イラストブースター     
ジャンル:ハードウェア
媒体:周辺機器
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1989年9月29日
価格:9800円
商品番号:PI-AD3


◆PCエンジン専用タブレット!

SUPERPCエンジンFANからの拝借画像 PCエンジン立ち上げ時の大きな目玉が、PCエンジンをゲーム機だけでなく家庭用コンピューターとして様々な用途に使えるようにするという「コア構想」にあったことは今さら言うまでも無い話だろう。このいかにもパソコンメーカーらしい発想はさまざまな周辺機器を構想させたが、結果的に成功したのはCD-ROMシステムだけだったという結果に終わる。
 こうしたコア構想の周辺機器は理由は不明だがいずれも「○○ブースター」という命名がなされている。実現こそしなかったが通信対戦などを可能にする「通信ブースター」なんてのも構想され試作品ぐらいは作られていたようだ。そうした中で実際に発売されてしまった「ブースター」シリーズが、この「イラストブースター」(’89)を初めとする一連の「お絵かきツール」である。

 ファミコン、スーファミでも試みられていたことだと思うが、家庭用コンピューター、特にお子様向けを考えた場合、こうした「お絵かき」に発想がとびつきやすいものらしい。PCエンジンでもそれが試みられ、ペン感覚で絵が描ける「イラストブースター」、それをプリントアウトする「プリントブースター」(’89)、画像取り込みが出来る「フォトリーダー」(’89)、そしてそれらを使用可能にする「アーティストツール」(’89)というソフトが1989年9月に一斉に発売された。全部まとめて購入すると4万円を越すお値段で、あんまりお子様向けとは言いがたい商品であった(初代CD-ROMシステムも5万円以上したけどね)。その上さして使い物にならない商品でもあって、結局全く売れずに失敗に終わる。その辺りから「コア構想」自体がポシャったとも言われている。

 この商品、僕はまだ目撃したことすらないが、使い物になるかはともかく、この時期でよく家庭用ゲーム機でタブレットなんか出したもんだとは思う。記憶する限りではこのころパソコンでだってタブレットなんてあんまり普及していなかったはず。だいたいCD-ROMだってPCエンジンが実質的に世界に先駆けていたぐらいだから、当時のNEC-HE+ハドソンは冒険心に満ちていたなぁと思わされるところ。

 使ったことはないもんでこの商品自体のコメントはほとんど出来ないんだけど、基本的にパッド端子に接続してTV画面に絵を描くだけという機器で、セーブするなどの機能は一切ないところが残念。プリントブースターで「印刷」することは出来るが、これはあくまでサインペン等を差してTV画面の「絵」を紙の上に書かせる「プロッタ」というやつでおよそ「印刷」とは言いがたい代物。
 小さい子供は多少喜ぶかもしれないが、そもそもPCエンジンって価格のこともあってあんまり子供向けに普及していたとは思えないんだよな。この時期NEC-HEも子供向け普及を狙って「PCエンジンシャトル」(’89)なんてけったいな本体機器も発売しており、これらお絵かきツールもそうした流れの一環とは思えるが…


迷い込んだ方はこちらから