LD-ROM2対応レーザーアクティブプレーヤー    
ジャンル:ハードウェア
媒体:ゲーム機本体
発売元:NECホームエレクトロニクス
発売:1993年12月1日
価格:89800円
商品番号:PCE-LD1


◆一時は次世代機ダークホースの一つだった!?

 レーザーアクティブ。それは1993年に発売された「マルチメディアマシン」である。要するにレーザーディスクとCD−ROMの機能を組み合わせて「LDの高画質の映像を使ったゲームが遊べる」という代物だ。レーザーディスクの主催者であったパイオニアがNEC−HEおよびセガと組み、LDプレーヤーにPCエンジンあるいはメガドライブのゲーム機機能を組み込むという、ある意味安上がりな開発をした「次世代ゲーム機」である。
 結果から言えば惨敗に終わったのだが、そのままでもLD(当時は映画・アニメマニアにとり羨望の媒体だった)が見れるし、専用パックを接続すればPCエンジンおよびメガドライブのゲーム(カートリッジ&CD−ROM)が遊べ、さらにはそれぞれ専用のLD-ROMソフト(LDロムロム、およびメガLD)も遊べる…というわけで、僕も一時は購入しようかどうか考えたものだ。実は近所の大型家電屋が売り場に置いていて、触るぐらいならしていたもので…(笑)。結局は高価(本体のみが89800で、専用パックはそれぞれ3万以上した)なために見送ったのだが、そのはるか後に11万もするLD&DVDコンパチ機を購入した経験から言うと、これもそこそこ頑張った価格だったとも思える。
 1993年というと翌年に32ビット次世代機戦争を控えた時期。その翌年、1994年半ばのゲーム雑誌はスペックが明らかになった各次世代機の性能比較や売れ行き予想に忙しかったが、そんな中でこの「レーザーアクティブ」も次世代機のダークホース的扱いを受けていたのを僕は目撃している。まぁその時点でそれはなかろう、という雰囲気ではあったが…ついでに言えばPCエンジンの後継機であるPC−FXも扱いは似ていた(笑)。実際そんなに性能は変わんないんじゃない?との声もあったような。


◆こちらはNEC製であります

 さてこの項目で取り上げている商品のデータを見れば分かるように、このレーザーアクティブプレーヤーはパイオニアではなくNECホームエレクトロニクスからの発売となっている。紛らわしいことにレーザーアクティブにはパイオニア製とNEC製の二種類が存在し、スペック・外見ともほとんどおんなじなのだ。パイオニア製は「レーザーアクティブ対応CLDプレーヤー」という製品名で、正面左上にパイオニアのロゴ入り。NEC製はタイトルに挙げたような製品名で、カラーリングが若干違い、正面中央に「NEC」のロゴが入っている。違いはハッキリ言ってそれだけである。
 
当時の広告 ただ売り方にも違いがあったようだ。そこはNEC製であるから、最初から「PCエンジンパック」とセット販売になっていたようで、当時の雑誌広告でも「LD-ROM2システム 128,800円」との表示が出ている。よく読むと「LD-ROM2対応レーザーアクティブプレーヤー」が89800円、「PCエンジンパック」が39000円とあるので別売りも対応していたようではあるが。
 「PCエンジンパック」(PCE-LP1。パイオニア製では「LD−ROM2パック」)を装着するとHuCARDおよびCD-ROM2、SuperCD-ROM2のソフト、および専用の「LD-ROM2(ロムロム)」ソフトが遊べるようになる。ただし、さすがにSuperGrafxソフトには対応してくれなかった。あと未確認なのだが、一部ソフトはレーザーアクティブでは正常に動作しないとの話も聞く。
 なおこの「PCエンジンパック」についているパッドは、一見当時のPCエンジン標準のターボパッドと同じに見えるが、よく見るとカラーリングと文字(RUN・SELECTではなくDISPLAY・SUBとなっている)が異なる独自仕様。パイオニア製のものとも異なっており、数多いPCエンジンパッド群の中でひときわ希少価値のある存在だ。
 当時の雑誌記事で読んだところでは、レーザーアクティブ購入者のおよそ6割が「LD-ROM2パック」ではなく「メガLDパック」を購入していたそうで、この頃にはPCエンジンよりもメガドライブのほうに人気が向かっていたらしい。それと後述するがメガLDのほうがタイトルが充実していたのも事実。なおこれとは別に「カラオケパック」というのも存在したらしい。

 LD−ROM2ソフトは触れたことも無いのでどれほどの内容であったのかは分からない。当時の広告を見るとLD−ROM2といってもCD−ROM2の540メガバイトのデジタルデータに「60分の動画+音声」が付加されるとあるだけで、やはりゲーム機としての性能はPCエンジン本体と変わりはなく、単に「綺麗な映像が流せる」だけみたい。それではさして目新しいゲームが作れたとも思えず…あぁ、なんとなくこの辺もFXに似たものを感じるな(笑)。

 さてここで、LD-ROM2専用ソフトの一覧を発売日順に紹介しよう。

「悪魔の審判」(プラネット、93/8/20、9800円)
 …デーモン小暮を使った心理テストゲーム。
「クイズエコノザウルス」(ハドソン、93/8/20、9800円)
 …環境テーマのクイズゲーム。
「ヴァジュラ」(パイオニア/データウェスト、93/10/25、9800円)
 …データウェスト開発の3Dシューティング。
「エンジェルメイト」(プラネット、93/10/25、9800円)
 …実写脱衣ギャンブルゲーム。
「マンハッタン・レクイエム」(パイオニア/リバーヒルソフト、93/10/25、9800円)
 …JBハロルドシリーズの実写映像を使ったミステリー。
「ドラドラパラダイス」(プラネット、94/3/25、9800円)
 …実写を使った脱衣麻雀。
「ザッピング「殺意」」(パイオニア、94/6/10、9800円)
 …一時流行ったザッピングシステムのサスペンスドラマ。メガLD版あり。
「3Dミュージアム」(パイオニア、94/6/25、13000円)
 …3DCGの映像と音響を楽しむ鑑賞ソフト。メガLD版もある。
「美リュージョンコレクション 渡辺美奈代」(パイオニア、94/10/25、5800円)
 …アイドルグラビアソフト。メガLD版あり。
「ヴァジュラ弐」(パイオニア、94/10/31、9800円)
 …3Dシューティングの続編。
「美リュージョンコレクションVol.2 坂木優子」(パイオニア、94/11/25、5800円)
 …アイドルグラビアソフト。メガLD版あり。
「メロンブレイン」(パイオニア、94/12/15、13000円)
 …映像を使ったイルカ事典。メガLD版あり。
「ブルー・シカゴ・ブルース」(パイオニア/リバーヒルソフト、94/12/20、9800円)
 …JBハロルドシリーズ。FXほか次世代機のほとんどに移植された。メガLD版もある。
「GOKU」(パイオニア、95/10/20、13000円)
 …荒俣宏が世界の7不思議を紹介する教育用ソフト。メガLD版あり。

 なお、下の2本は現時点で発売日不明。LD-ROM2で出たことは確認しているが、メガLDで出た後の移植と思われる。
「バーチャルカメラマン」(トランスペガサス、9800円)
 …実写によるナンパ・ヌード撮影ゲーム。レーザーアクティブ最大のヒット作?(笑)
「バーチャルカメラマン2タイ・ブーケットナンパ編」(トランスペガサス、9800円)
 …ヒット作の続編。

 LD-ROM2は以上のような感じで、「タイムギャル」などアーケード人気作の移植やシューティングも多く出たメガLDに比べるとかなり寂しい。「ヴァジュラ」2作が唯一頑張ってるが、あとはアダルト系と、メガLDと同タイトルばかりである。


迷い込んだ方はこちらから