バックアップブースター

ジャンル:ハードウェア
媒体:記録装置
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1989年11月12日
価格:7800円
商品番号:PI-AD7


◆NEC-HE純正バックアップメモリ第一号
 
 「コア構想」を掲げたPCエンジンは、初代の「白PC」や「コアグラフィックス」などの本体にはゲームのための中核機能のみが積まれ、内部にデータセーブ用の装置は導入していなかった。CD-ROM2システムの「インターフェイスユニット」内に初めて2KバイトのバックアップRAMが搭載されるが、当初はあくまでCD-ROMソフト用というつもりだったのかもしれない。PCエンジンのHuCARDにはファミコンのカセットのようにソフトの媒体内部にバックアップRAMを搭載するのがほぼ不可能であったため、発売開始から2年近くPCエンジンのHuCARDソフトのデータセーブはパスワードで行うしかなかったのである。

 ようやくHuCARD向けにデータセーブ機器が発売されたのは89年8月のこと。ハドソンから周辺機器として「天の声2」が発売されたのだ。これはCD-ROM2システムと同じ2KバイトのバックアップRAMを積んだもので、PCエンジン本体後部の端子に接続して使用するものだった。対応するソフトのデータしかセーブはできないのだが、複数のゲームのデータを外部保存・一括管理できること、また価格も安めであったためかなりの普及率をほこった。
 しかし「天の声2」にも一つ問題点があった。初代PCエンジン「白PC」はRF出力のみの構造で、AV出力させたければオプションの「AVブースター」を本体の後部端子に接続する必要があったのだが、これだと「天の声2」との併用は不可能だ。そこでNEC-HE純正バックアップ機器第一号として発売された「バックアップブースター」は、「天の声2」と「AVブースター」の機能を併せ持つ一挙両得の商品となった。データの保存用の電源も「天の声2」と同じで単3電池2個により供給される仕組みだ。

 だが二つの機能を併せ持っただけに価格も「天の声2」より大幅に高くなってしまった。しかもこれは事実上「白PC」にしか使用することができない周辺機器で、わずか16日後にAV出力標準となった新本体「PCエンジンコアグラフィックス」、およびそれに対応したバックアップメモリでしかも電池要らずの「バックアップブースターII」の発売でほぼ無意味化してしまう。あくまで白PCでAV出力とバックアップメモリとを使いたいという人限定の商品で(旧ハード所有者への救済商品という意味合いもあるかと)、あまり市場に出回らなかったのではないかと推測される。僕も長いこと現物を目撃したことがなかったが、2008年ようやくお目にかかることができた、
 まさにドロナワ的なNEC-HEの商品展開の一例といえるハードだ。


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