この商品、僕は長らく入手できず、「SuperPCエンジンFAN」所収のハードカタログにも写真が掲載されていなかったため、どんなものだか全く知らないままに過ごしてきた。その「SuperPCエンジンFAN」の説明には「PCエンジンGTの画面をTVに映すために使用するもの。LTにも使用可能」という簡単な説明があり、そこからだいたいどんな形状のものかは想像できたのだが…。どうにか入手したのはなんと2008年になってからである。
「PCエンジンGT」は携帯用PCエンジンという珍マシンで、本体にカラー液晶画面がついていてHuCARDソフトを差してそのまま遊ぶことができた。もともとカード媒体のPCエンジンならではの携帯ゲーム機路線だったのだが、いかんせん画面が小さすぎた。同時期の任天堂「ゲームボーイ」と比較するとカラーであるだけ優れものだったとは思うのだが、やはり迫力不足は否めない(なまじTVゲームと同じソフトだけに)。そのため最初からTV出力も可能なようにAV用端子(三色のものではなく一つの端子)がついており、そこからこの「AV接続ケーブル」でTV側のAV端子(三色)に接続するようになっていた。
しかしGTじたいが高価でしかも携帯用としては使い勝手が悪かったからあまり売れなかったし、わざわざTVに映して遊ぶぐらいならコアグラフィックスなどのPCエンジン本体を買った方が手っ取り早かった。だからこの接続ケーブルもほとんど意味をなさなかったのではないかと思われる。そもそも市販品で代替できたろうしね。
「PCエンジンLT」は携帯用というよりは机の上に置いて遊ぶタイプのラップトップ画面つきPCエンジンで、これにもAV端子がついていてこのケーブルでTVに映すことが可能となっていた。しかしLTの魅力はその大き目の画面表示にあるわけで、それをTVにわざわざ映すという気になるものかどうか…。
PCエンジンの本体ハード群を見渡すと分かることだがNEC-HEがもともとコンピュータ系家電屋のためか、妙にあれこれと多機能な端子をつけてしまう傾向がある。その多くがほとんど使われることのないものである上、それをつけたことが価格に跳ね返っているところもあった。最後のハードであるDUO−R、RXはそうしたものをそぎ落として価格低下に成功したのだが、次世代機PC−FXではまたそのクセが出てきちゃうんだよな(笑)。