PCエンジンを発売していたNEC−HEはもともとは家電・コンピュータ周辺機器メーカー。PCエンジンはゲームのソフト・ハードのノウハウを持つハドソンとコンピュータ家電屋であるNECが手を組んだところに特徴があって、そのハード・ソフト展開にもそうした事情がかなり反映したところがある。特に他機種のユーザーから見ると混沌状態としかいいようのない多種多様な本体ハードの発売状況は、まさにコンピュータ家電のNECならではのものがあった。それに応じて周辺機器にも妙な商品が多い。この「アンテナ整合機」もその一つだ。
この「アンテナ整合機」とは液晶画面を持つPCエンジン機器、例えば「GT」、「LT」そして「DUOモニター」といったハードのTVチューナー部分に家庭用アンテナからの線を接続するための機器だ。「GT」「LT」「DUOモニター」のいずれもTVアンテナを装備しているが(GTのみは別売だったけど)、どうしても室内では受信状況がよくないことがある。そこで家庭用アンテナ線に接続して鮮明にTVを見てもらおう、という狙いの商品であるわけだ。まぁ細かい家電屋いけば売ってそうな、特にPCエンジン専用とも思えない商品である。
我が家で使っている限りではGTもLTも付属のアンテナで十分TVは見られる。まぁGTで見ようという人はもともと画面が小さいので覚悟が必要ではあるが。ともあれこの商品はNEC-HEがPCエンジンをゲーム機と同時に家電の一種として位置づけていた姿勢の表れであるといえるだろう。
この「アンテナ整合機」と同日に「AV接続ケーブル」なる商品も出ているが、こちらは全く逆のコンセプトの商品で、「GT」および「LT」のゲーム画面をTV画面に映すためにAV接続をおこなうもの。ホント、いちいち細かい周辺機器を発売していたものである。