空中ステージがいくつかあって、落ちたら即死亡、という厳しい場面が多いのだ。アムを使って空中再ジャンプをすると越えられる箇所が多いのだがこれがなかなかに難しい。
さらに苦しめられるのが時間制限。これは「III」にも存在したが、あちらではあまり気にならなかった。「IV」では一部ステージで結構シビアである。ザコ敵を倒すと砂時計が手に入り、それで時間を確保することができ、慣れてくるとそれなりになんとかなるレベルではあるのだが。
先述のように3キャラチェンジシステムは健在で、身が軽くジャンプ力があり、癖があるが結構攻撃力も強いアム、足元のダメージ障害物などを気にすることなく前進できてしまうアスファーを場面に応じて使用することになる。で、主人公のレナはというと、ハッキリ言って当たり障りなく、ごく一般的。裏返すと大して強くもない(笑)。困ったことに終盤キャラが減ってゆき最終的にはレナ一人で頑張らねばならなくなるので、これがクリア断念者の多い原因であるようだ。
「III」から導入された魔法攻撃は、この「IV」では「ウェポン」と名を変えた特殊攻撃となっており、ステージ内でアイテムを集めてウェポンのゲージをため、それを消費する形でキャラごとに異なるウェポンを使用する形式だ。画面全体の敵にダメージを与えるウェポン攻撃などはかなり有効なのだが、当然ゲージを大きく消費するため使う場面はよくよく考えなければならない。攻撃力も同様でパワーアイテム入手により次第にレベルを上げてゆき、ステージ最後のボス戦でうまく最高レベルに達しておく必要がある。
◆軟弱者は投げ出して…
実は僕自身も投げ出したクチで…ステージ4の優子との対決(!)で何度やっても勝てず(惜しい、というのは一回あった)、そもそもそのステージで優子ボスまでたどりつくのが大苦労なこともあり、結局投げ出して他のゲームに移った経緯がある。…その後のストーリー展開と感動のエンディングも含めた未見のビジュアルシーンに関しては僕はしっかり「ヴァリスビジュアル集」(’93)で確認してます(笑)。すいません、軟弱者で。
しかしやはり高難度だったことが敬遠されたのだろうか、「ヴァリス」シリーズはここで打ち止めとなり、新主人公レナもこの一作のみの存在となって、結局のところシリーズの中では「蛇足の番外続編」という形になってしまった。映画なんかでも多いですけどね、こういうケース。
それでも「ヴァリス」ビジネスはまだいけると踏んでいた日本テレネット/レーザーソフトは、シリーズ第一作ながらPCエンジンではまだ発売されていなかった「夢幻戦士ヴァリス」(’92)をSCDで大いにデコレーションをほどこして発売することとなった。さらには「ヴァリスビジュアル集」で2〜4のビジュアルのみソフトも出しているわけで…こうして振り返ると89年から93年まで、ほぼ毎年一作のペースで「ヴァリス」商売が展開されていたことになる。けっこうPCエンジンCD−ROMの「顔」的存在だったのかもしれない。
付け加えておくと、スーパーファミコンで92年に発売された「スーパーヴァリス・赤き月の乙女」はこの「ヴァリスIV」が原作である。
(追記)
「ヴァリス」シリーズ誕生から20年が経とうとしている2006年、日本テレネットがいきなりこの「IV」以来のシリーズ新作開発を発表し、衝撃が走った。タイトルは「ヴァリスX(クロス)〜優子・もう一つの運命〜」で、タイトルからも察せられるが、こともあろうに18禁ゲームとなってしまった…
◎各誌評価
★PCエンジンFAN(ゲーム通信簿の読者投稿平均点。各項目は5点満点で総合30点満点)
キャラクター
| 音楽
| お買い得
| 操作性
| 熱中度
| オリジナリティ
| 総合
|
4.225
| 4.027
| 3.771
| 3.729
| 3.819
| 3.432
| 22.943
第128位
|
★小学館ハイパーカタログ(★★★★★で満点)
★(勝)PCエンジン(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
| 採点
|
岩崎啓真
| 7
|
ウォルフ中村
| 7
|
東千里
| 8
|
ミロはじめ
| 6
|
★ファミコン通信クロスレビュー(発売前テスト版による10点満点での採点)
レビュアー
| 総合評価
|
東府屋ファミ坊
| 7
|
浜村通信
| 7
|
渡辺美紀
| 7
|
TACOX
| 4
|
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