アーケードパッド6     
ジャンル:ハードウェア
媒体:コントローラー
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1994年6月25日
価格:2980円
商品番号:PCE-TP1


箱と一緒にアーケードパッド◆PCエンジン最後のパッド

 この商品はPCエンジンの数あるコントローラーの中の最終形態。94年6月発売のPCエンジン最後の本体ハード「DUO−RX」に付属品として同梱され、単体販売もされていた。真っ白なカラーも「DUO-RX」の色に合わせたものだ。

 94年という段階でまだ新ハードが出ていたのか、という気も今となってはしちゃうが、少なくともこの当時、NEC-HEにしてもハドソンにしてもPCエンジンを細々ではありながらも現役として続けていこうという意志がかなりあったことは確かだ。

 商品名に「アーケード」とついているのは、明らかにPCエンジンCD-ROM2の「アーケードカード」導入により可能となったアーケードの格闘ゲームの移植作をこのパッドでプレイしてくれ、という宣伝意図による。後期PCエンジンはギャルゲー増大の軟派マシンというイメージが世間では強くなっていたのだが(確かに割合が高かったことは否めないがそう一色ってわけでもなかったんだけどなぁ)、前年の「ストII’」移植とそのヒット、それに続く「アーケードカード」導入でPCエンジンにも流行の格闘ゲームをバシバシ移植しゲーセン小僧をPCエンジンに呼び戻そうという気運が高まった。これの顛末については「アーケードカード」に詳しく書いたが、一言で言えばPCエンジン最後のあがきということになってしまう。

 ともあれ、格闘ゲームブームのPCエンジンへの波及はパッドの形状にモロに表れた。「ストII’」発売とほぼ同時にNECアベニューから「アベニューパッド6」が発売され、以後格闘ゲームを中心に6ボタン使用が当たり前という状況になっていく。そうした中で出された新ハードも当然のごとく6ボタンパッドが標準装備となったわけだ。

 この「アーケードパッド6」はその形状においてそれまでのPCエンジンパッドと大幅に異なっている。歴代のPCエンジンのパッドはおおむね薄型の平板な作りであえて言えば何の工夫もなかったのだが(笑)、このアーケードパッドは手の握りにフィットするよう立体的にデザインされ十字キーも従来のものより大きめで指を痛めない作りとなっている。ただこの十字キーは指先での細かい操作がしにくいという面もあり、人により好き嫌いがかなり分かれるところだと思う。

上がFX用パッド。 実はこの「アーケードパッド6」のデザインは、この年年末での発売が発表されそのデザインがすでに公開されていた次世代機「PC-FX」の専用パッドと全く同じと言っていい形状をしている(左図参照)。相違点はカラーリングがそれぞれのマシン向けになっていること、連射機能の切り替えスイッチの数で、FXのパッドが切り替えスイッチを2つしか持っていないのに対し「アーケードパッド6」は6ボタン全てに連射スイッチを装備しているところぐらいだ(何の役に立つかは不明だが)
 FXの専用パッドとソックリなその形状は、当時の流行であった格闘ゲームへの対応と新世代マシンにおけるより高度な操作性を求める傾向とが影響した結果だったと言えるだろう。もちろん今から見れば従来のあまり工夫のないパッドの延長上にあると思えるところもある。プレイステーション以後の家庭用ゲーム機のパッドは大きく「握り用のツノ」を持たせるなどかなりゴツゴツした形状のものになっていくこととなる。

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