アーケードカードPRO     
ジャンル:ハードウェア
媒体:カード
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1994年3月12日
価格:17800円
商品番号:PCE-AC2


◆初期ユーザーも見捨てません

 「アーケードカード」そのものについては「アーケードカードDUO」の方で詳しく書いちゃったので、ここでは簡単に。要するにPCエンジンのCD-ROMシステムのバッファRAMを一気に18Mにまで増強するパワーアップアイテムである。この「アーケードカードPRO」は初期型のCD-ROM2システムに対応した商品で、それ以前に発売されていた「スーパーシステムカード」の機能も含んでいるため18MのRAMをカード内に搭載している(「アーケードカードDUO」は16M)。そのためか、カードの形に納まりきらず下部にちょっと出っ張った分厚い部分がある(「スーパーシステムカード」や「天の声バンク」、一部のHuCARDソフトに同様の形態のカードがある)

 その価格たるや、出っ張ったぶん「アーケードカードDUO」よりも5000円も高く、17800円ナリ。とんでもなく高価なパワーアップアイテムもあったもんである。その価格には確かにあきれ返るところがあったが、この商品、それなりにNEC−HEとハドソンの誠意ある姿勢と見ることもできよう。この商品はCD-ROM立ち上げ時からPCエンジンCD-ROMを入手してくれた濃いユーザーにも従来のマシンを捨てることなくアーケードカードの恩恵を受けてもらえるようにという意図で発売された、いわば長期愛好者向けにわざわざ開発されたサービス商品という性格が強いからだ。サービスというには余りにも高い価格だが、古いユーザーはもともと高価だったCD-ROMシステムを購入したくらいの金持ちと想定されるので(笑)、この価格でもちゃんと手を出してくれるだろうという算段もあったかもしれない。

 PCエンジンのハード史を見ると実感することだが、PCエンジンはあまりにも多種多様なハードが発売されているために、特定のハードのためだけに開発・発売された「救済装置」とも思える周辺機器が多い。例えば「スーパーグラフィックス」をCD-ROMシステムにつなぐユニットとか、「PCエンジンシャトル」専用のバックアップメモリとか、「PCエンジンLT」とスーパーCD-ROM2をつなぐユニットとかいった具合。おかげさんでPCエンジンハード界ってのはやたらに賑やかというか部外者からみるとムチャクチャ混乱した世界となっているのだが(しかもハード全体の統一性がまるでないので組み合わせるとまるでツギハギ状態)、それもこれも「SGを買ってくださったお客様のため」「シャトルを買ってくださったお客様のため」という、実に細かすぎる気配りゆえなのだ。裏返すと新ハードを思いつきでポンポンと出してしまうために後から応急処置のように細かいハードを出して埋め合わせするハメになっているという、NEC-HEの無計画ぶりが原因というわけなのだが。このあたりがパソコン業界から出てきたNEC−HEの企業体質というものだったのだろう。
 ともあれ、この「PRO」はまさにそうしたPCエンジンの体質を良くも悪くも現している商品だったということだ。

 我が家ではPCエンジンLTに旧CD-ROMシステムをつなぐ構成で使用するパターンだったので、このアーケードカードPROはかなり大活躍してくれた。LTの画面で「飢狼伝説SPECIAL」なんかがプレイできるっていうのはやっぱり感動モノ。もちろんSCDソフトもプレイ可能であるので一石二鳥だ。
 1987年、一番最初に発売されたPCエンジンでもネオジオレベルの格闘アクションが出来る。PCエンジンというハードのムチャクチャ高いポテンシャルを見せ付けられるわけで、確かに感動すべきことである。そんな感動を味わうためのハード、というあたりがこの「PRO」の存在意義なのかも。


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